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ラツーダ®錠/ルラシドン塩酸塩とはどんな薬か【統合失調症治療薬】

ラツーダ®錠(ルラシドン塩酸塩)とはどんな薬か

【商品名】ラツーダ®錠/Latuda®tablets

【一般名】ルラシドン塩酸塩

【剤型】錠剤 20mg/40mg/60mg/80mg

【適応疾患】

1)統合失調症

2)双極性障害におけるうつ症状の改善

【用法及び用量】

1)統合失調症

通常、成人にはルラシドン塩酸塩として40㎎を1日1回食後経口投与する。

なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は80㎎を超えないこと。

2)双極性障害におけるうつ症状の改善

通常、成人にはルラシドン塩酸塩として20~60㎎を1日1回食後経口投与する。

なお、開始用量は20㎎、増量幅は1日量として20㎎とし、年齢、症状により適宜増減するが、1日量60㎎を超えないこと。

【特徴】

ラツーダ®錠(ルラシドン塩酸塩)は2019年10月の時点では、統合失調症に対しては45の国と地域、また、双極性感情障害におけるうつ症状の改善に対しては6の国と地域で承認されている抗精神病薬になります。

国際双極性障害学会(ISBD:International Society for Bipolar Disorder)とCANMAT(The Canadian Network for Mood and AnxietyTretments)が2018年に出したガイドラインでは、双極性感情障害におけるうつ症状の改善のための薬物療法において第1選択の一つとして推奨されています。

【禁忌】

1)昏睡状態の患者(昏睡状態が悪化するおそれがある)

2)バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者(中枢神経抑制作用が増強される)

3)CYP3A4を強く阻害する薬剤{アゾール系抗真菌薬(イトラコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール、フルコナゾール、ホスフルコナゾール、ポサコナゾール)、HIVプロテアーゼ阻害薬(リトナビル、ロピナビル、リトナビル配合剤、ネルフィナビル、ダルナビル、アタザナビル、ホスアンプレナビル)コビシスタットを含む製剤、クラリスロマイシン)を投与中の患者}

4)CYP3A4 を強く誘導する薬剤(リファンピシン、フェニトイン)を投与中の患者。

5)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

6)アドレナリンを投与中の患者(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く)

【妊婦への投与】

ヒトでの影響が懸念される非臨床試験成績はありませんが、国内外を問わず、妊婦または妊娠している可能性のある患者を対象とした臨床試験は実施されておらず、ヒトでの影響は不明であることから、「妊婦または妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状が現れたとの報告がある。」という設定にされています。妊娠後期に投与された場合の新生児の離脱症状及び錐体外路症状につきましては抗精神病薬に共通の注意喚起として設定されています。

【授乳婦への投与】

非臨床試験で乳汁への移行が認められていますが、薬理作用や暴露量等からはヒトでの哺乳中の児における影響が不明であることから、「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている。と設定されています。

レキサルティ®/ブレクスピプラゾールとはどんな薬?【新しい統合失調症治療薬】

新しい統合失調症治療薬レキサルティ®(ブレクスピプラゾール)とはどんな薬?

【一般名】

ブレクスピプラゾール brexpiprazole

【製品名】

レキサルティ

【剤型】

錠剤 1mg、2mg

【適応】

統合失調症

【用法・用量】

通常、成人にはブレクスピプラゾールとして1日1回1mgから投与開始した後4日以上の間隔をあけて増量し、1日1回2mgを経口投与する。

【特徴】

レキサルティ®(ブレクスピプラゾール)はSDAM:Serotonin-Dopamine Activity Modulator(セロトニンードパミン アクティビティ モジュレーター)と呼ばれる新しい作用機序を持つ統合失調症治療薬です。

これまで発売されている統合失調症治療薬はリスパダール(リスペリドン)などのSDA(Serotonin Dopamine Antagonist)に分類される、ドパミンD2受容体のみならず、セロトニン5-HT2A受容体の遮断作用も有することで、錐体外路症状の軽減をはかるタイプのお薬や、エビリファイ(アリピプラゾール)のDPA(Dopamine Partial Agonist)に分類される、ドパミンD2受容体部分アゴニスト作用により、錐体外路症状の軽減、統合失調症の陽性・陰性双方の症状改善を目指したタイプのお薬が主流となっていました。

