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【安定剤】ソラナックス®、コンスタン®/アルプラゾラムとはどんな薬?【抗不安薬】

ソラナックス®、コンスタン®/アルプラゾラムを処方された方へ

一般名

アルプラゾラム alprazolam

製品名

ソラナックス、コンスタン

剤型

錠剤 0.4mg、0.8mg

後発品

アルプラゾラム

適応

心身症(胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、自律神経失調症)における身体症候・不安・緊張・抑うつ、睡眠障害

用法・用量

成人では1日1.2㎎を3回に分けて内服します。

1日最高2.4㎎までで使用します。

高齢者では1回0.4㎎から開始し、最高1日1.2㎎までで使用します。

禁忌

急性狭隅角緑内障、重症筋無力症

半減期

6~20時間

ソラナックス®、コンスタン®/アルプラゾラムの特徴

ソラナックス®、コンスタン®/アルプラゾラムはベンゾジアゼピン系抗不安薬に分類される、いわゆる安定剤です。

最高血中濃度は2時間後であり、作用発現速度は中等度です。

薬物代謝酵素はCYP3A4が関与しています。

血中半減期は6~20時間であり、作用時間は中間型に分類されます。

抗不安作用の力としては強い方の抗力価に分類されます。

アルプラゾラムは他のベンゾジアゼピン系と比べ、抗うつ作用の報告があります。

パニック障害での不安発作や予期不安への有効性が確立されています。

薬理作用として、馴化鎮静作用、抗痙攣作用は強力です。

筋弛緩作用は中等度です。

社会恐怖の動悸、口渇、振戦等の自律神経症状に対しての効果が期待できます。

全般性不安障害に対しては、高力価短時間作用型であるがゆえに、依存を生じやすくなることと、服薬間に起きる反跳性不安のリスクもあり、第一選択とはなりにくいでしょう。

ソラナックス®、コンスタン®/アルプラゾラムの作用機序

抑制性のGABAニューロンのシナプス後膜のベンゾジアゼピン受容体に作動薬として高い親和性で結合し、GABA親和性が増大し、GABA結合量の増加、Clイオンチャンネルの開口を促進します。

通常細胞膜の内側はマイナスに、外側はプラスに荷電しています。

この状態で細胞内に陽イオンが流入すると脱分極が生じ活動電位が発生することで神経は興奮します。

一方で、GABAがGABAA受容体に結合することでClイオンが細胞膜の内側に流入すると過分極になり、細胞膜は興奮しにくくなります。

この機序によってGABAニューロンの作用を特異的に増強して、作用を発現すると考えられています。

視床下部・扁桃核を含む大脳辺縁系に対する、抑制作用が主な作用機序となります。

ソラナックス®、コンスタン®/アルプラゾラムの有効率

パニック障害での不安発作や予期不安への有効性、社会恐怖の動悸、口渇、振戦等の自律神経症状に対しての有効性が見られます。

心身症および自律神経失調症に伴う不安・緊張・睡眠障害は80%以上、抑うつ症状には77%の有効率を示しています。

適応症別では、胃十二指腸潰瘍、自律神経失調症で70%、過敏性大腸炎では57%の有効率を示しています。

ソラナックス®、コンスタン®/アルプラゾラムの副作用

眠気が約10%、めまい、ふらつき、脱力・倦怠感は約6%、口渇、悪心、嘔吐は約1%ほどの報告があります。

まとめ

ソラナックス®、コンスタン®/アルプラゾラムはベンゾジアゼピン系抗不安薬で効果が強く、不安症状によく効きます。

しかし、その反面長期使用での依存に注意が必要であることと、短時間作用型であるため、お薬が切れる感じの反跳性の不安の出現に注意する必要があります。

【安定剤】セルシン®、ホリゾン®/ジアゼパムとはどんな薬?【抗不安薬】

セルシン®、ホリゾン®/ジアゼパムを処方された方へ

一般名

ジアゼパム diazepam

製品名

セルシン、ホリゾン

剤型

セルシン 散1%、錠剤 2mg、5mg、10mg、シロップ0.1%(1mg/ml)

