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【抜毛症の経過、予後、治療】

【抜毛症とは】

抜毛症は繰り返し毛髪を抜き、その結果、他人からも分かるような様々な程度の脱毛状態に至る慢性疾患です。

抜毛症はフランスの皮膚科医が1889年に報告したものが最初と言われています。抜毛症は稀な病気と考えられていたため、記述もあまりありませんでした。

現在では、抜毛症それほど珍しくないと考えられています。

強迫症や衝動制御の障害と類似しており、抜毛を抜くまでの緊張感の高まりと、抜毛後の開放感と満足感が特徴です。

【抜毛症の疫学】

抜毛症の有病率は、患者さんが隠したがることもあり、実際より少なく評価されている可能性があると言われています。

抜毛症の診断は発生率、重症度、発症年齢、男女比によって大きく2つのカテゴリーに分けられますが、その他のカテゴリーも存在します。

  • 青年期の抜毛症

最も重症化、慢性化しやすいタイプは、青年期初期から中期に発症する型です。

生涯有病率は一般人口の0.6〜3.4%で、男女比は1:10で女性の割合が多いといわれています。しかし、男性は女性より抜毛を隠すことが多く、実際は男性ももっと多い可能性があります。

抜毛症一人っ子や、長子(兄弟、姉妹で1番上)に多いとされています。

  • 小児期の抜毛症

小児期の抜毛症は男女ともに同じ割合で見られます。また、青年期や成人期にみられる抜毛症に比べ発生率は高いですが、心理学的にも皮膚科学的にも軽症が多いといわれています。

  • 飲み込む抜毛症

抜毛症の35〜40%の人が引き抜いた抜毛を噛んだり、飲み込んだりします。このような行為が見られる約3分の1の方は、胃や腸などの消化管に毛玉が蓄積して危険な結石になります。

【抜毛症の併存症】

抜毛症の併存症としては強迫症、不安症、トゥレット症、うつ病、摂食障害、パーソナリティ障害があります。

物質依存との併存は少なく、病的賭博、窃盗症や他の衝動制御症との併存に比べても少ないといわれています。

【抜毛症の原因】

抜毛症には様々な要因が関わっていると考えられ、4分の1以上はストレス状況と関係しています。

  • 母子関係の障害
  • 1人で残される恐怖
  • 対象の喪失

などが発症のきっかけになる事が多いです。

抜毛症の家族にはしばしばチック、衝動制御障害、強迫症状が認められ、遺伝的素因を存在する可能性が示唆されています。

抜毛症と神経生物学的、遺伝学的研究】

抜毛症では左側被殻と左側レンズ核領域体積減少が指摘されています。

遺伝学的研究では抜毛症とセロトニン2A受容体遺伝子多型との関連が指摘されています。

【抜毛症の臨床像】

抜毛症の臨床像には2つの型があります。

  • 1つは、衝動や身体の感覚、あるいは思考を制御するために意図的に行われる無意識の脱毛です。
  • もう1つは、上記とは対照的に、座って何かをしている時などに行われる無意識の抜毛です。

抜毛症の方のほとんどは、この2つが組み合わさっています。

抜毛症の経過と予後】

抜毛症の平均発症年齢は10代前半で、しばしば17歳以前ですが、より年長での発症も報告されています。

慢性化するタイプと寛解するタイプがあります。

6歳以前の早期の発症例は指示や援助、行動療法に反応しやすく、寛解に至ることが多いといわれています。

13歳以降の遅い発症では慢性化の経過をとりやすく、早期発症例に比べて予後は良くないといわれています。

【抜毛症の治療】

実は医学的に抜毛症の最も良い治療法に関しての意見は一致していません。治療に関しては、精神科医と皮膚科医の連携が必要となる事も多いです。

精神薬理学的治療法としては、局所のステロイド、水酸化塩酸塩、抗ヒスタミン特性をもつ抗不安薬、抗うつ薬、抗精神病薬があります。

抜毛症の初期の症例報告では、選択的セロトニン取り込み阻害薬(SSRI)が有効であったとの報告があります。

SSSRIに反応が乏しい場合にはピモジド(オーラップ)などのドパミン受容体拮抗薬の追加で改善する可能性があります。

有効性が報告されている薬物は、フルボキサミン(ルボックス)、シタロプラム(Celexa)、ベンラファキシン(イフェクサーSR)、リチウム(リーマス)、クロナゼパム(リボトリール)、トラゾドン(デジレル)などがあります。