しかし、SDAでは体重増加や糖・脂質代謝異常、過鎮静、プロラクチン値上昇、DPAではドパミンD2受容体刺激作用に基づく興奮や不眠、アカシジアなどの課題も抱えていました。

今回発売されたレキサルティ(ブレクスピプラゾール)はドパミンD2受容体を過剰に遮断しない特徴に加え、セロトニン5-HT1A及び5-HT2A受容体にも高い親和性を示すことでDPA(Dopamine Partial Agonist)とSDAの特性を併せ持ちそれぞれの短所を改善し、長所を残したようなお薬になっています。

【薬理作用】

D2受容体にパーシャルアゴニストとして高い親和性を示し、エビリファイ(アリピプラゾール)に比べ固有活性が低いという特徴があります。5-HT1A受容体にもパーシャルアゴニストとして作用し、高い親和性を示します。5-HT2A受容体にはアンタゴニストとして作用し、高い親和性を示します。

側坐核、線条体、前頭皮質での上記作用で、陽性症状・陰性症状・認知機能障害を改善させるとされています。また、錐体外路症状の発現を少なくできるとされています。

【副作用】

国内臨床試験における副作用としては、アカシジア5.7%、高プロラクチン血症4.0%の報告がありました。外国の主要なプラセボ対照二重盲検試験における安全性解析の対照となった副作用としては、頭痛6.3%、不眠5.7%などが見られています。

【ベンゾジアゼピン】授乳とお薬について【心療内科・精神科編】

妊産婦は精神状態が不安定となることが多く、安定剤や睡眠薬を内服せざるをえない場合があります。

安定剤・睡眠薬の中でも代表的なベンゾジアゼピン系の薬剤を内服する場合、新生児に授乳をしている母親は、薬物及び代謝物の母乳中への移行と新生児への影響に注意が必要です。

ベンゾジアゼピン系薬剤の母乳中移行と新生児への影響についてはセルシン®、ホリゾン®(ジアゼパム)に関しての研究がみられます。

帝王切開で出産後、強い不安、抑うつ状態が出現した母親に、ジアゼパムを1日30㎎を3日間(計90㎎)投与された場合、乳児がが昏睡状態となり、体重減少(-170g/日)がみられたと報告されました。

ジアゼパムないしはその代謝物が母乳を通して乳児に移行したと考えられます。

別の研究では、ジアゼパム10㎎を毎食後に3回、合計30㎎/日を3人の産婦に内服してもらい、4日後と6日後にジアゼパムとN-デスメチルジアゼパム(代謝物)の母親の血中濃度、、母乳中濃度および乳児の血中濃度を測定した研究があります。

結果は6日後の母親の血中濃度と母乳濃度の比は10:1でした。

また乳児の血中濃度はジアゼパム、N-デスメチルジアゼパム共に母乳中濃度に近い値でしたが、乳児に眠気や呼吸抑制などの所見は見られませんでした。

ただし、この研究は6日間であり、薬物代謝機能が不十分な乳児に長期間授乳を続ければ蓄積する可能性があり、ジアゼパム服用中には授乳を中止するのが望ましいとされています。

また、別の研究では母親のジアゼパム血中濃度と母乳中濃度の比は約4.6:1~0.4:1であり、平均2:1という結果ですが、約10倍近い個体差があったことが指摘されています。

これらの報告から判断すると、いずれにせよ母乳中への移行は高値ではなく、1日にジアゼパム10㎎程度を内服した場合、新生児が1日500mlの母乳を飲んだとしても、新生児が摂取するジアゼパムと、N-デスメチルジアゼパムの量はせいぜい45μg程度となり、有意な障害は与えないと考えられます。

しかし、産婦の内服量が多くなり、高用量となる場合には新生児の代謝能力が低いため、蓄積し予期せぬ症状が出現することがありえるので、授乳は中止するべきでしょう。

ジアゼパム以外のベンゾジアゼピン系薬剤においては、ロラゼパム(ワイパックス®)、ニトラゼパム(ベンザリン®、ネルボン®)、クロナゼパム(リボトリール®、ランドセン®)等でも母乳中移行への報告があります。

