「うつ病」カテゴリーアーカイブ

【日照時間とうつ病、躁うつ病の関係】

最近は、日中に屋外で日光を浴びることが少なく、夜間はスマートフォンやPCなどの使用で遅くまでブルーライトの光に暴露されるような環境で過ごす人が増えています。日中の光を浴びる量(光暴露量)の低下と夜間の光暴露量の増加は、人体にどのような影響を及ぼすのか説明します。

【光暴露環境の影響力】

光暴露環境はうつ症状、メラトニン分泌異常、肥満、動脈硬化などに影響を及ぼしていると言われています。

【うつ症状への高照度光療法】

光暴露とうつ症状の研究は多く、日中光暴露の増加はうつ症状を改善すると言われています。

高照度光療法は、通常午前中に30分から1時間程度、5,000から10,000ルクスの光をあびる治療法です。

【夜間光暴露の増加の健康への影響】

夜間光暴露量の増加は、メラトニン分泌を抑制し、睡眠の質の悪化、体内時計(概日リズム)の乱れを引き起こします。特に、躁うつ病の方は躁状態を悪化させる可能性があります。

【日照時間と自殺の関係】

夏と冬の間の日照時間の差が大きいことが、躁うつ病の方の自殺未遂の頻度と関係しているという報告があります。

【うつ状態の時は日中の日光浴は大切】

このように、日光浴がうつ状態を改善する報告がありますので、朝、日光を浴びるのはとても大切です。

私は飼っている犬に毎朝起こされて、朝5時半に散歩に連れて行きますが、冬はまだ暗いですね。

【産後うつ】出産とうつ病【マタニティブルー】

出産とうつ病

出産と精神的な疾患との関連は古くから報告があります。

周産期精神医学の国際学会は1982年には創設され、女性の精神医学の研究が活発に行われるようになりました。

その後、英米の代表的な精神医学の教科書でも「産後うつ病」や「産褥精神病」が記載されるようになりました。

周産期のうつ病

産後6~8週の時期を産褥(さんじょく)期と言いますが、産褥期のうつ病の発生頻度は非産褥期女性とくらべると有意に高くなります。

また、産褥期以降も含めた、産後のうつ病の出現頻度は10~15%にもなるといわれています。

産後のうつ病の出現リスクは産後3ヶ月頃が最も高く、産後6ヶ月以内は高い状態が続きます。

また、うつ病、躁うつ病、周産期精神疾患などの既往の精神疾患の周産期における再発率が高いといわれています。

産後うつ病の危険因子

1.過去および妊娠中の精神・心理的障害

2.社会支援が低いこと

3.婚姻関係が貧弱であること

4.最近の精神的ストレス負荷、ライフイベント

5.マタニティーブルー

マタニティーブルーとは

出産後数日から1ヶ月以内にみられる、母親の気分の落ち込み、意欲低下、情緒不安定など状態を言います。一般的には2週間前後で自然回復します。

うつ病で治療中で妊娠、出産する場合、薬物中断は慎重に

うつ病で薬物療法を継続している方で、妊娠・出産した方々を対象に調べた調査では、妊娠後治療を中断した場合は約70%近く再発したのに対して、妊娠後も治療継続していた場合は約25%前後と低になったとの報告があります。

うつ病で薬物療法中に妊娠した場合も、単純に薬物を中断すると再発しやすいため、お薬を変えるか、初乳以降はミルクを利用し、薬物療法を再開するなど慎重な対処が必要となります。

周産期のうつ病と子供への影響

出産前後の抑うつ気分や不安と子供の発達障害や注意問題との関連が示唆されています。

しかし、実際は、遺伝的な要因、その他生物学的な要因、環境的な要因が複雑に絡み合っているため、子供の情緒が不安定であることや発達障害であることを、母親の精神的な不調が原因と短絡的に決めつけずに、大切なのは、周産期に安心して、安定した情緒で出産を迎えられるようなサポートや治療が必要であるということです。

あなたがもし出産前後の女性であれば以下の質問に答えてみて下さい

過去1ヶ月の間に、気分が落ち込んだり、元気がなくて、あるいは絶望的になって、しばしば悩まされたことがありますか?

過去1ヶ月の間に、物事をすることに興味あるいは楽しみをほとんどなくして、悩まされたことがありますか?

もし、どちらか一つでもYESとなるようならば、心療内科、精神科に受診するか、周囲へ相談することをおすすめします。

うつ病の原因、症状、治療、経過のまとめ

うつ病とは?

例えば、鼻風邪、のど風邪、咳風邪のように同じ風邪でも、人によって症状は様々ですが、まとめて”風邪”として表現します。

それと似たように、抑うつ気分、意欲の低下、興味の消失などのうつ症状を主体として、それらの症状が病的に持続する(診断基準では2週間以上)状態をまとめてうつ病として分類されています。

その為、うつ状態、うつ病といっても原因や症状が異なることもあり、またお薬への反応性や治療期間や予後も人によって違ってきます。

つまり、うつ病とは、抑うつ気分や意欲の低下、興味の消失など一連の徴候と自覚症状が数週間から数か月持続し、個人の通常の機能を明らかに低下させる状態を総称した症候群ということになります。

うつ病の症状

典型的には、食欲の低下、体重減少、睡眠障害、活動性の低下、活力の減退、罪責感、物事を決められない、集中できないといった思考や決断力の低下がみられ、さらには死について繰り返し考えるようになり、死にたいと思うような希死念慮がみられることもあります。

うつ病の発生率と有病率

うつ病はありふれた病気です。生涯有病率(一生のうちうつ病になる確率)は約15%と言われています。

また女性の場合は約25%と男性よりも多く報告されています。

女性の方が発生率が多いことについては、ホルモンの相違や、出産の影響、女性と男性の心理社会的ストレス因子の違いなどが要因として考えられています。

有病率(その時点でその病気を有している人の割合)は何らかの病気で通院している方の約10%、入院している方の約15%と言われています。

うつ病の好発年齢

一般的にうつ病の平均発病年齢は40歳前後と言われています。

20~50歳の間に約半数の方が発病されます。

家族状況、生活環境

うつ病は親密な対人関係が少ない人や、離婚や別居をしている人に見られることが多いといわれています。

うつ病の原因

生物学的要因

生体アミンの中で、ノルエピネフリンとセロトニンの2つはうつ病に最も関連が深いと言われています。

また、ドパミンも関連があるようです。

他にも、GABAやグルタミン酸やグリシンの関与するNMDA受容体との関わりや、副腎や甲状腺、成長ホルモン、メラトニン、プロラクチン、黄体刺激ホルモン、黄体ホルモン、テストステロン等のホルモンとの関係も報告されています。

遺伝要因

遺伝がうつ病の1つの要素である可能性は示唆されているが、まだ断定的なはっきりとした結論は出ていません。

うつ病の第1度親族者(親子の関係)では、対照群と比較して、2~3倍になる可能性があると言われています。

心理社会的要因

生活上の出来事と環境からくるストレスが大きく影響します。

特に11歳以前の両親の離婚や死別、配偶者との離婚や死別、失業などの影響力は大きいといわれています。

うつ病になりやすい性格

うつ病にかかりやすい人格特性やタイプを1つに限定することはできません。どんな性格でも、すべての人にがうつ病になる可能性はあります。ただし、ストレスに反応した感情を外に向けるより、内に向ける人の方がうつ病になりやすいかもしれません。

