lala のすべての投稿

睡眠薬のやめ方。ベンゾジアゼピン系薬剤の副作用

睡眠薬の中止の仕方。ベンゾジアゼピン系薬剤の副作用について

不眠症になり、受診し睡眠薬を内服し、不眠症が改善したのであれば、次は必要最低用量にまで睡眠薬を減薬し、最終的には中止していくことも必要です。

急激な減薬は退薬症候や反跳性不眠を引き起こす原因となります。

減薬に際しては、徐々に減らしてやめていく漸減が原則です。

睡眠薬のやめ方

具体的には2~4週間かけて、内服している量の1/4量ずつ減量し、最終的に中止します。

ただし、不眠症が難治性である一定量以下にできないときは無理な減量は試みず、維持療法を選択することもあります。

ベンゾジアゼピン系薬剤の高齢者への使用

高齢者ではベンゾジアゼピン受容体の感受性が亢進し、肝クリアランスが低下することから、最高血中濃度の上昇と消失半減期の延長がみられます。

そのため、作用、副作用とも強く出て、ふらつきなどの運動失調等がみられやすく、転倒や骨折の原因となります。

したがって、少量から開始するなど慎重に始める必要があります。

ベンゾジアゼピン系薬剤の睡眠時の副作用

服薬後に、もうろう状態、夢遊症状(睡眠随伴症状)が現れることがあります。

また、入眠までの、あるいは中途覚醒時の出来事を記憶していないことがある「健忘」が出現することがあるので注意が必要です。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、最高血中濃度付近で起きていると、その時のことを健忘していることがあるので、服薬したらすぐに就寝すること、睡眠途中で一時的に覚醒して仕事等を行う可能性がある時は服薬しないことが大切です。

ベンゾジアゼピン系薬剤と妊娠、授乳

ベンゾジアゼピン系薬剤は、妊娠している可能性がある場合は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にだけ使用します。

新生児に、哺乳困難、筋緊張低下、嗜眠、黄疸の増強等の症状を起こすことが報告されています。

母乳中への移行がみられ、新生児に嗜眠、体重減少等を起こす可能性があり、授乳されている方が内服する場合は、授乳を避ける方が望ましいでしょう。

その他副作用

薬物依存、離脱症状

大量連用により薬物依存を生じることがあります。

また、大量内服または連用中における内服量の急激な減少ないし中止により、けいれん発作、せん妄、振戦、不眠、不安、その他幻覚や妄想などの離脱症状が現れることもあります。

急に中止したり、内服量を自分の判断で減らしたり、増やしたりせずに、定期通院しながら主治医と相談して調整する必要があります。

精神症状

興奮や攻撃性、刺激に反応しやすくなる、酔ったような脱抑制した言動、もうろうとした夢遊状態などの精神症状が出現することがあります。

使用に際しては注意深い経過観察が必要です。

まとめ

ベンゾジアゼピン系薬剤は使い方を間違えなければ、困っている不安や不眠を中心に非常に効果の高い薬剤です。

しかし、使い方を間違えば、依存や耐性をはじめ様々な副作用の出現の危険性がでてきます。

主治医にしっかり相談しながら、自分に合った薬剤の必要最低限の用量を調整してもらうことが大切です。

【効果・持続時間】睡眠薬の選び方【依存・耐性】

睡眠薬の選び方

不眠症治療の薬物療法には睡眠薬が使用されます。

現在日本で用いられている睡眠薬は、バルビツール酸系睡眠薬、非バルビツール酸系睡眠薬、ベンゾピアゼピン系睡眠薬、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬、その他の作用機序による睡眠薬(メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬)に分けられます。

その他に、抗精神病薬、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬などを不眠症治療に用いることもあります。

バルビツール酸系睡眠薬

バルビツール酸系睡眠薬は脳全体を抑制し、強力な催眠作用をもたらしますが、高用量になると呼吸中枢をも抑制してしまう危険性があります。しかも、耐性が早く形成され、お薬を飲み忘れたりなどの退薬するとせん妄、けいれん発作などが起こることがあります。

非バルビツール酸系睡眠薬

バルビツール酸系睡眠薬の危険性、欠点を克服すべく開発された非バルビツール酸系睡眠薬でしたが、ベンゾジアゼピン系睡眠薬が登場してからは、ブロムワレリル尿素以外は臨床からほとんど姿を消してしまいました。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は1960年頃より使用されるようになった睡眠薬で、バルビツール系酸睡眠薬や非バルビツール系睡眠薬の副作用の問題から、安全性の高い睡眠薬が期待されて開発されました。

