「漢方薬による治療」カテゴリーアーカイブ

【五苓散】めまいと耳鳴りの漢方治療【柴苓湯】

めまいや耳鳴りは、皆さんもこれまでに経験したことがあるのではないでしょうか。

めまいや耳鳴りはつらいですが、非常に多くみられる症状です。

まずは原因の病気を診断してもらい、治療することが大切ですが、めまいや耳鳴りに西洋薬が効きづらい場面もあり、漢方治療が使用させるこもと多いです。

例えば、メニエール病や副腎皮質ステロイド依存性難聴などの病気は、副腎皮質ステロイドを長期的に使用する必要がありますが、漢方薬の柴苓湯を併用することで、副腎皮質ステロイドの投与量を軽減できる可能性があります。

柴苓湯にはサイコサポインという物質が含まれており、これが副腎皮質ステロイドと構造的に似ており、副腎皮質ステロイド様の作用が期待できるからです。

 

めまいへの漢方治療

五苓散

内耳性の病態で、内耳障害・メニエール病、遅発性内リンパ水腫、突発性難聴で出現するめまいに効果が期待できます。

口渇、悪心、嘔吐、頭痛などの症状改善にも効果が期待できます。

柴苓湯

炎症性や内耳性急性期の病態で、前庭神経炎、メニエール病の急性期、遅発性内リンパ水腫の急性期、ハント症候群などで出現するめまいに効果が期待できます。

食思不振、胃腸障害、浮腫などの症状改善にも効果が期待できます。

桂枝茯苓丸

循環障害や筋障害の病態で、中枢性頭位めまい、椎骨脳底動脈循環不全、頸性めまいなどで出現するめまいに効果が期待できます。

肩こりなどの症状改善にも効果が期待できます。

加味逍遙散

心因性、自律神経失調の病態で、血管異常によるめまいや、心因性に出現するめまいに効果が期待できます。

不眠・不安・イライラなどの症状改善にも効果が期待できます。

小建中湯

起立性調節障害や子供のめまいの症状に効果が期待できます。

小中学生の朝の寝起きの悪さ、たちくらみ、頭痛、腹痛、全身倦怠感などの症状改善が期待できます。

疾患別めまいへの漢方治療

メニエール病

急性期の症状に対しては副腎皮質ステロイド様の効果が期待できる柴苓湯に症状改善効果が期待できます。

寛解期に入ったら、五苓散に切り替えて、再発予防効果を期待します。

動悸や不安などの症状も見られるような方は加味逍遙散や当帰芍薬散などへの切り替えもしくは併用により症状改善が期待できます。

耳鳴りへの漢方治療

五苓散

耳鳴りも主に水の滞りが原因であることが多く、利水作用(水分のバランスを整える作用)のある五苓散が症状改善に効果が期待できます。

メニエール病や、リンパ水腫でみられる耳鳴りの症状改善を期待できます。

釣藤散

高齢の方で、耳鳴りがひどくて眠れないなどの症状改善が期待できます。

頭痛や高血圧がみられる方への効果も期待できます。

牛車腎気丸、八味地黄丸

高齢者での耳鳴り、しびれを伴うような難聴、耳鳴りの症状改善に効果が期待できます。

六君子湯、半夏白朮天麻湯

気力低下や食思不振を伴うような、耳鳴りの症状改善を期待できます。

抑肝散、加味逍遙散、柴胡加竜骨牡蠣湯

心身性の不安、抑うつ気分、イライラなどを伴うめまい、耳鳴りの症状改善を期待できます。

漢方治療の効果判定

漢方治療は長期間必要といわれますが、めまいと耳鳴りの漢方治療において、早ければ3日、だいたい2週間以内で効果が出現することが多く、2週間飲んでも全く変わらなければ他の薬に変えてみるのもいいでしょう。

漢方服用時の注意点

甘草という生薬成分を含む漢方薬を継続内服することで、まれに偽性アルドステロン症という副作用がでることがあります。

特に高齢者は副作用が出やすいため、定期的な採血をすることと、内服量を少なめにするという対応が望ましいと思われます。

五苓散には甘草は含まれないので比較的安心して内服できるでしょう。

まとめ

めまい・耳鳴りというなかなか通院していても改善しにくい症状に対して漢方治療は注目されています。

めまいや耳鳴りで通院していてもなかなか症状が改善しない場合は、まず五苓散を使用してみて症状改善するか評価する選択肢はありだと思います。

 

【漢方治療】フレイルとは何か?【心療内科・精神科編】

フレイルとは?

フレイルとは、高齢者における健常な状態から要介護状態に陥るまでの中間的な段階と考えられています。

分かりやすくいうと、健康から死までを数直線で表した時に、

健康→フレイル(虚弱)→身体機能障害→死

という位置づけになります。

Fraility=フレイルを翻訳すると「虚弱」になりますが、虚弱という表現はより要介護状態に近く、不可逆的な印象を与えるという懸念から、2014年に日本老年医学界によりフレイルという表現が提唱されました。

フレイルの特徴

フレイルの特徴として、加齢による生理的予備能の低下によってストレスに対する脆弱性が亢進し、生活機能障害・要介護状態・死亡などの転帰に陥りやすい状態になります。

しかし、フレイルは可逆性であり、適切な介入により再び健康な状態に戻ることができるのです。

フレイルにおける身体的問題

筋力の低下、動作の俊敏性の低下、転倒リスクの増加などが見られます。

フレイルにおける精神・心理的問題

認知機能障害やうつ状態などが見られます。

フレイルにおける社会的問題

独居、経済的困窮などがみられます。

フレイルへの対策

フレイルへの対策については運動療法と栄養療法が大きな柱になります。

その為、フレイルに対しては医師だけでなく、薬剤師や看護師、管理栄養士、療法士、ソーシャルワーカーなど様々な職種の連携によるサポートが必要なのです。

フレイルの診断基準

フレイルの評価基準はさまざまなものが提唱されていますが、現在最も多く用いられているのはアメリカで提唱されている診断基準です。

身体機能・身体活動に関する3項目と自覚症状に関する2項目から診断します。

身体機能・身体活動の低下に関連する3項目

①力が弱くなった(握力の低下)

