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【めまい】漢方治療:釣藤散【頭痛】

頭痛やめまいにおすすめな漢方:釣藤散とは

釣藤散は中国宋時代、12世紀に発明された処方です。

「肝に十分な気血が巡っていない状態のめまいを治し、頭痛を治す」働きをもっています。

東洋医学における「肝」は、西洋医学的な「肝臓」の働きである、体内の化学物質の代謝・解毒、タンパク質や糖の合成、胆汁を生成して消化を助ける等だけではなく、ストレスや感情をもつかさどる機能も兼ね備えていると考えられています。

肝に十分な気血が巡らないとストレスをうまく処理できなくなり、結果感情が不安定になったり、めまいや頭痛などの症状が出現するのです。

釣藤散はそのような病態を改善させる効果があります。

釣藤散の構成生薬

石膏

天然の含水硫酸カルシウムです。

止渇作用、利尿作用等があります。

釣藤鈎

アカネ科カギカズラなどの鈎棘です。

血圧降下、腸管血流増加、認知機能改善、末梢神経改善、脂質酸化抑制作用等があります。

陳皮

ミカン科ウンショウミカンンなどの成熟果皮です。

体温下降、抗けいれん、抗アレルギー、肝機能改善、健胃作用等があります。

麦門冬

ユリ科ジャノヒゲの根の膨大部です。

鎮咳、血糖降下、抗炎症、抗アレルギー、抗腫瘍作用等があります。

半夏

サトイモ科カラスビシャクのコルク層を除いた塊茎です。

抗ストレス、鎮静、鎮痛、鎮吐、唾液分泌亢進、抗アレルギー、抗消化性潰瘍、腸管内輸送促進、抗ウイルス、血圧降下、免疫賦活作用等があります。

茯苓(ブクリョウ)

サルノコシカケ科マツホドの菌核です。

利尿、抗腫瘍、免疫賦活、抗炎症、腎障害改善、抗潰瘍、血液凝固抑制作用等があります。

菊花

キク科キクなどの頭花です。

中枢抑制、解熱、好中球貪食亢進、毛細血管抵抗性増強作用等があります。

人参

ウコギ科オタネニンジンの根です。

中枢興奮、中枢抑制、抗ストレス、抗疲労、強壮、男性ホルモン増強、脳血流量増加、抗炎症、血圧降下、血糖降下、脂質代謝改善、抗腫瘍、抗潰瘍、抗老化、免疫賦活、肝障害抑制、向精神作用等があります。

防風

セリ科ボウフウの根及び根茎です。

抗炎症、血圧降下、中枢抑制、抗潰瘍、免疫賦活作用等があります。

甘草

マメ科カンゾウなどの根です。

鎮静・鎮痙、鎮咳、抗消化性潰瘍、利胆、肝機能改善、肝保護、抗炎症、抗アレルギー、抗糖尿病、抗動脈硬化作用等があります。

生姜

ショウガ科ショウガの根茎です。

睡眠延長、解熱・鎮痛、抗けいれん、鎮咳、鎮吐、血圧降下、強心、唾液分泌亢進、抗潰瘍、肝障害予防・改善作用等があります。

証(虚実)

中間証~虚証

 

陳皮・半夏・茯苓・人参・甘草・生姜の6種類は「六君子湯」にも含まれる生薬で、胃腸の虚弱の方にも優しい漢方です。

「肝」の機能異常と釣藤散の効果

釣藤散の名前の由来の生薬”釣藤鈎(カギカズラ)”は鈎の形をした生薬で、「肝」の働きを正常化してストレスを和らげ、感情を穏やかにする働きがあります。

「肝」の機能異常

肝の機能が異常を起こすと、怒りの感情がわきやすくなります。怒りは「頭に血がのぼる」「逆上する」などと表現されるように、強い感情を伴うストレス反応では、気血が上半身に鬱滞することが多く、頭痛や耳鳴り、目の充血や肩こりなど、体の上部の疼痛や炎症を引き起こします。

釣藤散の効果

釣藤散に含まれる生薬のうち、菊花は上半身にのぼった気血を下に降ろす作用があり、石膏や防風は、上半身の炎症を治める働きがあります。

釣藤散がオススメな人

釣藤散は脳血管障害や認知症に対する効果も明らかにされています。

具体的には血管拡張作用であったり、グルタミン酸や酸化窒素放出分子で誘発される神経毒性に対する神経保護作用などがあります。また、大脳皮質や海馬における、カタラーゼ活性の高まりから、活性酸素による神経細胞死を抑制する可能性も示唆されています。

脳血管性認知症の方の精神神経症状や生活機能の改善も報告されています。

よって、釣藤散は

高血圧や糖尿病などの血管リスクがあり、胃腸虚弱、やせて、怒りっぽい傾向のある高齢の方で、頭痛やめまい・肩こり、などの「上半身」の症状に効果的です。