効果面だけでいえばバルビツール系酸睡眠薬、非バルビツール系睡眠薬には劣りますが、副作用は大きく軽減し、依存・耐性の問題が完全に解決できたわけではないにしても安全性に関してはかなりの改善がみられています。

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬

ベンゾジアゼピン系睡眠薬を更に改良した睡眠薬になります。

1980年頃より発売されるようになりました。

ベンゾジアゼピン系で問題となっていた筋弛緩作用・ふらつきを軽減しています。

耐性・依存性も若干軽減されている可能性があります。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬の分類

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は薬物動態的特徴から次の4つに分けられます。

①長短時間作用型

消失半減期(血中の薬の全体量が半分になる時間)が2~4時間ときわめて短い超短時間作用型は、すばやく血中濃度が上昇することで寝つきの悪さ、入眠障害に対して催眠効果をもたらします。

翌朝には残薬感を残さずに、目覚めの良さを自覚させます。

機会性不眠、一過性の睡眠・覚醒スケジュール障害、身体疾患による不眠、熟眠感の乏しい不眠症などに有効です。

しかし、早朝に覚醒してしまうことがあり、反跳性不眠(内服をやめた際に生じる不眠)も起こりやすいため、使い方は主治医と相談しながら調整する必要があります。

また、アルコールとの併用で内服してから寝るまでに行動したこと(例えばメールや過食)を忘れている健忘を呈しやすいことにも注意が必要です。

②短時間作用型

消失半減期が6~10時間の短時間作用型も超短時間作用型と同様で、覚醒時の気分は良好です。適応も超短時間作用型と同様です。

③中間作用型

消失半減期が20~30時間の中間作用型では、中途覚醒や早朝覚醒などの睡眠維持に問題のある不眠症に有効です。

しかし、翌日の就眠時にはまだある程度の血中濃度が維持されており、連用するうちに蓄積が生じ、4,5日のうちに定常状態に達します。したがって、朝の覚醒時に眠気などの持ち越し効果をきたす可能性があります。

ただ、日中もある程度の血中濃度が維持されているため、不眠・緊張を呈しやすい病態である不安神経症やうつ病などにも有効です。

④長時間作用型

消失半減期が50~100時間の長時間作用型では、持ち越し効果をきたす可能性や日中の精神運動機能への影響はさらに強くなります。

反面、服薬を急に中断しても反跳性不眠や退薬症状は出にくいため、各種の不眠症に有効です。

まとめ

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、それぞれの睡眠薬の特徴をふまえ、不眠症のタイプによって使い分けます。

超短時間作用型は入眠障害への効果、長時間作用型は中途覚醒や早朝覚醒などの睡眠維持の問題のある不眠症に効果を発揮しやすいのですが、効果・副作用には個人差があります。

効果や、副作用、反跳性不眠、持ち越しをしっかり評価しながら、それぞれの人にあった薬剤を選択してもらうことが大切です。

【睡眠薬】ネルボン®、ベンザリン®/ニトラゼパムとはどんな薬

ネルボン®、ベンザリン®/ニトラゼパムを処方された方へ

一般名

ニトラゼパム nitrazepam

製品名

ネルボン®、ベンザリン®

剤型

ネルボン® 散 1%、錠剤 5mg、10mg

ベンザリン® 細粒1% 錠剤 2mg、5mg、10mg

後発品

ニトラゼパム

散 1%、細粒1%、錠剤2mg、5mg、10mg

適応

①不眠症

②麻酔前投薬

③異型小発作群(点頭てんかん、ミオクロヌス発作、失立発作等)、焦点性発作(焦点性痙攣発作、精神運動発作、自律神経発作等)

用法・用量

①不眠症:1日1回5㎎~10㎎就寝前

②麻酔前投薬:1回5~10㎎を手術前

③異型小発作群および焦点性発作:1日5~15㎎を適宜分けて内服

禁忌

急性狭隅角緑内障、重症筋無力症

肺性心、肺気腫、気管支喘息及び脳血管障害の急性期などで呼吸機能が高度に低下している場合も原則禁忌となります。

半減期

約18~38時間

ネルボン®、ベンザリン®/ニトラゼパムの特徴

ネルボン®、ベンザリン®/ニトラゼパムは1967年に臨床に導入され使用されるようになり、診療内科だけでなく、様々な科で使用されてきた睡眠薬です。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬に分類されます。

