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摂食障害の治療【認知行動療法③】

摂食障害の治療【認知行動療法③】

食生活日誌を吟味します。

昼食をとばした理由などを詳しく聞いたり、過食を生じた時の情況の記録を見ながら、さらに詳しく振り返ります。

食生活日誌が後日書かず、その直後に正確に書かれることが大切です。食後に正確に記載していきましょう。

小さな達成(成功)を誉める

課題(例えば3回の食事を規則正しくとり、過食を1日2回から1回に減らすなど)をどの程度実施できたかについて食生活日誌にて検討します。

そして1週間に1日でもそれが達成できていれば賞賛しましょう。

この積み重ねが本人の無能感の改善につながります。

毎日の課題達成度を10点満点で評価しましょう。

これは本人の「全か無か」思考を打破するのにも良いでしょう。

というのは本人は1回過食したら2回も3回も同じだと考える傾向があります。

しかし1回でも過食を減らせばその分だけ体に対する害やそれに費やしたお金も節約できます。

この場合これを実感してもらうために、その分を貯金するといいでしょう。

このように食生活日誌にて課題の達成度を検討した後、また次の達成可能な課題を設定しましょう。

目標を高くしすぎると達成できないので、必ず達成可能な課題を与えることが大切です。

そして以下の情報を忘れないようにしましょう。

過食や排泄行動による身体合併症

目標体重は標準体重の85%以上で、極端なダイエットをしないで維持できる範囲にします。

ダイエット、飢餓や低体重が過食の引き金になります。

実際には、規則正しい食生活と過食がある程度コントロールできるまで、維持する体重範囲を決めないでおくのが良いでしょう。

身体合併症については、前回の項をご参照ください。http://lala-mentalclinic.com/kashokusyou/

体重調整としての排泄行動の無効性

嘔吐しても食べた物をすべて出せないこと、下剤や利尿剤の使用は水分を減らすだけで脂肪を減らさないこと、嘔吐は過食の効果を帳消しにし、次の過食の準備段階を形成し、嘔吐をやめない限り過食は止まらないことを理解しましょう。

規則正しい食生活の確立

毎日の生活の中で規則正しい食生活を確立することが最も重要な課題とし、1日3回か4回の食事、間食は1~2回として、決った時刻に食べる習慣をつけます。

時間が来れば空腹感の有無に関係無く食べましょう。

満腹感がないので食物の量はある程度(家族の食べている量を参考)を決めておきましょう。

また1回でも食事を抜くとそれが過食につながることを理解しましょう。

食生活の乱れがひどい場合、例えば1日に1食など、とりあえず2回にするというように段階的に行いやすい条件から規則的な食生活を導入しましょう。

この場合本人は太ると主張するでしょう。しかし過食の回数を減らすことが1日の総摂取カロリーを減らすことにつながることを理解しましょう。

過食しそうな状況や契機を如何に防ぐか

刺激統制法と代替行動に示すように刺激統制法により、過食を引き起こしそうになる食べ物、食事や状況を日頃からコントロールします。

また過食しそうになった時、これを避けるための対策として代替行動を行うようにします。

過食を防ぐ食べ方として、いろいろな工夫があります。

過食を防ぐ食べ方

例えばゆっくり噛んで食べる、噛んでいる間は箸を置く、飲み込むまで次の食べ物に箸をつけない、味を楽しむように食べさせる、食事の間大量の飲み物をとらない、一定の間隔で休ませ、早く食べ終わらない、などです。

嘔吐について、過食の効果を帳消しにするために行われる場合、嘔吐を止めない限り過食は続きます。

このため吐きやすい食べ物を避け、水分摂取を減らします(嘔吐するために大量の飲水をしているからです)。

食後すぐにトイレや洗面所に行かず、10分、20分、30分、1時間と徐々に嘔吐する時間を遅延させましょう。

下剤又は利尿剤については少しずつ減らしていきます。

事項はこちらです。→摂食障害の治療【認知行動療法④】

摂食障害の治療【認知行動療法②】

摂食障害の治療【認知行動療法②】

食生活日誌の記録をつける

食行動の自己観察記録である食生活日誌を毎日記録しましょう。

これは自分自身の食行動の実際を知り、過食に陥りやすい状況を把握するために行います。

実際起こっていることを記録することは問題を明確にし、これを克服していくための第1歩です。

体重測定は週1回行いましょう。

体重測定時の本人の態度で、体重に対する過剰な関心や肥満恐怖の程度が推定できます。

食生活日誌の例

 月 日( )  月 日( )  月 日( )  月 日( )  月 日( )  月 日( )  月 日( )
空腹感
満腹感
間食または
過食の内容
過食の回数(回)
過食の時間
( 時から 分間)
過食前の感情と思考
または過食のきっかけ
嘔吐(回)
下剤(錠)
便回数
睡眠時間
生理
身体のことで
気になること
過食に対する対処
手段と今日1日の
反省

