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【安定剤】セパゾン®/クロキサゾラムとはどんな薬【抗不安薬】

セパゾン®/クロキサゾラムを処方された方へ

一般名

クロキサゾラム cloxazolam

製品名

セパゾン

剤型

錠剤 1mg、2mg

散 1%

適応

①神経症における不安・緊張・抑うつ・強迫・恐怖・睡眠障害

②心身症(消化器疾患、循環器疾患、更年期障害、内分泌障害、自律神経失調症)における身体症候・不安・緊張・抑うつ

③術前の不安除去

用法・用量

①1日3~12mg (1日3回に分ける)

②術前の不安除去には手術前に0.1~0.2mg/kg

禁忌

急性狭隅角緑内障、重症筋無力症

半減期

約24時間

セパゾン®/クロキサゾラムの特徴

ベンゾジアゼピン系抗不安薬に分類される、いわゆる安定剤です。

血中半減期は24時間以上で、長時間作用型です。

抗不安作用は強力で、静穏作用は中等度、鎮静作用および筋弛緩作用は弱いです。

パニック発作のような強度の不安にも有効です。

セパゾン®/クロキサゾラムの薬理作用

扁桃核-視床下部-中心灰白質に作用すると考えられています。

セパゾン®/クロキサゾラムの有効率

不安神経症では約90%、強迫神経症で約85%、抑うつ反応で約85%、心身症で約75%の有効率が報告されています。

神経症群、心身症群では、内服開始後1~2週間までに、有効例の90%以上に方に効果がみられ、効果の発現は速やかです。

セパゾン®/クロキサゾラムの副作用

眠気が約6%、ふらつきが約4%、倦怠感が約1%の報告があります。

アルコールとの併用で相互に作用が増強しますので、併用はやめましょう。

まとめ

セパゾン®/クロキサゾラムは効果が強く、不安症状によく効きます。

しかし、漫然と使用することによる耐性形成と依存には注意が必要です。

【安定剤】グランダキシン®/トフィソパムとはどんな薬【抗不安薬】

グランダキシン®/トフィソパムを処方された方へ

一般名

トフィソパム tofisopam

製品名

グランダキシン

剤型

錠剤 50mg

後発品

グランパム、トフィソパム、バイダキシン 錠剤50mg、

適応

自律神経失調症、頭部・頸部損傷、更年期障害・卵巣欠落症状における頭痛・頭重、倦怠感、心悸亢進、発汗等の自律神経症状

用法・用量

1回50mg、1日3回

半減期

1時間未満で12時間後には血中からほぼ消失します。

グランダキシン®/トフィソパムの特徴

ベンゾジアゼピン系抗不安薬に分類される、いわゆる安定剤です。

他のベンゾピアゼピン系薬物と違い、抗コリン作用が弱く、筋弛緩作用も弱いため、急性狭隅角緑内障と重症筋無力症へは禁忌ではありません。(慎重投与になります。)

最高血中濃度は1時間後であり、作用発現速度は中等度です。

血中半減期は1時間未満で、12時間後には血中からほぼ消失し、短時間作用型に分類されます。

グランダキシン®/トフィソパムの薬理作用

自律神経系の緊張不均衡改善作用を有しており、刺激による反応である血管収縮や瞳孔系増大や、ストレス負荷時にみられる交感・副交感神経間の緊張不均衡を改善させます。

鎮静作用、抗不安作用、筋弛緩作用、睡眠増強作用はほとんどありません。

グランダキシン®/トフィソパムの有効率

自律神経失調症、頭部・頸部損傷、更年期障害では約60~70%、卵巣欠落症状では45%の有効率が報告されています。

グランダキシン®/トフィソパムの副作用

眠気・ふらつき、口渇、悪心・嘔吐、脱力・倦怠感等の報告がありますが、約1%とかなり少ないです。

またグランダキシンに限らず、ベンゾジアゼピン系薬物において、脳器質障害のある方では作用が強くでたり、呼吸不全のある方では呼吸機能が低下することがあり注意が必要です。