自分自身についての否定的評価、世の中が過酷な要求をする敵対するものとして感じられる傾向、将来への失望、などがうつ病になりやすい認知として考えられます。

うつ病の症状

抑うつ気分と興味や喜びの喪失が、うつ病の重要な症状です。

悲しみや絶望感、憂鬱な気分、無価値感を感じ、涙が止まらないなどの状態が出現します。

他にも気力の減退、睡眠障害、食欲低下、体重減少が見られます。また、不安感や性欲の低下、集中力の低下も見られます。

うつ病の方の3分の2の方は自殺を考えて、10~15%の方が実際行動にうつすといわれています。

小児や青年期のうつ病

小児では、学校への恐怖感や両親への過度のつきまとわりが見られることがあります。

青年期では、学業成績の不振、物質乱用、反社会的行動、性的逸脱行動、無断欠席、家出などが見られることがあります。

老年期のうつ病

老年期ではうつ病がより高率にみられるようになり、有病率が約25~50%と言われています。

社会的経済状況の困窮、配偶者の喪失、身体疾患の合併などが影響します。

老年期のうつ病では、身体のあちこちの不調を訴えることが多いです。

うつ病の経過と予後

早期発見と早期治療は、完全なうつ病になるのを予防できるので、何らかの不調が出たときには、早めに受診するようにしましょう。

うつ病は治療しないでいると、約6~13ヶ月持続し、治療を開始しても約3ヶ月はうつ状態が続きます。

また、3ヶ月以内に抗うつ薬を中止すると、再燃することが多いとされています。病気が進行するにつれ、より長期間のうつ状態が頻回に出現する傾向があります。

治療を継続すること、うつ病を繰り返さないことが再発を防ぐ要因になります。

良好な友人関係、家族関係、安定した社会生活の維持が予後に良い影響をもたらします。

アルコールや他の物質への依存、乱用、不安障害の合併、繰り返すうつ状態は予後を悪くする要因になります。女性の方が、男性よりも長引く経過になりやすいです。

うつ病の治療

薬物療法、精神療法、心理療法(カウンセリング)等が主体となって行われます。

生活上のストレス原因を整理することも重要です。

抗うつ薬は少なくとも6ヶ月間、もしくは繰り返している場合は前回の病相期間より長い期間継続するのがいいでしょう。

抗うつ薬により再発の頻度と重症度を軽減させるのに効果が期待できます。

うつ病の治療と抗うつ薬の選び方

うつ病性障害の治療適応と目標

うつ病エピソード(ICD-10)、または大うつ病エピソード(DSM-IV)の診断基準を満たす方は、抗うつ剤による治療が必要になります。

軽症のうつ病の場合には、個人の特質や、その人の希望によって抗うつ薬による治療が選択されるかもしれませんが、心理社会療法的なアプローチのみで十分な場合もあるでしょう。

どちらにせよ、うつ病が疑わしい場合やそれに近い体調不良がある場合は状態の評価とその治療のための受診をお勧めします。

受診してうつ病という診断になった場合、どのように抗うつ薬が選ばれるかを説明します。

抗うつ薬の選択の仕方

抗うつ薬の開発が、大うつ病の治療に貢献していますが、1957年の最初の三環系抗うつ薬(TCA)以来、多くの異なるタイプの抗うつ薬が開発されており、抗うつ薬の使い方が非常に重要となります。

より新しい抗うつ薬は、副作用を減らすこおを主な目的として開発されていますが、作用機序の異なるお薬の登場が、これまで効果が乏しかった方にも効くことも見られます。

但し全体的な抗うつ薬の効果を総合的にみると、どの抗うつ薬も抗うつ効果は同じくらいであり、治療反応率は50~75%となります。

そのため、それぞれの特定の抗うつ薬の選択は、下記のようなことを考慮したうえで、選択することになります。

・過去の薬物の使用歴

これまでに使用して、良い反応をした薬物とそうでない薬物から判断します。

・選択された抗うつ薬によって悪化する可能性のある身体合併症

たとえば肥満や、糖尿病などの方には太りやすいお薬を避けるということなどです。

・好ましくない、潜在的に有害な薬物相互作用に至りうる薬の併用

ワーファリンや抗不整脈薬、高血圧の薬などさまざまな薬との相互作用を考える必要があります。

・薬剤による短・長期の副作用

健康の質に影響を及ぼす副作用は、内服する人の満足度と継続率を低下させます。

たとえば、内服開始時の吐き気や、長期てきな性機能障害などです。

・医師の経験

処方する医師の経験が薬剤の選択肢に影響します。

・内服する人のこれまでの服薬管理の経歴

飲み忘れが多い人は1日1回で済む薬剤を選択することなどを考えます。

・薬物に反応した第一度近親者(親、子、兄弟姉妹)の家族歴

近親者に効果のあった薬剤は、同じように効果が出現しやすいでしょう。

・コスト

薬剤での薬価、値段が違います。

世界基準、ガイドライン

WFSBP(生物学的精神医学会世界連合)は下記のような推奨をしています。

・軽症のうつ病に対していは、中東症から重症のうつ病に対して有効な心理教育または精神療法が、抗うつ薬に代わる治療選択肢となる。

・薬剤は用いられる(患者の希望/好みによる、以前に薬剤に反応した正の治療歴がある、過去に中等症から重症のエピソードがある、初期に非薬理学的治療に反応しなかった)場合には、SSRIとその他のより新しい抗うつ薬が第一選択薬となりなす。

・中等症のうつ病ではSSRIとその他のより新しい抗うつ薬が第一選択薬となります。

・重症のうつ病では、TCA、SSRI、SNRIが推奨されます。

適切な治療による有益性の程度は、うつ病が重症になればなるほど高まります。

軽症のうつ病では、薬物療法に頼りすぎず、教育、支持、問題解決も抗うつ薬に代わる治療効果を期待できるということです。

しかし、重症度が増すにつれて、抗うつ薬の使用がより適切となります。

うつ病の種類とその治療

うつ病と一言でいっても、様々な異なるサブタイプがあり、それぞれのクラスの抗うつ薬に対して異なる反応をします。

メランコリー型うつ病の特徴と入院適応となるうつ病

メランコリー型うつ病の特徴は、ほとんどすべての活動における喜びの喪失、ふだん快適である刺激に対する反応の消失、早朝覚醒、朝に悪化すること、有意な体重減少、精神運動遅滞、焦燥感、抑うつ気分などがあります。

入院治療が必要な方はメランコリー型の特徴を呈していることが多いです。

SSRIはプラセボよりも効果的であり、三環系抗うつ薬と同等の効果を期待できます。

精神病性うつ病

大うつ病性障害では、時に妄想や幻覚の出現も見られます。そういった精神病性うつ病の方には抗うつ薬と抗精神病薬を併用することで、いずれか単独の治療よりも、かなり高い反応率を示す場合があります。