②活動量の低下(不活発)

③歩く速度が遅くなった。

自覚症状に関する2項目

④疲労感

⑤体重減少

フレイルの判定

健常高齢者

これら5項目いずれにも該当しないもの

プレフレイル

1または2項目に該当するもの

フレイル

3つ以上に該当するもの

フレイルへの漢方薬の活用

漢方医学には「未病」といわれる考え方があります。

「未病」とは「未だ病にならざる」、つまり病気と健康な人の中間の状態です。

未病の段階で、漢方薬と生活指導により介入することでフレイルを防いだり、可逆性であるフレイルから健康な状態に戻していくのです。

食欲不振、体力低下、疲労感への漢方

六君子湯:食思不振、元気のなさにおすすめです

補中益気湯:疲労感や倦怠感、食思不振におすすめです

十全大補湯:虚弱体質や食思不振におすすめです

人参栄養湯:体力低下や疲労感、倦怠感、咳嗽などにおすすめです

元気がない、気力低下、抑うつ気分、不安、不眠への漢方

帰脾湯:倦怠感や意欲低下、食思不振、くよくよ悩むような症状におすすめです

加味帰脾湯:倦怠感や、くよくよ悩むような方におすすめです

筋力低下、歩行困難、脱力感、腰痛といった身体症状への漢方

八味地黄丸:下半身中心の冷えが目立つ、腰痛、夜間頻尿がある方におすすめです

牛車腎気丸:冷え、むくみにおyる関節痛や腫れにおすすめです。

イライラ、喉のつまり、めまい、情緒不安定さへの漢方

抑肝散:イライラや不安感、不眠におすすめです

抑肝散加陳皮半夏:イライラ、不安感、不眠、食思不振などにおすすめです

半夏厚朴湯:喉のつまり、不安感などにおすすめです

半夏白朮天麻湯:めまいやふらつきが見られる方におすすめです

高齢者が漢方を内服する際の注意点

漢方によっては「甘草」という生薬を含むものがあり、甘草により偽アルドステロン症という状態がみられることがあります。

1日量の総力で2.5gを超えると、低カリウム血症が見られやすいといわれています。

漢方を長期的に内服する場合は定期的に採血を受ける用が望ましく、むくみに気を付けておきましょう。

十全大補湯などに含まれる生薬の「地黄」によって胃部不快感や食思不振が見られることがあるので注意しておくといいでしょう。

漢方はさまざまな生薬で構成されており、多く内服すればいいわけではありません。

漢方薬の内服に際しては、1剤ないしは2剤にしておくのがいいでしょう。

また、症状が続く場合は、早めに受診して相談されることをおすすめします。

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【アルツハイマー病】認知症と人参養栄湯【漢方治療】

増える認知症

1907年にアルツハイマー病が報告され、日本政府の推計では、2025年には、認知症の方が約700万人にのぼるとされています。

そのため、認知症への理解を深めるとともに、家族が関わり、環境を整えて支えていく仕組みが必要となっています。

その中で、認知症の進行を予防できることは経過に大きくかかわります。

認知症のタイプ別割合

認知症のタイプ別での患者数の割合は

アルツハイマー型認知症 約45%

脳出血・脳梗塞など脳血管障害による血管性認知症 約22%

幻視やうつ状態、パーキンソニズムのみられるレビー小体型認知症 約18%

混合型認知症 約6%

その他の認知症 約8%

といわれています。

アルツハイマー型認知症の発症機序

アルツハイマー型認知症の病理学的特徴として、アミロイドβを主な構成成分とする老人班の出現、神経原線維変化、ニューロン死などが関係しているといわれています。

その原因として、Aβの凝集沈着が神経原線維の変化やニューロンの消失、認知機能の低下を引き起こすとされる「アミロイドカスケード仮説」が有名です。

Aβがアルツハイマー病の病因因子として認知されていますが、1992年に「Aβ仮説」、1998年に「可用性Aβオリゴマー仮説」と提唱され、Aβ凝集過程の中間体である「可溶性Aβオリゴマー」が病態に関与するという考えが広まりつつあります。

アルツハイマー型認知症の治療薬

現在日本で承認されているアルツハイマー型認知症の治療薬は、コリンエステラーゼ阻害薬のアリセプト®/ドネペジル、レミニール®/ガランタミン、イクセロン®、リバスタッチ®/リバスチグミンです。また、NMDA受容体拮抗薬のメマリー®/メマンチンがあります。

しかし、これらのお薬は対症療法であり、アルツハイマー型認知症の発症そのものを抑えることが難しく、現在もお薬の開発が進んではいますが、まだアルツハイマー型認知症の発症を抑えるお薬はできていません。

このような状況の中で、アルツハイマー型認知症への漢方治療が注目されています。

抑肝散がアルツハイマー型認知症を含む認知症20~80%でみられる興奮・不穏状態などの認知症の周辺症状(BPSD)を改善させたという報告がります。

また、抑肝散加陳皮半夏の研究から認知機能の改善を促すなどの認知症の改善を示唆する報告もあります。

さらに人参養栄湯が認知機能を維持する効果として注目されています。

人参養栄湯の薬理学的効果

陳皮のヘスペリジンやナリルチンが活性本体として、エミリン形成不全と脱髄の回復に有効であるといわれています。

人参養栄湯の構成生薬である陳皮のヘスペリジンやナリルチンが、脱髄の回復に関係するFcRγ/Fynを活性化させることで、結果的にオリゴデンドロサイト前駆細胞を、ミエリン形成可能なオリゴデンドロサイトへと分化させると考えられています。

