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【いとこ婚】いとこ同士での結婚のリスク【精神疾患】

世界における近親婚

両親の血縁関係が、はとこよりも近い近親婚は世界の出生において10件中1件の頻度でみられるといわれています。

米国、韓国、中国では、いとこ同士の結婚を違法としています。

しかし、これらの国々でも近親婚が子をもうけることはありますし、近親婚による子供が米国に移住することもあり得ます。

では米国、韓国、中国では禁止されている、いとこ婚はによる出生は、精神科的にみるとどんなリスクをもっているのでしょうか。

いとこ婚におけるリスク

いとこ婚の子供の精神疾患のリスクを、非血縁者婚の場合と比較検討した研究があります。

北アイルランドでの15年間の約36例の後ろ向き全母集団コホート研究です。

全体の0.2%の両親がいとこまたは、はとこでした。

不良なメンタルヘルスの関連因子で補正した解析で、いとこ婚の子供は非血縁者婚の子供と比較して、気分障害(うつ病や躁うつ病)の薬剤を処方される割合が3倍高く、抗精神病薬(統合失調症などの治療薬)を処方される割合が2倍高かったとの結果でした。

はとこ婚の子供もこのような薬剤を処方される割合は高いものの、差は有意でなかったようです。

いとこ婚と精神疾患との関係

複数の遺伝子が気分障害や精神疾患などの精神障害のリスクに関係しており、両親からそれぞれの遺伝子を受け継ぎます。同様な形質を持つ人同士が結婚しやすいという指摘があります。

いとこ婚では、病気と関係する遺伝子がそろいやすいため(リスクアレルを有しやすい)、近縁者同士の結婚・出産は多因子遺伝(ポリジーン)の負荷の増加に影響する可能性が高いと考えられ、それらが精神疾患の発症率に関係しているのかもしれません。

まとめ

日本ではいとこ同士の結婚は禁止されていませんし、結婚相手はそれぞれの意志が尊重されるべきです。

しかし、いとこ同士の結婚、出産におけるリスクを知っておくことは、人生の選択肢を慎重に決定できる要素になると思われます。

妊婦とその家族が知っておくべきRSウイルス感染症

ある調査によれば妊婦のRSウイルス(RSV)の認知度はわずか2.4%と言われています。

インフルエンザや百日咳などは知っていると思いますが、「RSウイルス感染症」あなたはご存知でしょうか。

実は、妊婦の7割は名前を聞いたこともなく、3割の人は名前は聞いたことあるけれどどのような病気知らないようです。

ではなぜRSウイルスを知っておいたほうがいいのでしょうか。

RSV感染症が子供の命に関わる病気であり、その後長く影響する場合がある

ある報告によると、世界では人口10万人当たり5.3人、年間60万人の乳児がRSV感染によって命を落としているといわれています。

この数字は、百日咳と並び、生後6か月までの乳児にとって最も怖い感染症であるといえます。

にもかかわらず、百日咳は効いたことがあってもRSV感染症は聞いたことがないという人がほとんどです。

RSV感染症とは

RSV感染症とは、病原体であるRSウイルスに感染し、伝播することによって発症する呼吸器感染症です。

年齢を問わず、生涯にわたり顕性感染を繰り返し、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の子供がRSウイルスの初感染を受けるといわれています。

RSVは通常冬に流行しますが、2011年は7月中から流行の兆しがみられており、今までインフルエンザとは流行のピークがずれることが多かったのですが、ここ数年では予測がつきにくく、流行が早まったり、インフルエンザと同時流行も考えられます。

RSV感染症の経過

まず、1歳までに約7割が感染し、初感染した乳児の3分の1が下気道感染を起こします。

急性期を超えても影響が残ってしまい、RSV細気管支炎で入院した子供は、その後2年間の入院率・死亡率が高いことが報告されています。

また、喘息のリスクが高くなることも報告されています。

3歳までにRSVウイルス感染症を起こした場合、反復性喘鳴などの影響が11歳ころまで残るという報告もあり、感染後の影響が長引く場合があるのです。

RSV感染症のリスク因子は、在胎週数38週未満で3.4倍といわれており、また、入院のリスクに関しては兄弟がいる場合は4倍、家庭内に喫煙する人がいれば5倍と言われています。