食生活日誌の記載の仕方

これは、あなたの日々の食生活を詳しく知り、治療上役立てるために行うものです。

はじめは面倒に思いますが、すぐに慣れ、役立つことが分かります。

1.最初に食べたり、飲んだりした時刻を記入してください。

2.次に食事や過食中に食べた物や飲んだ物の内容をそのとど記入してください。あとでまとめて書かないようにしてください。

3.摂取カロリーは記載しなくても良いですが、数量についてはおおよそでよいですから記入してください。

4.食べたり飲んだりした場所についても記入して下さい。

5.嘔吐したときや下剤を使用したときには、これを記入してください。

6.あなたの過食のきっかけになったと思うことをできるだけ記入してください。

例えば母親と口論したとか、その他些細なことでもできるだけ記入してください。

そのときの自分の気分についても記入してください。

7.体重を測定したときは、それを記入してください。

事項はこちらです。→摂食障害の治療【認知行動療法③】

摂食障害の治療【認知行動療法①】

摂食障害の治療【認知行動療法①】

最初に断っておきますが、この摂食障害の認知行動療法を行うのは、過食症の人が対象となります。

(過食症と拒食症で対応が異なるので、今回は過食症の人が対象となります。)

まずは第1段階である「摂食行動の正常化」を行い、過食と嘔吐の改善を目指します。

しかし、摂食障害患者の体型や体重に関する過剰な関心や認知の歪みを変えることは容易ではなく、これらは心の発達や成長と密接に絡む為、治療には長期間(年単位)を必要とすることが多いです。

そのため、第1段階の「食行動の正常化」の治療を中心に長期間にわたり実施しながら、その間第2段階の体型や体重に関する歪んだ信念や価値観の修正を行う治療を適宜挿入していくこととなります。

認知行動療法の考え方

神経性過食症の人は、低い自己評価により体型や体重に関して過剰な関心や歪んだ信念や価値観(認知の歪み)を有し、これが肥満恐怖や痩せ願望となり、その結果極端なダイエット、自己誘発性嘔吐、下剤や利尿剤の乱用に至るという「認知行動モデル」仮説に基づいています。

そして過食は極端な食事制限の反動として生じると考えられています。

したがって体型や体重に関する過剰な関心や歪んだ信念や価値観の修正を行うことが、摂食行動異常を改善することになります。

治療目標と構造

治療目標は、摂食行動の正常化と体型や体重に関する歪んだ信念や価値観(認知の歪み)を改めることにあります。

治療構造は3段階からなり、第1段階は過食や嘔吐などの摂食行動異常の正常化を、第2段階は体型や体重に関する歪んだ信念や価値観(認知の歪み)の修正を、第3段階はこれらの変化を持続、強化することを目標として施行されます。

治療を行っていく際に信頼できる主治医の存在は治療経過に大きく作用します。

主治医との信頼関係を基盤として、本人と治療者が過食に打ち勝って正常な食生活を回復するという共通の目的に向かって、共同戦線を張る必要があります。

そして本人が努力して自分自身を変革していく過程において、主治医が情報を与え、提案し、支持を与え、くじけそうになっても激励、勇気づけてもらえる環境があると予後が良くなります。

治療の手順

1)第1段階

病気についての教育と治療に対する動機付けを行い、過食と自己誘発性嘔吐、下剤乱用などの摂食行動異常の改善が目標となります。

本人の症状や徴候を明らかにし、現在の症状を評価します。

そして「治った状態とは」通常の意味での治癒(根治)ではなく、長い間過食がとまっていても、ストレス状況下で再び過食を生じる可能性があること、しかしその場合翌日から正常な食生活に戻れば「治った状態」であることを理解しましょう。この段階で納得しない場合は、この治療法には適していないと判断した方がいいかもしれません。

具体的な摂食行動上の問題を、本人と協力して解決していくというスタイルをとり、達成可能な課題を設定する(例えば1日3回の過食を2回に減らそう、毎日1回なら週に1回過食をしない日をつくるなど)。

そして本人が課題を達成したら、それを誉めましょう。

認知行動療法は、本人が治療に主体的に参加し、その努力の程度に応じてその成果も得られること、全力を傾注すれば必ずよくなることを保証されるとうまくいきます。

また「何度も失敗してしまう。分かっているけどやめられない。」といった心理状態にある場合、「『人生、七転び八起き』、何回挫折してもそれから立ち直ることが重要であること。失敗すること自体は問題ではなく、問題なのはそれから立ち直ろうとしないことであること。立ち直る練習をし、そうする努力を重ねているうちに必ず報われ、自己変革できること。」を理解していきましょう。

くじけそうな本人を常に励まし、勇気づけていく、そして本人は選手で治療者はコーチ、親は応援者のような存在であることもよく理解しておきましょう。

事項はこちらです。→摂食障害の治療【認知行動療法②】

【摂食障害】過食症を治したい!