アルコールとの併用で相互に作用が増強し、併用しないようにしましょう。

まとめ

グランダキシン®/トフィソパムは効果は比較的弱めですが、副作用も少ないため、お薬に過敏な方、副作用が気になる方には使いやすいお薬です。

効果が弱いため、他のベンゾジアゼピン系薬剤と比べると依存のリスクも低めで、中止するときの反跳性不安も少なめと考えていいでしょう。

【安定剤】ワイパックス®/ロラゼパムとはどんな薬【抗不安薬】

ワイパックス/ロラゼパム を処方された方へ

一般名

ロラゼパム lorazepam

製品名

ワイパックス

剤型

錠剤 0.5mg、1mg

後発品

ロラゼパム 錠剤 0.5mg、1mg

適応

①神経症における不安・緊張・抑うつ

②心身症(高血圧症、消化器疾患、自律神経失調症)における身体症候・不安・緊張・抑うつ

用法・用量

1日1~3mg(1日2回~3回に分けて)

禁忌

急性狭隅角緑内障、重症筋無力症

半減期

10~20時間

ワイパックス®/ロラゼパムの特徴

ベンゾジアゼピン系抗不安薬に分類される、いわゆる安定剤です。

最高血中濃度は約2時間後であり、作用発現速度は中等度です。

血中半減期は10~20時間で、作用時間は短時間(中間型)に分類されます。

抗不安作用の力としては強い方の高力価に分類され、高力価短時間作用型です。

排泄半減期は約10時間と短めですが、分布蓄積量が少ないため、1回の投与で長く作用します。

緊急時、例えば不安時や不穏時の屯用での内服利用でも長めに効果が持続します。

反復投与をしても高濃度に達しないという特徴を持っています。

肝臓ミクロソーム酵素での代謝がなく、グルクロン酸抱合されるので、活性代謝物はないため、加齢や肝障害の影響をあまり受けません。

強力な抗不安作用をもち、鎮静作用、筋弛緩作用、抗痙攣作用も中等度有しています、

そのため、躁病や精神病による興奮状態に対する鎮静にも効果的です。

ワイパックス®/ロラゼパムの薬理作用

作用機序は、抑制性のGABAニューロンのシナプス後膜のベンゾジアゼピン受容体に、作動薬として高い親和性で結合し、GABA親和性増大によりGABAニューロンの作用を特異的に増強するものと考えられます。

ワイパックス®/ロラゼパムの有効率

神経症、自律神経失調症、心臓神経症に約50~60%の有効率が報告されています。

ワイパックス®/ロラゼパムの副作用

副作用は約11%で、眠気、めまい、ふらつき、頭重感、口渇、悪心・嘔吐が出現するとの報告がありますが少なめです。

まとめ

ワイパックス®/ロラゼパムは安定剤としての効果は強く、不安症状によく効きます。

鎮静効果も期待できます。

また、加齢や肝障害の影響を受けにくいため、高齢者や肝機能障害がある方にも調整しやすいお薬です。

その反面、依存に注意が必要であることと、お薬が切れる時にでる反跳性の不安の出現に注意する必要があります。

【安定剤】メイラックス®/ロフラゼプ酸エチルとはどんな薬【抗不安薬】

メイラックス®/ロフラゼプ酸エチルを処方された方へ

一般名

ロフラゼプ酸エチル ethyl loflazepate

製品名

メイラックス

剤型

錠剤 1mg、2mg

後発品

ジメトックス、ロフラゼプ酸エチル 錠剤:1mg、2mg、細粒1%

適応

①神経症における不安・緊張・抑うつ・睡眠障害

②心身症(胃・十二指腸潰瘍、慢性胃炎、過敏性腸症候群、自律神経失調症)における不安・緊張・抑うつ・睡眠障害

用法・用量

1日2mg (1日1~2回)

