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【日照時間とうつ病、躁うつ病の関係】

最近は、日中に屋外で日光を浴びることが少なく、夜間はスマートフォンやPCなどの使用で遅くまでブルーライトの光に暴露されるような環境で過ごす人が増えています。日中の光を浴びる量(光暴露量)の低下と夜間の光暴露量の増加は、人体にどのような影響を及ぼすのか説明します。

【光暴露環境の影響力】

光暴露環境はうつ症状、メラトニン分泌異常、肥満、動脈硬化などに影響を及ぼしていると言われています。

【うつ症状への高照度光療法】

光暴露とうつ症状の研究は多く、日中光暴露の増加はうつ症状を改善すると言われています。

高照度光療法は、通常午前中に30分から1時間程度、5,000から10,000ルクスの光をあびる治療法です。

【夜間光暴露の増加の健康への影響】

夜間光暴露量の増加は、メラトニン分泌を抑制し、睡眠の質の悪化、体内時計(概日リズム)の乱れを引き起こします。特に、躁うつ病の方は躁状態を悪化させる可能性があります。

【日照時間と自殺の関係】

夏と冬の間の日照時間の差が大きいことが、躁うつ病の方の自殺未遂の頻度と関係しているという報告があります。

【うつ状態の時は日中の日光浴は大切】

このように、日光浴がうつ状態を改善する報告がありますので、朝、日光を浴びるのはとても大切です。

私は飼っている犬に毎朝起こされて、朝5時半に散歩に連れて行きますが、冬はまだ暗いですね。

【双極性感情障害】躁うつ病のうつ状態の治療にはどの抗うつ薬がいいのか?【抗うつ薬】

躁うつ病のうつ状態の薬物療法

躁うつ病(双極性感情障害)は気分が循環する病気であり、躁状態の時期とうつ状態の時期、躁とうつが混ざったような混合状態の時期などが出現します。

双極性うつ病(躁うつ病のうつ状態)における抗うつ薬の使用については治療に関する実証的研究が少なく、意見が分かれています。

抗うつ薬は躁状態を誘発する?!

躁うつ病において、抗うつ薬は約3分の1の頻度で躁状態を誘発し、約4分の1の頻度で急速交代化(躁状態とうつ状態を短期間で繰り返す状態)を促すという報告があります。

その為、躁うつ病への抗うつ薬の使用については慎重になるべきだという意見が一般的です。

あるアメリカの治療ガイドラインでは双極性うつ病の急性期にはリチウムまたはラミクタール®(ラモトリギン)を第一選択としており、重症の場合は抗うつ薬の併用も行われますが、限定的であるべきとされています。

もし抗うつ薬を使用するとしても、SSRIが第一選択になるであろうとの意見が多いようです。

双極性うつ病の治療選択

1)リチウムまたはラミクタール®(ラモトリギン)による治療開始。

2)SSRIの追加、状態によっては増量

3)効果不十分例では抗うつ薬の変更の検討

4)リチウムやラミクタール®、デパケン®(バルプロ酸)などの情動調整薬、抗けいれん薬の追加もしくは調整

などの治療が提案されます。

抗うつ薬の躁転率

双極性うつ病における抗うつ薬の治療において、SSRIの躁転率(約3.7%)はプラセボ(約4.2%)と差がないという報告があります。

その一方で、三環系抗うつ薬投与における躁転率(約11.2%)はSSRIやプラセボより有意に高いと報告されています。

まとめ

現在双極性うつ病における抗うつ薬の使用においては意見が分かれている現状ですが、急性の抑うつエピソードで軽症であれば、リチウムやラミクタール®などの情動調整薬、抗けいれん薬が使用され、中等症から重症の場合にはSSRIと情動調整薬の併用療法が開始されることも多いようです。

自殺の危険性や、妊娠期間中、生命を脅かすほどの食事ができないような状態では電気けいれん療法が推奨されています。

長期的には、情動調整薬を第一選択として、必要に合わせて抗うつ薬の併用を考慮し、症状が改善したら、抗うつ薬は減薬を検討するのがよさそうです。