内服後、約2時間で最高血中濃度に達します。

血中半減期は約18~38時間、平均25時間で、中間作用型睡眠薬です。

内服後、通常15~45分程度で入眠し、持続も約6~8時間と自然睡眠のサイクルに類似しています。

ネルボン®、ベンザリン®/ニトラゼパムの薬理作用

大脳辺縁系(特に扁桃核、海馬)ならびに視床下部にその作用点があり、情動障害を取り除き覚醒賦活系への余剰刺激伝達を遮断して、睡眠状態に導くと考えられています。

自然睡眠に近い睡眠が得られます。

痙攣の抑制作用、静穏作用、筋弛緩作用も認められています。

ネルボン®、ベンザリン®/ニトラゼパムの有効率

①不眠症

情動障害における睡眠障害に対して、入眠時間、睡眠持続時間、睡眠状態等への総合的な有効率は約73%との報告があります。

②麻酔前投薬

手術前後、手術への不安等からくる不眠、手術前緊張等に対しての有効率は約88%との報告があります。

③てんかん

異型小発作群、焦点性発作等のてんかんに対し、発作の減少、抑制に効果を認められています。

脳波所見ではhypsarrhythmiaの改善が認められています。

ネルボン®、ベンザリン®/ニトラゼパムの副作用

ふらふら感約5.1%、残眠感約4.2%、倦怠感約3.6%、頭痛・頭重感約1.6%、めまい約0.3%などの報告があります。

まとめ

ネルボン®、ベンザリン®/ニトラゼパムは内服後20~30分前後で入眠ができ、自然の眠り近い6~8時間の睡眠の維持をサポートしてくれる睡眠薬です。

睡眠効果が強く、持続的な効果を期待できますが、依存に注意が必要であることと、翌日まで鎮静作用が残る持ち越し効果に注意する必要があります。

高齢者で使用する場合には転倒の危険性と、日中の傾眠の出現に注意が必要です。

子供の虐待と精神疾患

子供の虐待に関して精神医療的な側面からまとめています。

子供の虐待に関する要因

子供の虐待に関する要因としては、次のことが影響していると考えられています。

親が発達障害や精神疾患を有すること

親が虐待を受けていたりなど、親の幼児期に母性体験や家庭教育など、人格形成の過程における問題があること

親の人格的な成熟に未熟さがあること

子供に発達障害や情緒的な問題があること

他にも家庭内の不和や経済的問題、親が若年であることや地域における支援体制の不足など、家庭内や地域の問題まで幅広い要因が関与していると考えられます。

虐待に関する要因としての精神疾患の中で、みられやすい精神疾患

知的障害、発達障害、自閉症、注意欠如・多動性障害、パーソナリティ障害、統合失調症、うつ病、依存症、躁うつ病、摂食障害、PTSDなどが虐待に関する要因として多く見られます。

それは親がそうである場合、子供がそうである場合、両方そうである場合もあります。

虐待されている子供に見られやすい症状

抑うつ気分、引きこもり、不登校、対人緊張、社会不安、自傷行為、自殺企図、逸脱行動、反社会的行動などが見られやすい症状です。

虐待体験のある大人にみられやすい症状

抑うつ症状、対人緊張・対人不安、自傷行為、自殺企図などが見られやすいです。

虐待体験をもたれる大人の方で精神疾患を持たれている場合、非常に複雑な病像を呈すること多く、おそらく、どの側面から診るかによって診断名が異なったり、複数の診断名がついたりすることも多いと思われます。

虐待の世代間連鎖について

虐待の世代間連鎖はよくみられますが、虐待体験を持つ方々が皆さん虐待体験されるわけではないので、虐待の連鎖を強調しるぎることは望ましくないと思われます。

ただ、虐待体験された方々が、養育に際して困難さを抱えやすいのは事実ですので、そこを理解しておくことは大切です。

最後に

児童福祉法が改正されて、要支援児童等を市区町村に情報提供することが努力義務とされたことで、今後は医療と地域行政機関での地域連携が促され、虐待する方、虐待される子供、どちらの苦しさにも介入がなされ、虐待が減ることを望みます。

