ストレスと痛みの関係は昔から報告があり、痛みに自律神経、特に交感神経が深く関わっていることが分かっています。
交感神経が異常に興奮する状態はさまざまな要因で起ります。
環境、気圧、気温、体長、気質、性格など人それぞれでその緊張の様相が違います。
自律神経失調症状と漢方治療
抑肝散
抑肝散を使用すると頭痛、腰痛などのいろいろな痛みが軽減するという報告があります。
抑肝散には下降性抑制系の賦活作用があり、情動安定化作用と相まって、交感神経系の緊張を緩和すると考えられています。
親や教師、いじめてくる同級生に言い返せない子供や、上司や職場の同僚に歯向かえないような弱い立場の方達の抑圧された怒りが「痛み」として表現されていることが多いのです。
怒りが交感神経を絶えず緊張させ、不眠や消化管の失調の原因となり、痛む場所の筋肉の過緊張や循環障害を生じているのです。
四逆散
四逆散は抑肝散証にみられるような「内なる怒り」というよりは、真面目な性格だからこそ、様々なストレスが、各種の臓器の失調症状として現れるような場合に適しています。
四逆散は「傷寒論」に記載されている漢方薬で、その条文でも自律神経失調症の様相が述べられています。
四逆散が良く効く人
四肢末端が冷たい人
なにかあると咳が出る人
動悸がする人
小便が出にくい人
お腹が痛くなりやすく、すぐ下痢をする人
過敏性腸症候群のような腹痛・下痢、動悸、咳、神経因性膀胱のような排尿異常、原因不明の蕁麻疹、頭痛などに効果が期待できます。
四逆散証の人のひらは冷たく湿っていることが多く、交感神経の緊張が強い影響です。
哺乳類は危険を感じたときに逃げるために、手のひらに汗を分泌させて木に登りやすくする本能的な防衛反応の1つと考えられています。
手のひらだけではなく、全身の皮膚血管も収縮し、身体の表面の血流が低下し、熱の放散が減少します。そのため、体の中に熱がこもり、舌苔が熱せられ、黄色味を帯びてきます。
中学受験に向けて日々頑張っている10代の真面目なお子さんで、頭痛や手汗、腹痛、軟便等で困っているような場合にも効果的な場合が多いです。