【こむら返り】漢方治療:芍薬甘草湯【筋肉痛】

こむら返りや筋肉痛におすすめな漢方:芍薬甘草湯とは

芍薬甘草湯は、名前通り、約薬と甘草の二つの生薬のみから成る漢方で、こむら返りや筋肉痛に良く用いられます。

肝硬変・血液透析・がん・糖尿病などの方の有痛性筋痙攣(こむら返り)や筋肉痛、タキサン系抗がん剤による末梢性障害(筋肉痛)などに使用されています。

古典的には「傷寒(急性の熱性疾患)で脈が浮き、自然と汗をかいて、尿の回数が多く、胸苦しさを感じ、わずかに悪寒がして、足がつるという場合に、桂枝の入った処方を与えて、さらに発汗させてしまったとする。そうすると手足が冷え、口が渇いて苦しみ悶え、嘔吐する。その場合は甘草乾姜湯を与える。それで手足の冷えがとれて暖かくなってきたら、次に芍薬甘草湯を服用させると、足が伸びるようになる。」(傷寒論・太陽病篇)とあり、本来発汗させてはならない場合に発汗させてしまい、下肢筋肉の筋痙攣が止まらない場合に適応されてきました。

近代薬理学の研究によれば、芍薬に含まれるペオニフロリンが筋細胞内のカルシウムイオン濃度の上昇を抑制し、甘草にふくまれるグリチルリチンがカリウムの流出に伴う脱分極を制御して、筋細胞の異常な興奮を抑える。複数の作用点で相乗的に効果を発揮するので、単一成分で強い作用を持つ有効性を保ちながら、有害事象は少なく、重宝されている漢方薬です。

つまり、芍薬甘草湯は「中枢性鎮痛作用」と「末梢性筋弛緩作用」を有し、生理的な筋収縮には影響を与えずに筋痙攣を抑制し、筋痙攣に伴う痛みを鎮めることができるのです。

注意する点としては偽アルドステロン症を発症する場合があることです。

偽アルドステロン症の発症には、肝障害のある方や、ある特定の腸内細菌環境が関わっているといわれており、甘草を摂取するすべての人に明確な量反応関係をもってこの副作用が起こるわけではありませんが、肝障害を持つ方が、甘草を大量に含む処方を使う場合には、慎重さが必要です。

芍薬甘草湯の構成生薬

芍薬

ボタン科シャクヤクの根です。

鎮静・鎮痙・鎮痛、末梢血管拡張、抗炎症、抗アレルギー、免疫賦活、胃腸運動促進、抗潰瘍、血液凝固抑制、筋弛緩作用があります。

甘草

マメ科カンゾウなどの根です。

鎮静・鎮痙、鎮咳、抗消化性潰瘍、利胆、肝機能改善、肝保護、抗炎症、抗アレルギー、抗糖尿病、抗動脈硬化作用等があります。

芍薬甘草湯以外の選択肢

こむら返りは、高齢者にも多くみられ、筋肉の老化や筋力低下が原因になっているといわれています。

高齢者は腎機能や肝機能が低下している場合も多く、このような場合には、六味丸や八味地黄丸など、腎虚証に用いられる処方が効果的です。

八味地黄丸から桂皮・附子といった、体を暖める生薬を取り除いたものが六味丸であり、手足のほてりがあるような方には六味丸がお勧めです。

八味地黄丸に生膝・車前子を加え、冷えや浮腫を改善する作用を強化した漢方薬が牛車腎気丸です。

これら腎虚証に用いられる漢方薬はいずれも甘草を含んでいないため、偽アルドステロン症の心配をせずに服用することができます。

また芍薬も含んでおらず、筋細胞の異常な興奮の解除とは異なるメカニズムでこむら返りを予防するといわれています。

ただし、地黄が含まれており、胃もたれや食思不振に注意が必要で、胃腸が弱い人は少量から慎重に内服しましょう。

胃腸症状が気になる人は、六君子湯と併用すると改善できるでしょう。

これらの漢方薬でも改善しない人は、カルニチン不足の可能性があります。

極端なダイエットをした人や、食事が菜食に偏る人に多いです。カルニチン不足が疑わしい場合は、肉類や乳製品の摂取を心掛け、サプリメントの利用も検討してもいいでしょう。

 

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