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【日照時間とうつ病、躁うつ病の関係】

最近は、日中に屋外で日光を浴びることが少なく、夜間はスマートフォンやPCなどの使用で遅くまでブルーライトの光に暴露されるような環境で過ごす人が増えています。日中の光を浴びる量(光暴露量)の低下と夜間の光暴露量の増加は、人体にどのような影響を及ぼすのか説明します。

【光暴露環境の影響力】

光暴露環境はうつ症状、メラトニン分泌異常、肥満、動脈硬化などに影響を及ぼしていると言われています。

【うつ症状への高照度光療法】

光暴露とうつ症状の研究は多く、日中光暴露の増加はうつ症状を改善すると言われています。

高照度光療法は、通常午前中に30分から1時間程度、5,000から10,000ルクスの光をあびる治療法です。

【夜間光暴露の増加の健康への影響】

夜間光暴露量の増加は、メラトニン分泌を抑制し、睡眠の質の悪化、体内時計(概日リズム)の乱れを引き起こします。特に、躁うつ病の方は躁状態を悪化させる可能性があります。

【日照時間と自殺の関係】

夏と冬の間の日照時間の差が大きいことが、躁うつ病の方の自殺未遂の頻度と関係しているという報告があります。

【うつ状態の時は日中の日光浴は大切】

このように、日光浴がうつ状態を改善する報告がありますので、朝、日光を浴びるのはとても大切です。

私は飼っている犬に毎朝起こされて、朝5時半に散歩に連れて行きますが、冬はまだ暗いですね。

【芸能人の適応障害について】

深田恭子氏が適応障害との報道がありましたが、きちんと治療すれば完全に回復する可能性の高い病気ですので、治療に専念されて無理せず回復される事を祈ります。

【適応障害とうつ病の診断

実は臨床現場でも、適応障害、うつ状態、うつ病と診察する医師により診断名が異なる場合があります。正式な診断名というのは、国際疾病分類(ICD)という、異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため、世界保健機関憲章に基づき、世界保健機関(WHO)が作成した分類基準に基づいて医師が診察し診断します。

【臨床現場ではどういう判断をしている】

適応障害でもうつ状態は見られますし、その後、うつ病の診断に変わることもあります。では、どの様に適応障害とうつ病の診断をつけているのでしょうか。先程出てきたICDや米国精神医学会(APA)より刊行されたDSMという診断基準のチェックリススト様なものや、うつ状態を評価する心理検査があり、それらを参考にして、最終的には診察によって総合的に判断します。しかし、適応障害でもうつ状態が見られるとうつ病の診断基準を満たしてしまう事があり、そのため医師によって診断が変わる事があるのです。例えば、極端な話ですが、失恋して落ち込み、死にたい気持ちが続き、2週間以上仕事にも行けなくなって受診した場合、適応障害、うつ状態、うつ病かその他病名について医師によって判断が異なる場合があるという事です。

【診断名と症状名】

適応障害とうつ病は診断名で、うつ状態は状態を表現している症状名です。例えば、今、血圧を測定して高血圧の数値が出ても、それだけでは高血圧症という診断名がつくわけではありません。脳梗塞を発症して高血圧なのか、ただ緊張してて一時的に高血圧なのか、実際高血圧症という病気なのか調べて診断する必要があります。このように「うつ状態」、「高血圧の状態」とは、あくまでその時の状態で、原因となる診断名がすぐに分からない事も多く検査するなどして調べた結果、診断名が決まっていきます。うつ病の人はほぼうつ状態が見られますが、反対に「うつ状態」がある人が全てうつ病の診断になるわけではないという事です。

適応障害、うつ病の違い〜私はどう判断しているか

適応障害とうつ病の鑑別の判断基準として、個人的にはその時点での、発症要因と生活歴、家族歴を含めたその人の基質的素因、これまでの経過と現在の症状から内因的脳内伝達物質の機能障害の重症度を診察で評価して、検査も含め総合的に判断しています。それにより、そに人にとって薬物療法や精神療法、環境調整のどの治療法の有効性が高いかを予測し、どのくらいの経過でどの様に良くなっていくかを見通して本人に説明します。そう考えると、適応障害とうつ病は全く別な病気というより境目が曖昧な部分もあり、適応障害の方のうつ病への変化には注意が必要だと思います。今後医学の進歩とともに、脳画像検査や採血で適応障害とうつ病を見分ける検査が登場する時が来るかも知れません。