【安定剤】セディール®/タンドスピロンクエン酸塩とはどんな薬【抗不安薬】

セディール®/タンドスピロンクエン酸塩を処方された方へ

一般名

タンドスピロンクエン酸塩 tandospirone citrate

製品名

セディール

剤型

錠剤 5mg、10mg、20mg

後発品

タンドスピロンクエン酸塩 錠剤5mg、10mg、20mg

適応

①心身症(自律神経失調症、本態性高血圧症、消化性潰瘍)における身体症候ならびに抑うつ・不安・焦燥・睡眠障害

②神経症における抑うつ・恐怖

用法・用量

1日30㎎、3回に分けて内服する。1日60㎎までとする。

半減期

約1時間

セディール®/タンドスピロンクエン酸塩の特徴

日本で開発され1996年に発売された、ベンゾジアゼピン系ではない、セロトニン作動性の抗不安薬に分類されます。

セロトニン神経系に選択的に作用して抗不安作用及び抑うつ作用を示します。

最高血中濃度は約0.8~1.4時間後です。血中半減期は約1時間です。

投与休止により速やかに消失し、蓄積性は認められませんでした。

セディール®/タンドスピロンクエン酸塩の薬理作用

ベンゾジアゼピン系抗不安薬であるジアゼパムとほぼ同程度の作用を示します。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬とは異なり、抗うつ作用も示すと考えられています。

各種のストレス負荷や、自律神経中枢のある視床下部の刺激による各種の末梢反応を改善します。

脳内においては、ベンゾジアゼピン/GABA受容体複合体には直接作用せず、セロトニン(5-HT)受容体のサブタイプの1つである5-HT1A受容体を選択的に認識し、作動薬として結合することにより、抗不安作用をはじめとする各種の薬理作用を引き起こします。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬による、ふらつきや眠気などの副作用の問題や、乱用・依存などの問題を解決する新しい抗不安薬の開発を期待され、つくられた経緯があります。

抗不安作用、抗うつ作用を示しながら、ベンゾジアゼピン系薬剤がもつ筋弛緩作用や協調運動抑制作用、あるいは麻酔増強作用などはほとんどなく、眠気やふらつき、過度の鎮静という副作用は少ないのです。

セディール®/タンドスピロンクエン酸塩の作用機序

不安を形成すると考えられる海馬等の大脳辺縁系において、その神経活動を抑制するとともに、形成された不安を末梢に伝えると考えられている視床下部や中隔野での神経活動を抑制します。

大脳辺縁系に局在するシナプス後膜5-HT1A受容体に選択的に作用し、抗不安効果を示します。

抗うつ作用としてはセロトニン神経終末のシナプス後膜5-HT1A受容体密度の低下が関与していると推測されます。

セディール®/タンドスピロンクエン酸塩の有効率

自律神経失調症(心身症)に対する中等度以上改善率は約64%との報告があります。

本態性高血圧症(心身症)に対する中等度以上改善率は約76%との報告があります。

消化器系心身症(過敏性腸症候群、胃十二指腸潰瘍など)に対する中等度以上改善率は約49%との報告があります。

セディール®/タンドスピロンクエン酸塩の副作用

眠気が約3%、ふらつきが約1.1 %、悪心が約0.8%、倦怠感が約0.8%、食思不振0.7%などの報告がありますが、少ないようです。

自動車の運転などの危険を伴う機会の操作には従事しないようにしましょう。

セディール®/タンドスピロンクエン酸塩の使用における注意事項

①漫然と長期使用しないこと

神経症においては、罹病期間が3年以上と長い場合や、重症例あるいはベンゾジアゼピン系での治療効果が不十分な場合など治療抵抗性の患者に対しては効果が表れにくいです。

1日60㎎を投与しても効果が認められない時は、漫然と投与することなく中止しましょう。

②高度の不安症状には効果が出にくい

高度の不安症状がある場合は、効果が表れにくいことがあいります。他の薬物に変える選択肢を検討しましょう。

まとめ

セディール®/タンドスピロンクエン酸塩は抗不安作用や抗うつ作用をしめしますが、眠気やふらつき等の副作用が少ないお薬です。

また、依存に関してもベンゾジアゼピン系薬剤よりも生じにくと考えられています。

【安定剤】デパス®/エチゾラムとはどんな薬【抗不安薬】

デパス®/エチゾラムを処方された方へ

一般名

エチゾラム etizolam

製品名

デパス

剤型

細粒 1%(10mg/g)