ここで注意するのは、うつ病に投与される抗精神病薬の用量は、統合失調症に用いられる用量よりも少ない量で有効であることが多いことです。

非定型の特徴を伴ううつ病

非定型の特徴とは、イベントに反応して気分が明るくなる、過眠、体重増加、強い疲労感、四肢の鉛様の麻痺、パーソナリティ特性としての拒絶に対する敏感性などです。

特に非定型の特徴を伴ううつ病の方に対しては、薬物療法の効果が乏しい事も多く、精神療法などの心理的アプローチや環境調整が奏功することがあります。

双極性感情障害(躁うつ病)のうつ病

双極性感情障害のうつ病では情動調整薬と呼ばれる薬剤(ラモトリギン、炭酸リチウム、バルプロ酸など)や少量の抗精神病薬(アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピンなど)が使用されます。抗うつ剤単剤での治療は推奨されておらず、使用するとしても情動調整薬や抗精神病薬と併用することが多いでしょう。

これまで、躁状態がみられていなくても、うつ病として抗うつ薬を内服し始めて、気分が高まり、浪費、多弁、過活動が出現するようなときは躁うつ病を疑います。

うつ病と自殺

自殺は、大うつ病ではリスクとして考えておかなければならず、希死念慮が急激に高まった時は、入院での治療が必要です。

自殺のリスクが高まりやすい因子としては、

・気分の波が激しい

・衝動制御性が乏しい

・落胆と絶望感が強い

・年齢と性別(男性では20歳~30歳と50歳以上、女性では40~60歳)

・自殺未遂の既往歴

・自殺企図の家族歴

・早期発症の感情障害の家族歴

・アルコールなどの物質乱用

・婚姻状況(独身、離婚など)

・社会経済状況の急激な変化(失業、経済的問題、望まない退職)

・支持者の欠如

などがあげられます。

うつ病の治療目標

うつ病の治療を行う際には、急性期、中期、長期の目標をたて、それぞれの時期での急性期治療、継続期治療、維持期治療を行っていきます。

急性期治療

急性期治療は、治療開始から寛解までの期間を網羅するものであり、治療の第1ゴールです。寛解の基準は2つの条件、つまり1つ目の無症状(障害の診断基準を満たさず、残遺症状がないか、あったとしても最低限であること)であることとと、2つ目に心理社会的にも職業的にも機能が改善することです。

継続期治療

継続期の治療は、寛解を維持し、安定するために、急性期に続けて行う、うつ病の再発予防のための治療延長期間です。

継続治療の期間中に抑うつ性の症状群が再発した場合は、同一エピソードの再発が起きたと考えます。残念ながら、治療中の状態では、再発と反復(新しいエピソード)とを区別できません。

それゆえ、実際にどこまでが継続期治療なのかを正しく定義することが難しいのです。

原理的に、回復は、薬剤中止後の抑うつ性症状の持続的な欠如によって確かめられます。

回復は、病気の個々のエピソードのみに適応されるものであり、今後も再発しないということを意味するものではありません。

維持期治療

維持期(予防)治療は、うつ病の反復および自殺を防止するとともに、機能を全面的、持続的に回復させることを目的とします。

まとめ

このようにうつ病といっても個々人により様々な病態を示すため、それぞれの人にあった治療を経過に合わせて調整していくことが必要となります。

かかりつけの信頼できる医師と連携をとっていくことがとても大切です。

【不安・うつ】SSRIどれがいいのか?【抗うつ薬比較】

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)はどれがいいのか?

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)としては日本初のお薬であるルボックス®、デプロメール®/フルボキサミンマレイン酸が1999年に承認され、それ以降、パキシル®/パロキセチン、ジェイゾロフト®/セルトラリン、レクサプロ®/エスシタロプラムと使用できるSSRIの選択肢が増えています。

SSRIという作用機序から同じ分類になっているルボックス®、デプロメール®、パキシル®、ジェイゾロフト®、レクサプロ®ですが、では一番いいSSRIはどれなのかという疑問がでますよね。

SSRIの有効性と忍容性のランク付け

抗うつ薬の強さを比較する一つの目安となる試験に、Manga Studyというものがあります。

Manga Studyでは抗うつ薬の有効性(効果の強さ)、と忍容性(副作用が少なく内服継続しやすさ)でそれぞれの抗うつ薬が評価されています。

SSRIの有効性のランキング(日本で発売されている薬剤のみ記載)

1位 レクサプロ®

2位 ジェイゾロフト®

3位 パキシル®

4位 ルボックス®、デプロメール®

という結果でした。

SSRIの忍容性ランキング(日本で発売されている薬剤のみ記載)

1位 レクサプロ®

2位 ジェイゾロフト®

3位 パキシル®

4位 ルボックス®、デプロメール®

という結果です。

有効性と忍容性の順位がそのまま同じですね。

但し、海外で使用できる薬剤の上限は日本と異なる薬剤もあり、この結果がそのまま皆様に当てはまるかどうかは分かりません。

ではこの試験結果のように、レクサプロ®が一番いいSSRIかというと、そうとも限りません。

もちろんレクサプロ®は有効性、忍容性に優れているのは確かでしょう。

では一番いいSSRIとは。

一番いいSSRIは人それぞれ違う

「症状や相性により、一番いいSSRIは人それぞれ違う」ということです。

一番いいSSRIということをもっと医学的に表現すると、「その人にとって、症状を改善するのに最も効果的で、副作用が極力少なく、長期的に飲みやすく、適切な量で使用されているSSRI」ということになります。

あなたにとって症状を改善するのに最も効果的であること

うつ病の治療アルゴリズムにおいて第一選択の1つとして効果を発揮するSSRIですが、うつ病だけでなく、セロトニン神経系の機能異常が関係する抑うつ気分、全般的な不安、強迫性の不安、パニック症状、さらには摂食障害やアルコール依存症など様々な病態への効果が期待できます。

症状や年齢、性別、経過など様々な要素から相性のよいSSRIを選択します。

あなたにとって副作用が極力少ないこと

基本的には飲み始めの吐き気や、眠気、体重増加、性機能障害等ある程度共通した副作用が報告されていますが、それぞれのSSRIでも副作用の出現する度合いが異なり、個人差もあります。

あなたにとって長期的に飲みやすいこと

1日2回内服するタイプや、1日1回内服する違いや、口の中で溶けるタイプの錠剤があるものもあります。

長期的に飲みやすいということは、継続するうえで大切なことです。

あなたにとって適切な量であること

開始用量や維持用量、最大用量は添付文書で明記されていますが、効果が出る用量、維持する用量、副作用の目立つ用量は個人差があり、あなたにとって適切な用量を設定してもらう必要があります。

漢方でいうところの実証、虚証というものがありますが、SSRIの使用用量については虚証の人であれば、嘔気などの消化器症状や眠気が出現しやすく、初回開始容量の1/2か1/4かでいい場合もあります。