また、早産児や慢性呼吸器疾患、心疾患をもつ子供では重症しやすいといわれています。

RSV感染症の重症化を抑制するパリビズマブ

抗RSVモノクローナル抗体薬のパリビズマブはRSV感染症の重症化を抑制し、繰り返す喘鳴や将来の喘息を予防する効果を持つといわれています。

ただし、投与ができるのは、在胎36週未満の早産児や慢性呼吸器疾患、先天性心疾患を有する子供とされています。

RSV感染症を避けるためには

RSV感染症を避けるためには、兄弟に手洗い、うがいをさせること、人が集まる場所を避けるなどRSVへの暴露を避けるようにすることが大切です。

また、感染しても影響を軽減するために母体からの移行抗体を期待した「母乳育児」と「妊娠中のビタンミンD摂取」が推奨されています。

なぜなら、完全母乳栄養で母乳期間の長い子供は、RSV感染症の重症化が低いという報告があり、また、ビタミンD欠乏の子供が将来の喘鳴との関連が指摘されているためです。

まとめ

誰もが感染しているRSウイルスの子供の初感染による、呼吸器症状を知っておくことが大切で、在胎36週未満の早産の子供さんや、呼吸器疾患、心疾患がある場合はパリビズマブについて主治医に相談しましょう。

【小児喘息】喘息と食事療法


以前より小児喘息の改善には食事療法が期待されるといわれています。

地中海食に加え、良質な脂肪が豊富に含まれる、イワシ、サケ、マスなどの魚を摂取することで、喘息の子供の気道炎症が改善したとするランダム化比較試験の結果が報告されています。

その報告では”健康的な食事に魚を加えることで、小児喘息の症状を軽減できる可能性がある」と発表しています。

脂肪が多い魚にはω-3脂肪酸が豊富に含まれており、そのω-3脂肪酸の抗炎症作用や免疫調節作用が小児喘息の改善に関係していると考えられています。

ギリシャでの単施設ランダム化比較試験

報告では、ギリシャの首都アテネに住む5~12歳の軽症喘息の小児64人(男児52%、女児48%)を対象に研究されています。

半数をギリシャでよく食されている地中海食と、その一部として調理した高脂肪の魚(150g以上)を週2回摂取する群(魚+地中海食群)に、残る半数を通常の食事を摂取する群(対照群)にランダムに割り付けました。

肺機能はスパイロメトリーという検査で評価し、気管支の炎症は呼気中一酸化窒素濃度の測定値に基づき評価されています。

呼気中の一酸化炭素濃度が14ppb低下

年齢、性別、BMI(ボディマスインデックス)、身体活動レベルで調整して解析した結果、6か月後の試験終了時点で、魚+地中海食群では呼気中一酸化炭素能動が約14ppb低下し、対照群と比較し有意に気管支の炎症が軽減したことが分かりました。

(国際的なガイドラインでは呼気中一酸化炭素濃度が10ppb以上低下した場合に、有意な治療効果があったと解釈することが推奨されています)

一方で、肺機能や喘息コントロール、QOLスコアに関しては有意な変化は認められませんでした。

今回の研究結果から、高脂肪の魚の摂取が、小児喘息の改善に有効である可能性があり、脂肪や糖分、塩分が多く含まれる食事は小児喘息の発症や進行に影響するといわれており、健康的な食習慣を意識することが喘息の症状を管理できる可能性が示されました。