【うつ】うつ病と食事療法【薬を飲みたくない】

うつ病への食事療法

うつ病と栄養

うつ病は心の風邪と言われますが、実際は脳の働きが悪くなっている状態で、うつ病=脳の不調なのです。

うつ病は一般的には休養、薬物療法、精神療法、環境調整などそれぞれの人にあった治療アプローチが必要ですが、うつ病全ての人において同一に必要なのが栄養管理です。

脳の働きに関わる脳内伝達物質もさまざまな栄養素を必要とします。

そのため、うつ病を治療するためには最低限の栄養バランスの維持が必要不可欠となります。

例えば、うつ病の病態に関わるノルアドレナリンやドーパミン、セロトニンなどの脳内伝達物質も元となるチロシン、トリプトファンなどのアミノ酸から作られています。

チロシンは肉類(鶏肉、牛肉、羊肉など)、カツオ節、タケノコ、牛乳、卵黄、ピーナッツ、アーモンド、バナンなどから効率的に摂取できます。

また、トリプトファンも上記食材に加え、大豆、のり、ごま、マグロ、チーズなどから摂取できます。

それぞれの栄養素の欠乏と摂取しやすい食物

栄養素 欠乏時の症状 含まれる食物
ビタミンB1 集中困難 豚肉、玄米、のり、タラコ、未精製の植物類
ナイアシン 抑うつ気分 魚介類、未精製の植物類
パントテン酸 ストレス脆弱性 肉類、魚介類、未精製の植物類
ビタミンB6 イライラ、抑うつ気分 未加工・未精製の植物類、魚介類、バナナ、プルーン
葉酸 イライラ、抑うつ気分 ホウレンソウ、葉野菜、レバー、大豆
ビタミンB12 イライラ、抑うつ気分 肉類、魚介類、レバー、イクラ、ウニ
ビタミンC イライラ、抑うつ気分 イチゴ、柑橘類
マグネシウム 不眠、イライラ、抑うつ気分 緑色の葉野菜、ナッツ、種子
抑うつ気分、不安、意欲低下 赤身の魚・肉
亜鉛 抑うつ気分 不安、意欲低下 カキ、ナッツ類、穀物の種子

飲酒と栄養不足に注意

飲酒時に摂るべきビタミンB1、ビタミンC、ナイアシン

アルコールは分解するときにビタミンB1が消費されますが、さらにアルコール自体がビタミンB1の体内への吸収を妨げ、不足しがちになります。

ビタミンB1欠乏状態が続くと、脚気やウェルニッケ脳症といった深刻な状態が出現するので注意が必要です。

また、アルコールの二日酔いで頭痛や吐き気を体験されたことのある人は多いと思いますが、その不快な症状はアルコールの分解経過にみられるアセトアルデヒドという物質の影響で起こります。このアセトアルデヒドを分解するのにビタミンCやナイアシンが活躍するため、飲酒時は積極的に補充しましょう。

ビタミンCは喫煙でも消費され、タバコ1本で体内のビタミンCが25mgも消費されると言われています。

鉄分の不足に要注意

鉄はもっとも不足しやすいミネラルの一つで、月経のある女性では特に不足しがちで、日本人女性の4割が鉄不足という状態です。

鉄不足の症状

鉄の不足によって、頭痛、顔色が悪い、疲労感、イライラ、意欲低下などの症状が出現します。

鉄の最大の役割は、赤血球中のヘモグロビンというタンパク質の成分となって、酸素を全身に運ぶのを助けています。

また、肝臓は体外から入ってきた毒物を解毒する働きがあり、そのときP-450という酵素が活躍しますが、P-450も鉄を多く含んでいます。

このように鉄不足は体のエネルギー不足と解毒がすすまないことから、自律神経の乱れや体調不良を引き起こすのです。

食べ物に含まれる鉄分には、大きく分けてヘム鉄とノンヘム鉄の2種類があります。

ヘム鉄は肉や魚、卵などの動物性の食物に多く、吸収率も約30%もありいいとされています。

ノンヘム鉄のは野菜に多く含まれますが、ノンヘム鉄の吸収は一緒に食べた食べものの影響を受けやすく、吸収率は数%とかなり少なくなる場合もあります。

鉄の摂取を補う食物

ヘム鉄は赤身の肉やレバー、サンマ、カツオ、マグロといった赤身の魚や、血合いの部分に多く含まれています。赤身の肉や魚を多く食べるといいでしょう。

野菜の中では、パセリ、豆類、かぼちゃの種などに多く含まれていますが、前述した吸収されにくいノンヘム鉄です。

ただし、ノンヘム鉄はビタミンCやクエン酸と摂取することで吸収率が上がるため、オレンジジュースなどビタミンCやクエン酸を多く含む食物と一緒に食べると良いでしょう。

亜鉛不足に要注意

亜鉛は全ての細胞にあり、100種類以上の酵素の化学反応に関与しています。

それだけ重要な亜鉛ですが、不足しやすいため身体的、精神的にもっとも頻繁に影響を及ぼします。

亜鉛が不足する理由

現代の食事では、高度に精製された減量を使用して作られたインスタント食品、白パン、菓子パン、ケーキ、砂糖などを摂取する機会と摂取量がふえています。

原料を高度に精製する課程で、亜鉛などの微量栄養素が取り除かれてしまいます。

さらに、亜鉛と結合し、不溶化することで腸管からの吸収を妨げているフェチン酸という物質があります。フェチン酸はパンやインスタント食品に大量に含まれているのです。

亜鉛の重要性

神経細胞や、伝達物質や性ホルモンなどをつくる化学反応に亜鉛は欠かせません。

そのため、亜鉛が不足すると、脳の発育、性的な発達に影響がでるだけでなく、食思不振、味覚異常、嗅覚異常、イライラ、疲労感、集中困難、抑うつ気分などの症状も出現します。

亜鉛の摂取を補う食物

亜鉛はナッツ類、穀物の種子、肉類や魚介類に豊富に含まれます。特にカキには100g(約カキ1個)あたり13mgの亜鉛が含まれています。

タウリンの働き

GABA(ギャバ)と性質が似ていて、脳の興奮やイライラを抑えてくれるのがタウリンです。タウリンはアミノ酸の一つで、人の体内でも作られるため、必須アミノ酸(体内で作れないアミノ酸)には分類されていません。しかし、体内では必要としている量の10%も作ることができないため、結局食べ物から摂取しなければなりません。