このような作用機序で、人参養栄湯は変性したミエリンを回復させたり、シナプスの消失やその機能障害、ニューロンの消失を阻止することで、脳機能を守っていると考えられています。

アルツハイマー型認知症と人参養栄湯の研究

軽度から中等度のアルツハイマー型認知症の方を対象として、ドネペジル単独効果不十分の方への人参栄養湯を投与した比較試験では、人参栄養湯を併用した群の方が認知機能が維持、抑うつ気分の改善がみられたとの報告があります。

まとめ

早期のミエリン修復がアルツハイマー型認知症の治療において、重要な役割を果たすと考えられており、ミエリンに働きかけ、脳機能を守ることが示唆さる人参養栄湯が注目されています。

生薬に陳皮が配合されている、人参養栄湯や抑肝散加陳皮半夏などは認知症の周辺症状の改善のみならず、ミエリン変性の回復によるアルツハイマー型認知症の治療効果が期待できるかもしれません。

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【大建中湯】慢性便秘の漢方治療【大黄甘草湯など】

慢性便秘の漢方治療

日本では10人に1人、全人口の約10%の人が便秘と言われています。

便秘は排便のない状態だけでなく、腹部膨満感や、腹痛、排便困難などにより生活の質を低下させます。

慢性便秘に対して、漢方治療を考えてみましょう。

便秘について

便秘は60歳を過ぎると年齢を重ねるごとに増加します。

加齢に伴うもの以外にも、抗精神病薬、抗うつ薬、安定剤などによる薬剤性の便秘もあります。

排便習慣が確立していない小児であったり、妊婦など様々な場面で便秘はみられます。

西洋医学において便秘の治療が困難となる場面は多く、漢方薬が注目されています。

実は韓国や中国では1つの医師資格で西洋薬と漢方の両方を使うことができないのです。

日本は西洋薬と漢方薬の両方が保険適応で使用できる恵まれた環境にあるのです。

便秘の原因

器質性疾患による便秘

腫瘍などがあることで便秘になっているものを、器質性疾患による便秘といいます。

50歳以上で血便、貧血、癌の家族歴がある方で、体重減少や夜間の持続する腹痛がある方は、便潜血、内視鏡検査等の詳しい検査が必要となることが多いです。

内科や消化器内科に受診しましょう。

薬剤性の便秘

がんの緩和治療に使われるオピオイドや、高血圧症で使用される降圧剤のカルシウム拮抗薬、その他抗精神病薬、抗うつ薬、安定剤などによる便秘は、薬剤性の便秘です。

薬物量や薬物の種類、内容の調整を主治医に相談しましょう。

症候性の便秘

甲状腺機能低下症やパーキンソン病などに伴っておこる便秘もあり、そのような便秘は症候性の便秘といいます。

その他の便秘

他には、原発性の便秘、過敏性腸症候群の便秘型、機能性便秘などがあります。

便秘の治療目標

便秘は排便回数の減少に注目されがちですが、排便回数の是正以外にも、便性状の正常化、排便困難症の改善、便秘周辺症状の改善を目指します。

便秘治療の薬物治療のアプローチ

腸管の水分調整による便の軟化

西洋薬:酸化マグネシウムやルビプロストンなどのお薬が使われます。

漢方薬:芒硝(ボウショウ)、膠飴(コウイ)などを含む漢方薬を使用します。

腸管の蠕動の亢進

西洋薬:センノシドなどの大腸刺激性下剤などのお薬が使われます。

漢方薬:センナ、大黄、山椒(サンショウ)などを含む漢方薬を使用します。

腸管の過収縮の抑制

西洋薬が苦手とする部分です

漢方薬:芍薬、甘草などを含む漢方薬を使用します。

 

便秘に使用する漢方薬

大黄甘草湯

大黄含量:4g

タイプ:大腸刺激性

特徴:常習便秘によく処方されます。

桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)

大黄含量:3g

タイプ:大腸刺激性、塩類下剤

特徴:比較的体力があり、のぼせやイライラを伴う便秘の方に効果的です。

防風通聖散

大黄含量:1.5g

タイプ:大腸刺激性、塩類下剤

特徴:体力は比較的あり、肥満を伴う便秘の方に効果的です。

潤腸湯

大黄含量:3g

タイプ:クロライドチャンネル刺激

特徴:体力の低下した高齢者の便秘、硬い便の方に効果的です。

麻子仁丸

大黄含量:4g

タイプ:軟便化作用

特徴:脂肪油・精油による軟便化作用が期待され、さらに大黄の大腸刺激性の排便誘発が期待されます。腸管過緊張などに伴うコロコロとした乾燥便などがみられる方にお勧めです。甘草を含まず、偽アルドステロン症のリスクが少ないです。

桂枝加芍薬大黄湯

大黄含量:2g

タイプ:整腸作用、腹痛改善作用

特徴:体力が比較的低下した過敏性腸症候群の痛みの症状の軽減と排便を改善させます。

桂枝加芍薬湯

大黄含量:0g

タイプ:整腸作用、腹痛改善作用

特徴:痛みを伴う過敏性腸症候群に効果的です。

大建中湯

大黄含量:0g

タイプ:消化管運動亢進、血流増加、腹痛・腹部膨満感改善作用

特徴:腹部膨満を改善する効果が期待できます。大腸感覚閾値を下げ、便秘を感じやすくさせる効果が期待できます。

茯苓飲合半夏厚朴湯

大黄含量:0g

タイプ:消化管運動亢進、腹部膨満感改善作用

特徴:喉のつまりなど神経症を伴う上腹部膨満感などに効果が期待できます。

漢方治療の注意点

腹部膨満感の改善など、漢方薬は西洋薬にない効果が期待できます。

ただし、注意点もあります。

甘草を含む漢方薬による偽アルドステロン症は注意が必要です。

高齢者の場合は特に薬が効きすぎることも多く、漢方薬といえども1剤でコントロールするのが望ましいです。

大黄は大腸刺激性下剤であるため、通便のコントロールができたら、休薬するなどして、急長期連用は避けた方がいいです。また、大黄は子宮の収縮作用があり流産の可能性があるため、特に妊娠初期には投与しない方が望ましいです。