ホリゾン 散1%、錠剤 2mg、5mg

後発品

ジアゼパム、ジアパックス

適応

①神経症における不安、緊張、抑うつ

②うつ病における不安・緊張

③心身症(消化器疾患、循環器疾患、自律神経失調症、更年期障害、腰痛症、頸肩腕症候群)における身体症候・不安・緊張・抑うつ

④脳脊髄疾患に伴う筋痙攣・疼痛における筋緊張の軽減

⑤麻酔前投薬

用法・用量

成人では、1日2~5㎎を1日2~4回、外来では原則1日15㎎以内で使用します。

麻酔前投薬では、1日5~10㎎を就寝前・手術前に使用します。

禁忌

急性狭隅角緑内障、重症筋無力症

半減期

30 ~100時間

セルシン®、ホリゾン®/ジアゼパムの特徴

不安の治療において、1940年代は抱水クロラールやエタノールが用いられ、1950年代はバルビツレートが用いられていました。

1960年代にベンゾジアゼピンが登場し、ジアゼパムもその代表的なベンゾジアゼピン系の薬物です。

ベンゾジアゼピン系薬剤は、それまで使用されてきた鎮静・催眠薬と同様に、少量では抗不安作用を発揮し、大量では鎮静・催眠作用を発揮しますが、耐性や依存性を起こす傾向が少なくなっています。

セルシン®、ホリゾン®/ジアゼパムの薬理作用

ジアゼパムはベンゾジアゼピン系の薬剤の中でも非常に早く吸収され、最高血中濃度は経口内服後約1時間以内であり、作用発現速度は速いです。

デスメチルジアゼパムという長期的活性代謝物を持つため、血中半減期は30~100時間で、排泄半減期は30時間以上あります。

そのため、、1回の投与では分布時間が速い(分布半減期は約2.5時間)ため、比較的短時間の作用ですが、慢性的に使用していると、排泄半減期が長いために長時間作用するようになり、体に蓄積しやすい薬物です。

タイプとしては、低力価長時間作用型に分類されます。

薬物代謝酵素はCYP2C19、CYP3A4が関与しています。

抗不安作用としては中等度です。

馴化鎮静作用、筋弛緩作用、抗痙攣作用をもっています。

セルシン®、ホリゾン®/ジアゼパムの作用機序

作用機序は、抑制性のGABAニューロンのシナプス後膜のベンゾジアゼピン受容体に作動薬として高い親和性で結合し、GABA親和性が増大し、GABA結合量の増加、Clイオンチャンネルの開口を促進します。

通常細胞膜の内側はマイナスに、外側はプラスに荷電しています。

この状態で細胞内に陽イオンが流入すると脱分極が生じ活動電位が発生することで神経は興奮します。

一方で、GABAがGABAA受容体に結合することでClイオンが細胞膜の内側に流入すると過分極になり、細胞膜は興奮しにくくなります。

この機序によってGABAニューロンの作用を特異的に増強して、作用を発現すると考えられています。

動物実験では、拘束ストレス負荷時の視床下部、扁桃核、青斑核、海馬、大脳皮質におけるノルアドレナリン放出を抑制し、電気ショックによる恐怖条件付けにおける扁桃核のセロトニン放出を抑制することが分かっています。

また、心理的ストレス負荷時の内側前頭前野におけるドパミン放出を抑制することも分かっています。

セルシン®、ホリゾン®/ジアゼパムの有効率

ジアゼパムは不安、緊張、抑うつ状態、睡眠障害の改善に優れています。

アルコール離脱による不安、興奮、不眠、自律神経症状を和らげるため、アルコール依存症の治療過程で使用されることも多い薬物です。

アルコール離脱時に出現する、振戦せん妄の予防、鎮静に効果があります。

もちろん他のベンゾジアゼピンでも作用機序は同じなので問題ありません。

肝機能障害のない場合は長時間作用型のジアゼパムやコントール®、バランス®(クロルジアゼポキシド)が使用されることが多く、肝機能障害のある場合には、グルクロン酸抱合によって代謝され、活性代謝物のないワイパックス®(ロラゼパム)が使用されることが多いです。

躁状態や精神運動興奮に対する鎮静にも有効です。

緊張病症状にも有効です。

慢性的に持続している精神病症状に対しても、関連した不安を軽減したり、アカシジアの減少させる効果を持っています。

低力価であるため、高力価のベンゾジアゼピン系に比較すると依存性を形成しにくいと考えられます。

セルシン®、ホリゾン®/ジアゼパムの副作用

眠気、めまい、ふらつき、脱力、倦怠感が約6%、口渇、悪心、嘔吐が約1%ほどの報告があります。

まとめ

セルシン®、ホリゾン®/ジアゼパムは抗不安作用、鎮静作用に優れ、効果の持続時間が長いため、血中濃度の変化による影響を受けにくく、継続的な効果をえられやすいお薬ですが、蓄積による過鎮静に気を付けておきましょう。