禁忌

急性狭隅角緑内障、重症筋無力症

半減期

約60~300時間

メイラックス®/ロフラゼプ酸エチルの特徴

ベンゾジアゼピン系抗不安薬に分類される、いわゆる安定剤です。

最高血中濃度は1~2時間後であり、作用発現速度は中等度です。

血中半減期は60~300時間で、超長時間作用型ですので、1日1回の内服で効果が持続します。

連続で内服した場合、1~3週間で定常状態になり、蓄積性は認められません。

お薬がきれる時の反跳性の不安や離脱作用が起きにくい安定剤です。

他の抗力価短時間作用型のベンゾジアゼピン系をなかなか減薬できない時に、一旦メイラックスに置換して、減薬していく方法もあります。

メイラックス®/ロフラゼプ酸エチルの薬理作用

抗不安作用は中等度で、抗痙攣作用は強いです。

鎮静作用や意識水準低下作用、筋弛緩作用は弱いです。

経口内服後、速やかに吸収され、消化管通過時や肝臓による初回通過効果を受けて、活性代謝物となり、その後持続性代謝物に変化し、効果が持続します。

メイラックス®/ロフラゼプ酸エチルの有効率

神経症で約60%、心身症で約70%(胃十二指腸潰瘍で約90%、慢性胃炎で約75%、過敏性大腸炎で約70%、自律神経失調症で約65%)の有効率が報告されています。

メイラックス®/ロフラゼプ酸エチルの副作用

眠気が約10%、めまいが1%、ふらつき1%ほどの報告があります。

長期投与継続中に、減少し消失することが多いです。

アルコールとの併用で相互に作用が増強しますので、併用はやめましょう。

まとめ

メイラックス/ロフラゼプ酸エチルは抗不安作用としての効果は中等度あり、効果の持続時間が長いため、1日1回の投与で継続的な効果を得られます。

また、中止時の反跳性不眠や離脱症状も起きにくく、他のベンゾジアゼピン系薬剤と比べると依存のリスクの少ないお薬と考えていいでしょう。

【安定剤】レキソタン®、セニラン®/ブロマゼパムとはどんな薬【抗不安薬】

レキソタン®、セニラン®/ブロマゼパムを処方された方へ

一般名

ブロマゼパム bromazepam

製品名

レキソタン®、セニラン®

剤型

レキソタン 細粒1%、錠剤 1mg、2mg、5mg

セニラン 坐剤3mg

後発品

セニラン 細粒1%、錠剤1mg、2mg、3mg、5mg、

適応

①神経症における不安・緊張・抑うつ・強迫・恐怖

②うつ病における不安・緊張

③心身症(高血圧症、消化器疾患、自律神経失調症)における身体症候・不安・緊張・抑うつ・睡眠障害

④麻酔前投薬

用法・用量

①神経症、うつ病には1日6~15mg(1日2回~3回に分けて)

②心身症には1日3~6mg(1日2回~3回に分けて)

③麻酔前投薬には就寝前・手術前に5mg

禁忌

急性狭隅角緑内障、重症筋無力症

半減期

6~20時間

レキソタン®、セニラン®/ブロマゼパムの特徴

ベンゾジアゼピン系抗不安薬に分類される、いわゆる安定剤です。

最高血中濃度は1時間後であり、作用発現速度は中等度です。

血中半減期は6~20時間で、作用時間は短時間(中間型)に分類されます。

抗不安作用の力としては強い方の高力価に分類されます。

抗不安作用、静穏作用は強力で、催眠作用、筋弛緩作用、抗痙攣作用も強力です。

他のベンゾジアゼピン系抗不安薬に比べて気分が落ち着く、集中できる、気分が大きくなるといったmood elevating effect、beneficial effectが見られています。

レキソタン®、セニラン®/ブロマゼパムの薬理作用

作用機序は、抑制性のGABAニューロンのシナプス後膜のベンゾジアゼピン受容体に、作動薬として高い親和性で結合し、GABA親和性増大によりGABAニューロンの作用を特異的に増強するものと考えられます。

アルプラゾラムの有効率

神経症、うつ病、心身症の約50~60%に有効という報告があります。

強迫や恐怖症状に有効である報告も多く、パニック発作のような強度の不安にも効果的です。

身体合併症のある方、例えば臓器障害をきたしているような著名な高血圧や重症不整脈を合併されている方の情動ストレス軽減や、不眠に対しても使用されます。

アルプラゾラムの副作用

眠気が約15%、ふらつき約8%、疲労感は約6%ほどの報告があります。

まとめ

レキソタン、セニラン/ブロマゼパムは効果が強く、強迫性不安や、パニック性の不安をはじめ、不安症状によく効きます。

その反面、依存に注意が必要であることと、お薬が切れる時にでる反跳性の不安の出現に注意する必要があります。

【安定剤】ソラナックス®、コンスタン®/アルプラゾラムとはどんな薬【抗不安薬】

ソラナックス®、コンスタン®/アルプラゾラムを処方された方へ

一般名

アルプラゾラム alprazolam

製品名

ソラナックス、コンスタン

剤型

0.4mg、0.8mg

適応

心身症(胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、自律神経失調症)における身体症候・不安・緊張・抑うつ・睡眠障害