まとめ

安定剤や睡眠薬として使用されるベンゾジアゼピン系薬剤は母乳中へ移行するため、一般的には授乳は避けた方がいいでしょう。

特にベンゾジアゼピン系薬剤を反復して、あるいは高用量で使用する場合は、新生児への蓄積の危険性が大きく、授乳は中止すべきでしょう。

一方で授乳中に数回安定剤や睡眠薬を内服したとしても、少量の内服であれば、移行する量も少なく過度に心配する必要はないようです。

安定剤や睡眠薬など、ベンゾジアゼピン系薬剤を内服する際には、治療効果による利点と授乳によって生じる危険性について主治医としっかり相談することが大切です。

【SSRI】パキシル®(パロキセチン)で太るのか?【体重増加】

抗うつ薬を飲み始めて太ったと言われる方がいます。

では果たしてパキシル®(パロキセチン)を開始して体重増加が生じるのでしょうか?

パキシル®(パロキセチン)内服開始後の体重増加に関してはいくつかの報告があります。

SSRIであるパキシル®(パロキセチン)と三環系抗うつ薬であるトフラニール®(イミプラミン)を内服中のうつ病の方で効果と副作用を検討した研究があります。

その研究ではパキシル®(パロキセチン)内服中の方のうち約30%で1~4㎏の体重増加がみられたとの報告があります。

その他にもいくつか体重増加が見られたとの報告が散見されます。

300名近くの大うつ病の方にSSRIであるパキシル®(パロキセチン)とジェイゾロフト®(セルトラリン)とフルオキセチン(日本未承認薬)を投与して体重変化を比較した研究があります。

その結果パキシル®は投与前と投与終了後の平均体重変化率が+3.6%と有意な増加が見られました。

ちなみにジェイゾロフト®は+1.0%、フルオキセチンは-0.2%という結果です。

また、平均体重の変化率が+7%以上の極端な体重増加率を示した方の割合は、パキシル®で約26%、ジェイゾロフト®で約4%、フルオキセチンで約6.8%でした。

このような極端な体重増加は男性(約13%)より女性(約39%)に多かったようです。

さらに、極端な体重増加を示したパキシル®を内服した方のうち約92%の方が内服前のBMI(body mass index)が20(kg/m2)以上でした。

一方で、体重変化が認められなかった、特定の群で体重が減少したとする報告もみられます。

SSRIによる体重増加が生じる機序の可能性

1)うつ状態の改善によるもの

うつ状態では症状による食思不振、食欲低下、体重減少が多くみられます。

よって、うつ状態の改善に伴い、食欲が回復することで、体重が元の体重に戻る時に、増える場合があります。

しかし、それは太ったのではなく、元の体重に戻ったということであり、薬剤性の体重増加ととらえる必要はないでしょう。

2)食欲増加あるいは炭水化物摂取の増加

SSRI内服開始後に食欲が増える場合があり、食事摂取量が増え体重が増えることがあります。

また、うつ状態で休職したり、療養する過程で食事をゆっくりとる場面が増えたり、いろいろなストレスに対し「食べる」という行為でストレスを解消しようとする場合は体重が増えます。

そういう場合は、ご飯、パン、麺、お菓子などの炭水化物の摂取が増えていることが多いです。

3)セロトニン5-HT2c受容体活性化による影響

薬理学的な作用としてセロトニン5-HT2c受容体活性化が体重増加に影響しているとの指摘があります。

 

但し、SSRIを内服している人がみな体重増加しているわけではなく、また、SSRIの中でも体重が増えやすいお薬とそうでないお薬があるというのが実際の印象です。

まとめ

パキシル®(パロキセチン)による体重変化の報告は、依然として一致した見解には至っていませんが、体重が増加するという報告が比較的多くみられ、臨床現場でも実際体重が増える方がいるのは事実です。

特に女性の方や、内服前からBMIが高めの方は注意が必要です。

しかし、病気の改善による食欲の回復が影響している場合や、生活、食事、運動の変化等が影響している部分も大きく、一概に体重増加を薬物が原因と考え有用な薬物陽法の機会を逃すことも注意が必要だと思います。

【SSRI】抗うつ薬をやめられない【離脱症状】

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)としては日本初のお薬であるルボックス®、デプロメール®(フルボキサミンマレイン酸)が1999年に承認され、それ以降、パキシル®(パロキセチン)、ジェイゾロフト®(セルトラリン)、レクサプロ®(エスシタロプラム)と使用できるSSRIの選択肢が増えています。

