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自分の感情を把握、理解する。【認知療法③】

<自分の感情を把握、理解する>【認知療法③】

次の人の言葉を聞いてみてください。

「これまで自分がやってきたことはすべて無意味だと思います。ちょっとした幸せもすべて錯覚だったと思います。自分のやってきたことは、うわべだけの中身のないもので、自分の価値なんてありません。誰も信用できないし、助けてくれないし、生きてる意味なんてあるんでしょうか。」

なるほど。この人は、ものごとにつてそのように感じ、認知しているのです。

認知療法では、この認知を「認知の歪み」と言います。

認知の歪みは、あなたが日常で、”お箸”を無意識に使えるように、あなたの生き方の一部になっているために、自動的に出現する、いわば自動思考です。お箸の使い方が間違っていても、意識しないと全く気付かないように、思考も意識して認識することから始まります。

この認知の歪みを知り、修正することで、気分・感情を変えることができるのです。

ここで大事なことですが、認知療法をやるつもりがない人が、これ以上読み進めても、読んだ後に「時間の無駄だった」という感想を持つでしょう。認知療法は、ちょっとでもやってみようという気持ちが最低限必要になります。

認知で症状が改善する、ちょっと大げさかもしれませんが「人生が変わった」と表現される方もいます。このブログは、あなたが変わるひとつのきっかけにすぎません。かわる、かわらないもあなた次第です。その良い方にかわるヒントが認知療法にあるのです。

それでは、まずは「考え方」と「感情」についてお話ししましょう。

認知:「考え方」と「感情」について

あなたの身の回りには、良いことや悪いこと、意味のないことなど、様々なことが常に起こっています。

あなたは、その次々と起こる出来事を、次々と解釈します。それが考え方です。

次々と起こる出来事を、あなたが解釈し、脳の中で加工し、出来事に意味づけします。それによって感情が作られます。

つまり、感情というのは、あなたが、ものごとをどのように認知するかによって、全く変わってきます。

あなたは感情を認識する前に、脳の中で、できごとを理解し意味づけしているのです。

もし、現実に起こったことを「正確」に理解すれば、感情も「正常」になります。

しかし、認知が歪んでいれば、感情は偏った反応を示します。

認知の歪みが、偏った感情を引き起こし、それがストレス因となり、抑うつ状態を作り出しているのです。

では、次回はその認知の歪みの代表的なものを説明します。

無意識の認知の歪みにあなたが気付きいたとき、それが認知療法の大きな一歩となります。

自分の落ち込みを評価する 【認知療法②】

<自分の落ち込み度合いを評価する。>【認知療法②】

まずは認知療法の第一歩として、自分の落ち込みの評価を行いましょう。

とその前に、ここで大切なことですが、認知療法が適している場合と、そうでない場合があります。

認知療法はある程度、思考する力が保てている必要があります。

強い思い込みやそれに近い思考がある場合は適していない状態があります。

まずはあなたの今の落ち込み度を点数化しましょう。

落ち込みを簡易的に評価するテストとしてCESDというものがあります。CES-Dの項目で、落ち込みを点数化してみましょう。

右の固定ページのCES-Dからも行けますが、下のリンクからも行けます。

http://lala-mentalclinic.com/ces-d/

お疲れ様でした。いかがでしたか。

CESDの結果が30点以下の方は、すぐに認知療法を開始されるのがいいでしょう。しかし、31点以上である場合はまずは心療内科、精神科、メンタルクリニックに受診される方がいいです。31点以上だと、症状のため、認知療法に取り組むことが困難な状態が予想されるからです。

