セディール®/タンドスピロンクエン酸塩を処方された方へ
一般名
タンドスピロンクエン酸塩 tandospirone citrate
製品名
セディール
剤型
錠剤 5mg、10mg、20mg
後発品
タンドスピロンクエン酸塩 錠剤5mg、10mg、20mg
適応
①心身症(自律神経失調症、本態性高血圧症、消化性潰瘍)における身体症候ならびに抑うつ・不安・焦燥・睡眠障害
②神経症における抑うつ・恐怖
用法・用量
1日30㎎、3回に分けて内服する。1日60㎎までとする。
半減期
約1時間
セディール®/タンドスピロンクエン酸塩の特徴
日本で開発され1996年に発売された、ベンゾジアゼピン系ではない、セロトニン作動性の抗不安薬に分類されます。
セロトニン神経系に選択的に作用して抗不安作用及び抑うつ作用を示します。
最高血中濃度は約0.8~1.4時間後です。血中半減期は約1時間です。
投与休止により速やかに消失し、蓄積性は認められませんでした。
セディール®/タンドスピロンクエン酸塩の薬理作用
ベンゾジアゼピン系抗不安薬であるジアゼパムとほぼ同程度の作用を示します。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬とは異なり、抗うつ作用も示すと考えられています。
各種のストレス負荷や、自律神経中枢のある視床下部の刺激による各種の末梢反応を改善します。
脳内においては、ベンゾジアゼピン/GABA受容体複合体には直接作用せず、セロトニン(5-HT)受容体のサブタイプの1つである5-HT1A受容体を選択的に認識し、作動薬として結合することにより、抗不安作用をはじめとする各種の薬理作用を引き起こします。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬による、ふらつきや眠気などの副作用の問題や、乱用・依存などの問題を解決する新しい抗不安薬の開発を期待され、つくられた経緯があります。
抗不安作用、抗うつ作用を示しながら、ベンゾジアゼピン系薬剤がもつ筋弛緩作用や協調運動抑制作用、あるいは麻酔増強作用などはほとんどなく、眠気やふらつき、過度の鎮静という副作用は少ないのです。
セディール®/タンドスピロンクエン酸塩の作用機序
不安を形成すると考えられる海馬等の大脳辺縁系において、その神経活動を抑制するとともに、形成された不安を末梢に伝えると考えられている視床下部や中隔野での神経活動を抑制します。
大脳辺縁系に局在するシナプス後膜5-HT1A受容体に選択的に作用し、抗不安効果を示します。
抗うつ作用としてはセロトニン神経終末のシナプス後膜5-HT1A受容体密度の低下が関与していると推測されます。
セディール®/タンドスピロンクエン酸塩の有効率
自律神経失調症(心身症)に対する中等度以上改善率は約64%との報告があります。
本態性高血圧症(心身症)に対する中等度以上改善率は約76%との報告があります。
消化器系心身症(過敏性腸症候群、胃十二指腸潰瘍など)に対する中等度以上改善率は約49%との報告があります。
セディール®/タンドスピロンクエン酸塩の副作用
眠気が約3%、ふらつきが約1.1 %、悪心が約0.8%、倦怠感が約0.8%、食思不振0.7%などの報告がありますが、少ないようです。
自動車の運転などの危険を伴う機会の操作には従事しないようにしましょう。
セディール®/タンドスピロンクエン酸塩の使用における注意事項
①漫然と長期使用しないこと
神経症においては、罹病期間が3年以上と長い場合や、重症例あるいはベンゾジアゼピン系での治療効果が不十分な場合など治療抵抗性の患者に対しては効果が表れにくいです。
1日60㎎を投与しても効果が認められない時は、漫然と投与することなく中止しましょう。
②高度の不安症状には効果が出にくい
高度の不安症状がある場合は、効果が表れにくいことがあいります。他の薬物に変える選択肢を検討しましょう。
まとめ
セディール®/タンドスピロンクエン酸塩は抗不安作用や抗うつ作用をしめしますが、眠気やふらつき等の副作用が少ないお薬です。
また、依存に関してもベンゾジアゼピン系薬剤よりも生じにくと考えられています。