現在SSRIはうつ病、パニック障害、社交不安障害、強迫性障害などの疾患に対して幅広く用いられています。

SSRIを他の薬に切り替える場合や、漸減中止をしようとした際に、睡眠障害やふらつきなどの離脱症状が出現することがあります。

抗うつ薬の離脱症状について

SSRIよりも以前から使用されていた三環系抗うつ薬においては離脱症状が出現することが知られており、問題とされてきましたが、SSRIの減量・中止の際にも離脱症状が出現することがあります。

離脱症状の主な症状

主な症状には、ふらふらする感じ、めまいや失神するような感じ、感覚異常、不安、下痢、倦怠感、運動失調、頭痛、不眠、イライラ、嘔気、振戦などがあります。

離脱症状はSSRIを1ヶ月またはそれ以上内服した方において、SSRIの中止あるいは減量後3日以内に出現することが多く、場合によっては数週間持続することがあります。

SSRIの中でも離脱の出やすさに差があり、パキシル(パロキセチン)は他のSSRIよりも離脱症状の頻度が多いという報告があります。

パキシル(パロキセチン)が離脱症状が出やすい理由

1)薬物動態的特徴によるもの

パキシルの薬物動態学的特徴が関係しています。

パキシルは他のSSRIと違い活性代謝物をもたず、また、血中濃度が内服用量増加に伴い非線形の上昇を示します。

そのため、中断や減量の際に、他のSSRIよりも血中濃度が急激に低下することが推測されます。

2)セロトニン選択制の高さによるもの

パキシルのセロトニン選択性の高さが関係しています。

長期間のSSRI内服により、後シナプスにおけるセロトニン受容体の脱感作が生じるため、SSRIの急激な中断や減量によりシナプス間隙でのセロトニン欠乏をきたした際に離脱症状が出現しやすいと推測されます。

また、前シナプスにおける自己受容体であるセロトニン1A受容体の脱感作が生じているために、セロトニン神経の活動亢進が起きにくいという報告もあります。

離脱症状の判断

実際の臨床では、離脱症状であることが正確に判断されることが重要です。

SSRIを中止した際に、抑うつ症状や不安症状の再燃なのか、薬剤切り替えを行った場合は新しい薬剤の副作用なのか、離脱症状なのかを判断する必要があります。

SSRI離脱症候群の診断基準

A)少なくとも1ヶ月間の使用期間後におけるSSRIの中断なるいは減量がなされている。

B)中断あるいは減量後の1~7日以内に出現する以下の症状が2つ以上

1)ふらつき、ふらふらする感じ、めまいまたは失神する感じ

2)嘔気、嘔吐

3)頭痛

4)振戦

5)倦怠感

6)不安

7)ショック様の感覚または感覚異常

8)不眠

9)焦燥感

10)下痢

11)不安定歩行

12)視覚障害

C)上記の症状が、臨床的に著しい苦痛、または社会的、職業的、または重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

これらの症状が一般身体疾患によるものではなく、SSRIが処方された精神障害の再燃、もしくは同時に行った他の精神活性を持つ物質の中断あるいは減量ではうまく説明されない場合。

離脱症状への対処法

離脱症状が出現した場合、もっとも安易な対処法は中止・減量した薬剤を再開することです。

この場合速やかな症状改善がきたいできますが、再び減量を行った場合には、同様の症状が出現する可能性が高いので、減量中止の仕方に中止が必要です。

離脱症状への具体的な対策としては、減量する薬剤量と減量する間隔を長くするという方法があります。

特に少量になればなるほど離脱症状が出現しやすく、やめる時が最も出現しやすいと言われています。

そのため、パキシルを1日40㎎内服している場合は、2週間以上あけて5~10㎎/日づつ減量し、10~20㎎/日以下に減量する場合は、2.5㎎~5㎎/日で減量していくことで離脱症状を軽減できる可能性があります。

但し、それでもうまくいかない場合は離脱症状の出現しにくいレクサプロ(エスシタロプラム)に一旦置換してレクサプロで減量中止していくとうまくいくことがあります。

【三環系抗うつ薬】ノリトレン®/ノルトリプチリン塩酸塩とはどんな薬?