また経過によっても適切な量は変わってきます。

症状が減り、回復してきて逆に眠気や性機能障害などの副作用が目立つときは減量します。

経験と知識を持ち合わせた専門の医師は、診察によって、その人にとって最も相性の良いであろうSSRIを最も適切な時期に、最も適切な量で処方できうると思われます。

それではそれぞれのSSRIの特徴をみてみましょう。

ルボックス®、デプロメール®/フルボキサミンマレイン酸塩

【剤型】

25㎎、50㎎、75㎎

【適応】

うつ病、うつ状態、強迫性障害、社会不安障害

【用法用量】

通常成人には1日50㎎を初期用量とし、1日150㎎まで増量し、1日2回に分割して経口投与します。

フルボキサミンの特徴

フルボキサミンはオランダの会社により開発され、日本では1999年SSRIとして初めて承認されたお薬です。

ノルアドレナリン再取り込み阻害作用に比較して、格段にセロトニン再取り込み阻害作用が強いのが特徴です。

フルボキサミンは他の神経伝達物質受容体に対する親和性が低く、そのため、有害副作用が少なく安全性の比較的高い薬物です。

薬理作用、薬理動態

神経終末からシナプス間隙へ放出されたセロトニンは主として神経終末に存在するセロトニントランスポーターを介して速やかに取り込まれ再利用されます。

フルボキサミンはセロトニンの再取り込みを選択的に阻害する作用をもちますが、各種神経伝達物質受容体にはほとんど親和性を示さず、モノアミン酸化酵素阻害作用も示しません。

再取り込み阻害作用は投与後に比較的短時間に引き起こされますが、実際の臨床での治療効果発現には10日前後必要です。

Tmax(最高血中濃度到達時間)は約4~5時間、半減期約9~14時間、約3日でほぼ定常状態となります。

肝臓で酸化的に脱メチル化されて薬理活性を持たない代謝物となり、尿中に排泄されます。

効果

実験動物を用いた薬効薬理試験では抗うつ作用や強迫行動の抑制が確認されています。

うつ病及びうつ状態における臨床症状改善率は約60%といわれています。

うつ病だけでなく、社会不安障害、強迫性障害、摂食障害、月経前不快気分障害、アルコール依存症の抑うつ状態等への効果が期待できます。

注意点、副作用

服用開始後に効果の出現に先行して、様々な副作用がでることがあります。副作用の出現が、内服への抵抗感や拒否感につながり、症状を遷延させてしまうことにつながる可能性があります。

そのために、治療効果発現までの見通しや服薬開始後に出現することが予測される副作用について、知識を持っておくことが大切です。

投与量の急激な減少や内服中止により、頭痛、嘔気、めまい、不安感、不眠、集中困難等がみられる離脱症状がみられることがありますので、投与を中止する場合には徐々に減量する慎重な調整が必要です。

フルボキサミンはかみ砕くと苦みがあり、舌のしびれが出現することがありますので、水とともに服用し、噛まないようにしましょう。

自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないこと、飲酒を避けることが必要です。

高齢者では肝機能が低下していることが多く、高い血中濃度が持続する可能性がありますので、増量に際しては、用量等に注意する必要があります。

妊娠の可能性がある場合には主治医と相談し、可能であれば中止することが望ましいでしょう。

母乳中への移行のため、授乳婦は内服を避けることが望ましいですが、やむを得ず内服する場合は授乳をやめ、ミルクにしましょう。

嘔気、悪心、口渇、便秘等の消化管の症状が出現することがありますが、服用の中止または減量を必要とせずに、副作用が消失することが多く、吐き気止めを併用することで、副作用症状を軽減できる可能性があります。

フルボキサミンを過量内服した場合の急性中毒症状は、悪心、嘔吐、下痢等の胃腸症状、眠気及びめまいが多く、時に不整脈や低血圧等の循環器症状、肝機能障害、けいれんや意識障害が出現することがあります。

また、投与初期には抑うつ症状や不安焦燥感、不眠が増えることがあるので、安定剤などを少量併用することが助けになることがあります。

フルボキサミンは動物試験で身体依存性及び精神依存性は認められなかったようです。

薬物相互作用

フルボキサミンは、主に肝薬物代謝酵素CYP3A4阻害作用を有し、他にもCYP1A2、CYP2C19、CYP2D6の阻害作用も有するので、抗てんかん薬や、三環系抗うつ薬、ベンゾピアゼピン系薬物、βー遮断薬、キサンチン系気管支拡張薬、クマリン系抗血液凝固薬の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させ、血中半減期を延長させます。

他にお薬を飲んでいる場合は主治医に相談しておくといいでしょう。

炭酸リチウムとフルボキサミンの併用で、両薬剤の作用増強の報告があります。

パキシル®、パキシル®CR/パロキセチン塩酸塩水和物

【剤型】

パキシル® 5mg、10mg、20mg

パキシル®CR 12.5mg、25mg

【適応】

①うつ病・うつ状態、②パニック障害、③強迫性障害、④社会不安障害、⑤外傷後ストレス障害

【用法用量】

①1日1回10~20㎎夕食後で開始し、1日40㎎まで。

②1日1回30㎎夕食後から開始し、1日30㎎まで。

③1日1回20㎎より開始し、1日50㎎まで。

④1日1回10㎎より開始し、1日40㎎まで。

⑤1日1回10~20mgより開始し、1日40㎎まで。

(*パキシルCRの場合、パキシル®10㎎=パキシル®CR12.5㎎と換算して計算します)

パロキセチンの特徴

パロキセチンはデンマークの会社により1975年に開発され、1990年に抗うつ薬として初めてイギリスで承認され、抗うつ薬として世界110か国以上、、パニック障害および強迫性障害の治療薬として80か国以上で承認されています。

外傷後ストレス障害の治療薬としては60か国以上で承認されています。

パロキセチンは、日本においてうつ病及びうつ状態、パニック障害への適応で、2000年に承認されたお薬です。

日本においてはパニック障害への適応が認められた最初のSSRIでした。

2006年に強迫性障害、2009年に社会不安障害、2013年に外傷後ストレス障害の適応を取得しています。

薬理作用・薬理動態

神経終末からシナプス間隙へ放出されたセロトニンは主として神経終末に存在するセロトニントランスポーターを介して速やかに取り込まれ再利用されます。

パロキセチンはセロトニンの再取り込みを選択的に阻害する作用をもちます。

抗コリン作用は三環系抗うつ薬に比較してきわめて弱いものですが、SSRIの中では一番強く、口渇感や便秘が出現する可能性があります。

セロトニン再取り込み阻害作用は投与後に比較的短時間に引き起こされますが、実際の臨床場面においてはパロキセチンの治療効果の発現に概ね10日から2週間が必要となります。

主に肝薬物代謝酵素CYP2D6で代謝され、尿中に排泄されます。

高度の腎・肝障害のある人では血中濃度が上昇することがあります。

Tmax(最高血中濃度到達時間)は約5時間、半減期は約15時間、約7日でほぼ定常状態となります。

効果

パロキセチンの適応症として厚生労働省が正式に認可しているのは、うつ病・うつ状態、パニック障害、強迫性障害、社会不安障害及び外傷後ストレス障害です。

パニック障害、強迫性障害、摂食障害、月経全不快気分障害、アルコール依存症に伴う抑うつ状態などの病態にはノルアドレナリン神経系に作用する薬物より、SSRIが有効でしょう。