ここで、うつ状態、うつ病の症状について、ごく簡単な説明をさせていただきます。

うつ状態、うつ病の症状

憂うつな気分、「今後何の楽しみもない」「何をやってもうまくいかない」というような悲観的な考えしか浮かばず、今までは楽しめていたものが楽しめなくなります。

自分が悪いような、周囲に迷惑をかけているような、申し訳なく、自分を責めたり、恨む気持ち。何か罰を受けているような気持ちがでてきます。

他の人より、自分が劣っている、存在している意味がないように感じ、

死にたくなる気持ちや、なぜか涙がでてくる、イライラすることが多くなる等もみられます。人と会いたくなく、笑えない、集中できず、ものごとを決められない、すぐに疲れる、眠れない、食欲がなく、体重が減ってきた、性的関心がなくなったといったような症状が、いくつかもしくは多くみられることがあります。

これらはうつ状態、うつ病で出てくる症状です。

また、うつ状態がひどくなると、貯金があるのに「明日食べるお金もない」、検査で何の異常もないのに、「重大な病気にかかっているに違いない、もうすぐ死ぬ」、何の犯罪も犯していないのに「重罪を犯しており、逮捕され、罰せられるに違いない」、職場で評価されているのに「俺は何の価値もない、生きている意味がない、迷惑をかけている」というような、事実とは異なる思い込みが、修正不可能な思考がでてくることもあります。

修正不可能となった事実と異なる認知を「妄想」といいます。妄想というと統合失調症のような病気を考えられるかもしれませんが、うつ状態、うつ病で、妄想が出現することはあります。

他に、動悸、ふるえ、発汗、吐き気、頭痛、胸の締め付けられる感じが続く、喉が詰まっているような感じが続く、過呼吸になる等の体の、症状も同時に見られることがあります。

このようにうつ状態がひどい状態では、妄想が出現したり、思考力、集中力が保てず、認知療法は困難となることが多いため、すぐに受診されることをお勧めします。

では次回は自分の感情の把握、理解についてです。

認知療法を始めよう!【認知療法①】

<ものごとの受けとめ方、考え方をえる!>【認知療法①】

今回は認知療法のお話です。

認知療法気分の改善において、驚きの効果を発揮します。

うつ状態、うつ病に対して、抗うつ薬と同等か、それ以上の効果があるという報告もあります。

認知療法とは本人が主体性をもって、「何が問題となっているか」ということと、「それためにどうすればいいかの対策」を明確化し、それぞれ個々の問題に応じた戦略をたてて、取り組んでいくという流れで行っていきます。

気の持ちようとかそういう気合論、根性論のレベルではありません。科学的な方法で、抑うつ気分を改善し、自分の気分をコントロールするのが認知療法なのです。

認知療法の理論に基づきながらも、簡易的に取り組めるように説明していきます。

それでは認知療法を始める扉を開いてみましょう。

まず、あなたの感情を作っているのは、すべてあなたの「認知」、ものごとの受けめ方や考え方なのということを理解しましょう。

認知はあなたのものごとの見方、受け止め方、反応の仕方、考え方、解釈の仕方を無意識に決めているのです。

例えば、このサイトを読んでいて

「うさんくさいし、どうせインチキまがいだろう」と思っているとします。

そうであれば疑い、がっかり、不信感、怒り等の感情がでていることでしょう。

あなたが、そう感じ、そのように受け取っているのであればそれがあなたの認知ということになりまます。

それは正しいとか、間違っているという問題ではなく、あなたがそう感じているということです。

反対に、

「このサイトはなんか役に立ちそうだ。ひっとしたら自分のためになるヒントが見つかるかもしれない」と思っているとします。

すると、希望や、晴れやかな気持ち、喜び等の感情がでていることでしょう。

このように、あなたの気分は今読んでいる文章それ自体で決まるのではなく、あなたがどう受け取り、感じ、考えているかによって決まるのです。

認知が感情を規定(決定)しているのです。

精神的な混乱や不調を引き起こす、認知の歪みに気付き、修正する方法を身につけることで、自分自身の感情をコントロールすることができます。

客観的に自分の心を考えることができれば、気分も改善してきます。

では次回は、認知療法の第一歩、自分の落ち込みの評価からです。