ノリトレ®/ノルトリプチリン塩酸塩を処方された方へ

一般名

ノルトリプチリン塩酸塩 nortriptyline hydrochloride

製品名

ノリトレン

剤型

錠剤 10mg、25mg

適応

うつ病・うつ状態

用法・用量

1日に30~75mgを初期用量として、2~3回に分け内服し、必要に応じて最大1日150㎎まで漸増します。

半減期

約27時間

ノリトレン®/ノルトリプチリン塩酸塩の特徴

ノリトレン®/ノルトリプチリンは、デンマークのH.ルンドベック社によりジベンゾシクロヘプタジエン系構造を有する三環系抗うつ薬の一つです。

日本では1971年より発売されています。

ノリトレン®/ノルトリプチリンはトリプタノール®/アミトリプチリンが脱メチル化された化学構造を有します。

ノリトレン®/ノルトリプチリン塩酸塩の薬理作用、薬物動態

Tmax(最高血中濃度到達時間)は4~5時間で、半減期は約27時間です。

ノリトレン®/ノルトリプチリンは、ノルアドレナリン再取り込みを阻害することにより、シナプス間隙におけるノルアドレナリン濃度を増加させ抗うつ効果を発揮します。

ノリトレン®/ノルトリプチリンは生化学的には抗コリン作用、α受容体遮断作用、抗ヒスタミン作用がトリプタノール®/アミトリプチリンより弱く、起立性低血圧などの副作用も比較的出現しにくいといわれています。

ノリトレン®/ノルトリプチリン塩酸塩の適応症に対する効果

ノリトレン®/ノルトリプチリンの適応症として厚生労働省が認可しているのは、うつ病、うつ状態です。

抑うつ感そのものの改善よりも精神運動抑制の改善に効果が高く、うつ病に伴う不眠に奏功します。

ノリトレン®/ノルトリプチリン塩酸塩の意点、副作用

ノリトレン®/ノルトリプチリを含めた抗うつ薬において、服用開始後に抗うつ効果を発現する前に副作用が出現することもあります。

特に三環系抗うつ薬は抗うつ薬の中で、作用も強いのですが、副作用も出現しやすいお薬です。

低血圧、頻脈、口渇、便秘、排尿困難、めまい、倦怠感、眠気、振戦等が見られやすい副作用です。

また、内服後、不安感や焦燥感、パニック、興奮、不眠、イライラ、攻撃性、衝動性、アカシジア等が見られる場合にはすぐに主治医に相談して下さい。

ノリトレン®/ノルトリプチリン塩酸塩の薬物相互作用

ノリトレン®/ノルトリプチリンはモノアミン酸化酵素阻害薬との併用は禁忌となっています。

抗コリン作用を有する薬剤と併用すると、それぞれの作用が増強されます。

アドレナリン作動薬、中枢神経抑制薬、全身麻酔薬、キニジン、メチルフェニデート、黄体・卵胞ホルモン製剤、シメチジン、フェノチアジン系薬剤、抗不安薬、飲酒の効果を増強させます。

降圧薬の効果を減弱することがあります。

インスリン製剤、SU剤との併用では過度の低血糖を生じさせることがあり注意が必要です。

クマリン系抗凝血薬の血中半減期を延長させます。

バルビツール酸誘導体やフェニトインなどの肝薬物代謝酵素誘導作用を有する薬物はノリトレン®の作用を低下させます。

まとめ

ノリトレン®/ノルトリプチリンは、三環系抗うつ薬に分類される抗うつ薬です。

抗うつ作用は強いのですが、副作用も出現しやすく、現在第一選択で使用されることは少なくなっているお薬です。

しかし、有用な場面もあり処方されることもありますので、内服し、副作用が気になるようならすぐに主治医に相談して、効果と副作用のバランスのとれた服薬量を調整してもらうのがいいでしょう。

【抗うつ薬】本当に必要なお薬かどうか【併用療法】

うつ病の薬物療法

うつ病に対する薬物療法は単剤療法が原則です。

ただし、うつ病治療において、単剤では改善がみられない難治性の場合が20~30%ほど存在するといわれています。

その為、抗うつ薬単剤で改善が見られない場合は、次の治療選択肢に最初の抗うつ薬に、他の抗うつ薬の併用、例えば三環系抗うつ薬(TCA)などの併用をすることがあります。