IPAP(International Psychopharmacology Algorithm Project)のうつ病治療アルゴリズムでは、大うつ病(中等度以上)の治療において、SSRIが第一に選択されるべき薬物として挙げられています。

パニック障害に対するSSRIの有効性がメタアナライシスにより確かめられています。

日本での臨床試験成績ではパロキセチン投与8週後の最終全般改善度における改善率(中等度改善以上)は約50%であり、プラセボ群の約30%と比べても優位に優れていました。

パロキセチンを強迫性障害の方へ12週間投与し、強迫症状改善度における改善率(著効以上)は、61.1%であり、プラセボ群の24.7%に比べて、優位に優れていました。

注意点、副作用

SSRI投与開始後2週間程度に不安の頻度が増加することがあるため、抗不安薬等の併用が必要な場合があります。

急性有害作用や退薬症状の出現を抑えるために、漸減、漸増することが基本になります。

急激な中止により、めまい、知覚障害、睡眠障害、不安、嘔気、発汗等がみられることがあり、中止する場合は、徐々に減量することが必要です。

内服中の自動車等危険を伴う機会を操作する際には充分注意する必要があり、従事しないようにしましょう。

妊娠の可能性がある場合には主治医と相談し、可能であれば中止することが望ましいでしょう。

母乳中への移行のため、授乳婦は内服を避けることが望ましいですが、やむを得ず内服する場合は授乳をやめ、ミルクにしましょう。

主な副作用として、嘔気、傾眠、口渇、めまい等の報告があります。

衝動性を増悪させる可能性があるので、衝動性が高い併存障害を有する場合だけでなく、開始初期は注意深い観察が必要です。

頻度は少ないのですが、不安感、焦燥感、興奮、パニック症状、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、躁状態が出現することがありますので、主治医と相談しながら調整する必要があります。

薬物相互作用

パロキセチンは肝薬物代謝酵素CYP2D6の阻害作用を有することから、抗精神病薬、三環系抗うつ薬、抗不整脈薬、β遮断薬等の血中濃度が上昇し、これらの薬剤の作用が増強することがります。

また、フェニトインやフェノバルビタール等は肝薬物代謝酵素誘導作用を有するため、パロキセチンとの併用によりパロキセチン血中濃度が低下するおそれがあります。

ジェイゾロフト®/塩酸セルトラリン

【剤型】

錠剤/OD錠 25mg、50mg、100mg

【適応】

うつ病・うつ状態、パニック障害、外傷後ストレス障害

【用法用量】

1日25㎎を初期用量とし、1日100㎎まで漸増でき、1日1回内服します

セルトラリンの特徴

セルトラリンはアメリカで開発され、1990年にイギリスで、1991年にアメリカでうつ病の治療薬として承認されました。

世界110か国以上で、うつ病、パニック障害、強迫性障害、社会不安障害、月経全不快気分障害の適応症で承認されています。

外傷後ストレス障害については、海外において90以上の国と地域で承認されており、国際的に外傷後ストレス障害の標準的な治療薬となっています。

本邦では、2006年、うつ病・うつ状態ならびにパニック障害として適応を取得し、2015年に外傷後ストレス障害の適応を取得してます。

セルトラリンは、日本初めて、プラセボを対照とした比較試験によりうつ病・うつ状態の再燃抑制効果が示されたSSRIです。

薬理作用、薬物動態

神経終末からシナプス間隙へ放出されたセロトニンは主として神経終末に存在するセロトニントランスポーターを介して速やかに取り込まれ再利用されます。

セルトラリンはセロトニンの再取り込みを選択的に阻害する作用をもちますが、各種神経伝達物質受容体にはほとんど親和性を示さず、モノアミン酸化酵素阻害作用も示しません。

アドレナリン、ヒスタミン、アセチルコリン等の受容体に対する親和性も低く、従来の抗うつ薬に劣らない抗うつ効果を持ちながら、問題となるような有害な副作用が極めて弱いお薬です。

セロトニン取り込み阻害作用は投与後に比較的短時間に引き起こされますが、実際の臨床場面においてはセルトラリンの治療効果の発現にはおおむね10日から2週間ほど必要になります。

セルトラリンは肝代謝酵素CYP2C19、CYP2C9、CYP2B6、CYP3A4等で代謝されます。

高度の肝障害のある方は血中濃度が上昇することがあるので、増量が必要な場合は、慎重な調整が必要です。

Tmax(最高血中濃度到達時間)は約6~8時間で、半減期は約22~24時間です。約5日でほぼ定常状態に達します。

効果

セルトラリンの適応症として厚生労働省が正式に認可しているのは、うつ病・うつ状態、パニック障害、外傷後ストレス障害です。

諸外国では、強迫性障害、社会不安障害、月経全不快気分障害の適応症で認可されています。

また、摂食障害、アルコール依存症の抑うつ状態などのセロトニン神経系機能不全が想定される疾患にも効果が期待できます。

海外における大うつ病の人に対するプラセボを対照としたいくつかの二重盲検比較試験において、セルトラリンはすべての試験でプラセボに比べてHAM-D合計点(うつ状態を評価する検査、点数が高いほど重度)の減少幅が大きく、統計的に優位な差が認められています。

また、最高用量を増量して実施したランダム化治療中止試験においては、主要評価項目であるセルトラリンの再燃率は8.5%であり、プラセボの19.5%に比べ、統計的に優位に低いことが検証され、再燃抑制効果を含むセルトラリンの抗うつ効果が認められています。

IPAP(International Psychopharmacology Algorithm Project)のうつ病治療アルゴリズムでは、大うつ病(中等度以上)の治療において、SSRIが第一に選択されるべき薬物として挙げられています。

海外におけるパニック障害に対するプラセボを対照とした複数の二重盲検比較試験において、セルトラリンは全ての試験でプラセボに比べて改善が認められ、発作回数や全般改善度でもプラセボに比べて統計的に有意な差が認められました。

国内でのプラセボを対照とした二重盲検比較試験においても、パニック発作の出現頻度の有意な減少が認められています。

注意点、副作用

投与開始後に不安の頻度の増加することがあるため、抗不安薬等の併用が必要な場合があります。

急性有害作用や退薬症状の出現を抑えるために、漸減、漸増することが基本になります。

急激な中止により、めまい、知覚障害、睡眠障害、不安、嘔気、発汗等がみられることがあり、中止する場合は、徐々に減量することが必要です。

内服中の自動車等危険を伴う機会を操作する際には充分注意する必要があり、従事しないようにしましょう。

母乳中への移行のため、授乳婦は内服を避けることが望ましいですが、やむを得ず内服する場合は授乳をやめ、ミルクにしましょう。

主な副作用として、嘔気、傾眠、口渇、めまい等の報告があります。

衝動性を増悪させる可能性があるので、衝動性が高い併存障害を有する場合だけでなく、開始初期は注意深い観察が必要です。

頻度は少ないのですが、不安感、焦燥感、興奮、パニック症状、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、躁状態が出現することがありますので、主治医と相談しながら調整する必要があります。