過食症について

過食症は若い女性を中心に増加しています。

過食症になると、いろいろな身体および精神的な問題を生じ、日常生活に支障をきたします。

過食症は治る病気です。治すためには、まず最初にこの病気についてよく知ることが大切です。

過食症とは

過食症とは自制困難な食べたいという欲求を生じて、ある一定の時間内に大量に食べ物を食べては(1日中だらだらと食べる場合もある)、その後嘔吐(もどす)したり、下剤を用いたり、または翌日食べるのを極端に制限したり、絶食したりして過食による体重増加を防ぎます。

その後に自己嫌悪感、無力感、抑うつ気分などを伴います。そしてこれらのことにより日常生活に支障をきたします。

過食症の原因

過食症の原因については、いまだ十分にわかっていませんが、ダイエットをやりすぎた後や、心理的ストレスが強く、それを自ら解決できないときや、ひどく落ち込んでいるときに生じやすいことが分かっています。

そして一度なんらかのきっかけで過食症になると、これがくせ(習慣)になります。

一度くせになると、ちょっとしたことでも、例えば、イライラしたり、悲しくなったときや怒っているときや、退屈なときに過食するようになります。

過食症によって生じる身体および精神の合併症

過食症によって以下のさまざまな症状がおきます。

・頭痛・けいれん

・虫歯・唾液腺腫脹・耳下腺腫脹

・無気力・抑うつ気分・疲れやすい・自己嫌悪

・食道裂孔

・胃穿孔・胃けいれん

・低血圧・動機・不整脈

・膵炎・低血糖・耐糖能異常

・はきだこ

・月経異常

・腹痛・腹部膨満・便秘・血性下血(下剤乱用)

・脱水・浮腫(むくみ)

・骨粗鬆症

過食症は治る病気です

ではどうしたらよいのでしょうか。

1.まず過食症についてよく知る。

まず、過食症についてよく知ることが大切です。

2.今の自分の状態を知る。

自分の食行動の問題と向き合います。

どのくらいの時間食事にかけていますか。どのくらいのお金を使っていますか。どんな食べ物を1日に食べていますか。食事と過食行為を分けていますか、それとも食事の延長に過食をしていますか。

一度ノートに書きだしてみるといいでしょう。

うつ病や、躁うつ病、不安障害など他の病気が隠れていないでしょうか。

3.ストレスのコントロ―ルスキルを向上させる。

今の生活でどんなことがストレスになっているのでしょうか、誰かに相談はできていますか。

認知行動療法などを取り入れて自分のストレスを対処する能力を向上させることができます。

4.心療内科、精神科のクリニック、病院に相談する。

いろいろ頑張っているけどうまくいかないことが多いと思います。

一人で限界を感じて、あきらめかけている方も多いと思いますが、一度心療内科、精神科で相談してみてはいかがでしょうか。

拒食症を治したい!【神経症性食思不振症】

神経症性食思不振症について

思春期やせ症あるいは拒食症とも呼ばれています。

この病気は若い女性の間で増加しています。

この病気になるといろいろな身体及び精神的な問題を生じ、日常生活に支障をきたします。そして極端な場合は死に至ります。

神経症性食思不振症は治る病気です。

治るためには、まず最初にこの病気についてよく知ることが大切です。

神経症性食思不振症とは

神経性食思不振症とは、精神的な原因より食行動の異常を生じ、極端なやせをきたす病気です。

そして病的にやせているにもかかわらず、やせていると思わず(ボディイメージの障害)、体重増加に対する強い不安、恐怖(肥満恐怖)を示します。

さらにこの状態が病気であることを認めたがらず、治療に無関心か、あるいは治療に抵抗を示します。

しかし、病気が進みますと種々の身体及び精神合併症を生じ、極端な場合は死に至ります。

またこの病気の経過中に自制困難な食べたいという欲求を生じてある一定の時間内に大量の食べ物を食べ(過食)、その後嘔吐(もどす)したり、下剤を用いたりして体重増加を防ぐこともあります。

神経症性食思不振症の原因

神経性食思不振症の原因については、いまだ十分に分かっていません。

心理的ストレス、将来の自立に対する不安(進学、就職、結婚など)、あるいは家庭内不和などにより食欲が低下して食べられなくなったり、「やせてスリムな体型になる」ために過剰なダイエットをしたりして体重が減少します。

これがさらにすすみますと、お腹が空いているにもかかわらず空腹を感じなくなり、少量の食物しか食べれず、さらに体重が減少します。

しかし心の中では何か達成したような気持ちになり、今までの悩みを一時忘れます。

そして毎日体重のこと、食物のカロリーのことで頭の中がいっぱいになり、体重を増えないようにすることが生活上最も重要なこととなります。

そして体重が減れば「成功」したと思い、少しでも増えれば「失敗」したと思うようになります。

その結果、やせや栄養障害により種々の身体的、精神的合併症を生じ、これがさらに食生活に影響を与えるといった悪循環を生じます。

神経性食思不振症の症状

1.食行動の異常(食思不振、不食、節食、かくれ食い、過食、嘔吐など)