タウリンはコレステロール値を低下させ、心疾患のリスクを軽減し、高血圧を抑え、脳の過剰な興奮を抑える働きがあります。

タウリンは体内ではシステインやメチオニンといった含硫アミノ酸から作られますが、この時に重要な働きをするのはビタミンB6です。そのため、ビタミンB6不足はそのままタウリン不足に繋がります。

ビタミンB6含有量の多い、肉類、魚介類、納豆、キャベツ、バナナ、酵母などに多く含まれます。

タウリンは、サザエ、イカ、カキ、マグロ、カニ、タイ、タコ、イワシなどの魚介類に多く含まれます

タウリンは熱では壊れず、水に良く溶けるため、魚介類の鍋物の汁から効率よく摂取できます。

抗うつ作用のあるメチオニン

必須アミノ酸の1つであるメチオニンには、気分を高める効果があるといわれています。

メチオニンはビタミンB12の作用により、ATPというエネルギー物質と結合し、S-アデノシルメチオニンという物質に変化します。

アメリカではS-アデノシルメチオニンは抗うつサプリメントとして販売されており、ベストセラー商品になっています。

S-アデノシルメチオニンを内服すると脳内でのセロトニンレベルが高まることが確認されています。

メチオニンとビタミンB12の豊富な食べ物を食べることで、脳内でS-アデノシルメチオニンは作られるのです。

メチオニンを多く含んだ食べ物

大豆、ごま、ヒマワリの種、カシューナッツ、シラス干し、カツオ節、マグロ、ヒラメ、キンメダイなどの魚介類です。

ビタミンB12は、肉類(特にレバーと腎臓)、魚介類(アンコウの肝、スジコ、タラコ、カズノコ、アサリ、カキ、ハマグリ、シジミなど)、鶏卵、乳製品に多く含まれます。

特にシジミの味噌汁にはビタミンB12が多く含まれておりおすすめです。

【SSRI】パキシル®(パロキセチン)で太るのか?【体重増加】

抗うつ薬を飲み始めて太ったと言われる方がいます。

では果たしてパキシル®(パロキセチン)を開始して体重増加が生じるのでしょうか?

パキシル®(パロキセチン)内服開始後の体重増加に関してはいくつかの報告があります。

SSRIであるパキシル®(パロキセチン)と三環系抗うつ薬であるトフラニール®(イミプラミン)を内服中のうつ病の方で効果と副作用を検討した研究があります。

その研究ではパキシル®(パロキセチン)内服中の方のうち約30%で1~4㎏の体重増加がみられたとの報告があります。

その他にもいくつか体重増加が見られたとの報告が散見されます。

300名近くの大うつ病の方にSSRIであるパキシル®(パロキセチン)とジェイゾロフト®(セルトラリン)とフルオキセチン(日本未承認薬)を投与して体重変化を比較した研究があります。

その結果パキシル®は投与前と投与終了後の平均体重変化率が+3.6%と有意な増加が見られました。

ちなみにジェイゾロフト®は+1.0%、フルオキセチンは-0.2%という結果です。

また、平均体重の変化率が+7%以上の極端な体重増加率を示した方の割合は、パキシル®で約26%、ジェイゾロフト®で約4%、フルオキセチンで約6.8%でした。

このような極端な体重増加は男性(約13%)より女性(約39%)に多かったようです。

さらに、極端な体重増加を示したパキシル®を内服した方のうち約92%の方が内服前のBMI(body mass index)が20(kg/m2)以上でした。

一方で、体重変化が認められなかった、特定の群で体重が減少したとする報告もみられます。

SSRIによる体重増加が生じる機序の可能性

1)うつ状態の改善によるもの

うつ状態では症状による食思不振、食欲低下、体重減少が多くみられます。

よって、うつ状態の改善に伴い、食欲が回復することで、体重が元の体重に戻る時に、増える場合があります。

しかし、それは太ったのではなく、元の体重に戻ったということであり、薬剤性の体重増加ととらえる必要はないでしょう。

2)食欲増加あるいは炭水化物摂取の増加

SSRI内服開始後に食欲が増える場合があり、食事摂取量が増え体重が増えることがあります。

また、うつ状態で休職したり、療養する過程で食事をゆっくりとる場面が増えたり、いろいろなストレスに対し「食べる」という行為でストレスを解消しようとする場合は体重が増えます。

そういう場合は、ご飯、パン、麺、お菓子などの炭水化物の摂取が増えていることが多いです。

3)セロトニン5-HT2c受容体活性化による影響

薬理学的な作用としてセロトニン5-HT2c受容体活性化が体重増加に影響しているとの指摘があります。

 

但し、SSRIを内服している人がみな体重増加しているわけではなく、また、SSRIの中でも体重が増えやすいお薬とそうでないお薬があるというのが実際の印象です。

まとめ

パキシル®(パロキセチン)による体重変化の報告は、依然として一致した見解には至っていませんが、体重が増加するという報告が比較的多くみられ、臨床現場でも実際体重が増える方がいるのは事実です。

特に女性の方や、内服前からBMIが高めの方は注意が必要です。

しかし、病気の改善による食欲の回復が影響している場合や、生活、食事、運動の変化等が影響している部分も大きく、一概に体重増加を薬物が原因と考え有用な薬物陽法の機会を逃すことも注意が必要だと思います。

