頑固な便秘、実は便秘型過敏性腸症候群かも
便秘症状が日常生活の質を低下させることがしばしばあります。
慢性便秘症の中の一つに便秘型過敏性腸症候群があり、その場合は腹痛や腹部不快感による日常生活の質の低下が著しいのが特徴です。
実際、便秘で病院やクリニックに受診をした場合、慢性便秘症と便秘型過敏性腸症候群は特に区別されることは少なく、排便回数は注目されやすいのですが、腹痛や腹部不快感などの腹部症状や便形状の改善については意識されることが少ない場合があります。
便秘型過敏性腸症候群の場合は一般の下剤、便秘薬で改善しない場合もあり、便秘型過敏性腸症候群の適応をもつお薬を選択することを考えます。
慢性便秘症について
慢性便秘症は近年増加傾向にあります。
加齢に伴って増加するため、人口の高齢化が大きく影響していると思われます。
便秘の訴えのある人は、約100人に4人はいるといわれており、年齢と共に著しく増加します。
男女別では女性の方が2倍近く多いですが、近年は男性の便秘が増加傾向にあります。
しかし、便秘で悩んでいる人の中で、便秘のために通院している人は半数にも満たず、不適切な治療や無治療による便秘の増悪・難治化が心配されます。
慢性便秘症の診断
慢性便秘症とは一般に、排便回数の減少、排便困難が長期にわたって認められる状態と考えられます。
その継続期間については、国際的診断基準では「6ヶ月前から少なくとも3ヶ月」と定められています。
しかし、実際は便秘の期間はあまり厳密にとらえず、便秘に困っていれば対策をする方がいいでしょう。
排便回数についても、同診断基準では「週3回未満」とされていますが、そこも排便回数にこだわらず、残便感があり、気持ちよく排便できていなければ対策をしていく方がいいでしょう。
本人が便秘と思っているなら、「便秘症」として対応する
日本内科学会では、便秘症を「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」と規定しています。
実際の日常の診察においては、排便困難や腹部膨満感などの症状を自覚していて本人が便秘と思っているなら便秘症として対応するという考えもあります。
便秘型過敏性腸症候群の診断
便秘型過敏性腸症候群の診断ポイントは、腹痛、腹部不快感の有無が重要です。
特に便秘を訴える際に、腹痛、下部不快感を伴っており、排便によって腹痛や腹部不快感が改善することが参考になります。
また、便秘型過敏性腸症候群は便秘優位であるものの、時々下痢を呈する場合もあります。
リンゼス®/リナクロチドを処方された方へ
一般名
リナクロチド
製品名
リンゼス
剤型
錠剤 0.25㎎
適応
便秘型過敏性腸症候群
(便秘型過敏性腸症候群治療の基本である食事指導及び生活指導を行った上で、症状の改善が得られない患者に対して)
用法・用量
通常、成人には0.5㎎を1日1回、食前に経口投与する。症状により0.25㎎に減量します。
リンゼス®/リナクロチドの特徴
グアニル酸シクラーゼC受容体アゴニストとしての特徴を持つお薬です。
日本では2016年12月に承認されています。
リンゼス®/リナクロチドの薬理作用、薬物動態
リンゼス®/リナクロチドは、体内への吸収性は非常に低いことが明らかにされており、CYPやP糖タンパクの影響がないことが報告されており、薬物はほぼ腸管内で作用し、血管を通した全身循環に入ることは極めて低いと思われます。そのため、副作用も少ないといわれています。
リンゼス®/リナクロチドの適応症に対する効果
便秘型過敏性腸症候群において、残便感のない自発的な排便をもたらす効果や、便形状の有意な改善が、臨床試験において認められています。
さらに、便意型過敏性腸症候群に伴う腹痛、腹部不快感を改善させる効果が確認されています。
リンゼス®/リナクロチドの注意点、副作用
主な副作用は下痢で約13.0%の頻度で見られています。