【ベンゾジアゼピン】授乳とお薬について【心療内科・精神科編】

妊産婦は精神状態が不安定となることが多く、安定剤や睡眠薬を内服せざるをえない場合があります。

安定剤・睡眠薬の中でも代表的なベンゾジアゼピン系の薬剤を内服する場合、新生児に授乳をしている母親は、薬物及び代謝物の母乳中への移行と新生児への影響に注意が必要です。

ベンゾジアゼピン系薬剤の母乳中移行と新生児への影響についてはセルシン®、ホリゾン®(ジアゼパム)に関しての研究がみられます。

帝王切開で出産後、強い不安、抑うつ状態が出現した母親に、ジアゼパムを1日30㎎を3日間(計90㎎)投与された場合、乳児がが昏睡状態となり、体重減少(-170g/日)がみられたと報告されました。

ジアゼパムないしはその代謝物が母乳を通して乳児に移行したと考えられます。

別の研究では、ジアゼパム10㎎を毎食後に3回、合計30㎎/日を3人の産婦に内服してもらい、4日後と6日後にジアゼパムとN-デスメチルジアゼパム(代謝物)の母親の血中濃度、、母乳中濃度および乳児の血中濃度を測定した研究があります。

結果は6日後の母親の血中濃度と母乳濃度の比は10:1でした。

また乳児の血中濃度はジアゼパム、N-デスメチルジアゼパム共に母乳中濃度に近い値でしたが、乳児に眠気や呼吸抑制などの所見は見られませんでした。

ただし、この研究は6日間であり、薬物代謝機能が不十分な乳児に長期間授乳を続ければ蓄積する可能性があり、ジアゼパム服用中には授乳を中止するのが望ましいとされています。

また、別の研究では母親のジアゼパム血中濃度と母乳中濃度の比は約4.6:1~0.4:1であり、平均2:1という結果ですが、約10倍近い個体差があったことが指摘されています。

これらの報告から判断すると、いずれにせよ母乳中への移行は高値ではなく、1日にジアゼパム10㎎程度を内服した場合、新生児が1日500mlの母乳を飲んだとしても、新生児が摂取するジアゼパムと、N-デスメチルジアゼパムの量はせいぜい45μg程度となり、有意な障害は与えないと考えられます。

しかし、産婦の内服量が多くなり、高用量となる場合には新生児の代謝能力が低いため、蓄積し予期せぬ症状が出現することがありえるので、授乳は中止するべきでしょう。

ジアゼパム以外のベンゾジアゼピン系薬剤においては、ロラゼパム(ワイパックス®)、ニトラゼパム(ベンザリン®、ネルボン®)、クロナゼパム(リボトリール®、ランドセン®)等でも母乳中移行への報告があります。

まとめ

安定剤や睡眠薬として使用されるベンゾジアゼピン系薬剤は母乳中へ移行するため、一般的には授乳は避けた方がいいでしょう。

特にベンゾジアゼピン系薬剤を反復して、あるいは高用量で使用する場合は、新生児への蓄積の危険性が大きく、授乳は中止すべきでしょう。

一方で授乳中に数回安定剤や睡眠薬を内服したとしても、少量の内服であれば、移行する量も少なく過度に心配する必要はないようです。

安定剤や睡眠薬など、ベンゾジアゼピン系薬剤を内服する際には、治療効果による利点と授乳によって生じる危険性について主治医としっかり相談することが大切です。

【安定剤】ベンゾジアゼピン系薬剤を内服していて、授乳していいの?【睡眠薬】

ベンゾジアゼピン系薬剤を内服していて、授乳していいのか

安定剤や睡眠薬などのベンゾピアゼピン系の薬剤を服用している場合、授乳はしてもいいのでしょうか。

結論から言うと、ベンゾジアゼピン系の薬剤は母乳中へ移行するので、授乳は避けた方が良いです。

ベンゾジアゼピン系薬剤と授乳について

ベンゾジアゼピン系の薬剤を服用している母親が新生児に授乳する場合には、薬物及び代謝物の母乳中への移行と新生児への影響に注意する必要があります。

ベンゾジアゼピン系の薬剤の母乳中移行と新生児への影響については、セルシン®(ジアゼパム)での研究報告があります。

ある研究では薬剤の母親の血中濃度と母乳濃度との比は1~10対1と約10倍もの個体差が大きいようです。

乳児の血中濃度は母乳濃度と近いもしくはそれより低い値になるようです。

ベンゾジアゼピン系の薬物による乳児への影響で多いのは、眠気や呼吸抑制、哺乳力低下による体重減少などが考えられます。

また、乳児は薬物代謝機能が不十分であるため、薬物は蓄積しやすく、長時間の授乳により影響が大きくなると考えられます。

母乳中への移行はありますが、高用量を使用しなければ、母乳中濃度は高値にならず、不安時などの頓服使用であれば、主治医と十分に相談したうえで、治療選択肢になる可能性があるでしょう。