錠剤 0.25mg、0.5mg、1mg

後発品

エチゾラム、デゾラム

細粒 1%(10mg/g)、錠剤0.25mg、0.5mg、1mg

適応

①神経症における不安・緊張・抑うつ・神経衰弱症状・睡眠障害

②うつ病における不安・緊張・睡眠障害

③心身症(高血圧症、胃十二指腸潰瘍)における身体症候・ならびに不安・緊張・抑うつ・睡眠障害

④統合失調症における睡眠障害

⑤頚椎症、腰椎症、筋収縮性頭痛における不安・緊張・抑うつおよび筋緊張

用法・用量

①神経症、うつ病には1日3mg、1日3回に分けて内服

②心身症、頚椎症、腰椎症、筋収縮性頭痛には1日1.5mg、1日3回に分けて内服

③睡眠障害には1日1回1~3mg、就寝前に内服

いずれも高齢者には1日1.5mgまで

禁忌

急性狭隅角緑内障、重症筋無力症

半減期

約6時間

デパス®/エチゾラムの特徴

ベンゾジアゼピン系抗不安薬に分類される、いわゆる安定剤です。

最高血中濃度は約3時間後であり、作用発現速度は中等度です。

血中半減期は約6時間で、作用時間は短時間作用型に分類されます。

抗不安作用の力としては強い方の高力価に分類されます。

不安、緊張、興奮に対して強い効果を持っています。

抗不安作用、静穏作用は強力で、筋弛緩作用は中等度、抗痙攣作用は弱めです。

デパス®/エチゾラムの薬理作用

作用機序は、抑制性のGABAニューロンのシナプス後膜のベンゾジアゼピン受容体に、作動薬として高い親和性で結合し、GABA親和性増大によりGABAニューロンの作用を特異的に増強するものと考えられます。

デパス®/エチゾラムの有効率

神経症、うつ病、心身症の約50~60%に有効という報告があります。

抗うつ効果は、抑うつ神経症に対しては奏功しますが、うつ病の中核症状にはあまり効果が期待できず、抗うつ薬を選択した方がいい場合もあります。

デパス®/エチゾラムの副作用

眠気、ふらつき、疲労感などの報告があります。

まとめ

デパス®/エチゾラムは効果が強く、不安症状によく効きます。

効果が強く、不安症状によく効く半面、依存に注意が必要であることと、短時間作用型であるため、お薬が切れる感じの反跳性の不安の出現に注意する必要があります。

【安定剤】リーゼ®/クロチアゼパムとはどんな薬【抗不安薬】

リーゼ®/クロチアゼパムを処方された方へ

一般名

クロチアゼパム clotiazepam

製品名

リーゼ

剤型

顆粒 10%、錠剤 5mg、10mg

後発品

クロチアゼパム 顆粒 10%、錠剤 5mg、10mg

適応

①心身症(消化器疾患、循環器疾患)における身体症候ならびに不安・緊張・心気・抑うつ・睡眠障害

②麻酔前投薬

③自律神経失調症におけるめまい・肩こり・食欲不振

用法・用量

1日15~30mg、1日3回に分けて内服

麻酔前投薬には就寝前または手術前10~15mg

禁忌

急性狭隅角緑内障、重症筋無力症

半減期

6~18時間

リーゼ®/クロチアゼパムの特徴

ベンゾジアゼピン系抗不安薬に分類される、いわゆる安定剤です。

最高血中濃度は1~3時間程であり、作用発現速度は中等度です。

血中半減期は6~18時間で、作用時間は短時間作用型に分類されます。

抗不安作用の力としては弱めの低力価に分類されます。

抗不安作用だけでなく、静穏作用、催眠作用、筋弛緩作用、抗痙攣作用も比較的弱めです。

リーゼ®/クロチアゼパムの薬理作用

作用機序は、抑制性のGABAニューロンのシナプス後膜のベンゾジアゼピン受容体に、作動薬として高い親和性で結合し、GABA親和性増大によりGABAニューロンの作用を特異的に増強するものと考えられます。