防風通聖散などに含まれる麻黄は、交感神経を刺激するため、量が増えたり、高齢者が長期間使用する時は、不眠や食思不振などの出現に注意が必要です。

【安定剤をやめたい方へ】漢方治療:柴朴湯【抗不安薬】

安定剤をやめたい方の漢方薬

心療内科やメンタルクリニックを受診した際、安定剤が処方されることがしばしばあります。

一般的に処方される安定剤は、ベンゾジアゼピン系抗不安薬と言われるお薬です。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、GABAの脳内作用を強め、中枢神経を抑制することで抗不安作用や催眠作用、筋弛緩作用、抗痙攣作用等の効果を発揮します。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、確かな効果と速効性が期待でき、症状を速やかに改善させることができますが、その一方で依存や耐性、離脱症状がみられることがあり問題となります。

安定剤で症状が良くなった場合、いつまで内服する必要があるのか、どのように減らせばいいのかということはとても大切なことです。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬の副作用や離脱症状を知る

しばしばみられる副作用

眠気、ふらつき、めまい、脱力感、倦怠感、もうろう感

ときどきみられる副作用

食思不振、悪心、嘔吐、便秘、胃腸不快感、口渇、排尿困難、頭痛、低血圧、興奮・錯乱

まれにみられる副作用

黄疸、発疹、かゆみ、血液障害、振戦、手足のしびれ、発汗、熱感、のぼせ感、乏尿、蛋白尿、浮腫、月経異常

ベンゾジアゼピン系抗不安薬・睡眠薬の長期投与後にみられうる離脱症状

睡眠障害、不安、不眠、被刺激性、筋肉痛、筋攣縮、振戦、ふるえ、頭痛、嘔気、食思不振、発汗、霧視

音・光・臭い・触覚などへの感覚過敏、味・臭いなどへの感覚鈍麻

めまい、耳なり、いらいら感、離人感、現実感の喪失

ベンゾジアゼピン系抗不安薬をやめるための漢方治療への置換

ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、日常生活に支障をきたすほどの不安感や焦燥感に対して、短期間使用することが多いでずが、漫然と長期使用することはおすすめしません。

しかし、実際の診療場面では「内服して安定しているから減薬したくない」という訴えから、長期的に服用する状態が持続し、依存、耐性が形成されることもしばしばみられます。

減薬については、総量の25%くらいの量で、1~2週間以上毎にゆっくり減量することが推奨されています。

日常生活には様々なストレスがあり、ライフイベントに伴いストレス因が増えて、症状が増悪することもあり、減薬自体への不安も伴い、なかなか減薬に踏みこめない方も多くいます。

内服がなくなることに対して不安が出やすい、離脱症状が出現しやすく減薬しにくい、ベンゾジアゼピン系の副作用が出現しやすいが不安感等の症状が残存する、そういう方は漢方への置換を検討してみてはいかがでしょうか。

不安に対しておすすめな漢方:柴朴湯(サイボクトウ)とは

柴朴湯は、小柴胡湯と半夏厚朴湯の合方で、内科領域ではアレルギー疾患に良く用いられています。

柴胡、半夏、人参、生姜等の中枢神経作用、厚朴、甘草、蘇葉等の鎮静作用が不安を改善させてくれます。

柴朴湯(サイボクトウ)の構成生薬

柴胡(サイコ)

セリ科ミシマサイコの根です。

中枢抑制作用(鎮静、鎮咳、鎮痛、解熱など)、抗消化性潰瘍、肝障害改善、抗炎症・抗アレルギー、ステロイド剤副作用防止、脂質代謝改善、抗ストレス、インターフェロン誘起作用などがあります。

大棗(タイソウ)

クロウメモドキ科ナツメの果実です。

抗アレルギー、抗消化性潰瘍、抗ストレス、血液凝固抑制、鎮静、腎障害改善作用などがあります。

半夏(ハンゲ)

サトイモ科カラスビシャクのコルク層を除いた塊茎です。

抗ストレス、鎮静、鎮痛、鎮吐、唾液分泌亢進、抗アレルギー、抗消化性潰瘍、腸管内輸送促進、抗ウイルス、血圧降下、免疫賦活作用等があります。

茯苓(ブクリョウ)

サルノコシカケ科マツホドの菌核です。

利尿、抗腫瘍、免疫賦活、抗炎症、腎障害改善、抗潰瘍、血液凝固抑制作用等があります。

人参(ニンジン)

ウコギ科オタネニンジンの根です。

中枢興奮、中枢抑制、抗ストレス、抗疲労、強壮、男性ホルモン増強、脳血流量増加、抗炎症、血圧降下、血糖降下、脂質代謝改善、抗腫瘍、抗潰瘍、抗老化、免疫賦活、肝障害抑制、向精神作用等があります。

甘草(カンゾウ)

マメ科カンゾウなどの根です。

鎮静・鎮痙、鎮咳、抗消化性潰瘍、利胆、肝機能改善、肝保護、抗炎症、抗アレルギー、抗糖尿病、抗動脈硬化作用等があります。

黄芩(オウゴン)

シソ科コガネバネの周りの皮を除いた根です。

中枢抑制作用(鎮痛・鎮静・運動抑制)、体温調整、血圧降下、毛細血管強化、抗動脈硬化、脂質代謝改善、肝障害予防、抗消化性潰瘍、抗炎症・抗アレルギー作用などがあります。

