【アスペルガー】発達障害について知っておきたいこと【ADHD】①【病気の特徴編①】

大人でも受診することの多い発達障害

大人になり、社会人となり、人付き合いの苦手さや、生活や仕事での失敗、うまくいかないことが繰り返され、

「どうしてみんなのようにできないんだろう」「普通にすごせない」「自分はみんなと何かが違う」

と感じたことがありませんか。

インターネットをはじめとする様々な情報をもとに発達障害というものを発見し、自分も発達障害ではないかという思いから受診される方が増えているように思います。

もちろん、発達障害の診断にならない方もいらっしゃいますが、広汎性発達障害、アスペルガー症候群、自閉スペクトラム症、注意欠陥・多動性障害など見た目ではわからない、生きづらさを抱えた方がいらっしゃいます。

発達障害について詳しく説明していきます。

診断の歴史

レオ・カナーが「情緒的交流の自閉的障害」という論文で報告をしたのが、1943年でした。

「代名詞の取り違え」「いつもと違う変化によって取り乱す」「何時間も同じ遊びに没頭する傾向」「物をくるくると回して遊ぶ」など現在でもいわれている自閉症の特徴がすでに報告されています。

発達障害、自閉症は最近出てきた病気ではなく、100年近くの過去にも、ひょっとしたらそれ以前から存在しているものなのです。

1944年にハンス・アスペルガーが報告した論文を再評価し、1981年にローナ・ウィングたちが「アスペルガー症候群」の報告後、自閉症スペクトラム症という概念を提唱し、”社会性の障害”、”コミュニケーションの障害”、”想像力の障害”の特徴をまとめています。