用法・用量

成人1日1.2mgを3回に分け、最高1日2.4mg

高齢者では1回0.4mgから開始、最高1日1.2mg

禁忌

急性狭隅角緑内障、重症筋無力症

半減期

6~20時間

薬物動態

CYP3Aで代謝

ソラナックス®、コンスタン®/アルプラゾラムの特徴

ベンゾジアゼピン系抗不安薬に分類される、いわゆる安定剤です。

最高血中濃度は2時間後であり、作用発現速度は中等度です。

血中半減期は6~20時間であり、作用時間は短時間(中間型)に分類されます。

抗不安作用の力としては強い、高力価に分類されます。

アルプラゾラムは他のベンゾジアゼピン系と異なり、抗うつ作用の報告があります。

但し、抗うつ作用といっても抗うつ薬ほどの作用まではありません。

パニック障害での不安発作や予期不安への有効性が確立されています。

社会恐怖の動悸、口渇、振戦等の自律神経症状に対しての効果が期待できます。

全般性不安障害に対しては、高力価短時間作用型であるがゆえに、依存を生じやすくなることと、服薬間に起きる反跳性不安のリスクもあり、第一選択とはなりません。

アルプラゾラムの薬理作用

作用機序は、視床下部・扁桃核を含む大脳辺縁系に対する抑制と考えられています。

鎮静作用、抗痙攣作用は強い方ですが、筋弛緩作用は中等度です。

抗不安作用も中等度に分類されます。

アルプラゾラムの有効率

心身症および自律神経失調症に伴う不安・緊張・睡眠障害は80%以上、抑うつ症状には77%の有効率を示しています。

適応症別では、胃十二指腸潰瘍、自律神経失調症で70%、過敏性大腸炎では57%の有効率を示しています。

アルプラゾラムの副作用

眠気が約10%、めまい、ふらつき、脱力・倦怠感は約6%、口渇、悪心、嘔吐は約1%ほどの報告があります。

まとめ

ソラナックス®、コンスタン®/アルプラゾラムは効果が強く、不安症状によく効きます。

その反面、依存に注意が必要であることと、短時間作用型であるため、お薬が切れる時にでる反跳性の不安の出現に注意する必要があります。

【依存】安定剤、睡眠薬、このまま続けていいの?【耐性】

安定剤や睡眠薬の依存や耐性、長期使用について

日本は諸外国と比べて安定剤、睡眠薬を多く使っている

現在日本で処方される安定剤、睡眠薬の多くはベンゾジアゼピン系薬剤という分類に含まれます。

国際麻薬統制委員会という機関が、各国の人口あたりの服薬量を単位化し、比較したデータがあります。

そのデータによると、国民一人当たりのベンゾジアゼピン系睡眠薬の服薬量の多さを比較した場合、ここ数年でも日本は世界で3位以内に入ります。

健康保険の制度の違いはあれど、それだけ日本は安定剤や睡眠薬が使われているという事実はあります。

 

ベンゾジアゼピン系薬剤とは

ベンゾジアゼピンは分子構造からその名称を得ています。

ベンゾジアゼピン受容体と称される受容体において共通の作用を有しており、それを介してγアミノ酪酸(GABA)の作用を調整します。

ベンゾジアゼピン系薬剤の作用

ベンゾジアゼピン系薬剤は急速な抗不安、鎮静作用をももつので、通常は、不眠、急性期の不安、他の精神疾患による興奮や不安の緊急治療に最もよく用いられます。さらに、麻酔薬、抗けいれん薬、筋弛緩薬としても用いられます。

このように、ベンゾジアゼピン系薬剤は医療において必要なお薬なのです。

しかしながら、精神依存と身体依存のリスクがあり、長期使用は、精神療法と並行して行い、代替薬が試され、無効であることが証明されるか、耐容性がきわめて低かった(副作用等で他の薬剤が継続できないなど)場合に行うことになっています。

処方できる薬剤の種類が日本だけ極端に少ないことはないので、日本で処方量が多いのは、処方する医師の意識の問題は少なからず影響していると思われます。

 

ベンゾジアゼピン系薬剤一覧

ベンゾジアゼピン系抗不安薬(商品名:50音順)

アルプラゾラム、コントール、エチゾラム、エリスパン、オキサゾラム、クロチアゼパム、クロルジアゼポキシド、コレミナール、コンスタン、ジアゼパム、ジアパックス、ジメトックス、セニラン、セパゾン、セルシン、セレナール、セレナミン、ソラナックス、デパス、デゾラム、バランス、ホリゾン、メイラックス、メダゼパム、メレックス、メンドン、ランドセン、リーゼ、リボトリール、レキソタン、レスタス、レスミット、ロフラぜプ酸エチル、ロラゼパム、ワイパックス

ベンゾジアゼピン系睡眠薬(商品名:50音順)