蘇葉(ソヨウ)

シソ科シソ・チリメンジソの葉および枝先です。

鎮静、免疫賦活、抗アレルギー、TNF産生抑制、抗菌作用などがあります。

厚朴(コウボク)

モクレン科ホオノキなどの樹皮です。

筋弛緩・抗痙攣、鎮静、抗消化性潰瘍、抗炎症・抗アレルギー、血圧降下、鎮吐、抗菌、抗腫瘍作用などがあります。

生姜(ショウキョウ)

ショウガ科ショウガの根茎です。睡眠延長、解熱・鎮痛、抗けいれん、鎮咳、鎮吐、血圧降下、強心、唾液分泌亢進、抗潰瘍、肝障害予防・改善作用等があります。

証(虚実)

中間証~虚証

柴朴湯の適応

柴朴湯は定期的に内服することで、不安感や落ち込み、全身倦怠感などの精神的や症状と、喉のつまった感じである咽頭異物感、咳嗽、めまい、動悸、嘔気などの自律神経失調症状も改善してくれる効果をもっています。

パニック発作等の不安を軽減する効果もあります。

また、不安時に屯用で内服することでも抗不安作用を発揮します。

ベンゾジアゼピン系薬剤への依存・耐性、減薬の際の離脱症状、不安が残存している等で、ベンゾジアゼピン系薬剤を減らしたいけどなかなか減らせないという方は、柴朴湯を併用してゆっくり減薬を試みてはいかがでしょうか。

 

【じんま疹】漢方治療:香蘇散、黄連解毒湯【魚毒】

じんま疹に対する漢方薬治療

じんま疹はいろいろな病気、免疫関係が原因で出現することがありますが、原因がさまざまで、原因を特定できないこともあります。

ストレスや過労でじんま疹が出現したり、増悪したりすることもあります。

じんま疹への漢方治療について説明します。

じんま疹(蕁麻疹)とは

じんま疹は発症6週間以内の急性じんま疹と、6週間以上症状を繰り返す慢性じんま疹とに分けられます。

急性じんま疹は食物や薬剤に対するアレルギー、ウイルスや寄生虫などの感染症に起因するものや、温熱や圧迫刺激、光過敏によるもの、ストレスや過労によるものなどがあります。

慢性じんま疹ではこれらに加えて、膠原病(全身性エリテマトーデスやシェーグレン症候群など)に関連するものや、抗IgE受容体抗体や抗甲状腺抗体など自己免疫性の機序によるものもあります。

ただし、原因が特定できないケースも多くみられます。

じんま疹の治療としては、問診やRAST-IgE検査でアレルギーの原因を特定して、その原因を除去することが大切ですが、原因の除去が困難な場合には抗ヒスタミン薬を内服するということになります。

しかし、抗ヒスタミン薬の眠気などの副作用で、内服継続できない場合や、長期的に内服治療することへの心理的抵抗感がある場合には、漢方薬を使用する選択肢もあります。

特にストレスや過労などの影響で悪化するじんま疹や、心因性の胸のつかえ、肩こり、めまいなど自律神経機能の不調が同時に出現しているような方については漢方薬が合う場合もあります。

じんま疹への漢方治療

香蘇散

香蘇散は「四時の温疫、傷寒を治す」とされており、もともとは季節性のかぜ症状に対する処方で多く使われていました。

香蘇散の構成生薬

香附子

カヤツリグザ科ハマスゲの根茎です。

プロスタグランジン生成合成阻害作用、筋弛緩作用、皮膚障害抑制作用などの作用があります。

蘇葉

シソ科シソ・チリメンジソの葉および枝先です。

鎮静作用、免疫賦活作用、抗アレルギー作用、TNF産生抑制作用、消化管系への作用、抗菌作用などの作用があります。

陳皮

ミカン科ウンショウミカンンなどの成熟果皮です。

体温下降、抗けいれん、抗アレルギー、肝機能改善、健胃作用などの作用があります。

甘草

マメ科カンゾウなどの根です。

鎮静・鎮痙、鎮咳、抗消化性潰瘍、利胆、肝機能改善、肝保護、抗炎症、抗アレルギー、抗糖尿病、抗動脈硬化作用などがあります。

生姜

ショウガ科ショウガの根茎です。

睡眠延長、解熱・鎮痛、抗けいれん、鎮咳、鎮吐、血圧降下、強心、唾液分泌亢進、抗潰瘍、肝障害予防・改善作用などがあります。

 

このように、香蘇散は香りの高い生薬を多く含み、芳香性の成分によって体の気の巡りを改善させます。

食中毒に対する効果もあり、特に「魚毒」に対する効果は文献にも記載されています。

香蘇散の魚毒への効果

サバ科の魚類にはヒスチジン(アミノ酸の一種)が多く含まれていますが、微生物の働きでヒスチジンがヒスタミンに変換されます。

魚の保存状態が悪いことなどでヒスタミンが多く産生され、食べた場合にじんま疹や息苦しさ、喘鳴などの中毒症状が出現することがあります。

香蘇散に含まれる蘇葉の成分のルテオリンは、マスと細胞からのヒスタミン遊離作用やリポキシナーゼ阻害作用を持っており、魚毒に有効であるとされています。

刺身のツマに紫蘇が添えられているのは、魚毒を防ぐ昔からの人々の知恵でしょう。

黄連解毒湯

黄連解毒等は、熱っぽさが強く、黄色の舌苔がみられるような人で、イライラが強く、搔きむしって夜も寝られないような激しい痒みに用いられることが多いです。

黄連解毒湯の構成成分

黄芩(オウゴン)

シソ科コガネバナの周りの皮を除いた根です。

鎮痛・鎮静・運動抑制作用、体温調整(体温低下)作用、血圧降下作用、毛細血管強化作用、抗動脈硬化作用、脂質代謝改善作用、肝障害予防作用、抗消化性潰瘍作用、抗炎症・抗アレルギー作用などの作用があります。