また、これらの症状とともに、聴覚、触覚などの間隔の過敏さや鈍麻の問題や、運動の問題など、生活における様々な困難をもっていることも報告しています。

さらに、ウィングは社会性の障害を「孤立型」「受け身型」「積極奇異型」の3タイプに分けています。

自閉スペクトラム症の特徴

1.社会性の障害

・他者との社会的相互関係を構築したり維持したりすることが困難

・自分のルールと社会のルールがずれてしまう。人が意識せずに習得している一般的な「暗黙のルール」が分からない。

・他社に対して無関心で、自分から他者とかかわりを持ちたがらない。【孤立型】

・他社の言いなりの状態で、人の言うことを何でも聞いてしまう。【受け身型】

・他社の気持ちや感覚を考えず、一方的に話をする。【積極奇異型】

2.コミュニケーションの障害

・話し言葉の遅れや異常:幼少期の反響言語(オウム返し)、人称代名詞の混乱。成人期の過度な丁寧で、繰り返しの多い一方的な会話。

・話し言葉の理解の問題:2つの意味を持つ単語の理解の困難さ。言葉を文字通りにとらえる傾向。冗談やからかいへの理解の難しさ、ずれ。

・口調と音量調節の異常。

・非言語的コミュニケーションの問題:仕草、表情の適切な表出や理解が困難

3.想像力の障害/反復した常同的動作

・柔軟で創造的な思考ができない。ごっこ遊びができない

・思考の柔軟性がない。応用が困難。

・行動の前に結果を予想するのが困難。

・変化への抵抗。幼児期:単純な反復的な動作。成人期:日常の決まり事がきっちりしすぎている。特定の対象への興味の集中。

自閉スペクトラム症の原因

以前は母子関係が自閉症の最大の原因という人もいたが、アスペルガーは「強い遺伝要因を背景にもつ、パーソナリティーの極端なかたより」と報告していた。

現在では中核症状においては神経発達過程の問題が指摘されており、子育てスキルの要因は否定的です。

DSM-5における自閉スペクトラム症の診断基準

A.社会的コミュニケーションの障害

複数の状況での社会的コミュニケーションと社会的相互交流が持続的に著しく不十分な状態が、過去または現在に存在していること。

1.社会的情緒的相互性が著しく不十分な状態

社会的接近(相手との距離感)が異常である状態。

正常な会話のやり取りがうまくいかない状態。

興味や情動、感情の共有が少ない状態。

社会的相互関係を始めたり、それに応じたりすることがうまくいかない状態。

2.社会的相互交流のために使用される非言語的コミュニケーション行動が著しく不十分な状態

言語、非言語的コミュニケーションの統合が乏しい状態。

アイ・コンタクトとボディ・ランゲージの異常またはジェスチャーの理解や使用が著しく不十分な状態。

表情による表現と非言語的コミュニケーションの全般的欠如

3.人間関係の発展・維持・理解が著しく不十分な状態

様々な社会的状況に適した行動をとることが困難

想像力を使った遊びを共同で行うこと、または友人を作ることの困難さ

同年代の人に対する興味の欠落

B.限定的反復的な行動パターン

制限され、繰り返し行われる行動・興味・活動のパターンが、以下の4つのうち最低2つ現在あるいは過去に存在する

1.常同的または反復的な動き、物の使用、または会話

単純な常同的運動、おもちゃを並べて遊ぶことなく、あるいは何かをめくったりひっくり返したりする動き、反響言語、風変わりな言い回しを繰り返すこと

2.同一性へのこだわり

ルーチンを守ることへの頑なさ、言語的あるいは非言語的行動における儀式的パターン

小さな変化に対する極端な苦悩、環境の変化に伴う困難、硬直した考えのパターン、挨拶を儀式的に繰り返すこと、毎日同じ道を通ったり同じものを食べたりすること

3.高度に制限され固定化された興味

その興味は異常に強いか、あるいは異常に焦点がずれている

変わった物に対する強い愛着るいは没頭、極端に限局したあるいは固執した興味

4.感覚入力についての過剰あるいは過小反応

環境の感覚面についての異常な興味

痛み、厚さ、寒さに対する明らかな無頓着、特定の音や素材に対する通常とは逆の反応、過度に物のにおいを嗅ぐまたは触ること、光や回転するものへ魅了されることなど

C.症状は発達の早期から存在しなければならない。しかし、社会的な要求が本人の能力の限界を超えるまでは、明らかにならないかもしれない。あるいは成長してからも対処法を学ぶことで表面にでないことがあるかもしれない。

D.症状は社会的、職業的、または他の重要な領域における現在の機能に臨床的に著しい障害を引き起こしている。

E.これらの障害は知的能力障害(知的発達症)または全般的発達遅延ではうまく説明されない。知的能力障害と自閉スペクトラム症とはしばしば併存する。自閉スペクトラム症と知的能力障害が併存する際には、社会的コミュニケーションは一般的な発達レベルを下回るものと思われる。

発達障害と社会生活

成人期の自閉スペクトラム症は他者との社会的関係を築くことが困難で、情緒的な交流ができないため、社会的に孤立していることが多いです。

学力が高ければ、大学に進学したり、就職できていますが、周囲から「空気が読めない人」「天然だよね」「変人」などとみられていることがあります。

もしくは、「指示待ち族」「イエスマン」と言われながらもなんとか適応してることもあるかもしれません。

また、会議などの場面では、聴覚的認知の苦手さから、内容が頭に入りにくく、話については「まわりくどく、分かりにくい」「一方的で話のキャッチボールができない」などと言われたりしているかもしれません。

また、体調不良がしばしばみられますが、体調不良になりやすいのは、自分の状態を適切にモニタリングできないこと、例えば疲れのたまり具合が分かりにくかったり、時間的感覚が苦手でペース配分が苦手であったり、ストレスの自覚をしにくいことなどが影響している場合が多いでしょう。

では発達障害の方は日常的にどんな特徴がみられるのでしょうか。

幼児期・児童期の子供の頃見られやすい特徴

・想像力を使ったごっこ遊びができない。

・特定のものへのこだわりや、限定された興味が強い。

・同じような行動を繰り返す

・環境の変化にすぐにパニックになる。

・家族や、先生と情緒的な交流がうまくできない。喜びや悲しみなどの気持ちを共有できない。

・自分のルール、独特の正義感のため、周囲とトラブルやケンカになりやすい。

・対人関係がうまくいかず、いじめにあったり、無視されたり、けんかになりやすい。

・一人遊びが多く、孤立している。

・丁寧すぎる言葉や、大人びた話し方、専門的な言葉を使うなどがみられる。

・字義通りにうけとり、皮肉がわからない。

・おとなしく、自分の主張がなく、人の言いなりになっている。

・人との接し方が独特で、人と関わろうとするが避けられる。

・運動会のピストルの音や、子供の泣き声に敏感で、パニックになる(聴覚過敏)

・タグのついた服が気持ち悪くて嫌がる。人に触られることを嫌がる(触覚過敏)

・偏食がひどく同じものばかり食べる(味覚・口腔感覚の問題)

・体調管理が苦手で、疲れやすかったり、朝起きれなくなり、学校を休みがちになる

成人期になり、社会生活のなかで見られやすい特徴

・他人と感情や興味の共有ができず、情緒的な交流がうまくできない。

・社会的な常識感覚がずれている。

・対人関係がうまくいかず、孤立しがちで、休日はほとんど一人で過ごすが、予定のない時間の使い方が分からず苦痛になる。

・言いなりになり、誰の言う事にも従う、

・話のキャッチボールができず、一方通行で、かかわり方が独特で、周囲から変な人と思われたり、避けられたりする。

・人の話がすんなり理解できない。

・相手がどういう意図で話しているのか、怒っているのか、困っているのかなど読み取れず、想像できない。

・丁寧すぎる話し言葉や、専門的すぎる言葉を使う傾向にある。

・字義通りにうけとり、皮肉がわからない。

・会議など情報が多い状況で混乱しやすく、複数での話し合いについていけない。

・自分独自のルールがあり、ルーチンへのこだわりが強い。

・興味が著しく偏り、限定的である

・常同的で反復的な行動がある。

・環境の変化が苦手で、パニックになる。

・先読みが苦手で、未来を想像しにくい。

・音に敏感で、仕事に集中できない。

・他者との接触、交流が苦手。

・味覚・口腔内感覚の問題で、偏食になりやすく、食事会など集団での食事が苦手。

・自分の体調を認識・管理しにくく、体調不良から欠勤、遅刻が目立つ。

次回②では、ADHDについて、③では治療・支援についてまとめます。

事項はこちらです。→【アスペルガー】発達障害について知っておきたいこと【ADHD】②【病気の特徴編②】

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