しかし、逆に高用量を使用する場合には、新生児の代謝能は低いため、授乳は中止した方がいいでしょう。

まとめ

安定剤や睡眠薬などのベンゾジアゼピン系薬物は母乳中へ移行するため、一般的に授乳は避けた方が望ましく、特に高用量使用の場合は、新生児への蓄積の危険性が大きく授乳は中止した方がよいでしょう。

しかし、不安時などの頓服使用などについては、ミルクなどの併用も利用し、治療選択肢として主治医と相談してみてはいかがでしょうか。

【安定剤をやめたい方へ】漢方治療:柴朴湯【抗不安薬】

安定剤をやめたい方の漢方薬

心療内科やメンタルクリニックを受診した際、安定剤が処方されることがしばしばあります。

一般的に処方される安定剤は、ベンゾジアゼピン系抗不安薬と言われるお薬です。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、GABAの脳内作用を強め、中枢神経を抑制することで抗不安作用や催眠作用、筋弛緩作用、抗痙攣作用等の効果を発揮します。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、確かな効果と速効性が期待でき、症状を速やかに改善させることができますが、その一方で依存や耐性、離脱症状がみられることがあり問題となります。

安定剤で症状が良くなった場合、いつまで内服する必要があるのか、どのように減らせばいいのかということはとても大切なことです。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬の副作用や離脱症状を知る

しばしばみられる副作用

眠気、ふらつき、めまい、脱力感、倦怠感、もうろう感

ときどきみられる副作用

食思不振、悪心、嘔吐、便秘、胃腸不快感、口渇、排尿困難、頭痛、低血圧、興奮・錯乱

まれにみられる副作用

黄疸、発疹、かゆみ、血液障害、振戦、手足のしびれ、発汗、熱感、のぼせ感、乏尿、蛋白尿、浮腫、月経異常

ベンゾジアゼピン系抗不安薬・睡眠薬の長期投与後にみられうる離脱症状

睡眠障害、不安、不眠、被刺激性、筋肉痛、筋攣縮、振戦、ふるえ、頭痛、嘔気、食思不振、発汗、霧視

音・光・臭い・触覚などへの感覚過敏、味・臭いなどへの感覚鈍麻

めまい、耳なり、いらいら感、離人感、現実感の喪失

ベンゾジアゼピン系抗不安薬をやめるための漢方治療への置換

ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、日常生活に支障をきたすほどの不安感や焦燥感に対して、短期間使用することが多いでずが、漫然と長期使用することはおすすめしません。

しかし、実際の診療場面では「内服して安定しているから減薬したくない」という訴えから、長期的に服用する状態が持続し、依存、耐性が形成されることもしばしばみられます。

減薬については、総量の25%くらいの量で、1~2週間以上毎にゆっくり減量することが推奨されています。

日常生活には様々なストレスがあり、ライフイベントに伴いストレス因が増えて、症状が増悪することもあり、減薬自体への不安も伴い、なかなか減薬に踏みこめない方も多くいます。

内服がなくなることに対して不安が出やすい、離脱症状が出現しやすく減薬しにくい、ベンゾジアゼピン系の副作用が出現しやすいが不安感等の症状が残存する、そういう方は漢方への置換を検討してみてはいかがでしょうか。

不安に対しておすすめな漢方:柴朴湯(サイボクトウ)とは

柴朴湯は、小柴胡湯と半夏厚朴湯の合方で、内科領域ではアレルギー疾患に良く用いられています。

柴胡、半夏、人参、生姜等の中枢神経作用、厚朴、甘草、蘇葉等の鎮静作用が不安を改善させてくれます。

柴朴湯(サイボクトウ)の構成生薬

柴胡(サイコ)