まとめ

植物由来の食品と脂肪を多く含む魚を組み合わせた伝統的な地中海食を日常の食事に取り入れることで、小児の喘息の症状を軽減出来る可能性があります。

【うつ】うつ病と食事療法【薬を飲みたくない】

うつ病への食事療法

うつ病と栄養

うつ病は心の風邪と言われますが、実際は脳の働きが悪くなっている状態で、うつ病=脳の不調なのです。

うつ病は一般的には休養、薬物療法、精神療法、環境調整などそれぞれの人にあった治療アプローチが必要ですが、うつ病全ての人において同一に必要なのが栄養管理です。

脳の働きに関わる脳内伝達物質もさまざまな栄養素を必要とします。

そのため、うつ病を治療するためには最低限の栄養バランスの維持が必要不可欠となります。

例えば、うつ病の病態に関わるノルアドレナリンやドーパミン、セロトニンなどの脳内伝達物質も元となるチロシン、トリプトファンなどのアミノ酸から作られています。

チロシンは肉類(鶏肉、牛肉、羊肉など)、カツオ節、タケノコ、牛乳、卵黄、ピーナッツ、アーモンド、バナンなどから効率的に摂取できます。

また、トリプトファンも上記食材に加え、大豆、のり、ごま、マグロ、チーズなどから摂取できます。

それぞれの栄養素の欠乏と摂取しやすい食物

栄養素 欠乏時の症状 含まれる食物
ビタミンB1 集中困難 豚肉、玄米、のり、タラコ、未精製の植物類
ナイアシン 抑うつ気分 魚介類、未精製の植物類
パントテン酸 ストレス脆弱性 肉類、魚介類、未精製の植物類
ビタミンB6 イライラ、抑うつ気分 未加工・未精製の植物類、魚介類、バナナ、プルーン
葉酸 イライラ、抑うつ気分 ホウレンソウ、葉野菜、レバー、大豆
ビタミンB12 イライラ、抑うつ気分 肉類、魚介類、レバー、イクラ、ウニ
ビタミンC イライラ、抑うつ気分 イチゴ、柑橘類
マグネシウム 不眠、イライラ、抑うつ気分 緑色の葉野菜、ナッツ、種子
抑うつ気分、不安、意欲低下 赤身の魚・肉
亜鉛 抑うつ気分 不安、意欲低下 カキ、ナッツ類、穀物の種子

飲酒と栄養不足に注意

飲酒時に摂るべきビタミンB1、ビタミンC、ナイアシン

アルコールは分解するときにビタミンB1が消費されますが、さらにアルコール自体がビタミンB1の体内への吸収を妨げ、不足しがちになります。

ビタミンB1欠乏状態が続くと、脚気やウェルニッケ脳症といった深刻な状態が出現するので注意が必要です。

また、アルコールの二日酔いで頭痛や吐き気を体験されたことのある人は多いと思いますが、その不快な症状はアルコールの分解経過にみられるアセトアルデヒドという物質の影響で起こります。このアセトアルデヒドを分解するのにビタミンCやナイアシンが活躍するため、飲酒時は積極的に補充しましょう。

ビタミンCは喫煙でも消費され、タバコ1本で体内のビタミンCが25mgも消費されると言われています。

鉄分の不足に要注意

鉄はもっとも不足しやすいミネラルの一つで、月経のある女性では特に不足しがちで、日本人女性の4割が鉄不足という状態です。

鉄不足の症状

鉄の不足によって、頭痛、顔色が悪い、疲労感、イライラ、意欲低下などの症状が出現します。

鉄の最大の役割は、赤血球中のヘモグロビンというタンパク質の成分となって、酸素を全身に運ぶのを助けています。

また、肝臓は体外から入ってきた毒物を解毒する働きがあり、そのときP-450という酵素が活躍しますが、P-450も鉄を多く含んでいます。

このように鉄不足は体のエネルギー不足と解毒がすすまないことから、自律神経の乱れや体調不良を引き起こすのです。

食べ物に含まれる鉄分には、大きく分けてヘム鉄とノンヘム鉄の2種類があります。

ヘム鉄は肉や魚、卵などの動物性の食物に多く、吸収率も約30%もありいいとされています。

ノンヘム鉄のは野菜に多く含まれますが、ノンヘム鉄の吸収は一緒に食べた食べものの影響を受けやすく、吸収率は数%とかなり少なくなる場合もあります。

鉄の摂取を補う食物

ヘム鉄は赤身の肉やレバー、サンマ、カツオ、マグロといった赤身の魚や、血合いの部分に多く含まれています。赤身の肉や魚を多く食べるといいでしょう。

野菜の中では、パセリ、豆類、かぼちゃの種などに多く含まれていますが、前述した吸収されにくいノンヘム鉄です。

ただし、ノンヘム鉄はビタミンCやクエン酸と摂取することで吸収率が上がるため、オレンジジュースなどビタミンCやクエン酸を多く含む食物と一緒に食べると良いでしょう。

亜鉛不足に要注意

亜鉛は全ての細胞にあり、100種類以上の酵素の化学反応に関与しています。

それだけ重要な亜鉛ですが、不足しやすいため身体的、精神的にもっとも頻繁に影響を及ぼします。

亜鉛が不足する理由

現代の食事では、高度に精製された減量を使用して作られたインスタント食品、白パン、菓子パン、ケーキ、砂糖などを摂取する機会と摂取量がふえています。

原料を高度に精製する課程で、亜鉛などの微量栄養素が取り除かれてしまいます。

さらに、亜鉛と結合し、不溶化することで腸管からの吸収を妨げているフェチン酸という物質があります。フェチン酸はパンやインスタント食品に大量に含まれているのです。

亜鉛の重要性

神経細胞や、伝達物質や性ホルモンなどをつくる化学反応に亜鉛は欠かせません。

そのため、亜鉛が不足すると、脳の発育、性的な発達に影響がでるだけでなく、食思不振、味覚異常、嗅覚異常、イライラ、疲労感、集中困難、抑うつ気分などの症状も出現します。