薬物相互作用

セルトラリンは肝代謝酵素(チトクロムP450)に対する影響が比較的少ない薬剤ではあります。

併用してはいけない薬物としては、モノアミン酸化酵素阻害薬があります。モノアミン酸化酵素阻害薬との併用により、セロトニン症候群(錯乱、発熱、見送ろヌス、振戦、協調異常、発汗等がみられる)が現れることがあります。

機序は不明ですが、炭酸リチウムとの併用によってもセロトニン症候群が現れることがあり、注意が必要です。

ワーファリンとの間に薬物相互作用が報告されており、ワーファリン内服中の方は内科の主治医にも伝えて相談してください。

レクサプロ®/エスシタロプラム

【剤型】

10mg

【適応】

うつ病、うつ状態、社会不安障害

【用法用量】

1日1回10㎎、夕食後より開始し、1日20㎎まで増量できます。

下記ご参照下さい。

レクサプロ®/エスシタロプラムを処方された方へ

 

冬になるとうつになる?!【季節性感情障害】

季節性感情障害とは

毎年秋から冬にかけて抑うつ状態を呈し、春には回復することを繰り返す人たちが見いだされ、季節性感情障害seasonal affective disorder(SAD)と命名され、光療法が有効であることが1984年に報告されました。

日本でも1988年に本症例が初めて報告されて依頼、多数の報告がなされています。

報告されたSADの特徴

・発症年齢は20歳代前半であり、女性に多い。(男:女=1:4以上)

・発症時期は秋分以降に見られ、症状の極期は1~2月に集中し、自然寛解期は春分以後が多い。

・遺伝負因の可能性が比較的高く、親族の発症はSAD14~23%、感情障害25~58%、アルコール症8~36%との報告があります。

・SADではうつ病の主症状である抑うつ気分と行動抑制がみられるほか、過眠、過食、体重増加、炭水化物渇望などの非定型的症状が特徴的です。

・緯度が上がるに従い発生頻度上がり、北半球から南方への転地により改善することがあります。

予後

長期経過を観察すると、季節性が維持されるのは20~40%と決して多くはありません。季節性が変化する群はそれだけ重症であり、光療法に対する反応性も不良であるかもしれません。

治療

光療法

光療法や薬物療法、認知行動療法を行います。

光療法にて、2000ルックスという高照度光がメラトニン分泌を抑制し、症状改善させる可能性があります。

光療法の効果は33~77%と言われています。

薬物治療

SADの治療には一般的に抗うつ薬が有効です。

疲労感や眠気が増す薬は避けるべきなので、こうした副作用の少ないSSRIという種類の抗うつ薬が主に使われています。SADの場合、秋に抗うつ薬を飲み始め、春になったらやめるのが一般的です。

光療法のその他効果

光療法(phototherapy, light treatment)は、最初に季節性感情障害に施行され、その高い臨床的効果が示された。季節性感情障害以外にも下記の状態、症状にも使用され、臨床的有効性が示されています。

①非季節性の気分障害

②概日リズム睡眠障害

③月経前症候群

④摂食障害

⑤痴呆に随伴するせん妄や行動異常

⑥交代勤務者にみられる焦燥や機能低下

⑦時差症候群

⑧季節性変動のある強迫性障害

レメロン®、リフレックス®/ミルタザピンを処方された方へ

ミルタザピンとは

ミルタザピンはノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(noradrenerigic and specific sertonergic antidepressant:NaSSA)として、海外のガイドラインでうつ病治療の第一選択薬として推奨されているお薬です。

日本では2009年に臨床導入され、処方されるようになっています。

ミルタザピンの受容体親和性と薬理作用のお話。どんなふうに効くのか。

他の三環系抗うつ薬(昔からある抗うつ薬で効果もあるが副作用が強い)や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor:SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(serotonin-noradrenaline reuptake inhibitor:SNRI)と違って、ミルタザピンはモノアミン【ルアドレナリン(NA)、ドパミン(DA)、セロトニン(5-TH)】の再取り込み阻害作用を一切持っていません。

一方で、α2アドレナリン受容体阻害作用、5-HT2A受容体阻害作用、5-HT2c受容体阻害作用、5-HT3受容体阻害作用、ヒスタミンH1受容体阻害作用を有し、それぞれ臨床効果、副作用と関連があります。

また、ムスカリン性アセチルコリン受容体、α受容体に対する親和性がないため、一般的に抗うつ薬に多く見られる口渇、便秘、認知機能障害等の副作用を有さないという利点があります。

ミルタザピンのα受容体阻害作用

ミルタザピンのα受容体阻害作用により前頭葉皮質の細胞外ノルアドレナリン濃度と細胞がドパミン濃度を増加させ、抗うつ効果を発揮します。SNRIと併用することで、SNRIによって前頭葉皮質で増加する3つのモノアミン(ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニン)の細胞外濃度をさらに増加させ、抗うつ効果を増強させる可能性があります。

ミルタザピンの5-HT 2c受容体を介した作用

ミルタザピンの5-HT2c受容体阻害作用は前頭葉の細胞外ノルアドレナリン、ドパミン濃度増加作用を有します。抗不安作用、深睡眠の増加が期待できますが、一方で食欲亢進、体重増加への影響があります。

ミルタザピンの5-HT2A受容体を介した作用

ミルタザピンの5-HT2A受容体阻害作用は深睡眠の増加への作用を期待できます。

ミルタザピンの5-HT3受容体を介した作用

ミルタザピンの5-HT3受容体阻害作用により吐き気を抑える効果を期待できます。

ミルタザピンのヒスタミンH1受容体を介した作用

ミルタザピンのヒスタミンH1受容体阻害作用によって、鎮静、眠気、体重増加、低血圧の影響が出現する可能性があります。

ミルタザピンによる個別的治療の実際

ミルタザピンの有効性

解析研究の結果によると、治療開始後2週間でのミルタザピンは三環系抗うつ薬と比べて反応と寛解について有意差がなく、SSRIと比べると反応と寛解ともに有意に優れていました。

つまり、SSRIより即効性があり、他の抗うつ薬と効果は同等の力をもっていると考えていいでしょう。

また、抗うつ薬単剤での治療で改善しないうつ病の方に、ミルタザピンを上乗せすることで反応率、寛解率ともに有意な改善効果が見られており、SSRIによる治療効果が不十分であった場合に、ミルタザピンへの変薬もしくは上乗せによる増強療法によて改善が期待できます。

ミルタザピンの注意しておく副作用

眠気や、食欲亢進、体重増加などがあります。

まとめ

中等度以上のうつ病へは薬物療法が推奨されているが、ミルタザピンは三環系抗うつ薬と同等の有効性を示しており、SSRIに比べて早期の効果発現、睡眠作用があり、消化器症状や性機能障害が少ないのが特徴です。

副作用としての眠気と、食欲亢進、体重増加を考慮して使用されることで、ミルタザピンの有効性が最大限に生かされるでしょう。

人はなぜうつ病になるのか

動物にうつ病はない?!