【PTSD】トラウマと精神的な病気との関係、治療【うつ病】

トラウマの認知の広がりと理解不足の現状

(トラウマ)心的外傷という言葉は、日常的にもよく使われるようになりました。

精神医学や心理学とは縁がなくても日常生活の中でもしばしば登場します。

ではトラウマが何なのか、トラウマの結果何が生じるのか、どう対処するのが最も適切かなどということについて正しく理解されているのでしょうか。

精神的なショックのことを体験すると、人は「傷つき」ます。

では、日常に体験する「傷つき」と、様々な症状を引き起こす「トラウマ」の違いは何でしょう。

簡単に説明すれば「衝撃(ストレス)を受けたとき、対処できずにできる心の傷」をトラウマと呼びます。

ですから、同じことを体験しても、その人が対処できるかどうかで、トラウマになるかならないかも変わってきます。

(※但し、対処できなかったから「弱い人間だ」、「私に原因がある」とかそういうことではありません。)

トラウマが引き起こす病気

衝撃に対処できない場合は、トラウマになり様々な病気を引き起こします。

その代表的なものがPTSD(心的外傷後ストレス障害)ですが、うつ病や摂食障害なども引き起こします。

うつ病や摂食障害などの場合には、それがトラウマに関連したものであると気づいていない場合も多く、なかなか治らない状態になっています。

「弱いから」「未熟だから」「性格の問題だから」と周囲からも自分自身にも責められ、人間関係、社会生活状況の悪化からさらなるトラウマを引き起こしている場合もあります。

トラウマの治療の必要性

トラウマは治療しなければQOL(生活の質)が著しく下がります。

しかし、トラウマ自体がつらい体験なので、思い出したくない、あえて忘れるように無意識に避けていることもあり、トラウマが原因と気づかれにくいことも多いです。

トラウマとの向き合い方

トラウマは過去の出来事なので、トラウマをなかったことにはできません。

過去を変えられない以上、きっかけとなった体験の受け止め方を変えることが必要なのです。

トラウマの治療

トラウマの治療には、薬物療法(SSRIなどの抗うつ薬)、精神療法、EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)などがあげられます。

認知行動療法などで、トラウマ体験そのものに焦点をあてて、トラウマ記憶に暴露させて、受け止め方を変える方法があります。

対人関係療法で、トラウマそのものではなく、トラウマの影響を受けた現在の対人関係に焦点をあてて、現状の生活のQOLを上げることにより、結果としてトラウマの受け止め方を変える方法などもあります。

認知行動療法はトラウマ体験に焦点をあてるため、怖くて耐えられない場合や、独学でやろうとすると、症状を悪化させる場合もあるので、専門の医師、カウンセラーと行うのがよいでしょう。

対人関係療法はそういった危険性が少なく、現在の対人関係に注目し、トラウマから生じている現状の日常の「生きづらさ」を改善させる治療法です。

トラウマが生じる時

ストレスへの対処の仕方は人それぞれです。

ショックな出来事があった後、そのことをくよくよ考える、気分転換をする、早く寝る、親しい人に相談するなどで対処していることが多いのではないでしょうか。

どれも、状況の整理、普段の自分自身の感覚、いつも通りの自分で問題ないという感覚を取り戻すのに有効でしょう。

このようないつもの方法で、普通の感覚を取り戻せているうちは対処できている状態です。

いつもの方法で対処できない、いつもの方法が使えないようなときにトラウマとなります。

ストレスが大きすぎると、「いつも通り」がわからなくなり、感受性も変化し、いつもは助けになっていた他人の言葉も逆につらく、傷ついてしまうこともあります。

小石につまずいて転んでも立ち上がり、声をかけてもらってもとのように歩き出せます。

しかし、地面が割れて落ちてしまったらどうしていいかわからなくなり、それがトラウマとなります。

とっても大切な「なんとかなる」という感覚

健康的に過ごすために大切な感覚が「なんとかなる」という感覚です。

誰もが未来を予知することはできませんので、次になにが起こるかわかりません。

そのようなことを心配し、不安に思いながら生活していては日常が成り立ちません。

私たちが落ち着いて生活できているのは、「なんとかなるだろう」という感覚、「無意識の信頼感」があるからです。

大きなストレスを受けるとこの「無意識の信頼感」が揺らぎ、不安や絶望感が止められなくなります。

トラウマは消せなくても治すことは可能

無意識の信頼感が崩壊していることでトラウマが生じているので、無意識の信頼感を回復することができれば、トラウマから回復できるのです。

トラウマになりやすい出来事の特徴

・出来事自体が生死にかかわる出来事であるか、ひどく恐ろく、残虐、衝撃的であること。
・予測が不可能で突発的であること。
・自分にも何かしらの責任を感じてしまうような状況を含むとき。

対人トラウマについて

人によってもたらされたトラウマを対人トラウマと呼びます。

例えば身近な信頼していた人からの虐待や性被害などです。

家族、親戚、身近な頼りになる人、社会的地位がしっかりしている人などといった、信頼できる基準が根底から崩れることになり、無意識の信頼感が崩壊します。

他人への信頼感の崩壊から、自分にも非があるのではないかと、自分への信頼感も崩壊していきます。

回復には、安全のルールを再確認し、信頼を少しずつ確立していく長い期間の治療を必要とします。

トラウマとPTSD(トラウマが生じやすい人)