山梔子(サンシン)

アカネ科クチナシの果実です。

鎮痛作用、下剤作用、胃障害抑制作用、胆汁分泌促進作用、肝障害予防作用、血圧降下作用、脂質代謝改善作用、抗腫瘍作用などの作用があります。

黄連

キンボウゲ科オウレンなどの根茎です。

鎮静・運動抑制作用、抗けいれん作用、健胃作用、下痢の抑制作用、抗消化性潰瘍作用、血圧降下作用、動脈硬化予防作用、抗炎症作用、免疫賦活作用、抗菌作用などの作用があります。

黄柏(オウバク)

ミカン科キハダなどの周皮を除いた樹皮です。

健胃・抗消化性潰瘍作用、下痢の抑制作用、肝障害改善作用、抗炎症作用、鎮静・解熱作用、血圧降下作用、免疫抑制作用、血管弛緩作用、鎮痙作用、利胆作用、抗菌作用などの作用があります。

その他の漢方

他にも、アルコール摂取の多い肝障害を持つような方の痒みに茵蔯蒿湯(インチンコウトウ)が効果的であったり、寒冷刺激で出現するじんま疹に当帰飲子が効果的です。

【食前?】漢方薬の服用の仕方と工夫について【食後?】

漢方はいつ内服するのが効果的か

医療用漢方製剤の用法用量は、添付文書には食前または食間服用と記載されています。

しかし、エビデンスとなるような詳しい調べた研究データに裏付けされているわけではないようです。

食と起源が同じと考えられており、相互作用を避けるために、食間の服用が良いとされるようになったようです。

では実際漢方薬を内服する場合、食前と食後はどちらに内服するのがいいのか説明します。

漢方によって食前、食後を使い分ける

漢方はその構成成分によって食前、食後を使い分けると効果的です。

食前に内服した方がいい漢方

1)和胃降逆といわれる、胃の機能失調に作用する漢方薬は、食前に服用します。

小半夏加茯苓湯、安中散、二陳湯、呉茱萸湯、茯苓飲、運胆湯、六君子湯、人参湯など

2)補脾益気といわれる、消化機能を補い、元気を増すような漢方薬(桂枝、芍薬、大棗、甘草、生姜を含むもの)も、食前服用がすすめられます。

胃苓湯、越婢加朮湯、黄耆建中湯、葛根湯、葛根湯加川芎辛夷、加味帰脾湯、帰脾湯、桂枝加芍薬湯、桂枝加芍薬大黄湯、桂枝加朮附湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、桂枝湯、五積散、柴陥湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、柴胡桂枝湯、柴朴湯、柴苓湯、四君子湯、小建中湯、小柴胡湯、小柴胡湯加桔梗石膏、参蘇飲、清肺湯、当帰建中湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、排膿散及湯、平胃散、防己黄耆湯、補中益気湯、六君子湯など

3)センノサイド(大黄に含まれる)、グリチルリチン(甘草に含まれる)などの配糖体は腸の細菌叢で代謝、吸収されるため、薬の効果を強く求める時には食前や食間の空腹時に内服するのがいいでしょう。

4)蘇葉の香りのある漢方は、抗うつ作用、胃液分泌促進、消化管運動増強作用が報告されており、食前服用がおすすめです。

食後に内服した方がいい漢方

1)アルカロイドを含む漢方(麻黄、延胡索、厚朴、辛夷、防已など)を構成成分とする漢方は、胃がアルカリ性に傾く食後の方が吸収されやすいといわれています。

内服の仕方と、漢方が苦手な人のための対策

漢方薬の内服の仕方

漢方薬はもともと煎じて飲まれている薬ですので、お湯に溶かして内服するのがいいのです。

50mlほどのお湯に漢方薬1包を溶かすといいでしょう。

漢方薬の匂いや味が苦手な場合

バニラエッセンスやココアパウダー、砂糖を少し加えることで漢方の味や匂いを緩和できます。

【パニック障害】漢方治療:柴朴湯【不安発作】

パニック障害とは

日常に出現する不安とは明らかに区別される、急峻な不安発作(パニック発作)が繰り返されるのが特徴で、「頭がおかしくなる」「死んでしまう」などただならぬ状態、死への恐怖がみられます。一度発作が起きると、再び同じ恐怖を体験するのではないかという不安(予期不安)が出現し、乗り物(電車、バス、飛行機など、)や特定の場所(歯医者、映画館、トンネルなど)を避けたり、外出が困難になったりします。

パニック障害の治療

パニック障害の治療は薬物療法が中心で、安定剤や抗うつ薬のSSRIを中心に処方されます。

薬物療法で症状は改善しますが、いつまで治療すればいいのかということになります。

安定した状態が続けば減薬を目指しますが、治療の終結に向けて、認知行動療法の導入や漢方への置換が再発予防、スムーズな減薬をサポートする役割を果たしてくれます。

パニック障害におすすめな漢方:柴朴湯(サイボクトウ)とは

柴朴湯は、小柴胡湯と半夏厚朴湯の合方で、内科領域ではアレルギー疾患に良く用いられています。

柴胡、半夏、人参、生姜等の中枢神経作用、厚朴、甘草、蘇葉等の鎮静作用が不安を改善させてくれます。

柴朴湯(サイボクトウ)の構成生薬

柴胡(サイコ)

セリ科ミシマサイコの根です。

中枢抑制作用(鎮静、鎮咳、鎮痛、解熱など)、抗消化性潰瘍、肝障害改善、抗炎症・抗アレルギー、ステロイド剤副作用防止、脂質代謝改善、抗ストレス、インターフェロン誘起作用などがあります。

大棗(タイソウ)