人以外の動物におけるうつ病の存在は、言語的コミュニケーションにより自覚症状を基盤とした診断ができないことに加え、身体疾患の除外が困難であり、獣医学領域でも疾患概念が確立していません。

うつ病は、互いに助け合う人間社会だからこそ存在しうる疾患なのです。進化精神医学では、うつ病は他者からの援助を引き出すためのサイン、あるいは服従の意思を伝え、それ以上の他者からの攻撃を避けるためのシグナルとして進化してきたなどど解釈されています。

うつ病の診断

「うつ病」は、DMS-IV診断基準で「大うつ病性障害」として定義されています。

抑うつ気分、興味・喜びの喪失という2つの中核症状のうちいずれかを含み、食欲、睡眠、制止、易疲労感という4つの身体症状、集中困難、罪責感、希死念慮という3つの精神症状、合わせて9つの症状のうち、5つ以上が、1日中、毎日、2週間以上続く時で、身体疾患、薬物、死別反応、そして双極性障害による場合を除外して、初めて診断に至ります。

会社に行けないが、休日は元気であったり、趣味はできるといった状態が「新型うつ」などと紹介されていますが、そのようなケースがうつ病の診断基準を満たすとは考え難いのです。

うつ状態だからといって、すぐお薬で治すというのは間違い?!本当にうつ病か

抗うつ薬の臨床試験結果のメタ解析で、抗うつ薬の優位性が認められるのは、中等症以上のケースです。

現状の保険診療は、非常に自由度が高く、医師の裁量権が大きいため、うつ病、うつ状態という病名をすぐにつけられてしまう場合があります。

しかしながら、逆に不必要な抗うつ薬が処方されることにもつながりやすく、不適切な使用については、厚生労働省が動き出して、保険診療に制限がかかるなどの対策がとられています。

うつ病はうつ病でも異種性がみられる、あなたと私のうつ病は別もの?!

うつ病はあまりにも様々な原因によるものを含んでいるため、単一の病気としてとらえるには無理があります。

高齢者の潜在性脳梗塞を伴ううつ病、中年の執着気質の人が昇進をきっかけにして発症するメランコリー型うつ病、若年のナルシスティックな性格傾向の人の非定型うつ病、季節性うつ病、双極スペクトラム(躁うつ病の傾向)など、それらのうつ病がすべてが同じ原因であるとは考えにくく、異種性の存在として考える方がいいでしょう。

それにもかかわらず、臨床では「うつ病」として、同じような治療になっていることも多いのです。

その理由として評価者間の一致度が高くないことや、日本の精神科、心療内科のシステム上の問題が挙げられます。

そのために検査法などを導入して、うつ病の下位分類を進めていく必要があります。

うつ病における検査法の可能性。どういう検査があるのか

デキサメタゾン抑制試験

1960年代からデキサメタゾン抑制試験がうつ病の検査として検討されました。

もともとクッシング病の鑑別診断法で、コルチゾールの分泌が正常なネガティブフィードバックを受けているかというかという試験で、内因性のうつ病では非抑制パターンを多く示すという報告でした。

しかしその後、統合失調症、アルツハイマー病、摂食障害などでも同様の所見を示すことがわかり、検査法としては確立しませんでした。

ただし、非定型うつ病では逆に過抑制を示すことが報告され、デキサメタゾン抑制試験は、うつ病か統合失調症かの鑑別には使えないかもしれないが、内因性うつ病か非定型うつ病かの鑑別には使える可能性があります。

将来は、デキサメタゾン抑制試験で非抑制なら抗うつ薬、過抑制なら精神療法というような治療選択が行われるかもしれません。

(*現在デキサメタゾン抑制試験はうつ病への保険適応がありませんので、実際うつ病の鑑別のために行うことは難しいと思われます。)

脳由来神経栄養因子

もう1つ期待されている検査法は、脳由来神経栄養因子です。

抗うつ薬と電気けいれん療法がともに海馬で脳由来神経栄養因子を増やすことが知られており、うつ病の方の血液検査で脳由来神経栄養因子の低下が報告され、注目されています。

成人の血中の脳由来神経栄養因子値がどれだけ脳を反映しているかは不明であるが、うつ病における血中の脳由来神経栄養因子の低下を示しており、検査法として応用が期待されています。

うつ病の病態仮説。なぜうつ病になるのか

うつ病の病態仮説として有力なのが、モノアミン仮説と、神経可塑性仮説の2つです。

1)モノアミン仮説

モノアミンとはドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン、セロトニン、ヒスタミンなどの神経伝達物質の総称です。

モノアミン仮説の根拠は、抗うつ薬が、さまざまなメカニズムを介してセロトニン、ノルアドレナリンの神経伝達を増加させ、抗うつ効果を示すことにあります。三環系抗うつ薬は前頭葉でのドパミンを増加させます。

モノアミン仮説とカテコールアミン(ノルアドレナリン、ドパミン)

カテコールアミン(ノルアドレナリン、ドパミン)がどのように病因に関係しているかについては、未知な点が多いのですが、高齢者の死後脳の病理学的研究から、高齢者のうつ病の一部は、カテコールアミン神経核が変性する可能性、すなわち神経変性疾患である可能性が指摘されています。

神経の変性が海馬などの認知機能にかかわる部分に生じれば認知症となる一方、青斑核や中脳腹側被蓋に変性が生じれば、うつ病になると考えられます。

モノアミン仮説とトリプトファン、セロトニン

うつ病の原因にセロトニンが関係していることを示す最大の根拠は、うつ病既往がある人に、トリプトファン欠乏状態を引き起こすと、うつ状態が再燃するためです。

トリプトファン欠乏によって、脳内でセロトニンが欠乏します。トリプトファン欠乏は、長期的な報酬の期待ができなくなります。結果、衝動性が高まったり、悲観的な思考しかできない等の症状につながると考えられます。

但し、トリプトファン欠乏は健康な人にはうつ状態を引き起こすわけではなく、抗うつ薬によりセロトニン量を正常化しても、効果が出てくるのに1週間前後必要になることから、セロトニンの増減だけがうつ病の原因であるとは考えにくいのです。

2)神経可塑性仮説

もう一つの仮説が、神経可塑性仮説です。

抗うつ薬の長期投与で脳由来神経栄養因子が増加することと、ストレスで神経新生が抑制されるという報告から、うつ病では神経における構造の可塑的変化が起きており、抗うつ薬はモノアミン増加を介して脳由来神経栄養因子を増やし、結果的に構造の可塑性を回復させるのではないかという仮説です。

まとめ

うつ病などの精神疾患に限らず、人の病気には、腫瘍、炎症、変性といったように、臓器は別でもその病態にはある程度の共通性があります。

うつ病において、神経が変性するという変化については、上記でも紹介しましたが、最近は末梢血液でのサイトカインの増加の所見などから、炎症が影響しているという仮説も広がっています。

このように、まだ完全解明されていない部分は多いのですが、うつ病を単一疾患として認識するのではなく、さまざまな原因による脳の病態に伴って生じうる症候群であるととらえ、それぞれの病態に合わせた治療を選択することが大切です。

レクサプロ®/エスシタロプラムを処方された方へ

レクサプロ®とはどんなお薬か

その前にお薬の一般名と商品名について説明します。

お薬の一般名と商品名

一般名とはそのお薬の化学構造式を由来に命名された名前で、英語表記で世界共通で通用するお薬の名称です。

(厳密には、世界共通のWHOに登録された国際一般名(INN:International Nonproprietary Name)と日本だけで使用されている医薬品名称調査会承認名(JAN:Japanese Accepted Name)がありますが、大まかな理解で大丈夫でしょう。)