2.著しいやせ

3.やせているにもかかわらず、やせているとは思わない。

4.やせているのに少しでも体重が増加すると不安になる。

5.やせているにもかかわらず、体重が増えないように運動する。

6.自信をなくしたり、無気力、抑うつ状態になる。

7.友達や友人から孤立していく。

8.無月経

9.脱毛

10.うぶ毛が濃くなる

11.低体温

12.脈拍が遅くなる(1分間に60回以下)

13.低血圧

拒食症によって生じる身体および精神の合併症

脳萎縮・けいれん・失神

脱毛

低身長

不眠・集中力低下・疲れやすい・ゆううつ気分・いらいら

聴覚過敏

虫歯・味覚障害

うぶ毛の密生・皮膚かんそう

低血圧・徐脈・不整脈

血液障害

肝・膵機能障害

便秘

腰痛

無月経・性欲低下

手が冷える・冷え性・寒がり

歩行困難(筋萎縮)・骨粗鬆症

むくみ(浮腫)・脱水

神経性食思不振症は治る病気です

治療法として精神療法、行動療法、身体療法(薬物、輸液など)をその人の状態により組み合わせて行われます。

治療目標はまず正常な食事パターンと体重の回復とし、これは食事教育プログラムにより、「本人が自分で適切に食事をすることを学んでもらう」ことにより達成してもらいます。

しかし、体重がある程度回復するだけでは十分でなく、次の段階では社会(家族、学校、職場)で不適応を起こした心理的問題の解決と新しく適応することを練習してもらいます。

これらの治療目標を達成するには、まず神経性食思不振症についての正しい知識と理解が必要です。

そして親の食事をめぐる叱責や脅迫めいた説得は、効果がないだけでなく親子間の関係をさらに悪化させますので、しないようにしましょう。

「患者自身が適切に食事をすることを学び実行すること」について、家族の忍耐強い協力と心の成長を温かく見守るという姿勢が必要です。

冬になるとうつになる?!【季節性感情障害】

季節性感情障害とは

毎年秋から冬にかけて抑うつ状態を呈し、春には回復することを繰り返す人たちが見いだされ、季節性感情障害seasonal affective disorder(SAD)と命名され、光療法が有効であることが1984年に報告されました。

日本でも1988年に本症例が初めて報告されて依頼、多数の報告がなされています。

報告されたSADの特徴

・発症年齢は20歳代前半であり、女性に多い。(男:女=1:4以上)

・発症時期は秋分以降に見られ、症状の極期は1~2月に集中し、自然寛解期は春分以後が多い。

・遺伝負因の可能性が比較的高く、親族の発症はSAD14~23%、感情障害25~58%、アルコール症8~36%との報告があります。

・SADではうつ病の主症状である抑うつ気分と行動抑制がみられるほか、過眠、過食、体重増加、炭水化物渇望などの非定型的症状が特徴的です。

・緯度が上がるに従い発生頻度上がり、北半球から南方への転地により改善することがあります。

予後

長期経過を観察すると、季節性が維持されるのは20~40%と決して多くはありません。季節性が変化する群はそれだけ重症であり、光療法に対する反応性も不良であるかもしれません。

治療

光療法

光療法や薬物療法、認知行動療法を行います。

光療法にて、2000ルックスという高照度光がメラトニン分泌を抑制し、症状改善させる可能性があります。

光療法の効果は33~77%と言われています。

薬物治療

SADの治療には一般的に抗うつ薬が有効です。

疲労感や眠気が増す薬は避けるべきなので、こうした副作用の少ないSSRIという種類の抗うつ薬が主に使われています。SADの場合、秋に抗うつ薬を飲み始め、春になったらやめるのが一般的です。

光療法のその他効果

光療法(phototherapy, light treatment)は、最初に季節性感情障害に施行され、その高い臨床的効果が示された。季節性感情障害以外にも下記の状態、症状にも使用され、臨床的有効性が示されています。