クロウメモドキ科ナツメの果実です。

抗アレルギー、抗消化性潰瘍、抗ストレス、血液凝固抑制、鎮静、腎障害改善作用などがあります。

半夏(ハンゲ)

サトイモ科カラスビシャクのコルク層を除いた塊茎です。

抗ストレス、鎮静、鎮痛、鎮吐、唾液分泌亢進、抗アレルギー、抗消化性潰瘍、腸管内輸送促進、抗ウイルス、血圧降下、免疫賦活作用等があります。

茯苓(ブクリョウ)

サルノコシカケ科マツホドの菌核です。

利尿、抗腫瘍、免疫賦活、抗炎症、腎障害改善、抗潰瘍、血液凝固抑制作用等があります。

人参(ニンジン)

ウコギ科オタネニンジンの根です。

中枢興奮、中枢抑制、抗ストレス、抗疲労、強壮、男性ホルモン増強、脳血流量増加、抗炎症、血圧降下、血糖降下、脂質代謝改善、抗腫瘍、抗潰瘍、抗老化、免疫賦活、肝障害抑制、向精神作用等があります。

甘草(カンゾウ)

マメ科カンゾウなどの根です。

鎮静・鎮痙、鎮咳、抗消化性潰瘍、利胆、肝機能改善、肝保護、抗炎症、抗アレルギー、抗糖尿病、抗動脈硬化作用等があります。

黄芩(オウゴン)

シソ科コガネバネの周りの皮を除いた根です。

中枢抑制作用(鎮痛・鎮静・運動抑制)、体温調整、血圧降下、毛細血管強化、抗動脈硬化、脂質代謝改善、肝障害予防、抗消化性潰瘍、抗炎症・抗アレルギー作用などがあります。

蘇葉(ソヨウ)

シソ科シソ・チリメンジソの葉および枝先です。

鎮静、免疫賦活、抗アレルギー、TNF産生抑制、抗菌作用などがあります。

厚朴(コウボク)

モクレン科ホオノキなどの樹皮です。

筋弛緩・抗痙攣、鎮静、抗消化性潰瘍、抗炎症・抗アレルギー、血圧降下、鎮吐、抗菌、抗腫瘍作用などがあります。

生姜(ショウキョウ)

ショウガ科ショウガの根茎です。睡眠延長、解熱・鎮痛、抗けいれん、鎮咳、鎮吐、血圧降下、強心、唾液分泌亢進、抗潰瘍、肝障害予防・改善作用等があります。

証(虚実)

中間証~虚証

柴朴湯の適応

柴朴湯はパニック発作だけでなく、不安感や落ち込み、全身倦怠感などの精神的や症状と、喉のつまった感じである咽頭異物感、咳嗽、めまい、動悸、嘔気などの自律神経失調症状も改善してくれる効果をもっています。

 

【痛み】漢方治療:牛車腎気丸【しびれ】

痛みやしびれにおすすめな漢方:牛車腎気丸とは

牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)は古くから腰痛、下肢痛、しびれ、頻尿や排尿困難などに用いられ、近年では、糖尿病性神経障害、抗がん剤による末梢神経障害などや神経障害性疼痛にも応用されています。

では、痛み、しびれに効果的な牛車腎気丸について詳しくみてみましょう。

牛車腎気丸の構成生薬

地黄(ジオウ)

ゴマノハグサ科アカヤジオウ・カイケイジオウの根です。

利尿、緩下(マイルドな下剤)、血糖降下、血流増加、血圧降下、免疫調整、抗腫瘍などの作用があります。

牛膝(ゴシツ)

ヒユ科ヒナタイノコズチなどの根です。

抗アレルギー、抗腫瘍などの作用があります。

山茱萸(サンシュユ)

ミズキ科サンシュユの偽果の果肉です。

抗糖尿病、抗アレルギー、免疫賦活、肝障害改善、抗腫瘍、抗ウイルスなどの作用があります。

山薬(サンヤク)

ヤマノイモ科ヤマノイモまたはナガイモの周皮を除いた根茎です。

放射線障害防護、血糖降下、男性ホルモン増強などの作用があります。

車前子(シャゼンシ)

オオバコ科オオバコの種子です。

腸管血流増加、利胆、免疫賦活、血糖降下、インターフェロン誘起などの作用があります。

沢瀉(タクシャ)

オモダカ科サジオモダカの塊茎です。

利尿、血圧降下、血管収縮、心臓の冠状動脈血流量増加、血液凝固抑制、抗脂肪肝、コレステロール血症の改善、免疫賦活、尿路結石予防などの作用があります。

茯苓(ブクリョウ)

サルノコシカケ科マツホドの菌核です。

利尿、抗腫瘍、免疫賦活、抗炎症、腎障害改善、抗潰瘍、血液凝固抑制作用等があります。

牡丹皮(ボタンピ)

ボタン科ボタンの根皮です。

中枢抑制(自発運動抑制・鎮痛・解熱・抗けいれんなど)、抗炎症、抗アレルギー、免疫賦活、脂肪分解抑制、血小板凝集抑制、子宮収縮抑制、月経困難症改善などの作用があります。

桂皮(ケイヒ)

クスノキ科ケイの樹皮です。

発汗解熱、鎮静、鎮痙、末梢血管拡張、血圧降下、抗血栓、放射線障害防護、抗炎症、抗アレルギー、抗菌、水分代謝調整、消化吸収抑制などの作用があります。

附子(ブシ)