また、中止時の反跳性不眠や離脱症状は起きにくく、他のベンゾジアゼピン系薬剤と比べると依存のリスクはやや少なめなお薬と考えていいでしょう。

【安定剤】デパス®/エチゾラムとはどんな薬【抗不安薬】

デパス®/エチゾラムを処方された方へ

一般名

エチゾラム etizolam

製品名

デパス

剤型

細粒 1%(10mg/g)

錠剤 0.25mg、0.5mg、1mg

後発品

エチゾラム、デゾラム

細粒 1%(10mg/g)、錠剤0.25mg、0.5mg、1mg

適応

①神経症における不安・緊張・抑うつ・神経衰弱症状・睡眠障害

②うつ病における不安・緊張・睡眠障害

③心身症(高血圧症、胃十二指腸潰瘍)における身体症候・ならびに不安・緊張・抑うつ・睡眠障害

④統合失調症における睡眠障害

⑤頚椎症、腰椎症、筋収縮性頭痛における不安・緊張・抑うつおよび筋緊張

用法・用量

①神経症、うつ病には1日3mg、1日3回に分けて内服

②心身症、頚椎症、腰椎症、筋収縮性頭痛には1日1.5mg、1日3回に分けて内服

③睡眠障害には1日1回1~3mg、就寝前に内服

いずれも高齢者には1日1.5mgまで

禁忌

急性狭隅角緑内障、重症筋無力症

半減期

約6時間

デパス®/エチゾラムの特徴

ベンゾジアゼピン系抗不安薬に分類される、いわゆる安定剤です。

最高血中濃度は約3時間後であり、作用発現速度は中等度です。

血中半減期は約6時間で、作用時間は短時間作用型に分類されます。

抗不安作用の力としては強い方の高力価に分類されます。

不安、緊張、興奮に対して強い効果を持っています。

抗不安作用、静穏作用は強力で、筋弛緩作用は中等度、抗痙攣作用は弱めです。

デパス®/エチゾラムの薬理作用

作用機序は、抑制性のGABAニューロンのシナプス後膜のベンゾジアゼピン受容体に、作動薬として高い親和性で結合し、GABA親和性増大によりGABAニューロンの作用を特異的に増強するものと考えられます。

デパス®/エチゾラムの有効率

神経症、うつ病、心身症の約50~60%に有効という報告があります。

抗うつ効果は、抑うつ神経症に対しては奏功しますが、うつ病の中核症状にはあまり効果が期待できず、抗うつ薬を選択した方がいい場合もあります。

デパス®/エチゾラムの副作用

眠気、ふらつき、疲労感などの報告があります。

まとめ

デパス®/エチゾラムは効果が強く、不安症状によく効きます。

効果が強く、不安症状によく効く半面、依存に注意が必要であることと、短時間作用型であるため、お薬が切れる感じの反跳性の不安の出現に注意する必要があります。

【安定剤】リーゼ®/クロチアゼパムとはどんな薬【抗不安薬】

リーゼ®/クロチアゼパムを処方された方へ

一般名

クロチアゼパム clotiazepam

製品名

リーゼ

剤型

顆粒 10%、錠剤 5mg、10mg

後発品

クロチアゼパム 顆粒 10%、錠剤 5mg、10mg

適応

①心身症(消化器疾患、循環器疾患)における身体症候ならびに不安・緊張・心気・抑うつ・睡眠障害

②麻酔前投薬

③自律神経失調症におけるめまい・肩こり・食欲不振

用法・用量

1日15~30mg、1日3回に分けて内服

麻酔前投薬には就寝前または手術前10~15mg

禁忌

急性狭隅角緑内障、重症筋無力症

半減期

6~18時間

リーゼ®/クロチアゼパムの特徴

ベンゾジアゼピン系抗不安薬に分類される、いわゆる安定剤です。

最高血中濃度は1~3時間程であり、作用発現速度は中等度です。

血中半減期は6~18時間で、作用時間は短時間作用型に分類されます。

抗不安作用の力としては弱めの低力価に分類されます。

抗不安作用だけでなく、静穏作用、催眠作用、筋弛緩作用、抗痙攣作用も比較的弱めです。

リーゼ®/クロチアゼパムの薬理作用

作用機序は、抑制性のGABAニューロンのシナプス後膜のベンゾジアゼピン受容体に、作動薬として高い親和性で結合し、GABA親和性増大によりGABAニューロンの作用を特異的に増強するものと考えられます。