①非季節性の気分障害

②概日リズム睡眠障害

③月経前症候群

④摂食障害

⑤痴呆に随伴するせん妄や行動異常

⑥交代勤務者にみられる焦燥や機能低下

⑦時差症候群

⑧季節性変動のある強迫性障害

ラミクタール®/ラモトリギンを処方された方へ

ラミクタール®/ラモトリギンとは

ラミクタール®/ラモトリギンはもともと、成人や小児の全般または部分発作に対する抗てんかん薬の補助薬として開発されました。

2003年に、アメリカで米国食品医薬品局(FDA)が躁うつ病(厳密には双極I型障害)の維持療法として認可しました。日本では2008年に発売されました。

ラミクタールには、長く安定した気分を維持する効果が確認されており、気分の波の中で落ち込む状態、つまりうつ状態の出現を予防する点で、効果を発揮します。

躁うつ病では、これまで維持療法としてリチウムが一般的に多く使用されてきましたが、リチウムと比較しても、耐容性や安全性、便利さの点でラモトリギンが優れています。

また、リチウムは治療効果と副作用発現予防のために、血中濃度を測定する必要がありましたが、ラモトリギンによる治療では、代謝作用や神経学的作用とは有意な関連はなく、血中濃度の測定を必要としません。

リチウムに劣る点としては、ラミクタールには急性期に即効性の抗躁作用は期待できないということです。

ラモトリギンの薬理学的作用

ラモトリギンの生態利用率は98%で、定常状態における半減期は25時間です。

しかし、その代謝速度は併用薬剤により大きな影響を受け、6倍以上の幅で変化してしまいます。

食物は吸収に影響を及ぼさず、血中で55%がタンパク質と結合し、ラモトリギンの94%と、その不活性代謝産物が尿中に排泄されます。

ラモトリギンは電位依存性ナトリウムチャンネルを遮断し、グルタミン酸やアスパラギン酸の放出を調整するといわれています。

そして、セロトニン再取り込み阻害作用を通して、セロトニンの血中濃度を穏やかに上昇させると考えられています。

セロトニン-5HT3受容体の弱い阻害作用も有しています。

ラモトリギンの治療適応

躁うつ病(双極性感情障害)

ラモトリギンは躁うつ病の治療に使用され、うつ状態の時期(うつ病相)、と躁状態の時期(躁病相)の間隔を延長させる可能性があります。躁病相の間隔よりも、うつ病相の間隔を延長させることに対してより効果を発揮します。

うつ状態と躁状態が急速に移り変わるラピッド・サイクラー型双極性障害の治療においても効果的です。

その他の適応

情緒不安定性パーソナリティ障害や、境界性パーソナリティ障害、さまざまな疼痛症候群の治療においても効果的という報告がみられます。

ラモトリギンの注意点と有害作用

ラモトリギンは非常に耐容性の高い薬剤です。鎮静や体重増加、その他の代謝作用がないという特徴は長期的に内服する場合においても非常に良い点です。

有害作用で最も頻度が高いのは、めまい感、ふらつき、傾眠、頭痛、悪心などですが、そんなにひどく有害作用が出ることは少ない薬剤です。

注意すべきは発疹

発診のみられる頻度が高く、時に重篤になるため注意が必要です。

ラモトリギンを開始した方の約8%ほどで、発診がみられ、良性も多いのですが、時にスティーヴンズ・ジョンソンン症候群や、中毒性表皮壊死症の初期症状である可能性があり、発疹が出たら、すぐに服薬を中止し、主治医に相談するか、皮膚科を受診しましょう。

そういった、重篤な発疹の出現率については、0.08%とする報告があります。

他のお薬の補助薬として使用された場合は、若干出現率があがるとする報告もあります。

投与開始量が多い場合や、増量の速度が速い場合に、発疹の出現が増加する傾向があります。

バルプロ酸(デパケン®、セレニカ®)と併用している場合もリスクを上昇させるので、併用は慎重に行われます。

小児や16歳以下での発疹の発現率の上昇の報告もあります。

また、4日以上連続して、内服しない状態になった場合は、同じ量で再開せずに、投与開始量から始める必要があります。

ラモトリギンと妊娠

ラモトリギンは、妊娠した方にも多く投与されています。

そのデータによると、ラモトリギンは、ヒトにおける先天奇形に関係がないとされています。妊婦さんには非常に優しいお薬です。

まとめ

ラモトリギンは皮疹の発現に注意していれば、非常に効果、耐容性に優れたお薬です。

先天奇形に関係がないとされていることも、妊婦にとっては非常に有益な特徴と言えるでしょう。

服用については主治医としっかり相談し、少しでも症状が楽になることを願います。

【依存】安定剤、睡眠薬、このまま続けていいの?【耐性】

安定剤や睡眠薬の依存や耐性、長期使用について

日本は諸外国と比べて安定剤、睡眠薬を多く使っている

現在日本で処方される安定剤、睡眠薬の多くはベンゾジアゼピン系薬剤という分類に含まれます。

国際麻薬統制委員会という機関が、各国の人口あたりの服薬量を単位化し、比較したデータがあります。

そのデータによると、国民一人当たりのベンゾジアゼピン系睡眠薬の服薬量の多さを比較した場合、ここ数年でも日本は世界で3位以内に入ります。

健康保険の制度の違いはあれど、それだけ日本は安定剤や睡眠薬が使われているという事実はあります。

 