セリ科ミシマサイコの根です。

中枢抑制作用(鎮静、鎮咳、鎮痛、解熱など)、抗消化性潰瘍、肝障害改善、抗炎症・抗アレルギー、ステロイド剤副作用防止、脂質代謝改善、抗ストレス、インターフェロン誘起作用などがあります。

大棗(タイソウ)

クロウメモドキ科ナツメの果実です。

抗アレルギー、抗消化性潰瘍、抗ストレス、血液凝固抑制、鎮静、腎障害改善作用などがあります。

半夏(ハンゲ)

サトイモ科カラスビシャクのコルク層を除いた塊茎です。

抗ストレス、鎮静、鎮痛、鎮吐、唾液分泌亢進、抗アレルギー、抗消化性潰瘍、腸管内輸送促進、抗ウイルス、血圧降下、免疫賦活作用等があります。

茯苓(ブクリョウ)

サルノコシカケ科マツホドの菌核です。

利尿、抗腫瘍、免疫賦活、抗炎症、腎障害改善、抗潰瘍、血液凝固抑制作用等があります。

人参(ニンジン)

ウコギ科オタネニンジンの根です。

中枢興奮、中枢抑制、抗ストレス、抗疲労、強壮、男性ホルモン増強、脳血流量増加、抗炎症、血圧降下、血糖降下、脂質代謝改善、抗腫瘍、抗潰瘍、抗老化、免疫賦活、肝障害抑制、向精神作用等があります。

甘草(カンゾウ)

マメ科カンゾウなどの根です。

鎮静・鎮痙、鎮咳、抗消化性潰瘍、利胆、肝機能改善、肝保護、抗炎症、抗アレルギー、抗糖尿病、抗動脈硬化作用等があります。

黄芩(オウゴン)

シソ科コガネバネの周りの皮を除いた根です。

中枢抑制作用(鎮痛・鎮静・運動抑制)、体温調整、血圧降下、毛細血管強化、抗動脈硬化、脂質代謝改善、肝障害予防、抗消化性潰瘍、抗炎症・抗アレルギー作用などがあります。

蘇葉(ソヨウ)

シソ科シソ・チリメンジソの葉および枝先です。

鎮静、免疫賦活、抗アレルギー、TNF産生抑制、抗菌作用などがあります。

厚朴(コウボク)

モクレン科ホオノキなどの樹皮です。

筋弛緩・抗痙攣、鎮静、抗消化性潰瘍、抗炎症・抗アレルギー、血圧降下、鎮吐、抗菌、抗腫瘍作用などがあります。

生姜(ショウキョウ)

ショウガ科ショウガの根茎です。睡眠延長、解熱・鎮痛、抗けいれん、鎮咳、鎮吐、血圧降下、強心、唾液分泌亢進、抗潰瘍、肝障害予防・改善作用等があります。

証(虚実)

中間証~虚証

柴朴湯の適応

柴朴湯は定期的に内服することで、不安感や落ち込み、全身倦怠感などの精神的や症状と、喉のつまった感じである咽頭異物感、咳嗽、めまい、動悸、嘔気などの自律神経失調症状も改善してくれる効果をもっています。

パニック発作等の不安を軽減する効果もあります。

また、不安時に屯用で内服することでも抗不安作用を発揮します。

ベンゾジアゼピン系薬剤への依存・耐性、減薬の際の離脱症状、不安が残存している等で、ベンゾジアゼピン系薬剤を減らしたいけどなかなか減らせないという方は、柴朴湯を併用してゆっくり減薬を試みてはいかがでしょうか。

 

【安定剤】ソラナックス®、コンスタン®/アルプラゾラムとはどんな薬?【抗不安薬】

ソラナックス®、コンスタン®/アルプラゾラムを処方された方へ

一般名

アルプラゾラム alprazolam

製品名

ソラナックス、コンスタン

剤型

錠剤 0.4mg、0.8mg

後発品

アルプラゾラム

適応

心身症(胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、自律神経失調症)における身体症候・不安・緊張・抑うつ、睡眠障害