リーゼ®/クロチアゼパムの有効率

頭痛、めまい、耳鳴り等の不定愁訴を認める高齢者の方への有効性が報告されています。

その有効率は頭痛・頭重感で58.8%、めまいで50%、しびれ感で80%、動悸で75%となっています。

抗不安作用も認められています。

リーゼ®/クロチアゼパムの副作用

眠気が約30%、ふらつき約8%、疲労感は約6%ほどの報告があります。

まとめ

リーゼ®/クロチアゼパムは他のベンゾジアゼピンに比べて効果は弱めですが、不安や自律神経系の症状の改善にはしっかり有効性が認められています。

効果が強すぎず、ふらつきや傾眠の副作用が少ないため、高齢者に処方されることもあり、忍容性、安全性は高いお薬です。

【安定剤】セパゾン®/クロキサゾラムとはどんな薬【抗不安薬】

セパゾン®/クロキサゾラムを処方された方へ

一般名

クロキサゾラム cloxazolam

製品名

セパゾン

剤型

錠剤 1mg、2mg

散 1%

適応

①神経症における不安・緊張・抑うつ・強迫・恐怖・睡眠障害

②心身症(消化器疾患、循環器疾患、更年期障害、内分泌障害、自律神経失調症)における身体症候・不安・緊張・抑うつ

③術前の不安除去

用法・用量

①1日3~12mg (1日3回に分ける)

②術前の不安除去には手術前に0.1~0.2mg/kg

禁忌

急性狭隅角緑内障、重症筋無力症

半減期

約24時間

セパゾン®/クロキサゾラムの特徴

ベンゾジアゼピン系抗不安薬に分類される、いわゆる安定剤です。

血中半減期は24時間以上で、長時間作用型です。

抗不安作用は強力で、静穏作用は中等度、鎮静作用および筋弛緩作用は弱いです。

パニック発作のような強度の不安にも有効です。

セパゾン®/クロキサゾラムの薬理作用

扁桃核-視床下部-中心灰白質に作用すると考えられています。

セパゾン®/クロキサゾラムの有効率

不安神経症では約90%、強迫神経症で約85%、抑うつ反応で約85%、心身症で約75%の有効率が報告されています。

神経症群、心身症群では、内服開始後1~2週間までに、有効例の90%以上に方に効果がみられ、効果の発現は速やかです。

セパゾン®/クロキサゾラムの副作用

眠気が約6%、ふらつきが約4%、倦怠感が約1%の報告があります。

アルコールとの併用で相互に作用が増強しますので、併用はやめましょう。

まとめ

セパゾン®/クロキサゾラムは効果が強く、不安症状によく効きます。

しかし、漫然と使用することによる耐性形成と依存には注意が必要です。

【安定剤】グランダキシン®/トフィソパムとはどんな薬【抗不安薬】

グランダキシン®/トフィソパムを処方された方へ

一般名

トフィソパム tofisopam

製品名

グランダキシン

剤型

錠剤 50mg

後発品

グランパム、トフィソパム、バイダキシン 錠剤50mg、

適応

自律神経失調症、頭部・頸部損傷、更年期障害・卵巣欠落症状における頭痛・頭重、倦怠感、心悸亢進、発汗等の自律神経症状

用法・用量

1回50mg、1日3回

半減期

1時間未満で12時間後には血中からほぼ消失します。

グランダキシン®/トフィソパムの特徴

ベンゾジアゼピン系抗不安薬に分類される、いわゆる安定剤です。

他のベンゾピアゼピン系薬物と違い、抗コリン作用が弱く、筋弛緩作用も弱いため、急性狭隅角緑内障と重症筋無力症へは禁忌ではありません。(慎重投与になります。)

最高血中濃度は1時間後であり、作用発現速度は中等度です。

血中半減期は1時間未満で、12時間後には血中からほぼ消失し、短時間作用型に分類されます。

グランダキシン®/トフィソパムの薬理作用

自律神経系の緊張不均衡改善作用を有しており、刺激による反応である血管収縮や瞳孔系増大や、ストレス負荷時にみられる交感・副交感神経間の緊張不均衡を改善させます。

鎮静作用、抗不安作用、筋弛緩作用、睡眠増強作用はほとんどありません。

グランダキシン®/トフィソパムの有効率

自律神経失調症、頭部・頸部損傷、更年期障害では約60~70%、卵巣欠落症状では45%の有効率が報告されています。

グランダキシン®/トフィソパムの副作用

眠気・ふらつき、口渇、悪心・嘔吐、脱力・倦怠感等の報告がありますが、約1%とかなり少ないです。

またグランダキシンに限らず、ベンゾジアゼピン系薬物において、脳器質障害のある方では作用が強くでたり、呼吸不全のある方では呼吸機能が低下することがあり注意が必要です。

