チック症とは
チック障害とは、本人の意志とは関係なく、突然体が動いたり、声が出たりすることが一定期間続く障害です。
多くは、児童期から青年期に発症します。自分で症状をコントロールすることは難しいものの、意識的に抑えられる場合もあります。
わざとやっている訳ではありません。しかし、いくらかコントロールできるようになる可能性があります。
チックの種類
チックには「運動性チック」と「音声チック」があります。
さらに持続時間の長さによって「単純型」と「複雑型」に分けられます。
単純運動チック
まばたや、首をふる、肩をすくめる、しかめ顔など
単純音声チック
せきばらい、吠える、鼻をすする、シューなど特殊な音を出す、寄生をあげる
複雑運動チック
自分を叩いたり、飛んだり跳ねたりする、顔の表情をかえる、触る、臭いをかぐ
複雑音声チック
状況に合わない言葉、汚言症など(わいせつな言葉、社会に受け入れらない言葉)、特定の言葉や、自分の発した音や単語を繰り返す(同語反復)
トゥレット症候群
運動チックと音声チックの両方が慢性的にみられます
チック症の疫学
チック障害は児童期から青年期の子供に多くみられますが、多くは一過性です。
トゥレット症候群の推定有病率は、学童期の子供で1000人あたり3~8人と言われています。
男性のほうが女性より多く、男性は女性の約2~4倍と言われています。
チック症の経過
チック障害は、通常4~6歳の間に発症し、10~12歳の頃に症状が重くなり、青年期になると症状が軽くなるという経過をとることが多いです。
少数ですが、大人になっても重度のまま続いたり、悪化する場合があります。
チック症の原因
気質要因
チック障害の症状は不安、興奮、疲労によって悪化しやすく、落着いているときや集中しているときは改善します。
学校や仕事では意識的に我慢していることも多く、集中している時であり、症状は少なく、放課後や帰宅後に症状が増えることは多く見られます。
生理前、テストや発表の時や、行事に参加するときなどは、しばしば悪化します。
遺伝要因
チック障害の遺伝的な要因は様々な研究から可能性を示唆されています。
出産時の合併症、父親の高年齢、低出生体重、妊娠中の母親の喫煙がチックの重症度の悪化に関連していると言われています。
チック症の予後
自然の経過として、部位、種類、頻度が変動したり、軽快や憎悪を繰り返したりします。
併発しやすい疾患
強迫性障害、ADHD(注意欠陥多動性障害)、学習障害を併発することがあります。
また、吃音症、抜毛症、身体醜形障害、摂食障害、自閉症スペクトラム障害併存していることもあります。
不安やパニック症状、うつ状態、不眠もしばしば見られます。
チック症の治療
精神療法
精神療法は、チックによって二次的に引き起こされる情緒的な問題の治療に効果が期待できます。
行動療法
特に習慣反転治療が効果的とされています。
薬物療法
よほど重度で生活に支障を来していない限り、薬物療法はすすめられませんが、一般的には抗精神病薬が使用されます。
家族が知っておくこと
チックは運動を調整する脳機能の特性やなりやすさが基盤にあり、親の育て方や本人の性格に問題があって起こるのではありません。
チックの変動性や経過の特徴を理解し、些細な変化で一喜一憂しないようにしましょう。
チックを悪化させる可能性のある状況や要因があれば、その対応を整理、検討しましょう。
チック自体を本人の特性の一つとして受け入れられるといいでしょう。
チックのみにとらわれず、長所も含めた本人全体を考えて対応しましょう。
チックや併発症及びそれに伴う困難を抱えつつも本人ができそうな目標を立て、それに向かって努力することを勧め、サポートしましょう。