用法・用量

成人では1日1.2㎎を3回に分けて内服します。

1日最高2.4㎎までで使用します。

高齢者では1回0.4㎎から開始し、最高1日1.2㎎までで使用します。

禁忌

急性狭隅角緑内障、重症筋無力症

半減期

6~20時間

ソラナックス®、コンスタン®/アルプラゾラムの特徴

ソラナックス®、コンスタン®/アルプラゾラムはベンゾジアゼピン系抗不安薬に分類される、いわゆる安定剤です。

最高血中濃度は2時間後であり、作用発現速度は中等度です。

薬物代謝酵素はCYP3A4が関与しています。

血中半減期は6~20時間であり、作用時間は中間型に分類されます。

抗不安作用の力としては強い方の抗力価に分類されます。

アルプラゾラムは他のベンゾジアゼピン系と比べ、抗うつ作用の報告があります。

パニック障害での不安発作や予期不安への有効性が確立されています。

薬理作用として、馴化鎮静作用、抗痙攣作用は強力です。

筋弛緩作用は中等度です。

社会恐怖の動悸、口渇、振戦等の自律神経症状に対しての効果が期待できます。

全般性不安障害に対しては、高力価短時間作用型であるがゆえに、依存を生じやすくなることと、服薬間に起きる反跳性不安のリスクもあり、第一選択とはなりにくいでしょう。

ソラナックス®、コンスタン®/アルプラゾラムの作用機序

抑制性のGABAニューロンのシナプス後膜のベンゾジアゼピン受容体に作動薬として高い親和性で結合し、GABA親和性が増大し、GABA結合量の増加、Clイオンチャンネルの開口を促進します。

通常細胞膜の内側はマイナスに、外側はプラスに荷電しています。

この状態で細胞内に陽イオンが流入すると脱分極が生じ活動電位が発生することで神経は興奮します。

一方で、GABAがGABAA受容体に結合することでClイオンが細胞膜の内側に流入すると過分極になり、細胞膜は興奮しにくくなります。

この機序によってGABAニューロンの作用を特異的に増強して、作用を発現すると考えられています。

視床下部・扁桃核を含む大脳辺縁系に対する、抑制作用が主な作用機序となります。

ソラナックス®、コンスタン®/アルプラゾラムの有効率

パニック障害での不安発作や予期不安への有効性、社会恐怖の動悸、口渇、振戦等の自律神経症状に対しての有効性が見られます。

心身症および自律神経失調症に伴う不安・緊張・睡眠障害は80%以上、抑うつ症状には77%の有効率を示しています。

適応症別では、胃十二指腸潰瘍、自律神経失調症で70%、過敏性大腸炎では57%の有効率を示しています。

ソラナックス®、コンスタン®/アルプラゾラムの副作用

眠気が約10%、めまい、ふらつき、脱力・倦怠感は約6%、口渇、悪心、嘔吐は約1%ほどの報告があります。

まとめ

ソラナックス®、コンスタン®/アルプラゾラムはベンゾジアゼピン系抗不安薬で効果が強く、不安症状によく効きます。

しかし、その反面長期使用での依存に注意が必要であることと、短時間作用型であるため、お薬が切れる感じの反跳性の不安の出現に注意する必要があります。

【安定剤】セルシン®、ホリゾン®/ジアゼパムとはどんな薬?【抗不安薬】

セルシン®、ホリゾン®/ジアゼパムを処方された方へ

一般名

ジアゼパム diazepam

製品名

セルシン、ホリゾン

剤型

セルシン 散1%、錠剤 2mg、5mg、10mg、シロップ0.1%(1mg/ml)

ホリゾン 散1%、錠剤 2mg、5mg

後発品

ジアゼパム、ジアパックス

適応

①神経症における不安、緊張、抑うつ

②うつ病における不安・緊張

③心身症(消化器疾患、循環器疾患、自律神経失調症、更年期障害、腰痛症、頸肩腕症候群)における身体症候・不安・緊張・抑うつ

④脳脊髄疾患に伴う筋痙攣・疼痛における筋緊張の軽減

⑤麻酔前投薬

用法・用量

成人では、1日2~5㎎を1日2~4回、外来では原則1日15㎎以内で使用します。

麻酔前投薬では、1日5~10㎎を就寝前・手術前に使用します。

禁忌

急性狭隅角緑内障、重症筋無力症

半減期

30 ~100時間

セルシン®、ホリゾン®/ジアゼパムの特徴

不安の治療において、1940年代は抱水クロラールやエタノールが用いられ、1950年代はバルビツレートが用いられていました。

1960年代にベンゾジアゼピンが登場し、ジアゼパムもその代表的なベンゾジアゼピン系の薬物です。

ベンゾジアゼピン系薬剤は、それまで使用されてきた鎮静・催眠薬と同様に、少量では抗不安作用を発揮し、大量では鎮静・催眠作用を発揮しますが、耐性や依存性を起こす傾向が少なくなっています。