同じ出来事を体験しても、トラウマからPTSDを発症する人としない人がいます。

トラウマの後にPTSDを発症するかどうかを予測する要因として、身近な人による支えの有無が大きいといわれています。

身近に相談できるような、質の良い関係性をもてる人物がいつかどうかということです。

このようにトラウマ体験の影響を決めるのは

・ストレス体験の衝撃の大きさ
・ストレスを受ける側の要因
・トラウマ体験後の経過、支援者の有無

ということになります。

子どもとトラウマ

子どものトラウマは大人よりも症状がわかりにくいといわれています。

ストレス体験の後も何事もなかったかのようにふるまっているように見えることもあります。しかし、子供は「無意識の信頼感」を構築する体験が少ないため、大人よりもトラウマを受けやすいといわれています。

ただし、適切に対処すれば、こどもは回復も早いのです。

子どもも大人と同じように症状として「再体験症状」「回避・麻痺症状」「覚醒亢進症状」などが主体となりますが、現れ方が異なる場合も少なくありません。

例えば、交通事故にあったこともが、おもちゃの自動車で衝突を繰り返し再現したりします。

また、無意識ですが、他人への信頼感を確認するために、赤ちゃん返りをしたりします。

他にも、眠れない、学校で成績が下がる、喧嘩などのトラブルを起こす、反抗的になるなど、いつもとは違う様子がみられます。

そのような場合にはまず、そのことを注意するのではなく、なぜそのようなことが起きているかを考えることが大切です。

対人関係療法について

対人関係療法とは1960年代から米国で開発された精神療法のひとつです。

現在でも治療効果を示す科学的根拠のある精神療法として注目されています。

対人関係療法はPTSDだけではなく、うつ病や摂食障害、双極性感情障害(躁うつ病)でも治療法として利用されます。

対人関係療法では病気の原因には焦点をあてません。

PTSDの場合、発症のきっかけはトラウマ体験ですが、トラウマ体験をどのように対人関係で扱い発症につながっているか、現在どのような対人関係から影響を受けているかが重要なのです。

PTSDと対人関係療法

現在の対人関係に焦点を当てて、無意識の信頼感を取り戻していきます。

発症に影響しているのがどの過程の問題によるものかを評価します

人は身近な人の死などのショックな出来事を体験した場合、だいたい同じような心の反応が起きます。

キューブラー・ロスによる死別の受容モデル

「否認」

「何かの間違いだ」「夢じゃないか」と頭でわかっていても、感情的に事実を否認します。

「怒り」

「なぜ自分がこんなつらい思いをするのか」というような怒りが出現します。

「取引」

「○○をするから、少しでも寿命を延ばしてほしい」というような非現実的な願望を取引しようとします。

「抑うつ」

死が逃れられないことを実感し、抑うつ気分、絶望感が出現します。

「受容」

死を拒絶し、回避することができないことを悟り、死を静かにみつめ、受け入れる体制ができます。

死別体験がトラウマになった場合、この死の受容の過程に影響し、複雑化して長引いてしまう場合があります。

そこに最も影響する感情は、「自責」、「後悔」、「罪悪感」です。

「なぜ私は生き残ったのだろう。」

「なぜあの時○○しなかったのだろう。」

「なぜ△△してしまったのだろう。」

このように後悔し、自分を責め続けると、受容のプロセスが複雑化し、長期化します。

また、仕事や家事に追われたり、関係者の対応に追われたり、受容の過程と向き合う暇がないと受容のプロセスがうまくいかなくなります。

死別した人との関係や、死別したときの状況を、安心できる環境で相談しながら、信頼できる身近な人との関わりを大切にすることで、整理していくことが大切です。

自分の気持ちを否定せずに、現在の自分の状態、状況を把握して、自分の役割、必要とされている事実を実感することによって、自分をいつもの感覚を取り戻すことができます

トラウマからの回復で最終的に目指す状態はエンパワーメント(有力化)

トラウマによって「無意識の信頼感」を喪失し、無力化された状態から、再び信頼感の獲得、自分の力を取り戻すことが最終的な治療目標になります。

まずは、専門家に受診するところからはじめてみてはいかがでしょうか。

【三環系抗うつ薬】ノリトレン®/ノルトリプチリン塩酸塩とはどんな薬?

ノリトレ®/ノルトリプチリン塩酸塩を処方された方へ

一般名

ノルトリプチリン塩酸塩 nortriptyline hydrochloride

製品名

ノリトレン

剤型

錠剤 10mg、25mg

適応

うつ病・うつ状態

用法・用量

1日に30~75mgを初期用量として、2~3回に分け内服し、必要に応じて最大1日150㎎まで漸増します。

半減期

約27時間

ノリトレン®/ノルトリプチリン塩酸塩の特徴

ノリトレン®/ノルトリプチリンは、デンマークのH.ルンドベック社によりジベンゾシクロヘプタジエン系構造を有する三環系抗うつ薬の一つです。

日本では1971年より発売されています。

ノリトレン®/ノルトリプチリンはトリプタノール®/アミトリプチリンが脱メチル化された化学構造を有します。

ノリトレン®/ノルトリプチリン塩酸塩の薬理作用、薬物動態

Tmax(最高血中濃度到達時間)は4~5時間で、半減期は約27時間です。

ノリトレン®/ノルトリプチリンは、ノルアドレナリン再取り込みを阻害することにより、シナプス間隙におけるノルアドレナリン濃度を増加させ抗うつ効果を発揮します。

ノリトレン®/ノルトリプチリンは生化学的には抗コリン作用、α受容体遮断作用、抗ヒスタミン作用がトリプタノール®/アミトリプチリンより弱く、起立性低血圧などの副作用も比較的出現しにくいといわれています。

