ルボックス®、デプロメール®/フルボキサミンマレイン酸塩を処方された方へ
一般名
フルボキサミンマレイン酸塩 fluvoxamine maleate
製品名
ルボックス、デプロメール
剤型
25㎎、50㎎、75㎎
後発品
フルボキサミンマレイン酸塩
適応
うつ病、うつ状態、強迫性障害、社会不安障害
用法用量
通常成人には1日50㎎を初期用量とし、1日150㎎まで増量し、1日2回に分割して内服します。
ルボックス®、デプロメール®/フルボキサミンマレイン酸塩の特徴
Tmax(最高血中濃度到達時間) 約4~5時間、半減期約9~14時間、約3日でほぼ定常状態となります。
肝臓で酸化的に脱メチル化されて薬理活性を持たない代謝物となり、尿中に排泄されます。
フルボキサミンはオランダの会社により開発され、日本では1999年SSRIとして初めて承認されたお薬です。
ノルアドレナリン再取り込み阻害作用に比較して、格段にセロトニン再取り込み阻害作用が強い。フルボキサミンは他の神経伝達物質受容体に対する親和性が低く、そのため、有害副作用が少なく安全性の比較的高い薬物です。
ルボックス®、デプロメール®/フルボキサミンンマレイン酸塩の薬理作用、薬理動態
神経終末からシナプス間隙へ放出されたセロトニンは主として神経終末に存在するセロトニントランスポーターを介して速やかに取り込まれ再利用される。
フルボキサミンはセロトニンの再取り込みを選択的に阻害する作用をもちますが、各種神経伝達物質受容体にはほとんど親和性を示さず、モノアミン酸化酵素阻害作用も示しません。再取り込み阻害作用は投与後に比較的短時間に引き起こされますが、実際の臨床での治療効果発現には10日前後必要です。
実験動物を用いた薬効薬理試験では抗うつ作用や強迫行動の抑制が確認されています。
うつ病及びうつ状態における臨床症状改善率は約60%といわれています。
うつ病だけでなく、強迫性障害、摂食障害、月経前不快気分障害、アルコール依存症の抑うつ状態等への効果も期待できるかもしれません。
ルボックス®、デプロメール®/フルボキサミンマレイン酸塩の注意点、副作用
服用開始後に効果の出現に先行して、様々な副作用がでることがあります。そのことが、内服への抵抗感や拒否感につながり、症状を遷延させてしまうことにつながる可能性があります。
そのために、治療効果発現までの見通しや服薬開始後に出現することが予測される副作用について、知識を持っておくことが大切です。
投与量の急激な減少や内服中止により、頭痛、嘔気、めまい、不安感、不眠、集中困難等がみられる離脱症状がみられることがありますので、投与を中止する場合には徐々に減量する慎重な調整が必要です。
フルボキサミンはかみ砕くと苦みがあり、下のしびれが出現することがありますので、水とともに服用し、噛まないようにしましょう。
自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないこと、飲酒を避けることが必要です。
高齢者では肝機能が低下していることが多く、高い血中濃度が持続する可能性がありますので、増量に際しては、用量等に注意する必要があります。
妊娠の可能性がある場合には主治医と相談し、可能であれば中止することが望ましいでしょう。
母乳中への移行のため、授乳婦は内服を避けることが望ましいですが、やむを得ず内服するばあいは授乳をやめ、ミルクにしましょう。
嘔気、悪心、口渇、便秘等の消化管の症状が出現することがありますが、服用の中止または減量を必要とせずに、副作用が消失することが多いです。吐き気止めを併用することで、副作用症状を軽減できる可能性があります。
フルボキサミンを過量内服した場合の急性中毒症状は、悪心、嘔吐、下痢等の胃腸症状、眠気及びめまいが多く、時に不整脈や低血圧等の循環器症状、肝機能障害、けいれんや意識障害が出現することもあります。
また、投与初期には抑うつ症状や不安焦燥感、不眠が増えることがあるので、安定剤などを少量併用することが助けになることがあります。
フルボキサミンは動物試験で身体依存性及び精神依存性は認められなかったようです。
ルボックス®、デプロメール®/フルボキサミンマレイン酸塩の薬物相互作用
フルボキサミンは、主に肝薬物代謝酵素CYP3A4阻害作用を有し、他にもCYP1A2、CYP2C19、CYP2D6の阻害作用も有するので、抗てんかん薬や、三環系抗うつ薬、ベンゾピアゼピン系薬物、βー遮断薬、キサンチン系気管支拡張薬、クマリン系抗血液凝固薬の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させ、血中半減期を延長させます。
他にお薬を飲んでいる場合は主治医に相談しておくといいでしょう。
また、炭酸リチウムとフルボキサミンの併用で、両薬剤の作用増強の報告もあります。