ベンゾジアゼピン系薬剤とは

ベンゾジアゼピンは分子構造からその名称を得ています。

ベンゾジアゼピン受容体と称される受容体において共通の作用を有しており、それを介してγアミノ酪酸(GABA)の作用を調整します。

ベンゾジアゼピン系薬剤の作用

ベンゾジアゼピン系薬剤は急速な抗不安、鎮静作用をももつので、通常は、不眠、急性期の不安、他の精神疾患による興奮や不安の緊急治療に最もよく用いられます。さらに、麻酔薬、抗けいれん薬、筋弛緩薬としても用いられます。

このように、ベンゾジアゼピン系薬剤は医療において必要なお薬なのです。

しかしながら、精神依存と身体依存のリスクがあり、長期使用は、精神療法と並行して行い、代替薬が試され、無効であることが証明されるか、耐容性がきわめて低かった(副作用等で他の薬剤が継続できないなど)場合に行うことになっています。

処方できる薬剤の種類が日本だけ極端に少ないことはないので、日本で処方量が多いのは、処方する医師の意識の問題は少なからず影響していると思われます。

 

ベンゾジアゼピン系薬剤一覧

ベンゾジアゼピン系抗不安薬(商品名:50音順)

アルプラゾラム、コントール、エチゾラム、エリスパン、オキサゾラム、クロチアゼパム、クロルジアゼポキシド、コレミナール、コンスタン、ジアゼパム、ジアパックス、ジメトックス、セニラン、セパゾン、セルシン、セレナール、セレナミン、ソラナックス、デパス、デゾラム、バランス、ホリゾン、メイラックス、メダゼパム、メレックス、メンドン、ランドセン、リーゼ、リボトリール、レキソタン、レスタス、レスミット、ロフラぜプ酸エチル、ロラゼパム、ワイパックス

ベンゾジアゼピン系睡眠薬(商品名:50音順)

エスタゾラム、エバミール、塩酸リルマザホン、クアゼパム、グッドミン、サイレース、ソメリン、ソレントミン、ダルメート、ドラール、トリアゾラム、ニトラゼパム、ネストローム、ネルボン、ノクスタール、ハルシオン、ハルラック、フルニトラゼパム、ブロチゾラム、ベンザリン、ユーロジン、リスミー、レンドルミン、ロヒプノール、ロラメット

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(商品名:50音順)

アモバン、アモバンテス、ゾピクロン、ゾルピデム酒石酸塩、ドパリール、ルネスタ、マイスリー

(非ベンゾジアゼピン系睡眠薬はベンゾジアゼピン系薬剤でありませんが、臨床効果がベンゾジアゼピン受容体と一体化しているGABA受容体複合体の結合ドメインとの相互作用により生じ、ベンゾジアゼピンと同じような鎮静作用を選択的に有しています。なお、ベンゾジアゼピン系薬剤に比べ、筋弛緩、抗けいれん作用が比較的弱く、耐性の発現や、反跳性の不眠を起こしにくい特徴を有しています。)

 

ベンゾジアゼピン系の治療適応

不眠

身体疾患によっても精神疾患によっても不眠はおきますが、大切なのは不眠の原因を徹底的に追及して、必要最小限の使用にとどめておくということです。ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、それぞれ半減期が異なるため、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒などのどの睡眠障害かを判別したうえで、薬物を選択することになります。非ベンゾジアゼピン系睡眠薬や、耐性がほぼ生じないメラトニン受容体作動薬(ロゼレム)、オレキシン受容体拮抗薬(ベルソムラ)から使用する選択肢もあります。

不安障害関連(全般性不安障害、パニック障害、社会恐怖)

ベンゾジアゼピン系薬剤は、不安障害に関連した不安の除去に効果的です。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)も治療選択肢になりますが、ベンゾジアゼピン系薬剤は、即効性と、明らかな性機能障害や体重増加が起きないという副作用の点では優れています。ベンゾジアゼピン系薬剤とSSRIを併用して、急性期の症状を改善させ、ベンゾジアゼピン系薬剤は減量・中止していく意識を持つことが大切です。但し、再発のリスクが高く、慢性化するような状態には長期に維持が必要となる場合もあるので、使用量や種類の調整を主治医としっかり相談して行っていく必要があります。

その他多くの精神疾患

その他、適応障害、神経症、身体表現性障害、うつ病、双極性感情障害、統合失調症など、様々な精神疾患に対して、抗不安、抗不眠、鎮静目的などで使用されます。

 

注意点と有害作用

ベンゾジアゼピン系薬剤で最も頻度が高い有害作用は眠気で、約10%ほどみられます。服用期間中は自動車の運転や危険な機械の使用は制限されます。

また、めまい、ふらつきも出現しやすく、特に高齢者においては転倒の原因になります。アルコールの併用により、有害作用が増加し、著しい眠気や脱抑制、そして時には呼吸抑制も起こしえます。