今回の場合はエスシタロプラムが一般名になります。

商品名とはそのお薬の効果のイメージ等から製薬会社がつけた名前になります。

レクサプロ®について

レクサプロ®の海外での使用、適応

さて、そのレクサプロ®ですが、デンマークで開発されたSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)で、2001年にスウェーデンでうつ病、パニック障害の適応を得て以来、広く世界各国で承認されてきたお薬です。

日本では2010年に発売され、日本における適応は「うつ病・うつ状態」と、2015年からは「社会不安障害」が追加承認されています。海外ではパニック障害や全般性不安障害など、不安を主体とした病態への適応を取得しており、不安症状やうつ状態に効果がみられます。

「うつ」と「不安」について

では、うつ状態や不安に効果のあるお薬ですが、もっと詳しく見ていきましょう。

うつ病に不安症は効率に併存します。つまり、うつ病とパニック障害や、社交不安障害や全般性不安障害、強迫性障害が同時に存在することがしばしばみられるということです。うつ病の人の症状に不安という症状は8割以上出現するといわれています。

経過としてうつ病になって不安がでてくるより、不安が先行してうつ病になる人が多いようです。

また、うつ病は治療によって改善する症状にだいたいの順番があります。

まずは不安やイライラが改善し、その後意欲が回復していきます。

レクサプロ®を含むSSRIの効果

SSRI(セロトニン取り込み阻害薬)の不安と抑うつに対する効果につて説明します。

実際のところすべての作用機序が解明されているわけではありません。

情動記憶処理の中枢である、脳の偏桃体核においてセロトニンは情動記憶を減弱させ、ノルアドレナリンは強化します。よってSSRIはセロトニン伝達を促進し、情動記憶を抑制します。

もっと簡単にいうと、SSRIは不安・恐怖を抑える作用があるということです。

レクサプロは他に発売されているフルボキサミン(ルボックス、デプロメール)、パロキセチン(パキシル)、セルトラリン(ジェイゾロフト)より2~3倍、セロトニン再取り込み阻害の選択性が強いといわれています。

つまり、不安や恐怖を抑える力が他の薬剤より強く発揮できる可能性があります。

不安や恐怖、病気でいえばパニック障害、社会不安障害、全般性不安障害に対しては現在はSSRIが第一選択とされます。

レクサプロ®を含むSSRIと安定剤(抗不安薬)の違い、使い分け

不安や恐怖に対しては安定剤というイメージがあるかもしれませんが、安定剤と言われるお薬、ベンゾジアゼピン受容体作動薬は、GABAA受容体に結合し、その感受性を高め、GABAの作用を増強させ、神経の興奮を抑制します。つまり、情動を引き起こす偏桃体に直接作用し、不安や恐怖を軽減します。

すみやかに作用し、すぐれた不安効果があるのは事実ですが、長期の使用による耐性や依存形成、高用量の使用による筋弛緩などの副作用を考えなければいけません。

そのため、ベンゾジアゼピン系の安定剤はSSRIの効果発現までのつなぎの期間、短期的に使用するか、一時的な症状の波に使用するようにした方がいいでしょう。

SSRIの種類

現在、うつ病や不安障害(パニック障害、社会不安障害、強迫性障害、全般性不安障害など)における、薬物治療の第一選択はSSRIとなっています。日本で使用できるSSRIは、エスシタロプラム、フルボキサミン、セルトラリン、パロキセチンの4種類です。

同じSSRIでも、作用や副作用の個性に違いがあります。値段も少しずつ違います。

例えば

エスシタロプラムは最もセロトニントランスポーターに選択的な純粋なSSRIです。

フルボキサミンはσ1(シグマ1)受容体に結合する作用があります。

セルトラリンはドパミントランスポーター阻害作用に加えて、σ1受容体に結合する作用を持っています。

パロキセチンはノルアドレナリントランスポーター阻害作用や抗コリン作用があります。

それぞれのSSRIの特性を把握している医師に、自分にとって最も効果と忍容性(副作用が少なく、飲み続けられるかどうか)の優れた相性の良いものを処方してもらえるかが大切になります。

SSRIの中でのレクサプロ®/エスシタロプラムを使うメリットは

1)他のSSRIと比較しても、強いセロトニン選択阻害作用を有する(効果・作用をしっかり発揮できうる)

2)半減期(薬成分の血中濃度が半減するまでの時間)が約24~55時間と長く、1日1回の内服で安定した効果が望める。

3)内科的な他のお薬と併用しても相互作用がでにくい。

4)お薬をやめる時の離脱症状がでにくいと思われる。

レクサプロ®/エスシタロプラムを使用するときの注意点

内服初期に出現しやすい吐き気を予防するために、内服開始は5㎎(10㎎の半錠)からがオススメ。

心臓の持病(不整脈等)がある時は主治医に伝えておきましょう。

 

認知療法を始めよう!【認知療法①】

<ものごとの受けとめ方、考え方をえる!>【認知療法①】

今回は認知療法のお話です。

認知療法気分の改善において、驚きの効果を発揮します。

うつ状態、うつ病に対して、抗うつ薬と同等か、それ以上の効果があるという報告もあります。

認知療法とは本人が主体性をもって、「何が問題となっているか」ということと、「それためにどうすればいいかの対策」を明確化し、それぞれ個々の問題に応じた戦略をたてて、取り組んでいくという流れで行っていきます。

気の持ちようとかそういう気合論、根性論のレベルではありません。科学的な方法で、抑うつ気分を改善し、自分の気分をコントロールするのが認知療法なのです。

認知療法の理論に基づきながらも、簡易的に取り組めるように説明していきます。

それでは認知療法を始める扉を開いてみましょう。

まず、あなたの感情を作っているのは、すべてあなたの「認知」、ものごとの受けめ方や考え方なのということを理解しましょう。

認知はあなたのものごとの見方、受け止め方、反応の仕方、考え方、解釈の仕方を無意識に決めているのです。

例えば、このサイトを読んでいて

「うさんくさいし、どうせインチキまがいだろう」と思っているとします。

そうであれば疑い、がっかり、不信感、怒り等の感情がでていることでしょう。

あなたが、そう感じ、そのように受け取っているのであればそれがあなたの認知ということになりまます。

それは正しいとか、間違っているという問題ではなく、あなたがそう感じているということです。

反対に、

「このサイトはなんか役に立ちそうだ。ひっとしたら自分のためになるヒントが見つかるかもしれない」と思っているとします。

すると、希望や、晴れやかな気持ち、喜び等の感情がでていることでしょう。

このように、あなたの気分は今読んでいる文章それ自体で決まるのではなく、あなたがどう受け取り、感じ、考えているかによって決まるのです。

認知が感情を規定(決定)しているのです。

精神的な混乱や不調を引き起こす、認知の歪みに気付き、修正する方法を身につけることで、自分自身の感情をコントロールすることができます。

客観的に自分の心を考えることができれば、気分も改善してきます。

では次回は、認知療法の第一歩、自分の落ち込みの評価からです。