チックを治療するにあたり、まず本人が気付いて認識する必要があります。
チックに気付き、記述して、先行する感覚や行動を認識して、チックの出現を認識出来るようにします。
拮抗反応は、チックの前駆衝動が出現するか、または、チックが始まった直後に患者さんが取り入れる一つの動作です。チックや前駆衝動が起きたらすぐに実施します。
【拮抗反応のトレーニングの効果仮説】
- チックと大脳基底核の回路における顕在化の競合
- 拮抗反応による患者さんの前駆衝動への慣れの発生
【拮抗反応のトレーニング】
拮抗反応はそれぞれのチックの前駆症状に基づいて行い、最低1分か、前駆症状が消えるまでか、いずれか長い方の時間保持します。
拮抗反応を選択し、拮抗反応と正しい実施をデモンストレーションし、練習します。
拮抗反応として使用する動作は下記を目安に選択します。
- 標的とするチックと物理的に両立できないもの
- もとのチックよりリラックスした、自然で品があるもの
- 最低1分間、または前駆症状が明らかに減少するまで、保持できる最適化されたもの
- 社会的に目立たないもの
【運動チックの拮抗反応の例】
- [瞬き]意識して瞬きする。真っ直ぐ前を見る。物体に焦点をあてる。
- [顔をしかめる]優しく唇を結ぶ。
- [眉の動き]ゆっくりコントロールした瞬きをする。
- [首を回す]顎を軽く下に引きながら首の筋肉を緊張させる。
- [唾を吐く]唇を強く閉じ、腹式呼吸をする。
- [舌打ち]舌を口の中で上顎に押し付け、口を閉じて、息をする。