亜鉛の摂取を補う食物

亜鉛はナッツ類、穀物の種子、肉類や魚介類に豊富に含まれます。特にカキには100g(約カキ1個)あたり13mgの亜鉛が含まれています。

タウリンの働き

GABA(ギャバ)と性質が似ていて、脳の興奮やイライラを抑えてくれるのがタウリンです。タウリンはアミノ酸の一つで、人の体内でも作られるため、必須アミノ酸(体内で作れないアミノ酸)には分類されていません。しかし、体内では必要としている量の10%も作ることができないため、結局食べ物から摂取しなければなりません。

タウリンはコレステロール値を低下させ、心疾患のリスクを軽減し、高血圧を抑え、脳の過剰な興奮を抑える働きがあります。

タウリンは体内ではシステインやメチオニンといった含硫アミノ酸から作られますが、この時に重要な働きをするのはビタミンB6です。そのため、ビタミンB6不足はそのままタウリン不足に繋がります。

ビタミンB6含有量の多い、肉類、魚介類、納豆、キャベツ、バナナ、酵母などに多く含まれます。

タウリンは、サザエ、イカ、カキ、マグロ、カニ、タイ、タコ、イワシなどの魚介類に多く含まれます

タウリンは熱では壊れず、水に良く溶けるため、魚介類の鍋物の汁から効率よく摂取できます。

抗うつ作用のあるメチオニン

必須アミノ酸の1つであるメチオニンには、気分を高める効果があるといわれています。

メチオニンはビタミンB12の作用により、ATPというエネルギー物質と結合し、S-アデノシルメチオニンという物質に変化します。

アメリカではS-アデノシルメチオニンは抗うつサプリメントとして販売されており、ベストセラー商品になっています。

S-アデノシルメチオニンを内服すると脳内でのセロトニンレベルが高まることが確認されています。

メチオニンとビタミンB12の豊富な食べ物を食べることで、脳内でS-アデノシルメチオニンは作られるのです。

メチオニンを多く含んだ食べ物

大豆、ごま、ヒマワリの種、カシューナッツ、シラス干し、カツオ節、マグロ、ヒラメ、キンメダイなどの魚介類です。

ビタミンB12は、肉類(特にレバーと腎臓)、魚介類(アンコウの肝、スジコ、タラコ、カズノコ、アサリ、カキ、ハマグリ、シジミなど)、鶏卵、乳製品に多く含まれます。

特にシジミの味噌汁にはビタミンB12が多く含まれておりおすすめです。

【SSRI】抗うつ薬をやめられない【離脱症状】

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)としては日本初のお薬であるルボックス®、デプロメール®(フルボキサミンマレイン酸)が1999年に承認され、それ以降、パキシル®(パロキセチン)、ジェイゾロフト®(セルトラリン)、レクサプロ®(エスシタロプラム)と使用できるSSRIの選択肢が増えています。

現在SSRIはうつ病、パニック障害、社交不安障害、強迫性障害などの疾患に対して幅広く用いられています。

SSRIを他の薬に切り替える場合や、漸減中止をしようとした際に、睡眠障害やふらつきなどの離脱症状が出現することがあります。

抗うつ薬の離脱症状について

SSRIよりも以前から使用されていた三環系抗うつ薬においては離脱症状が出現することが知られており、問題とされてきましたが、SSRIの減量・中止の際にも離脱症状が出現することがあります。

離脱症状の主な症状

主な症状には、ふらふらする感じ、めまいや失神するような感じ、感覚異常、不安、下痢、倦怠感、運動失調、頭痛、不眠、イライラ、嘔気、振戦などがあります。

離脱症状はSSRIを1ヶ月またはそれ以上内服した方において、SSRIの中止あるいは減量後3日以内に出現することが多く、場合によっては数週間持続することがあります。

SSRIの中でも離脱の出やすさに差があり、パキシル(パロキセチン)は他のSSRIよりも離脱症状の頻度が多いという報告があります。

パキシル(パロキセチン)が離脱症状が出やすい理由

1)薬物動態的特徴によるもの

パキシルの薬物動態学的特徴が関係しています。

パキシルは他のSSRIと違い活性代謝物をもたず、また、血中濃度が内服用量増加に伴い非線形の上昇を示します。

そのため、中断や減量の際に、他のSSRIよりも血中濃度が急激に低下することが推測されます。

2)セロトニン選択制の高さによるもの

パキシルのセロトニン選択性の高さが関係しています。

長期間のSSRI内服により、後シナプスにおけるセロトニン受容体の脱感作が生じるため、SSRIの急激な中断や減量によりシナプス間隙でのセロトニン欠乏をきたした際に離脱症状が出現しやすいと推測されます。

