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【ベンゾジアゼピン】授乳とお薬について【心療内科・精神科編】

妊産婦は精神状態が不安定となることが多く、安定剤や睡眠薬を内服せざるをえない場合があります。

安定剤・睡眠薬の中でも代表的なベンゾジアゼピン系の薬剤を内服する場合、新生児に授乳をしている母親は、薬物及び代謝物の母乳中への移行と新生児への影響に注意が必要です。

ベンゾジアゼピン系薬剤の母乳中移行と新生児への影響についてはセルシン®、ホリゾン®(ジアゼパム)に関しての研究がみられます。

帝王切開で出産後、強い不安、抑うつ状態が出現した母親に、ジアゼパムを1日30㎎を3日間(計90㎎)投与された場合、乳児がが昏睡状態となり、体重減少(-170g/日)がみられたと報告されました。

ジアゼパムないしはその代謝物が母乳を通して乳児に移行したと考えられます。

別の研究では、ジアゼパム10㎎を毎食後に3回、合計30㎎/日を3人の産婦に内服してもらい、4日後と6日後にジアゼパムとN-デスメチルジアゼパム(代謝物)の母親の血中濃度、、母乳中濃度および乳児の血中濃度を測定した研究があります。

結果は6日後の母親の血中濃度と母乳濃度の比は10:1でした。

また乳児の血中濃度はジアゼパム、N-デスメチルジアゼパム共に母乳中濃度に近い値でしたが、乳児に眠気や呼吸抑制などの所見は見られませんでした。

ただし、この研究は6日間であり、薬物代謝機能が不十分な乳児に長期間授乳を続ければ蓄積する可能性があり、ジアゼパム服用中には授乳を中止するのが望ましいとされています。

また、別の研究では母親のジアゼパム血中濃度と母乳中濃度の比は約4.6:1~0.4:1であり、平均2:1という結果ですが、約10倍近い個体差があったことが指摘されています。

これらの報告から判断すると、いずれにせよ母乳中への移行は高値ではなく、1日にジアゼパム10㎎程度を内服した場合、新生児が1日500mlの母乳を飲んだとしても、新生児が摂取するジアゼパムと、N-デスメチルジアゼパムの量はせいぜい45μg程度となり、有意な障害は与えないと考えられます。

しかし、産婦の内服量が多くなり、高用量となる場合には新生児の代謝能力が低いため、蓄積し予期せぬ症状が出現することがありえるので、授乳は中止するべきでしょう。

ジアゼパム以外のベンゾジアゼピン系薬剤においては、ロラゼパム(ワイパックス®)、ニトラゼパム(ベンザリン®、ネルボン®)、クロナゼパム(リボトリール®、ランドセン®)等でも母乳中移行への報告があります。

まとめ

安定剤や睡眠薬として使用されるベンゾジアゼピン系薬剤は母乳中へ移行するため、一般的には授乳は避けた方がいいでしょう。

特にベンゾジアゼピン系薬剤を反復して、あるいは高用量で使用する場合は、新生児への蓄積の危険性が大きく、授乳は中止すべきでしょう。

一方で授乳中に数回安定剤や睡眠薬を内服したとしても、少量の内服であれば、移行する量も少なく過度に心配する必要はないようです。

安定剤や睡眠薬など、ベンゾジアゼピン系薬剤を内服する際には、治療効果による利点と授乳によって生じる危険性について主治医としっかり相談することが大切です。

【安定剤】ベンゾジアゼピン系薬剤を内服していて、授乳していいの?【睡眠薬】

ベンゾジアゼピン系薬剤を内服していて、授乳していいのか

安定剤や睡眠薬などのベンゾピアゼピン系の薬剤を服用している場合、授乳はしてもいいのでしょうか。

結論から言うと、ベンゾジアゼピン系の薬剤は母乳中へ移行するので、授乳は避けた方が良いです。

ベンゾジアゼピン系薬剤と授乳について

ベンゾジアゼピン系の薬剤を服用している母親が新生児に授乳する場合には、薬物及び代謝物の母乳中への移行と新生児への影響に注意する必要があります。

ベンゾジアゼピン系の薬剤の母乳中移行と新生児への影響については、セルシン®(ジアゼパム)での研究報告があります。

ある研究では薬剤の母親の血中濃度と母乳濃度との比は1~10対1と約10倍もの個体差が大きいようです。

乳児の血中濃度は母乳濃度と近いもしくはそれより低い値になるようです。

ベンゾジアゼピン系の薬物による乳児への影響で多いのは、眠気や呼吸抑制、哺乳力低下による体重減少などが考えられます。

また、乳児は薬物代謝機能が不十分であるため、薬物は蓄積しやすく、長時間の授乳により影響が大きくなると考えられます。

母乳中への移行はありますが、高用量を使用しなければ、母乳中濃度は高値にならず、不安時などの頓服使用であれば、主治医と十分に相談したうえで、治療選択肢になる可能性があるでしょう。

しかし、逆に高用量を使用する場合には、新生児の代謝能は低いため、授乳は中止した方がいいでしょう。

まとめ

安定剤や睡眠薬などのベンゾジアゼピン系薬物は母乳中へ移行するため、一般的に授乳は避けた方が望ましく、特に高用量使用の場合は、新生児への蓄積の危険性が大きく授乳は中止した方がよいでしょう。

しかし、不安時などの頓服使用などについては、ミルクなどの併用も利用し、治療選択肢として主治医と相談してみてはいかがでしょうか。