リーゼ®/クロチアゼパムの有効率

頭痛、めまい、耳鳴り等の不定愁訴を認める高齢者の方への有効性が報告されています。

その有効率は頭痛・頭重感で58.8%、めまいで50%、しびれ感で80%、動悸で75%となっています。

抗不安作用も認められています。

リーゼ®/クロチアゼパムの副作用

眠気が約30%、ふらつき約8%、疲労感は約6%ほどの報告があります。

まとめ

リーゼ®/クロチアゼパムは他のベンゾジアゼピンに比べて効果は弱めですが、不安や自律神経系の症状の改善にはしっかり有効性が認められています。

効果が強すぎず、ふらつきや傾眠の副作用が少ないため、高齢者に処方されることもあり、忍容性、安全性は高いお薬です。

【睡眠薬】ベルソムラ®/スボレキサントとはどんな薬【オレキシン受容体拮抗薬】

ベルソムラ®/スボレキサントを処方された方へ

一般名

スボレキサント suvorexant

製品名

ベルソムラ

剤型

錠剤 10mg、15mg、20㎎

適応

不眠症

用法・用量

成人には1日1回20㎎を、高齢者には1日1回15㎎を就寝直前に内服します。

1日1回10㎎での使用は、中等度のCYP3A阻害剤との併用時のみ考慮するものとなっています。

使用上の注意(併用注意)

CYP3Aを阻害する薬剤(ジルチアゼム、ベラパミル、フルコナゾール等)との併用により、スボレキサントの血中濃度が上昇し、傾眠、疲労、入眠時麻痺、睡眠時随伴症、夢遊病等の副作用が増強される恐れがあるとのことです。

半減期

約10時間

ベルソムラ®/スボレキサントの特徴

2014年に発売され、睡眠薬に分類されますが、これまでの睡眠薬とは全く違う、オレキシン受容体拮抗作用という新しい作用機序を持った睡眠薬です。

不眠症診断において、2014年に睡眠障害国際分類(ICSD)が改訂され、これまでの原発性、二次性で分類するという考え方が見直され、種々の疾患に併存する不眠症として診断されるようになりました。

不眠症の診断カテゴリーも簡素化され、慢性不眠障害(週3回以上3ヶ月以上)、短期不眠障害(3ヶ月未満)、その他の不眠障害の3分類になりました。

不眠症の診断、治療も見直される中で、新しい作用機序を持つベルソムラ®/スボレキサントはどんな特徴で、その特徴をどうのように活用できるでしょうか。

・高齢者にも適している

反跳性不眠、認知機能への悪影響、ふらつき、持ち越し症状、退薬症状のリスクが少ないため、高齢者にも使いやすく適しています。

・自然な入眠感覚

入眠させる力はしっかり持っていますが、眠気は徐々に自然に生じ、お薬で眠らされるというより、自然眠りに近い入眠感覚で効果を得ます。

逆にこれまで、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬などほかの睡眠薬を服薬されていた方には、眠くなるまでに時間がかかるように感じるかもしれません。

・睡眠を維持する力があり、睡眠覚醒リズムを改善する

総睡眠時間の延長、中途覚醒の減少作用があり、睡眠覚醒のリズムを改善します。

・いずれお薬をなくしたい場合に中止しやすい

速やかに強い眠気をもたらすベンゾジアゼピン系の睡眠薬と違い、自然な眠りに近く、反跳性の不眠も出現しにくく、依存が生じにくく、中止しやすいため、減薬中止を目指した調整がしやすいお薬です。

ベルソムラ®/スボレキサントの薬理作用

オレキシン受容体拮抗作用にて、睡眠を改善させます。

オレキシンは、食欲の制御、睡眠と覚醒の制御、自律神経系の制御、内分泌系の調整、報酬系への関与など、さまざまな生理機能に関わっています。

オレキシンの生産量は日内変動を示し、夜行性動物であれば夜間に、昼行性動物であれば日中の活動期にオレキシン量が高まります。

つまり、ベルソムラ®/スボレキサントはオレキシンの受容体に働き、夜間のオレキシンの作用を調整することで、不眠を改善させます。

ベルソムラ®/スボレキサントの副作用

傾眠が約5%、頭痛が約4%、疲労が約2%の報告があります。

まとめ

ベルソムラ®/スボレキサントはオレキシン受容体拮抗作用という新しい作用機序をもった睡眠薬です。

反跳性不眠や認知機能への悪影響や副作用、退薬症状が少なく、依存のリスクも低く、やめやすいという特徴を持っています。

不眠の原因を整理して、基礎疾患や睡眠衛生環境を調整したうえで、まずは4~5週ほど睡眠薬を使用し、症状が改善したら、減薬中止するという治療をしてみて下さい。

他の睡眠薬から切り替える際は、反跳性不眠(お薬をやめることで強まる不眠)の予防に気を付ける必要があります。

【安定剤】セパゾン®/クロキサゾラムとはどんな薬【抗不安薬】

セパゾン®/クロキサゾラムを処方された方へ

一般名

クロキサゾラム cloxazolam

製品名

セパゾン

剤型

錠剤 1mg、2mg

散 1%

適応

①神経症における不安・緊張・抑うつ・強迫・恐怖・睡眠障害

②心身症(消化器疾患、循環器疾患、更年期障害、内分泌障害、自律神経失調症)における身体症候・不安・緊張・抑うつ

③術前の不安除去

用法・用量

①1日3~12mg (1日3回に分ける)

