エビリファイ®/アリピプラゾールを処方された方へ
一般名
アリピプラゾール aripiprazole
製品名
エビリファイ
剤型
錠剤 1mg、3mg、6mg、12mg
OD錠 3mg、6mg、12mg、24mg
散剤 1%
内用液 0.1%
持続性水懸筋注 300mg、400mg
適応
①統合失調症
②双極性障害における躁症状の改善
③うつ病、うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合)
④小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性
用法・用量
①1日6~12mgから開始し、6~24mgで維持します。1日1~2回に分けて内服します。1日最大30㎎までです。
②1日1回24㎎で開始し、1日12~24mgで維持します。1日最大30㎎までです。
③抗うつ薬と併用し、1日1回3㎎から開始します。増量幅は1日3㎎、1日量は最大で15㎎までとなります。
④開始量1日1回1㎎、維持量として1日1回1~15㎎内服します。増量幅は1日量として3㎎、1日量は15㎎を超えない量で使用します。
半減期
約65時間
エビリファイ®/アリピプラゾールの特徴
エビリファイ®/アリピプラゾールは大塚製薬によって1987年に作られました。キノリノンを骨格とする新しいタイプの抗精神病薬です。
ドパミンD2受容体部分アゴニスト作用を持っており、ドパミン作動性神経伝達が過剰活動状態の場合には、ドパミンD2受容体のアンタゴニストとして作用し、ドパミン作動性神経伝達が低下している場合には、ドパミンD2受容体のアゴニストとして作用します。
簡潔にいうと、ドパミンが多すぎる時は作用を減らす働きをして、ドパミンが少ない時は作用を助ける働きをするという感じです。
このような作用からドパミンシステムスタビライザー(DSS:dopamine system stablilizer)という分類にされています。
また、セロトニン5-HT1A受容体部分アゴニスト作用および、セロトニン5-HT2A受容体アンタゴニスト作用を併せもっており、統合失調症の陽性症状や陰性症状に対する有効性があり、錐体外路系の副作用が少ないのです。
他の抗精神病薬でみられる高プロラクチン血症がプロラクチン値が上昇しないという特徴もあります。
エビリファイ®/アリピプラゾールの薬理作用
エビリファイ®/アリピプラゾールはドパミンD2受容体部分アゴニスト作用に加えて、セロトニン5-HT1A受容体部分アゴニスト作用およびセロトニン5-HT2A受容体アンタゴニスト作用を併せ持っています。
まだ、作用機序の解明は完全には、なされてはいませんが、これらの作用が症状を改善させていると考えられます。
Tmax(最高血中濃度到達時間)は1~6時間で、半減期は約65時間で、約2週間以内で定常状態に達します。
主に肝臓で代謝され、CYP3A4とCYP2D6によって脱水素化と水酸化され、CYP3A4によってN-脱アルキル化されます。
エビリファイ®/アリピプラゾールの効果
統合失調症における幻覚・妄想などの陽性症状を改善し、情動の平板化、受動的引きこもり、自閉、会話の自発性と流暢さの欠如、疎通性の障害などの陰性症状も改善させます。
また抑うつ気分や不安の改善効果も認められています。
他の抗精神病で出現しやすい高プロラクチン血症(乳汁分泌や生理不順がみられます)がみられないという特徴もあります。
また、躁うつ病の躁状態への効果、うつ病・うつ状態への追加使用による改善効果、小児期の自閉症スペクトラム症に伴う易刺激性への改善効果等、幅広い有効性と安全性が認められているお薬です。
エビリファイ®/アリピプラゾールの副作用
不眠、神経過敏、アカシジア(じっとしれいられないような感覚の副作用)、振戦、不安、食指不振、体重減少、筋強剛などの報告があります。
まとめ
エビリファイ®/アリピプラゾールはドパミンシステムスタビライザーというこれまでにない作用機序で効果を発揮する、抗精神病薬に分類される新しいタイプのお薬です。
統合失調症だけではなく、躁うつ病の躁状態、うつ病・うつ状態、小児自閉スペクトラム症の易怒性などさまざまな病態に幅広く効果が認められ、安全性が高いお薬として世界的にも多く使用されているお薬です。