アルコールとの併用で相互に作用が増強し、併用しないようにしましょう。

まとめ

グランダキシン®/トフィソパムは効果は比較的弱めですが、副作用も少ないため、お薬に過敏な方、副作用が気になる方には使いやすいお薬です。

効果が弱いため、他のベンゾジアゼピン系薬剤と比べると依存のリスクも低めで、中止するときの反跳性不安も少なめと考えていいでしょう。

【安定剤】ワイパックス®/ロラゼパムとはどんな薬【抗不安薬】

ワイパックス/ロラゼパム を処方された方へ

一般名

ロラゼパム lorazepam

製品名

ワイパックス

剤型

錠剤 0.5mg、1mg

後発品

ロラゼパム 錠剤 0.5mg、1mg

適応

①神経症における不安・緊張・抑うつ

②心身症(高血圧症、消化器疾患、自律神経失調症)における身体症候・不安・緊張・抑うつ

用法・用量

1日1~3mg(1日2回~3回に分けて)

禁忌

急性狭隅角緑内障、重症筋無力症

半減期

10~20時間

ワイパックス®/ロラゼパムの特徴

ベンゾジアゼピン系抗不安薬に分類される、いわゆる安定剤です。

最高血中濃度は約2時間後であり、作用発現速度は中等度です。

血中半減期は10~20時間で、作用時間は短時間(中間型)に分類されます。

抗不安作用の力としては強い方の高力価に分類され、高力価短時間作用型です。

排泄半減期は約10時間と短めですが、分布蓄積量が少ないため、1回の投与で長く作用します。

緊急時、例えば不安時や不穏時の屯用での内服利用でも長めに効果が持続します。

反復投与をしても高濃度に達しないという特徴を持っています。

肝臓ミクロソーム酵素での代謝がなく、グルクロン酸抱合されるので、活性代謝物はないため、加齢や肝障害の影響をあまり受けません。

強力な抗不安作用をもち、鎮静作用、筋弛緩作用、抗痙攣作用も中等度有しています、

そのため、躁病や精神病による興奮状態に対する鎮静にも効果的です。

ワイパックス®/ロラゼパムの薬理作用

作用機序は、抑制性のGABAニューロンのシナプス後膜のベンゾジアゼピン受容体に、作動薬として高い親和性で結合し、GABA親和性増大によりGABAニューロンの作用を特異的に増強するものと考えられます。

ワイパックス®/ロラゼパムの有効率

神経症、自律神経失調症、心臓神経症に約50~60%の有効率が報告されています。

ワイパックス®/ロラゼパムの副作用

副作用は約11%で、眠気、めまい、ふらつき、頭重感、口渇、悪心・嘔吐が出現するとの報告がありますが少なめです。

まとめ

ワイパックス®/ロラゼパムは安定剤としての効果は強く、不安症状によく効きます。

鎮静効果も期待できます。

また、加齢や肝障害の影響を受けにくいため、高齢者や肝機能障害がある方にも調整しやすいお薬です。

その反面、依存に注意が必要であることと、お薬が切れる時にでる反跳性の不安の出現に注意する必要があります。

【安定剤】メイラックス®/ロフラゼプ酸エチルとはどんな薬【抗不安薬】

メイラックス®/ロフラゼプ酸エチルを処方された方へ

一般名

ロフラゼプ酸エチル ethyl loflazepate

製品名

メイラックス

剤型

錠剤 1mg、2mg

後発品

ジメトックス、ロフラゼプ酸エチル 錠剤:1mg、2mg、細粒1%

適応

①神経症における不安・緊張・抑うつ・睡眠障害

②心身症(胃・十二指腸潰瘍、慢性胃炎、過敏性腸症候群、自律神経失調症)における不安・緊張・抑うつ・睡眠障害

用法・用量

1日2mg (1日1~2回)