抗うつ薬の併用療法

難治性のうつ病に対して抗うつ薬どうしの併用が行われることがあります。

作用機序の異なる抗うつ薬どうしの組み合わせで、セロトニン作用やノルアドレナリン、ドパミン作用などモノアミン系の相乗作用を期待することは合理的であると思われます。

しかし、抗うつ薬どうしの併用の有効に関する報告は十分ではなく、報告は限られています。

SSRIとその他抗うつ薬の併用は有効なのか

SSRIと三環系抗うつ薬(TCA)の併用

SSRIとTCAを併用した場合、各々を単剤で使用した場合よりも高い寛解率が得られたという報告があります。

一方でSSRIとTCAの併用は単に薬物相互作用でTCAの血中濃度が上がった結果にすぎないとする考え方もあります。

肝代謝酵素チトクロームP450(CYP)を介した薬物動態学的相互作用による、薬物の効果の増強作用を期待することはできますが、相互作用の出方はそれぞれの個人によって異なり予測がしにくく、有害事象、副作用の増大にもつながりリスクを伴うため、慎重になる必要があります。

SSRIと四環系抗うつ薬の併用

テトラミド®(ミアンセリン)やテシプール®(セチプチリン)などの四環系抗うつ薬は、ノルアドレナリンとセロトニンの再取り込み阻害作用に加え、α2受容体阻害作用を持ちます。

このα2遮断作用により、ノルアドレナリンとセロトニン両方の遊離が促進され、SSRIと併用するとセロトニン系の神経伝達がさらに促進され、抗うつ効果が増強するといわれています。

SSRIに反応が乏しい方に、SSRIから四環系抗うつ薬に切り替えた場合と、併用した場合を比較し、切り替えた場合は約38%、併用した場合は約45%の寛解率を得られたとする報告があります。

ただし、その差は大きくなく、副作用の発現率の上昇を考えると積極的に併用を推奨できるものではないでしょう。

SSRIとレスリン®(トラゾドン)の併用

レスリン®(トラゾドン)は5-TH2A受容体拮抗作用とセロトニン再取り込み作用を持つため、SSRIと併用した場合、SSRIの5-HT2A受容体刺激による、不眠、焦燥感などの副作用を減少させ、さらにセロトニン系神経伝達作用を増強されると考えられます。

しかし、レスリン®(トラゾドン)の代謝もCYP2D6が関与しており、血中濃度の上昇から副作用が増加するリスクがあります。

SSRIとSSRIの併用

SSRIどうしの併用については、SSRI単剤で効果不十分例や、副作用のため高用量の使用が困難な場合にSSRIを併用することで副作用の増強なく、効果増強が期待できるといわれています。

しかし、その一方で、SSRIどうしの併用によりセロトニン系の副作用などの増加が指摘されます。

まとめ

抗うつ薬の併用が有効であると積極的にいえるデータは限定的でまだ不十分な状況です。

うつ病の薬物療法は単剤治療が原則であり、SSRI単剤療法にて十分な効果が得られない場合は、他のSSRIやSNRI、NaSSAなど作用の異なる抗うつ薬への切り替えが考慮されるべきでしょう。

やむを得ず併用を行う場合には各薬剤の作用機序、代謝経路、相互作用に十分に注意しながら、併用の目的を明確にして使用する必要があります。

そのことを踏まえ、主治医と相談してみて下さい。

【三環系抗うつ薬】トリプタノール®/アミトリプチリン塩酸塩とはどんな薬?