セルシン®、ホリゾン®/ジアゼパムの薬理作用

ジアゼパムはベンゾジアゼピン系の薬剤の中でも非常に早く吸収され、最高血中濃度は経口内服後約1時間以内であり、作用発現速度は速いです。

デスメチルジアゼパムという長期的活性代謝物を持つため、血中半減期は30~100時間で、排泄半減期は30時間以上あります。

そのため、、1回の投与では分布時間が速い(分布半減期は約2.5時間)ため、比較的短時間の作用ですが、慢性的に使用していると、排泄半減期が長いために長時間作用するようになり、体に蓄積しやすい薬物です。

タイプとしては、低力価長時間作用型に分類されます。

薬物代謝酵素はCYP2C19、CYP3A4が関与しています。

抗不安作用としては中等度です。

馴化鎮静作用、筋弛緩作用、抗痙攣作用をもっています。

セルシン®、ホリゾン®/ジアゼパムの作用機序

作用機序は、抑制性のGABAニューロンのシナプス後膜のベンゾジアゼピン受容体に作動薬として高い親和性で結合し、GABA親和性が増大し、GABA結合量の増加、Clイオンチャンネルの開口を促進します。

通常細胞膜の内側はマイナスに、外側はプラスに荷電しています。

この状態で細胞内に陽イオンが流入すると脱分極が生じ活動電位が発生することで神経は興奮します。

一方で、GABAがGABAA受容体に結合することでClイオンが細胞膜の内側に流入すると過分極になり、細胞膜は興奮しにくくなります。

この機序によってGABAニューロンの作用を特異的に増強して、作用を発現すると考えられています。

動物実験では、拘束ストレス負荷時の視床下部、扁桃核、青斑核、海馬、大脳皮質におけるノルアドレナリン放出を抑制し、電気ショックによる恐怖条件付けにおける扁桃核のセロトニン放出を抑制することが分かっています。

また、心理的ストレス負荷時の内側前頭前野におけるドパミン放出を抑制することも分かっています。

セルシン®、ホリゾン®/ジアゼパムの有効率

ジアゼパムは不安、緊張、抑うつ状態、睡眠障害の改善に優れています。

アルコール離脱による不安、興奮、不眠、自律神経症状を和らげるため、アルコール依存症の治療過程で使用されることも多い薬物です。

アルコール離脱時に出現する、振戦せん妄の予防、鎮静に効果があります。

もちろん他のベンゾジアゼピンでも作用機序は同じなので問題ありません。

肝機能障害のない場合は長時間作用型のジアゼパムやコントール®、バランス®(クロルジアゼポキシド)が使用されることが多く、肝機能障害のある場合には、グルクロン酸抱合によって代謝され、活性代謝物のないワイパックス®(ロラゼパム)が使用されることが多いです。

躁状態や精神運動興奮に対する鎮静にも有効です。

緊張病症状にも有効です。

慢性的に持続している精神病症状に対しても、関連した不安を軽減したり、アカシジアの減少させる効果を持っています。

低力価であるため、高力価のベンゾジアゼピン系に比較すると依存性を形成しにくいと考えられます。

セルシン®、ホリゾン®/ジアゼパムの副作用

眠気、めまい、ふらつき、脱力、倦怠感が約6%、口渇、悪心、嘔吐が約1%ほどの報告があります。

まとめ

セルシン®、ホリゾン®/ジアゼパムは抗不安作用、鎮静作用に優れ、効果の持続時間が長いため、血中濃度の変化による影響を受けにくく、継続的な効果をえられやすいお薬ですが、蓄積による過鎮静に気を付けておきましょう。