②術前の不安除去には手術前に0.1~0.2mg/kg

禁忌

急性狭隅角緑内障、重症筋無力症

半減期

約24時間

セパゾン®/クロキサゾラムの特徴

ベンゾジアゼピン系抗不安薬に分類される、いわゆる安定剤です。

血中半減期は24時間以上で、長時間作用型です。

抗不安作用は強力で、静穏作用は中等度、鎮静作用および筋弛緩作用は弱いです。

パニック発作のような強度の不安にも有効です。

セパゾン®/クロキサゾラムの薬理作用

扁桃核-視床下部-中心灰白質に作用すると考えられています。

セパゾン®/クロキサゾラムの有効率

不安神経症では約90%、強迫神経症で約85%、抑うつ反応で約85%、心身症で約75%の有効率が報告されています。

神経症群、心身症群では、内服開始後1~2週間までに、有効例の90%以上に方に効果がみられ、効果の発現は速やかです。

セパゾン®/クロキサゾラムの副作用

眠気が約6%、ふらつきが約4%、倦怠感が約1%の報告があります。

アルコールとの併用で相互に作用が増強しますので、併用はやめましょう。

まとめ

セパゾン®/クロキサゾラムは効果が強く、不安症状によく効きます。

しかし、漫然と使用することによる耐性形成と依存には注意が必要です。

【安定剤】グランダキシン®/トフィソパムとはどんな薬【抗不安薬】

グランダキシン®/トフィソパムを処方された方へ

一般名

トフィソパム tofisopam

製品名

グランダキシン

剤型

錠剤 50mg

後発品

グランパム、トフィソパム、バイダキシン 錠剤50mg、

適応

自律神経失調症、頭部・頸部損傷、更年期障害・卵巣欠落症状における頭痛・頭重、倦怠感、心悸亢進、発汗等の自律神経症状

用法・用量

1回50mg、1日3回

半減期

1時間未満で12時間後には血中からほぼ消失します。

グランダキシン®/トフィソパムの特徴

ベンゾジアゼピン系抗不安薬に分類される、いわゆる安定剤です。

他のベンゾピアゼピン系薬物と違い、抗コリン作用が弱く、筋弛緩作用も弱いため、急性狭隅角緑内障と重症筋無力症へは禁忌ではありません。(慎重投与になります。)

最高血中濃度は1時間後であり、作用発現速度は中等度です。

血中半減期は1時間未満で、12時間後には血中からほぼ消失し、短時間作用型に分類されます。

グランダキシン®/トフィソパムの薬理作用

自律神経系の緊張不均衡改善作用を有しており、刺激による反応である血管収縮や瞳孔系増大や、ストレス負荷時にみられる交感・副交感神経間の緊張不均衡を改善させます。

鎮静作用、抗不安作用、筋弛緩作用、睡眠増強作用はほとんどありません。

グランダキシン®/トフィソパムの有効率

自律神経失調症、頭部・頸部損傷、更年期障害では約60~70%、卵巣欠落症状では45%の有効率が報告されています。

グランダキシン®/トフィソパムの副作用

眠気・ふらつき、口渇、悪心・嘔吐、脱力・倦怠感等の報告がありますが、約1%とかなり少ないです。

またグランダキシンに限らず、ベンゾジアゼピン系薬物において、脳器質障害のある方では作用が強くでたり、呼吸不全のある方では呼吸機能が低下することがあり注意が必要です。

アルコールとの併用で相互に作用が増強し、併用しないようにしましょう。

まとめ

グランダキシン®/トフィソパムは効果は比較的弱めですが、副作用も少ないため、お薬に過敏な方、副作用が気になる方には使いやすいお薬です。

効果が弱いため、他のベンゾジアゼピン系薬剤と比べると依存のリスクも低めで、中止するときの反跳性不安も少なめと考えていいでしょう。