ノリトレン®/ノルトリプチリン塩酸塩の適応症に対する効果

ノリトレン®/ノルトリプチリンの適応症として厚生労働省が認可しているのは、うつ病、うつ状態です。

抑うつ感そのものの改善よりも精神運動抑制の改善に効果が高く、うつ病に伴う不眠に奏功します。

ノリトレン®/ノルトリプチリン塩酸塩の意点、副作用

ノリトレン®/ノルトリプチリを含めた抗うつ薬において、服用開始後に抗うつ効果を発現する前に副作用が出現することもあります。

特に三環系抗うつ薬は抗うつ薬の中で、作用も強いのですが、副作用も出現しやすいお薬です。

低血圧、頻脈、口渇、便秘、排尿困難、めまい、倦怠感、眠気、振戦等が見られやすい副作用です。

また、内服後、不安感や焦燥感、パニック、興奮、不眠、イライラ、攻撃性、衝動性、アカシジア等が見られる場合にはすぐに主治医に相談して下さい。

ノリトレン®/ノルトリプチリン塩酸塩の薬物相互作用

ノリトレン®/ノルトリプチリンはモノアミン酸化酵素阻害薬との併用は禁忌となっています。

抗コリン作用を有する薬剤と併用すると、それぞれの作用が増強されます。

アドレナリン作動薬、中枢神経抑制薬、全身麻酔薬、キニジン、メチルフェニデート、黄体・卵胞ホルモン製剤、シメチジン、フェノチアジン系薬剤、抗不安薬、飲酒の効果を増強させます。

降圧薬の効果を減弱することがあります。

インスリン製剤、SU剤との併用では過度の低血糖を生じさせることがあり注意が必要です。

クマリン系抗凝血薬の血中半減期を延長させます。

バルビツール酸誘導体やフェニトインなどの肝薬物代謝酵素誘導作用を有する薬物はノリトレン®の作用を低下させます。

まとめ

ノリトレン®/ノルトリプチリンは、三環系抗うつ薬に分類される抗うつ薬です。

抗うつ作用は強いのですが、副作用も出現しやすく、現在第一選択で使用されることは少なくなっているお薬です。

しかし、有用な場面もあり処方されることもありますので、内服し、副作用が気になるようならすぐに主治医に相談して、効果と副作用のバランスのとれた服薬量を調整してもらうのがいいでしょう。

【抗うつ薬】本当に必要なお薬かどうか【併用療法】

うつ病の薬物療法

うつ病に対する薬物療法は単剤療法が原則です。

ただし、うつ病治療において、単剤では改善がみられない難治性の場合が20~30%ほど存在するといわれています。

その為、抗うつ薬単剤で改善が見られない場合は、次の治療選択肢に最初の抗うつ薬に、他の抗うつ薬の併用、例えば三環系抗うつ薬(TCA)などの併用をすることがあります。

抗うつ薬の併用療法

難治性のうつ病に対して抗うつ薬どうしの併用が行われることがあります。

作用機序の異なる抗うつ薬どうしの組み合わせで、セロトニン作用やノルアドレナリン、ドパミン作用などモノアミン系の相乗作用を期待することは合理的であると思われます。

しかし、抗うつ薬どうしの併用の有効に関する報告は十分ではなく、報告は限られています。

SSRIとその他抗うつ薬の併用は有効なのか

SSRIと三環系抗うつ薬(TCA)の併用

SSRIとTCAを併用した場合、各々を単剤で使用した場合よりも高い寛解率が得られたという報告があります。

一方でSSRIとTCAの併用は単に薬物相互作用でTCAの血中濃度が上がった結果にすぎないとする考え方もあります。

肝代謝酵素チトクロームP450(CYP)を介した薬物動態学的相互作用による、薬物の効果の増強作用を期待することはできますが、相互作用の出方はそれぞれの個人によって異なり予測がしにくく、有害事象、副作用の増大にもつながりリスクを伴うため、慎重になる必要があります。

SSRIと四環系抗うつ薬の併用

テトラミド®(ミアンセリン)やテシプール®(セチプチリン)などの四環系抗うつ薬は、ノルアドレナリンとセロトニンの再取り込み阻害作用に加え、α2受容体阻害作用を持ちます。

このα2遮断作用により、ノルアドレナリンとセロトニン両方の遊離が促進され、SSRIと併用するとセロトニン系の神経伝達がさらに促進され、抗うつ効果が増強するといわれています。

SSRIに反応が乏しい方に、SSRIから四環系抗うつ薬に切り替えた場合と、併用した場合を比較し、切り替えた場合は約38%、併用した場合は約45%の寛解率を得られたとする報告があります。

ただし、その差は大きくなく、副作用の発現率の上昇を考えると積極的に併用を推奨できるものではないでしょう。

SSRIとレスリン®(トラゾドン)の併用

レスリン®(トラゾドン)は5-TH2A受容体拮抗作用とセロトニン再取り込み作用を持つため、SSRIと併用した場合、SSRIの5-HT2A受容体刺激による、不眠、焦燥感などの副作用を減少させ、さらにセロトニン系神経伝達作用を増強されると考えられます。