時には作業能率、集中力の低下につながるような認知障害を起こすこともあります。ベンゾジアゼピン系睡眠薬を内服した後にその後の記憶がなくなる前向健忘が出現することがあります。

耐性、依存性、離脱

ベンゾジアゼピン系薬剤を、中等量で1~2週間使用する場合は重篤な耐性、依存性、離脱症状は一般的には出現することはありません。

ベンゾジアゼピン系薬剤の離脱症候群の出現は、使用期間、投与量、減量の割合、半減期などによって変わってきます。

ベンゾジアゼピン系薬剤の離脱症状

ベンゾジアゼピン系薬剤の離脱症状としては、不安、神経質、発汗ん、落ち着きのなさ、易刺激性、疲労感、ふらつき、振戦、不眠、脱力感、などがみられます。

特に、半減期の短いベンゾジアゼピン系薬剤を突然中止すると、離脱症状が生じやすくなります。

重篤な症状になると、うつ状態、妄想、せん妄、けいれんが起こることがあります。ただし、重篤な症状は、高用量で長期間使用していた場合に見られることがあり、頻度は多くはありません。

 

ベンゾジアゼピン系薬剤の中止の仕方

投与を中止する際には1週間で25%ずつのゆっくりとした減量が必要です。急な減量や中止は、症状の再発や反跳が起こりやすく、離脱症状が起こることがあります。

 

まとめ

ベンゾジアゼピン系薬剤は治療において、非常に効果的で有効な場面が多く、臨床においては必要なお薬である一方で、長期使用による、依存・耐性を意識して減量中止できる場合はしっかり減量中止していくということが大切です。

小児のストレス症状と漢方治療

小児のストレス症状と漢方治療

漢方医学における病気の原因

漢方医学からみた、病気の原因は3つあります。

・「外因」という気象ストレス

・「内因」という精神ストレス

・「不内外因」という食事・生活ストレス

小児のストレスによって生じる疾患について、漢方医学では、カウンセリングなど精神心理的なアプローチの時間が十分に取れない場合でも、精神身体的な治療を優先し、身体を元気にすることで、健全な精神を育み、やがて健全な精神が身体バランスをコントロールして健康にするという考え方が根底にあります。

小児のストレスの特徴

小児は両親や周囲に依存して生きていかざるをえないため、ストレス環境を自らコントロールすることが困難であり、過去から学び未来を予測することも困難なので、不安や恐怖を抱きやすくなりストレスに弱いという特徴があります。

両親が心身ともに安定し、愛情のこもった養育ができる状況であれば、適切なストレスは小児を成長させる糧となりますが、両親や家庭環境そのものがストレスの場合や、親からの適切な養育や教育的指導が受けられない場合には、ストレスをうまく処理できず、自責的にとらえて、不安や緊張が潜在的に持続し、精神発達に影響して、ストレス症状が慢性的に出現するという特徴を持っています。

さらに小児は、不安や恐怖を言語化し難いために、泣いたり易怒性が高まったり、感情が不安定になるだけでなく、さまざまな身体症状で表現しやすい傾向があります。

具体的には、食思不振、嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、便秘、頭痛、口渇、発汗、めまい、頻尿、動悸、過呼吸、全身のふるえ等の症状があります。

年齢ごとのストレスによって生じる症状の特徴

乳幼児期

物音に過敏になり、夜泣きがひどくなる、退行(赤ちゃん返り)、繰り返す同じ質問などがみられます。

学童期

頭痛、嘔気、下痢、便秘、腹痛、ひきこもりなどがみられます。

思春期

自尊心が傷つきやすく、羞恥心も強くなり、ストレス症状を隠そうとし、成績低下、不登校、非行などがみられます。

ストレスの病態生理

肉体的、精神的、なストレスにより、大脳辺縁系、間脳下垂体・副腎系や自律神経系が反応して、呼吸や心拍を増加させ、ストレスホルモン分泌を促進して、交感神経優位となり、さらに抗ストレスホルモンであるステロイドホルモン分泌を促進して副腎肥大となります。

免疫系では胸腺萎縮、リンパ球減少をきたします。

ストレス反応のステージの特徴

警告反応期

ストレスに反応して交感神経優位となる時期です。

抵抗期

抗ストレスホルモンによってバランスを取り安定しようとする時期です

疲憊(ひはい)期

ストレスが解消せずに長引くことで、生体の防御機構が破綻しリンパ球が減少し、免疫低下をおこす時期です。

その後、ストレスホルモン過剰の状態が続くと、全身的に疲労困憊するだけでなく、精神神経医学的にも、脳の神経細胞が萎縮し、初期に認められた闘争・逃避反応が減少して、不安がつのり、無力感、感情鈍麻、抑うつ状態となります。

