季節性感情障害とは
毎年秋から冬にかけて抑うつ状態を呈し、春には回復することを繰り返す人たちが見いだされ、季節性感情障害seasonal affective disorder(SAD)と命名され、光療法が有効であることが1984年に報告されました。
日本でも1988年に本症例が初めて報告されて依頼、多数の報告がなされています。
報告されたSADの特徴
・発症年齢は20歳代前半であり、女性に多い。(男:女=1:4以上)
・発症時期は秋分以降に見られ、症状の極期は1~2月に集中し、自然寛解期は春分以後が多い。
・遺伝負因の可能性が比較的高く、親族の発症はSAD14~23%、感情障害25~58%、アルコール症8~36%との報告があります。
・SADではうつ病の主症状である抑うつ気分と行動抑制がみられるほか、過眠、過食、体重増加、炭水化物渇望などの非定型的症状が特徴的です。
・緯度が上がるに従い発生頻度上がり、北半球から南方への転地により改善することがあります。
予後
長期経過を観察すると、季節性が維持されるのは20~40%と決して多くはありません。季節性が変化する群はそれだけ重症であり、光療法に対する反応性も不良であるかもしれません。
治療
光療法
光療法や薬物療法、認知行動療法を行います。
光療法にて、2000ルックスという高照度光がメラトニン分泌を抑制し、症状改善させる可能性があります。
光療法の効果は33~77%と言われています。
薬物治療
SADの治療には一般的に抗うつ薬が有効です。
疲労感や眠気が増す薬は避けるべきなので、こうした副作用の少ないSSRIという種類の抗うつ薬が主に使われています。SADの場合、秋に抗うつ薬を飲み始め、春になったらやめるのが一般的です。
光療法のその他効果
光療法(phototherapy, light treatment)は、最初に季節性感情障害に施行され、その高い臨床的効果が示された。季節性感情障害以外にも下記の状態、症状にも使用され、臨床的有効性が示されています。
①非季節性の気分障害
②概日リズム睡眠障害
③月経前症候群
④摂食障害
⑤痴呆に随伴するせん妄や行動異常
⑥交代勤務者にみられる焦燥や機能低下
⑦時差症候群
⑧季節性変動のある強迫性障害