しかし、レスリン®(トラゾドン)の代謝もCYP2D6が関与しており、血中濃度の上昇から副作用が増加するリスクがあります。

SSRIとSSRIの併用

SSRIどうしの併用については、SSRI単剤で効果不十分例や、副作用のため高用量の使用が困難な場合にSSRIを併用することで副作用の増強なく、効果増強が期待できるといわれています。

しかし、その一方で、SSRIどうしの併用によりセロトニン系の副作用などの増加が指摘されます。

まとめ

抗うつ薬の併用が有効であると積極的にいえるデータは限定的でまだ不十分な状況です。

うつ病の薬物療法は単剤治療が原則であり、SSRI単剤療法にて十分な効果が得られない場合は、他のSSRIやSNRI、NaSSAなど作用の異なる抗うつ薬への切り替えが考慮されるべきでしょう。

やむを得ず併用を行う場合には各薬剤の作用機序、代謝経路、相互作用に十分に注意しながら、併用の目的を明確にして使用する必要があります。

そのことを踏まえ、主治医と相談してみて下さい。

【双極性感情障害】躁うつ病のうつ状態の治療にはどの抗うつ薬がいいのか?【抗うつ薬】

躁うつ病のうつ状態の薬物療法

躁うつ病(双極性感情障害)は気分が循環する病気であり、躁状態の時期とうつ状態の時期、躁とうつが混ざったような混合状態の時期などが出現します。

双極性うつ病(躁うつ病のうつ状態)における抗うつ薬の使用については治療に関する実証的研究が少なく、意見が分かれています。

抗うつ薬は躁状態を誘発する?!

躁うつ病において、抗うつ薬は約3分の1の頻度で躁状態を誘発し、約4分の1の頻度で急速交代化(躁状態とうつ状態を短期間で繰り返す状態)を促すという報告があります。

その為、躁うつ病への抗うつ薬の使用については慎重になるべきだという意見が一般的です。

あるアメリカの治療ガイドラインでは双極性うつ病の急性期にはリチウムまたはラミクタール®(ラモトリギン)を第一選択としており、重症の場合は抗うつ薬の併用も行われますが、限定的であるべきとされています。

もし抗うつ薬を使用するとしても、SSRIが第一選択になるであろうとの意見が多いようです。

双極性うつ病の治療選択

1)リチウムまたはラミクタール®(ラモトリギン)による治療開始。

2)SSRIの追加、状態によっては増量

3)効果不十分例では抗うつ薬の変更の検討

4)リチウムやラミクタール®、デパケン®(バルプロ酸)などの情動調整薬、抗けいれん薬の追加もしくは調整

などの治療が提案されます。

抗うつ薬の躁転率

双極性うつ病における抗うつ薬の治療において、SSRIの躁転率(約3.7%)はプラセボ(約4.2%)と差がないという報告があります。

その一方で、三環系抗うつ薬投与における躁転率(約11.2%)はSSRIやプラセボより有意に高いと報告されています。

まとめ

現在双極性うつ病における抗うつ薬の使用においては意見が分かれている現状ですが、急性の抑うつエピソードで軽症であれば、リチウムやラミクタール®などの情動調整薬、抗けいれん薬が使用され、中等症から重症の場合にはSSRIと情動調整薬の併用療法が開始されることも多いようです。

自殺の危険性や、妊娠期間中、生命を脅かすほどの食事ができないような状態では電気けいれん療法が推奨されています。

長期的には、情動調整薬を第一選択として、必要に合わせて抗うつ薬の併用を考慮し、症状が改善したら、抗うつ薬は減薬を検討するのがよさそうです。

【三環系抗うつ薬】トリプタノール®/アミトリプチリン塩酸塩とはどんな薬?

トリプタノール®/アミトリプチリン塩酸塩を処方された方へ

一般名

アミトリプチリン塩酸塩 amitriptyline hydrochloride

製品名

トリプタノール

剤型

錠剤 10mg、25mg

適応

①うつ病・うつ状態

②夜尿症

③末梢神経障害性疼痛

用法・用量

①うつ病・うつ状態:1日に30~75mgを初期用量として、1日150mgまで増量し、分割内服します。場合によっては300mgまで増量します。

②夜尿症:1日10~30mgを練る前に内服します。小児の場合は1日量1mg/kg、3回分服を3日間、その後1日1.5mg/kgまで増量します。

③1日10㎎から内服開始し、1日最大150㎎まで増量することもあります。

半減期

約20~40時間

トリプタノール®/アミトリプチリン塩酸塩の特徴

トリプタノール®/アミトリプチリンは、アメリカのメルク社によりジベンゾシクロヘプタジエン系構造を有する三環系抗うつ薬の一つです。

日本では1961年より発売されています。

トリプタノール®/アミトリプチリンはトフラニール®/イミプラミンに比較して、鎮静作用が強く、不安・緊張・焦燥感に強い方に有効です。

その為、神経症や心身症を含め、各種の抑うつ状態に広く用いられます。

ただし、効果も強いですが、副作用も出現しやすいので注意が必要です。

トリプタノール®/アミトリプチリン塩酸塩の薬理作用、薬物動態

Tmax(最高血中濃度到達時間)は約4.5時間で、半減期は約20~40時間です。

トリプタノール®/アミトリプチリンは、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込みを阻害することにより、シナプス間隙におけるモノアミン濃度を増加させます。

