【抗うつ薬】イフェクサー®SR/ベンラファキシンとはどんな薬?【SNRI】

イフェクサー®SR/ベンラファキシンを処方された方へ

一般名

ベンラファキシン塩酸塩 venlafaxine hydrochloride

製品名

イフェクサーSR

剤型

徐放カプセル 37.5mg、75mg

適応

うつ病・うつ状態

用法・用量

1日1回37.5㎎(初期量)より開始し、1週間後より1日1回75㎎、食後内服します。1週間以上間隔をあけて1日75㎎ずつ増量でき、1日最大225㎎まで増量できます。

半減期

約9時間

イフェクサー®SR(ベンラファキシン)の特徴

イフェクサー®SR(ベンラファキシン)は、選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(selective serotonin-noradrenaline reuptake inhibitaor:SNRI)と呼ばれるお薬です。

最初にスイスで1993年より発売され、90か国以上で使用されています。

日本では2015年からうつ病、うつ状態に適応をとり発売されていますが、1993年に米国で発売されてから、海外ではうつ病、全般性不安障害、パニック障害、社交不安障害にも適応があります。

イフェクサー®SR(ベンラファキシン)の薬理学的作用

イフェクサー®SR(ベンラファキシン)は、胃腸管から良く吸収され、服薬して約5~9時間で最高血中濃度に達します。半減期は約3.5~9時間です。

イフェクサー®SR(ベンラファキシン)はセロトニンとノルアドレナリンの2つの物質に双方に作用しますが、その点に関しては、以前から使用されていた三環系ならびに四環系抗うつ薬も同様の作用をもっています。

しかしながら、三環系ならびに四環系抗うつ薬は、ムスカリン、アドレナリン、ヒスタミンなど数多くの受容体に影響を及ぼし、その影響からくる副作用のために、使用継続が困難となる場合も少なくありませんでした。

そのため、イフェクサー®SR(ベンラファキシン)は効果を選択的にし、ムスカリン、ニコチン、ヒスタミン、オピオイド、アドレナリン受容体への活性を持たず、モノアミン酸化酵素(MAO)阻害作用もないため、副作用を減らし、効果を発揮できる状態まで使用しやすくしたお薬ということになります。

セロトニンとノルアドレナリンの強力な再取り込み阻害作用を持っており、弱いドパミンの再取り込み阻害作用もあります。

投与量を増量することで、ノルアドレナリンの再取り込み阻害作用が強くなるといわれています。

イフェクサー®SR(ベンラファキシン)の治療適応

うつ病

FDA(米国食品医薬品局)は、どの抗うつ薬においても、他の抗うつ薬よりも作用が強いとは認めんていません。つまり、抗うつ薬のナンバー1を認めていないということです。

このことは、抗うつ薬同士が差異がないことを意味するものではなく、それぞれの抗うつ薬の特性が、個人によって差異がでる事を含め、優位性を十分に示す研究がまだ確立していないことが考えられます。

しかし、比較研究のメタ解析では、イフェクサー®SR(ベンラファキシン)はSSRIに比べて、うつ病において、高い官界率を示す可能性があることが示唆されています。

全般性不安障害

臨床試験では1日75~225㎎の投与量で、全般性不安障害に関連した不眠、集中力低下、落ち着きのなさ、易刺激性、過剰な筋緊張に対して有効です。

社会不安障害、その他の適応

社会不安障害での効果は確立されており、強迫性障害、パニック障害、広場恐怖、社会恐怖などの治療にも有用である可能性があります。慢性疼痛症候群に対しても使用され、有効です。

全般性不安障害や社会不安障害での治療において、用量-反応効果は認められておらず、一般にはうつ病治療よりやや少なめの75㎎~150㎎で効果が十分であることが多い。これは、低用量の場合、ノルアドレナリン再取り込み阻害作用よりもセロトニン再取り込み阻害作用を強く発揮しているからかもしれません。

イフェクサー®SR(ベンラファキシン)の注意点と有害作用

頻度の高い副作用としては、悪心、傾眠、口渇、めまい、易刺激性、便秘、倦怠感、不安、食思不振、性機能障害などが報告されています。発汗も、SSRIよりやや頻度が高いかもしれません。

突然の中止により、めまい感、不安、悪心、傾眠、知覚異常、不眠などの中止後症候群が生じることがあります。

中止の際は、2~4週間にわたり、段階的にする徐々に減薬していく必要があります。

妊娠中、授乳中の方への使用に関する情報は、現段階では得られていません。母乳中にも分泌されるため、危険性と利益を注意深く検討する必要があります。

まとめ

イフェクサー®SR(ベンラファキシン)はセロトニンとノルアドレナリンの2つの物質に双方に作用し、効果を選択的にしたことで、副作用を減らし効果を発揮できる状態まで使用しやすくしたSNRIと呼ばれるお薬です。

うつ状態の改善効果を認め、そのほか、不安や疼痛への効果も期待できます。

内服初期の嘔気に注意が必要ですが、効果発現の速さ、長期投与における効果の持続と安全性が確立されており、うつ病の急性期治療だけでなく、再発・再燃予防のための継続・維持療法にも適した抗うつ薬といえます。

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