禁忌

急性狭隅角緑内障、重症筋無力症

半減期

約60~300時間

メイラックス®/ロフラゼプ酸エチルの特徴

ベンゾジアゼピン系抗不安薬に分類される、いわゆる安定剤です。

最高血中濃度は1~2時間後であり、作用発現速度は中等度です。

血中半減期は60~300時間で、超長時間作用型ですので、1日1回の内服で効果が持続します。

連続で内服した場合、1~3週間で定常状態になり、蓄積性は認められません。

お薬がきれる時の反跳性の不安や離脱作用が起きにくい安定剤です。

他の抗力価短時間作用型のベンゾジアゼピン系をなかなか減薬できない時に、一旦メイラックスに置換して、減薬していく方法もあります。

メイラックス®/ロフラゼプ酸エチルの薬理作用

抗不安作用は中等度で、抗痙攣作用は強いです。

鎮静作用や意識水準低下作用、筋弛緩作用は弱いです。

経口内服後、速やかに吸収され、消化管通過時や肝臓による初回通過効果を受けて、活性代謝物となり、その後持続性代謝物に変化し、効果が持続します。

メイラックス®/ロフラゼプ酸エチルの有効率

神経症で約60%、心身症で約70%(胃十二指腸潰瘍で約90%、慢性胃炎で約75%、過敏性大腸炎で約70%、自律神経失調症で約65%)の有効率が報告されています。

メイラックス®/ロフラゼプ酸エチルの副作用

眠気が約10%、めまいが1%、ふらつき1%ほどの報告があります。

長期投与継続中に、減少し消失することが多いです。

アルコールとの併用で相互に作用が増強しますので、併用はやめましょう。

まとめ

メイラックス/ロフラゼプ酸エチルは抗不安作用としての効果は中等度あり、効果の持続時間が長いため、1日1回の投与で継続的な効果を得られます。

また、中止時の反跳性不眠や離脱症状も起きにくく、他のベンゾジアゼピン系薬剤と比べると依存のリスクの少ないお薬と考えていいでしょう。

【安定剤】レキソタン®、セニラン®/ブロマゼパムとはどんな薬【抗不安薬】

レキソタン®、セニラン®/ブロマゼパムを処方された方へ

一般名

ブロマゼパム bromazepam

製品名

レキソタン®、セニラン®

剤型

レキソタン 細粒1%、錠剤 1mg、2mg、5mg

セニラン 坐剤3mg

後発品

セニラン 細粒1%、錠剤1mg、2mg、3mg、5mg、

適応

①神経症における不安・緊張・抑うつ・強迫・恐怖

②うつ病における不安・緊張

③心身症(高血圧症、消化器疾患、自律神経失調症)における身体症候・不安・緊張・抑うつ・睡眠障害

④麻酔前投薬

用法・用量

①神経症、うつ病には1日6~15mg(1日2回~3回に分けて)

②心身症には1日3~6mg(1日2回~3回に分けて)

③麻酔前投薬には就寝前・手術前に5mg

禁忌

急性狭隅角緑内障、重症筋無力症

半減期

6~20時間

レキソタン®、セニラン®/ブロマゼパムの特徴

ベンゾジアゼピン系抗不安薬に分類される、いわゆる安定剤です。

最高血中濃度は1時間後であり、作用発現速度は中等度です。

血中半減期は6~20時間で、作用時間は短時間(中間型)に分類されます。

抗不安作用の力としては強い方の高力価に分類されます。

抗不安作用、静穏作用は強力で、催眠作用、筋弛緩作用、抗痙攣作用も強力です。

他のベンゾジアゼピン系抗不安薬に比べて気分が落ち着く、集中できる、気分が大きくなるといったmood elevating effect、beneficial effectが見られています。

レキソタン®、セニラン®/ブロマゼパムの薬理作用

作用機序は、抑制性のGABAニューロンのシナプス後膜のベンゾジアゼピン受容体に、作動薬として高い親和性で結合し、GABA親和性増大によりGABAニューロンの作用を特異的に増強するものと考えられます。

アルプラゾラムの有効率

神経症、うつ病、心身症の約50~60%に有効という報告があります。

強迫や恐怖症状に有効である報告も多く、パニック発作のような強度の不安にも効果的です。

身体合併症のある方、例えば臓器障害をきたしているような著名な高血圧や重症不整脈を合併されている方の情動ストレス軽減や、不眠に対しても使用されます。

アルプラゾラムの副作用

眠気が約15%、ふらつき約8%、疲労感は約6%ほどの報告があります。

まとめ

レキソタン、セニラン/ブロマゼパムは効果が強く、強迫性不安や、パニック性の不安をはじめ、不安症状によく効きます。

その反面、依存に注意が必要であることと、お薬が切れる時にでる反跳性の不安の出現に注意する必要があります。