キンポウゲ科ハナトリカブト・オクトリカブトの塊根です。加工して弱毒化してあります。

強心・昇圧・心拍数亢進、鎮痛、抗炎症、血糖降下、血管拡張、肝機能増進、抗ストレス潰瘍などの作用があります。

虚証~中間証

西洋医学では解決できない症状にも効果が期待できる

牛車腎気丸の作用には中枢神経系への作用と、末梢神経系への作用が報告されています。

中枢神経系に対する作用

牛車腎気丸の中枢神経系に対する主な作用は、ダイノルフィンの放出促進とグリア細胞の1つであるアストロサイトの活性化抑制の2つと言われています。

ダイノルフィンの放出が促進され、ダイノルフィンがκ受容体を介して鎮痛作用を示します。

それには附子の作用が主にかかわっていますが、附子以外の成分も関与しています。

アストロサイトは、TNF-α、IL-1β、IL-6を産生し、これらの炎症性サイトカインが1次求心性神経に作用して痛みを増強するため、牛車腎気丸がこの過程を阻害することで強い鎮痛効果を示します。

末梢神経系への作用

牛車腎気丸の末梢神経系に対する主な作用は、cyclic GMP増加を介したNO産生促進による血流増加といわれています。

血流増加によって神経が十分な栄養や保護分子を受け取り、神経保護作用につながるといわれています。

また、痛みや刺激を感知する1次求心性神経のTPRチャネルの活性化を抑制することで、疼痛やしびれの改善作用も報告されています。

利尿作用

附子による利尿作用もみられ、抗利尿ホルモン抑制作用もあり、むくみ・浮腫の改善にも効果が期待できます。

牛車腎気丸がオススメな人

牛車腎気丸は痛みやしびれを改善するのに効果的です。

特に、痛み止めの効果が乏しい、脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアの方の痛みやしびれ、原因のはっきりしない非特異的腰痛、抗がん剤による末梢神経障害からくる痛みやしびれ、閉塞性動脈硬化症(ASO)や糖尿病などによる、神経障害性疼痛やしびれに効果的です。

【こむら返り】漢方治療:芍薬甘草湯【筋肉痛】

こむら返りや筋肉痛におすすめな漢方:芍薬甘草湯とは

芍薬甘草湯は、名前通り、約薬と甘草の二つの生薬のみから成る漢方で、こむら返りや筋肉痛に良く用いられます。

肝硬変・血液透析・がん・糖尿病などの方の有痛性筋痙攣(こむら返り)や筋肉痛、タキサン系抗がん剤による末梢性障害(筋肉痛)などに使用されています。

古典的には「傷寒(急性の熱性疾患)で脈が浮き、自然と汗をかいて、尿の回数が多く、胸苦しさを感じ、わずかに悪寒がして、足がつるという場合に、桂枝の入った処方を与えて、さらに発汗させてしまったとする。そうすると手足が冷え、口が渇いて苦しみ悶え、嘔吐する。その場合は甘草乾姜湯を与える。それで手足の冷えがとれて暖かくなってきたら、次に芍薬甘草湯を服用させると、足が伸びるようになる。」(傷寒論・太陽病篇)とあり、本来発汗させてはならない場合に発汗させてしまい、下肢筋肉の筋痙攣が止まらない場合に適応されてきました。

近代薬理学の研究によれば、芍薬に含まれるペオニフロリンが筋細胞内のカルシウムイオン濃度の上昇を抑制し、甘草にふくまれるグリチルリチンがカリウムの流出に伴う脱分極を制御して、筋細胞の異常な興奮を抑える。複数の作用点で相乗的に効果を発揮するので、単一成分で強い作用を持つ有効性を保ちながら、有害事象は少なく、重宝されている漢方薬です。

つまり、芍薬甘草湯は「中枢性鎮痛作用」と「末梢性筋弛緩作用」を有し、生理的な筋収縮には影響を与えずに筋痙攣を抑制し、筋痙攣に伴う痛みを鎮めることができるのです。

注意する点としては偽アルドステロン症を発症する場合があることです。

偽アルドステロン症の発症には、肝障害のある方や、ある特定の腸内細菌環境が関わっているといわれており、甘草を摂取するすべての人に明確な量反応関係をもってこの副作用が起こるわけではありませんが、肝障害を持つ方が、甘草を大量に含む処方を使う場合には、慎重さが必要です。

芍薬甘草湯の構成生薬

芍薬

ボタン科シャクヤクの根です。

鎮静・鎮痙・鎮痛、末梢血管拡張、抗炎症、抗アレルギー、免疫賦活、胃腸運動促進、抗潰瘍、血液凝固抑制、筋弛緩作用があります。

甘草

マメ科カンゾウなどの根です。

鎮静・鎮痙、鎮咳、抗消化性潰瘍、利胆、肝機能改善、肝保護、抗炎症、抗アレルギー、抗糖尿病、抗動脈硬化作用等があります。

芍薬甘草湯以外の選択肢

こむら返りは、高齢者にも多くみられ、筋肉の老化や筋力低下が原因になっているといわれています。

高齢者は腎機能や肝機能が低下している場合も多く、このような場合には、六味丸や八味地黄丸など、腎虚証に用いられる処方が効果的です。

八味地黄丸から桂皮・附子といった、体を暖める生薬を取り除いたものが六味丸であり、手足のほてりがあるような方には六味丸がお勧めです。

八味地黄丸に生膝・車前子を加え、冷えや浮腫を改善する作用を強化した漢方薬が牛車腎気丸です。

これら腎虚証に用いられる漢方薬はいずれも甘草を含んでいないため、偽アルドステロン症の心配をせずに服用することができます。

また芍薬も含んでおらず、筋細胞の異常な興奮の解除とは異なるメカニズムでこむら返りを予防するといわれています。

ただし、地黄が含まれており、胃もたれや食思不振に注意が必要で、胃腸が弱い人は少量から慎重に内服しましょう。

胃腸症状が気になる人は、六君子湯と併用すると改善できるでしょう。

これらの漢方薬でも改善しない人は、カルニチン不足の可能性があります。

極端なダイエットをした人や、食事が菜食に偏る人に多いです。カルニチン不足が疑わしい場合は、肉類や乳製品の摂取を心掛け、サプリメントの利用も検討してもいいでしょう。

 

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