漢方はいつ内服するのが効果的か
医療用漢方製剤の用法用量は、添付文書には食前または食間服用と記載されています。
しかし、エビデンスとなるような詳しい調べた研究データに裏付けされているわけではないようです。
食と起源が同じと考えられており、相互作用を避けるために、食間の服用が良いとされるようになったようです。
では実際漢方薬を内服する場合、食前と食後はどちらに内服するのがいいのか説明します。
漢方によって食前、食後を使い分ける
漢方はその構成成分によって食前、食後を使い分けると効果的です。
食前に内服した方がいい漢方
1)和胃降逆といわれる、胃の機能失調に作用する漢方薬は、食前に服用します。
小半夏加茯苓湯、安中散、二陳湯、呉茱萸湯、茯苓飲、運胆湯、六君子湯、人参湯など
2)補脾益気といわれる、消化機能を補い、元気を増すような漢方薬(桂枝、芍薬、大棗、甘草、生姜を含むもの)も、食前服用がすすめられます。
胃苓湯、越婢加朮湯、黄耆建中湯、葛根湯、葛根湯加川芎辛夷、加味帰脾湯、帰脾湯、桂枝加芍薬湯、桂枝加芍薬大黄湯、桂枝加朮附湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、桂枝湯、五積散、柴陥湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、柴胡桂枝湯、柴朴湯、柴苓湯、四君子湯、小建中湯、小柴胡湯、小柴胡湯加桔梗石膏、参蘇飲、清肺湯、当帰建中湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、排膿散及湯、平胃散、防己黄耆湯、補中益気湯、六君子湯など
3)センノサイド(大黄に含まれる)、グリチルリチン(甘草に含まれる)などの配糖体は腸の細菌叢で代謝、吸収されるため、薬の効果を強く求める時には食前や食間の空腹時に内服するのがいいでしょう。
4)蘇葉の香りのある漢方は、抗うつ作用、胃液分泌促進、消化管運動増強作用が報告されており、食前服用がおすすめです。
食後に内服した方がいい漢方
1)アルカロイドを含む漢方(麻黄、延胡索、厚朴、辛夷、防已など)を構成成分とする漢方は、胃がアルカリ性に傾く食後の方が吸収されやすいといわれています。
内服の仕方と、漢方が苦手な人のための対策
漢方薬の内服の仕方
漢方薬はもともと煎じて飲まれている薬ですので、お湯に溶かして内服するのがいいのです。
50mlほどのお湯に漢方薬1包を溶かすといいでしょう。
漢方薬の匂いや味が苦手な場合
バニラエッセンスやココアパウダー、砂糖を少し加えることで漢方の味や匂いを緩和できます。