トリプタノール®/アミトリプチリン塩酸塩を処方された方へ

一般名

アミトリプチリン塩酸塩 amitriptyline hydrochloride

製品名

トリプタノール

剤型

錠剤 10mg、25mg

適応

①うつ病・うつ状態

②夜尿症

③末梢神経障害性疼痛

用法・用量

①うつ病・うつ状態:1日に30~75mgを初期用量として、1日150mgまで増量し、分割内服します。場合によっては300mgまで増量します。

②夜尿症:1日10~30mgを練る前に内服します。小児の場合は1日量1mg/kg、3回分服を3日間、その後1日1.5mg/kgまで増量します。

③1日10㎎から内服開始し、1日最大150㎎まで増量することもあります。

半減期

約20~40時間

トリプタノール®/アミトリプチリン塩酸塩の特徴

トリプタノール®/アミトリプチリンは、アメリカのメルク社によりジベンゾシクロヘプタジエン系構造を有する三環系抗うつ薬の一つです。

日本では1961年より発売されています。

トリプタノール®/アミトリプチリンはトフラニール®/イミプラミンに比較して、鎮静作用が強く、不安・緊張・焦燥感に強い方に有効です。

その為、神経症や心身症を含め、各種の抑うつ状態に広く用いられます。

ただし、効果も強いですが、副作用も出現しやすいので注意が必要です。

トリプタノール®/アミトリプチリン塩酸塩の薬理作用、薬物動態

Tmax(最高血中濃度到達時間)は約4.5時間で、半減期は約20~40時間です。

トリプタノール®/アミトリプチリンは、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込みを阻害することにより、シナプス間隙におけるモノアミン濃度を増加させます。

トリプタノール®/アミトリプチリン塩酸塩の適応症に対する効果

鎮静作用が強く、不安・緊張・焦燥感に強い方に有効で、神経症や心身症を含め、各種の抑うつ状態に広く用いられます。

4歳以上の児童にみられる夜尿症で器質的変化によらない機能性の原因によるものが抗うつ薬の治療治療対象になりえます。

慢性疼痛症への鎮痛作用、慢性の頭痛、片頭痛、腰痛、関節痛、糖尿病性の神経痛、三叉神経痛などにも効果が報告されています。

トリプタノール®/アミトリプチリン塩酸塩の意点、副作用

トリプタノール®/アミトリプチリンをはじめとする抗うつ薬において、服用開始後に抗うつ効果を発現する前に副作用が出現することもあります。特に三環系抗うつ薬は抗うつ薬の中で、作用も強いのですが、副作用も出現しやすいお薬です。

低血圧、頻脈、口渇、便秘、排尿困難、めまい、倦怠感、眠気、振戦等が見られやすい副作用です。

また、内服後、不安感や焦燥感、パニック、興奮、不眠、イライラ、攻撃性、衝動性、アカシジア等が見られる場合にはすぐに主治医に相談して下さい。

中枢性の抗コリン作用が強く、高齢者では認知機能の障害やせん妄が起こることがあり、注意が必要です。

また、稀に顔・舌部の浮腫、味覚異常、四肢の知覚異常が出ることがあります。

トリプタノール®/アミトリプチリン塩酸塩の薬物相互作用

トリプタノール®/アミトリプチリン塩酸塩はモノアミン酸化酵素阻害薬との併用は禁忌となっています。

抗コリン作用を有する薬剤と併用すると、それぞれの作用が増強されます。

アドレナリン作動薬、中枢神経抑制薬、全身麻酔薬、キニジン、メチルフェニデート、黄体・卵胞ホルモン製剤、シメチジン、フェノチアジン系薬剤、抗不安薬、飲酒の効果を増強させます。

降圧薬の効果を減弱することがあります。

インスリン製剤、SU剤との併用では過度の低血糖を生じさせることがあり注意が必要です。

バルビツール酸誘導体やフェニトインなどの肝薬物代謝酵素誘導作用を有する薬物はトリプタノール®/アミトリプチリンの作用を低下させることがあります。

まとめ

トリプタノール®/アミトリプチリンは三環系抗うつ薬に分類される抗うつ薬です。

抗うつ作用は強いのですが、副作用も出現しやすく、現在第一選択で使用されることは少なくなっているお薬です。

しかし、有用な場面もあり処方されることもありますので、内服し、副作用が気になるようならすぐに主治医に相談して、効果と副作用のバランスのとれた服薬量を調整してもらうのがいいでしょう。

【三環系抗うつ薬】プロチアデン®/ドスレピン塩酸塩とはどんな薬?