また、前シナプスにおける自己受容体であるセロトニン1A受容体の脱感作が生じているために、セロトニン神経の活動亢進が起きにくいという報告もあります。

離脱症状の判断

実際の臨床では、離脱症状であることが正確に判断されることが重要です。

SSRIを中止した際に、抑うつ症状や不安症状の再燃なのか、薬剤切り替えを行った場合は新しい薬剤の副作用なのか、離脱症状なのかを判断する必要があります。

SSRI離脱症候群の診断基準

A)少なくとも1ヶ月間の使用期間後におけるSSRIの中断なるいは減量がなされている。

B)中断あるいは減量後の1~7日以内に出現する以下の症状が2つ以上

1)ふらつき、ふらふらする感じ、めまいまたは失神する感じ

2)嘔気、嘔吐

3)頭痛

4)振戦

5)倦怠感

6)不安

7)ショック様の感覚または感覚異常

8)不眠

9)焦燥感

10)下痢

11)不安定歩行

12)視覚障害

C)上記の症状が、臨床的に著しい苦痛、または社会的、職業的、または重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

これらの症状が一般身体疾患によるものではなく、SSRIが処方された精神障害の再燃、もしくは同時に行った他の精神活性を持つ物質の中断あるいは減量ではうまく説明されない場合。

離脱症状への対処法

離脱症状が出現した場合、もっとも安易な対処法は中止・減量した薬剤を再開することです。

この場合速やかな症状改善がきたいできますが、再び減量を行った場合には、同様の症状が出現する可能性が高いので、減量中止の仕方に中止が必要です。

離脱症状への具体的な対策としては、減量する薬剤量と減量する間隔を長くするという方法があります。

特に少量になればなるほど離脱症状が出現しやすく、やめる時が最も出現しやすいと言われています。

そのため、パキシルを1日40㎎内服している場合は、2週間以上あけて5~10㎎/日づつ減量し、10~20㎎/日以下に減量する場合は、2.5㎎~5㎎/日で減量していくことで離脱症状を軽減できる可能性があります。

但し、それでもうまくいかない場合は離脱症状の出現しにくいレクサプロ(エスシタロプラム)に一旦置換してレクサプロで減量中止していくとうまくいくことがあります。

メラトニンは睡眠障害に有効か?!【概日リズム睡眠障害】

メラトニンの様々な病気への作用や、老化防止効果に関しては多くの報告があります。

米国においては、メラトニンはFDAによる規制を受けないので、健康補助食品としてお店で購入できます。

つまり、医薬品として正式に認可されておらず、もっとしっかり効果や副作用の検討をしてほしいとの声もみられます。

では、実際メラトニンは睡眠障害に有効なのでしょうか。

メラトニンとは

メラトニンとは松果体で産生されるホルモンで、その分泌パターンには日内変動がみられます。

内因性計時機構の制御を受けており、その血中濃度は夜間にピークに達し、光を浴びることで分泌が抑制されます。

それゆえメラトニンは”darkness hormone”と呼ばれます。

1980年代にメラトニンがげっ歯類の内因性生物リズムを同調する作用が報告されたことから研究が進み、高齢者の不眠に対しての治療効果や、メラトニンは概日リズム睡眠障害に対する治療応用が期待されるようになりました。

高齢者の不眠に対するメラトニン治療

高齢者の不眠に対するメラトニンの効果に関しては、2㎎のメラトニン投与により睡眠潜時(就床時間から睡眠開始までの時間)が短縮したという報告があります。

また、就寝後の総睡眠時間の延長、入眠後の覚醒時間の減少などの睡眠効率が上昇したとの報告もあります。

 

メラトニンが効果が期待できる可能性のある疾患

メラトニン概日リズム睡眠障害に対する効果に関しても報告があります。

睡眠位相後退症候群の方に2㎎のメラトニン投与により、平均115分程度の入眠時刻の前進がみられたとのことです。

睡眠位相後退症候群や時間帯域変化症候群、交代勤務睡眠症候群、非24時間型睡眠覚醒症候群などの概日リズム睡眠障害への効果が期待できます。

メラトニン内服での注意点

1970年代の報告になりますが、経口で1日1,100~1,600mgのメラトニンをうつ病患者に投与した場合に、気分障害、睡眠障害、体重減少などのうつ症状の増悪及び、精神症状の出現の報告があり、大量使用には注意が必要で、使用する場合は0.5~6㎎程度にとどめておいた方がよさそうです。

まとめ

概日リズム睡眠障害や高齢者の不眠に対して、0.5~5㎎のメラトニンが有効であるという報告が見られており、有効性が期待できます。

しかし、大量投与によるうつ症状、精神症状の悪化の可能性があり、使用する際は少量使用が望ましいようです。