トリプタノール®/アミトリプチリン塩酸塩の適応症に対する効果

鎮静作用が強く、不安・緊張・焦燥感に強い方に有効で、神経症や心身症を含め、各種の抑うつ状態に広く用いられます。

4歳以上の児童にみられる夜尿症で器質的変化によらない機能性の原因によるものが抗うつ薬の治療治療対象になりえます。

慢性疼痛症への鎮痛作用、慢性の頭痛、片頭痛、腰痛、関節痛、糖尿病性の神経痛、三叉神経痛などにも効果が報告されています。

トリプタノール®/アミトリプチリン塩酸塩の意点、副作用

トリプタノール®/アミトリプチリンをはじめとする抗うつ薬において、服用開始後に抗うつ効果を発現する前に副作用が出現することもあります。特に三環系抗うつ薬は抗うつ薬の中で、作用も強いのですが、副作用も出現しやすいお薬です。

低血圧、頻脈、口渇、便秘、排尿困難、めまい、倦怠感、眠気、振戦等が見られやすい副作用です。

また、内服後、不安感や焦燥感、パニック、興奮、不眠、イライラ、攻撃性、衝動性、アカシジア等が見られる場合にはすぐに主治医に相談して下さい。

中枢性の抗コリン作用が強く、高齢者では認知機能の障害やせん妄が起こることがあり、注意が必要です。

また、稀に顔・舌部の浮腫、味覚異常、四肢の知覚異常が出ることがあります。

トリプタノール®/アミトリプチリン塩酸塩の薬物相互作用

トリプタノール®/アミトリプチリン塩酸塩はモノアミン酸化酵素阻害薬との併用は禁忌となっています。

抗コリン作用を有する薬剤と併用すると、それぞれの作用が増強されます。

アドレナリン作動薬、中枢神経抑制薬、全身麻酔薬、キニジン、メチルフェニデート、黄体・卵胞ホルモン製剤、シメチジン、フェノチアジン系薬剤、抗不安薬、飲酒の効果を増強させます。

降圧薬の効果を減弱することがあります。

インスリン製剤、SU剤との併用では過度の低血糖を生じさせることがあり注意が必要です。

バルビツール酸誘導体やフェニトインなどの肝薬物代謝酵素誘導作用を有する薬物はトリプタノール®/アミトリプチリンの作用を低下させることがあります。

まとめ

トリプタノール®/アミトリプチリンは三環系抗うつ薬に分類される抗うつ薬です。

抗うつ作用は強いのですが、副作用も出現しやすく、現在第一選択で使用されることは少なくなっているお薬です。

しかし、有用な場面もあり処方されることもありますので、内服し、副作用が気になるようならすぐに主治医に相談して、効果と副作用のバランスのとれた服薬量を調整してもらうのがいいでしょう。

【三環系抗うつ薬】プロチアデン®/ドスレピン塩酸塩とはどんな薬?

プロチアデン®/ドスレピンを処方された方へ

一般名

ドスレピン塩酸塩 dosulepin hydrochloride

製品名

プロチアデン

剤型

錠 25mg

適応

うつ病・うつ状態

用法・用量

1日75~150mgを2~3回に分けて内服します。増減は可能です。

半減期

約11時間

プロチアデン®/ドスレピンの特徴

プロチアデン®/ドスレピンはSPOFA社において開発されたジベンゾチエピン骨格を有する抗うつ薬です。

各種のタイプのうつ病、うつ状態に対して優れた効果を有します。

また心機能への影響は少なく、比較的安全性が高いお薬です。

ただし、SSRIやSNRIなどの抗うつ薬に比べると、眠気や便秘などの副作用を感じやすい人は多いかもしれません。

プロチアデン®/ドスレピンの薬理作用、薬物動態、適応症に対する効果

Tmax(最高血中濃度到達時間)は約4時間で、半減期は約11時間です。

作用機序は主にモノアミン(セロトニン、ノルエピネフリン、ドパミン)の再取り込み阻害によります。

抗うつ作用はトフラニール®(イミプラミン)より強く、トリプタノール®(アミトリプチリン)より弱いと報告されています。

うつ病、うつ状態に効果的で、優れた抗不安作用も持っています。

プロチアデン®/ドスレピンの意点、副作用

プロチアデン®/ドスレピンをはじめとする抗うつ薬において、服用開始後に抗うつ効果を発現する前に副作用が出現することもあります。

特に三環系抗うつ薬は抗うつ薬の中で、作用が強く、副作用も出現しやすいお薬ですが、プロチアデン®/ドスレピンはその中でも比較的副作用の発生頻度は低い方です。

口渇、めまい、便秘、眠気、不眠、発疹、排尿困難、パーキンソン病様症状、躁転、頻脈、倦怠感などの報告があります。

しかし、抗コリン作用及び、血圧降下などの心循環系への影響はトリプタノール®(アミトリプチリン)より弱いです。

プロチアデン®/ドスレピンの薬物相互作用

抗コリン作用を有する薬剤、アドレナリン作動薬、バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制薬、シメチジン、アルコールと併用すると作用が増強されることがあります。

降圧薬の作用を減弱させることがあります。

まとめ

プロチアデン®/ドスレピンは効果の強いとされる三環系抗うつ薬に分類される抗うつ薬です。

三環系抗うつ薬の中では比較的副作用が軽減しており、抗うつ作用をはじめ、不安への効果も期待できるお薬です。