プロチアデン®/ドスレピンを処方された方へ

一般名

ドスレピン塩酸塩 dosulepin hydrochloride

製品名

プロチアデン

剤型

錠 25mg

適応

うつ病・うつ状態

用法・用量

1日75~150mgを2~3回に分けて内服します。増減は可能です。

半減期

約11時間

プロチアデン®/ドスレピンの特徴

プロチアデン®/ドスレピンはSPOFA社において開発されたジベンゾチエピン骨格を有する抗うつ薬です。

各種のタイプのうつ病、うつ状態に対して優れた効果を有します。

また心機能への影響は少なく、比較的安全性が高いお薬です。

ただし、SSRIやSNRIなどの抗うつ薬に比べると、眠気や便秘などの副作用を感じやすい人は多いかもしれません。

プロチアデン®/ドスレピンの薬理作用、薬物動態、適応症に対する効果

Tmax(最高血中濃度到達時間)は約4時間で、半減期は約11時間です。

作用機序は主にモノアミン(セロトニン、ノルエピネフリン、ドパミン)の再取り込み阻害によります。

抗うつ作用はトフラニール®(イミプラミン)より強く、トリプタノール®(アミトリプチリン)より弱いと報告されています。

うつ病、うつ状態に効果的で、優れた抗不安作用も持っています。

プロチアデン®/ドスレピンの意点、副作用

プロチアデン®/ドスレピンをはじめとする抗うつ薬において、服用開始後に抗うつ効果を発現する前に副作用が出現することもあります。

特に三環系抗うつ薬は抗うつ薬の中で、作用が強く、副作用も出現しやすいお薬ですが、プロチアデン®/ドスレピンはその中でも比較的副作用の発生頻度は低い方です。

口渇、めまい、便秘、眠気、不眠、発疹、排尿困難、パーキンソン病様症状、躁転、頻脈、倦怠感などの報告があります。

しかし、抗コリン作用及び、血圧降下などの心循環系への影響はトリプタノール®(アミトリプチリン)より弱いです。

プロチアデン®/ドスレピンの薬物相互作用

抗コリン作用を有する薬剤、アドレナリン作動薬、バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制薬、シメチジン、アルコールと併用すると作用が増強されることがあります。

降圧薬の作用を減弱させることがあります。

まとめ

プロチアデン®/ドスレピンは効果の強いとされる三環系抗うつ薬に分類される抗うつ薬です。

三環系抗うつ薬の中では比較的副作用が軽減しており、抗うつ作用をはじめ、不安への効果も期待できるお薬です。

【安定剤】ベンゾジアゼピン系薬剤を内服していて、授乳していいの?【睡眠薬】

ベンゾジアゼピン系薬剤を内服していて、授乳していいのか

安定剤や睡眠薬などのベンゾピアゼピン系の薬剤を服用している場合、授乳はしてもいいのでしょうか。

結論から言うと、ベンゾジアゼピン系の薬剤は母乳中へ移行するので、授乳は避けた方が良いです。

ベンゾジアゼピン系薬剤と授乳について

ベンゾジアゼピン系の薬剤を服用している母親が新生児に授乳する場合には、薬物及び代謝物の母乳中への移行と新生児への影響に注意する必要があります。

ベンゾジアゼピン系の薬剤の母乳中移行と新生児への影響については、セルシン®(ジアゼパム)での研究報告があります。

ある研究では薬剤の母親の血中濃度と母乳濃度との比は1~10対1と約10倍もの個体差が大きいようです。

乳児の血中濃度は母乳濃度と近いもしくはそれより低い値になるようです。

ベンゾジアゼピン系の薬物による乳児への影響で多いのは、眠気や呼吸抑制、哺乳力低下による体重減少などが考えられます。

また、乳児は薬物代謝機能が不十分であるため、薬物は蓄積しやすく、長時間の授乳により影響が大きくなると考えられます。

母乳中への移行はありますが、高用量を使用しなければ、母乳中濃度は高値にならず、不安時などの頓服使用であれば、主治医と十分に相談したうえで、治療選択肢になる可能性があるでしょう。

しかし、逆に高用量を使用する場合には、新生児の代謝能は低いため、授乳は中止した方がいいでしょう。

まとめ

安定剤や睡眠薬などのベンゾジアゼピン系薬物は母乳中へ移行するため、一般的に授乳は避けた方が望ましく、特に高用量使用の場合は、新生児への蓄積の危険性が大きく授乳は中止した方がよいでしょう。

しかし、不安時などの頓服使用などについては、ミルクなどの併用も利用し、治療選択肢として主治医と相談してみてはいかがでしょうか。