エスタゾラム、エバミール、塩酸リルマザホン、クアゼパム、グッドミン、サイレース、ソメリン、ソレントミン、ダルメート、ドラール、トリアゾラム、ニトラゼパム、ネストローム、ネルボン、ノクスタール、ハルシオン、ハルラック、フルニトラゼパム、ブロチゾラム、ベンザリン、ユーロジン、リスミー、レンドルミン、ロヒプノール、ロラメット

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(商品名:50音順)

アモバン、アモバンテス、ゾピクロン、ゾルピデム酒石酸塩、ドパリール、ルネスタ、マイスリー

(非ベンゾジアゼピン系睡眠薬はベンゾジアゼピン系薬剤でありませんが、臨床効果がベンゾジアゼピン受容体と一体化しているGABA受容体複合体の結合ドメインとの相互作用により生じ、ベンゾジアゼピンと同じような鎮静作用を選択的に有しています。なお、ベンゾジアゼピン系薬剤に比べ、筋弛緩、抗けいれん作用が比較的弱く、耐性の発現や、反跳性の不眠を起こしにくい特徴を有しています。)

 

ベンゾジアゼピン系の治療適応

不眠

身体疾患によっても精神疾患によっても不眠はおきますが、大切なのは不眠の原因を徹底的に追及して、必要最小限の使用にとどめておくということです。ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、それぞれ半減期が異なるため、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒などのどの睡眠障害かを判別したうえで、薬物を選択することになります。非ベンゾジアゼピン系睡眠薬や、耐性がほぼ生じないメラトニン受容体作動薬(ロゼレム)、オレキシン受容体拮抗薬(ベルソムラ)から使用する選択肢もあります。

不安障害関連(全般性不安障害、パニック障害、社会恐怖)

ベンゾジアゼピン系薬剤は、不安障害に関連した不安の除去に効果的です。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)も治療選択肢になりますが、ベンゾジアゼピン系薬剤は、即効性と、明らかな性機能障害や体重増加が起きないという副作用の点では優れています。ベンゾジアゼピン系薬剤とSSRIを併用して、急性期の症状を改善させ、ベンゾジアゼピン系薬剤は減量・中止していく意識を持つことが大切です。但し、再発のリスクが高く、慢性化するような状態には長期に維持が必要となる場合もあるので、使用量や種類の調整を主治医としっかり相談して行っていく必要があります。

その他多くの精神疾患

その他、適応障害、神経症、身体表現性障害、うつ病、双極性感情障害、統合失調症など、様々な精神疾患に対して、抗不安、抗不眠、鎮静目的などで使用されます。

 

注意点と有害作用

ベンゾジアゼピン系薬剤で最も頻度が高い有害作用は眠気で、約10%ほどみられます。服用期間中は自動車の運転や危険な機械の使用は制限されます。

また、めまい、ふらつきも出現しやすく、特に高齢者においては転倒の原因になります。アルコールの併用により、有害作用が増加し、著しい眠気や脱抑制、そして時には呼吸抑制も起こしえます。

時には作業能率、集中力の低下につながるような認知障害を起こすこともあります。ベンゾジアゼピン系睡眠薬を内服した後にその後の記憶がなくなる前向健忘が出現することがあります。

耐性、依存性、離脱

ベンゾジアゼピン系薬剤を、中等量で1~2週間使用する場合は重篤な耐性、依存性、離脱症状は一般的には出現することはありません。

ベンゾジアゼピン系薬剤の離脱症候群の出現は、使用期間、投与量、減量の割合、半減期などによって変わってきます。

ベンゾジアゼピン系薬剤の離脱症状

ベンゾジアゼピン系薬剤の離脱症状としては、不安、神経質、発汗ん、落ち着きのなさ、易刺激性、疲労感、ふらつき、振戦、不眠、脱力感、などがみられます。

特に、半減期の短いベンゾジアゼピン系薬剤を突然中止すると、離脱症状が生じやすくなります。

重篤な症状になると、うつ状態、妄想、せん妄、けいれんが起こることがあります。ただし、重篤な症状は、高用量で長期間使用していた場合に見られることがあり、頻度は多くはありません。

 

ベンゾジアゼピン系薬剤の中止の仕方

投与を中止する際には1週間で25%ずつのゆっくりとした減量が必要です。急な減量や中止は、症状の再発や反跳が起こりやすく、離脱症状が起こることがあります。

 

まとめ

ベンゾジアゼピン系薬剤は治療において、非常に効果的で有効な場面が多く、臨床においては必要なお薬である一方で、長期使用による、依存・耐性を意識して減量中止できる場合はしっかり減量中止していくということが大切です。