ストレスに対する漢方治療

芍薬や甘草を含む漢方薬により、ストレスホルモン分泌を抑制する神経系の活動を高める作用が期待できます。

小建中湯や、桂枝加芍薬湯、四逆散などの漢方薬は、交感神経の過緊張をといて、熟眠効果を期待できます。

また、甘草のステロイド作用持続効果より、抗不安作用を期待できます。ストレス反応期の抵抗期を長く維持し、ストレスを長引かせる不安を改善する作用を期待できます。

小児の漢方治療

小児は漢方医学的にみると、肝と心が元気で、脾(消化器系)と肺、腎が未熟で脆弱な状態にあると考えます。

ストレス反応によりバランスが破綻した疲憊期の症状は、疲労と意欲低下が脾虚、不安は恐怖は腎虚、免疫力低下は肺虚とみます。

基本は小建中湯

小建中湯には補脾、補肺、補肝陰の作用があるため、ストレス反応の初期から認められる交感神経系の過緊張である肝気亢進を緩和しながら、補脾によって疲労を改善して意欲を高める効果が期待できます。

その他、桂枝加芍薬湯、四逆散、抑肝散、抑肝散加陳皮半夏、補中益気湯なども効果が期待できます。

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レメロン®、リフレックス®/ミルタザピンを処方された方へ

ミルタザピンとは

ミルタザピンはノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(noradrenerigic and specific sertonergic antidepressant:NaSSA)として、海外のガイドラインでうつ病治療の第一選択薬として推奨されているお薬です。

日本では2009年に臨床導入され、処方されるようになっています。

ミルタザピンの受容体親和性と薬理作用のお話。どんなふうに効くのか。

他の三環系抗うつ薬(昔からある抗うつ薬で効果もあるが副作用が強い)や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor:SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(serotonin-noradrenaline reuptake inhibitor:SNRI)と違って、ミルタザピンはモノアミン【ルアドレナリン(NA)、ドパミン(DA)、セロトニン(5-TH)】の再取り込み阻害作用を一切持っていません。

一方で、α2アドレナリン受容体阻害作用、5-HT2A受容体阻害作用、5-HT2c受容体阻害作用、5-HT3受容体阻害作用、ヒスタミンH1受容体阻害作用を有し、それぞれ臨床効果、副作用と関連があります。

また、ムスカリン性アセチルコリン受容体、α受容体に対する親和性がないため、一般的に抗うつ薬に多く見られる口渇、便秘、認知機能障害等の副作用を有さないという利点があります。

ミルタザピンのα受容体阻害作用

ミルタザピンのα受容体阻害作用により前頭葉皮質の細胞外ノルアドレナリン濃度と細胞がドパミン濃度を増加させ、抗うつ効果を発揮します。SNRIと併用することで、SNRIによって前頭葉皮質で増加する3つのモノアミン(ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニン)の細胞外濃度をさらに増加させ、抗うつ効果を増強させる可能性があります。

ミルタザピンの5-HT 2c受容体を介した作用

ミルタザピンの5-HT2c受容体阻害作用は前頭葉の細胞外ノルアドレナリン、ドパミン濃度増加作用を有します。抗不安作用、深睡眠の増加が期待できますが、一方で食欲亢進、体重増加への影響があります。

ミルタザピンの5-HT2A受容体を介した作用

ミルタザピンの5-HT2A受容体阻害作用は深睡眠の増加への作用を期待できます。

ミルタザピンの5-HT3受容体を介した作用

ミルタザピンの5-HT3受容体阻害作用により吐き気を抑える効果を期待できます。

ミルタザピンのヒスタミンH1受容体を介した作用

ミルタザピンのヒスタミンH1受容体阻害作用によって、鎮静、眠気、体重増加、低血圧の影響が出現する可能性があります。

ミルタザピンによる個別的治療の実際

ミルタザピンの有効性

解析研究の結果によると、治療開始後2週間でのミルタザピンは三環系抗うつ薬と比べて反応と寛解について有意差がなく、SSRIと比べると反応と寛解ともに有意に優れていました。

つまり、SSRIより即効性があり、他の抗うつ薬と効果は同等の力をもっていると考えていいでしょう。

また、抗うつ薬単剤での治療で改善しないうつ病の方に、ミルタザピンを上乗せすることで反応率、寛解率ともに有意な改善効果が見られており、SSRIによる治療効果が不十分であった場合に、ミルタザピンへの変薬もしくは上乗せによる増強療法によて改善が期待できます。

ミルタザピンの注意しておく副作用

眠気や、食欲亢進、体重増加などがあります。

まとめ

中等度以上のうつ病へは薬物療法が推奨されているが、ミルタザピンは三環系抗うつ薬と同等の有効性を示しており、SSRIに比べて早期の効果発現、睡眠作用があり、消化器症状や性機能障害が少ないのが特徴です。

副作用としての眠気と、食欲亢進、体重増加を考慮して使用されることで、ミルタザピンの有効性が最大限に生かされるでしょう。