また、中止時の反跳性不眠や離脱症状は起きにくく、他のベンゾジアゼピン系薬剤と比べると依存のリスクはやや少なめなお薬と考えていいでしょう。

【安定剤・睡眠薬】ベンゾジアゼピン系薬剤の詳細【特徴・効果・副作用・注意点】

ベンゾジアゼピン系薬剤について詳しく説明します

ベンゾジアゼピンは、分子構造からのその名称がつけられています。

ベンゾジアゼピンは、ベンゾジアゼピン受容体と称される受容体において共通の作用を有しています。

ベンゾジアゼピン受容体を介して、γアミノ酪酸n(GABA)の作用を調整します。

ベンゾジアゼピン系薬剤の特徴

ベンゾジアゼピン系薬剤は、急速な抗不安・鎮静作用をもつので、通常は、不眠、急性期の不安、他の精神疾患による興奮や不安の緊急治療によく用いられます。

麻酔薬、抗けいれん薬、筋弛緩薬としても用いられます。

精神依存と身体依存の危険性があるので、長期使用は避け、精神療法を併用し、代替薬の検討も必要です。

ベンゾジアゼピン系の薬理学的作用①

メンドン®(クロラゼプ酸)を除くすべてのベンゾジアゼピン系薬剤は、未変化体のままで胃腸管より完全に吸収されます。

吸収、最高血中濃度への到達、作用発現はセルシン、ホリゾン®(ジアゼパム)、ワイパックス®(ロラゼパム)、ソラナックス®、コンスタン®(アルプラゾラム)、ハルシオン®(トリアゾラム)、ユーロジン®(エスタゾラム)で最も速く、不安発作に対して、または入眠困難に対して、効果が発揮しやすく、単剤頓服で使用するような方は特に考慮すべきことです。

セルシン®、ホリゾン®(ジアゼパム)、ランドセン®、リボトリール®(クロナゼパム)、メンドン®(クロラゼプ酸)、ダルメート®、ベノジール®(フルラゼパム)、ドラール®(クアゼパム)の血漿半減期は30~100時間あり、最も長い作用時間をもつベンゾジアゼピン系薬剤です。

遺伝的に代謝能の低い人は、こららの薬剤の血漿半減期が200時間以上に及ぶこともあります。

これら薬剤は、血中濃度が定常状態に達するのに約2週間かかるため、至適治療域と思われる投与量で治療を開始してから7~10日後になってようやく中毒症状や徴候が見られることがあります。

ワイパックス®(ロラゼパム)、ユーロジン®(エスタゾラム)の半減期は8~30時間と短く、ソラナックス®(アルプラゾラム)の半減期は10~15時間、ハルシオン®(トリアゾラム)の半減期はベンゾジアゼピン系薬剤の中で最も短い2~3時間です。

半減期の長さの違いによる利点と欠点

半減期の長い薬剤の利点

投与回数が少ないこと

血中濃度の変化が少ないこと

離脱現象が重篤でないこと

半減期の長い薬剤の欠点は

薬剤の蓄積

日中の精神運動障害のリスクの増大

日中の鎮静の増加

半減期の短い薬剤の利点

薬剤の蓄積がないこと

日中の鎮静が少ないこと

半減期の短い薬剤の欠点

頻回投与を必要とすること

より早期に重篤な離脱症候群が起こることがある

反跳性の不眠や前向健忘が起こりやすい

ベンゾジアゼピン系の薬理学的作用②

非ベンゾジアゼピン系であるマイスリー®(ゾルピデム)、ルネスタ®(エスゾピクロン)、アモバン®(ゾピクロン)は、構造的に別なものであり、GABA受容体サブユニットへの結合の仕方も異なります。

ベンゾジアゼピン系薬剤は、クロールチャンネルを開き、神経や筋肉の発火を減少させます。

GABAA受容体の全部で3つの特定のGABA-ベンゾジアゼピン結合部位を活性化します。

非ベンゾジアゼピン系は、GABA受容体の特定のサブユニットにのみ選択性をもち、鎮静作用を選択的に有し、筋弛緩、抗痙攣作用は比較的弱くなっています。

マイスリー®(ゾルピデム)、ルネスタ®(エスゾピクロン)、アモバン®(ゾピクロン)は経口摂取後に速やかに吸収されますが、食事と一緒に摂取すると、1時間ほど吸収がおくれることがあります。

マイスリー®(ゾルピデム)の血中濃度は約1.6時間でピークに達し、半減期は2.6時間です。

マイスリー®(ゾルピデム)、ルネスタ®(エスゾピクロン)、アモバン®(ゾピクロン)は、急速に代謝され、活性代謝物も持たないため、血中濃度の蓄積が起こりにくい薬剤です。

ベンゾジアゼピン系薬剤の治療適応

不眠

不眠は、身体疾患によっても精神疾患によっても起きますが、まず不眠の原因を追究したうえで、必要な場合に睡眠薬を選択することになります。マイスリー®(ゾルピデム)、ルネスタ®(エスゾピクロン)、アモバン®(ゾピクロン)などの非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、通常短期間の使用では、中止しても反跳性の不眠をきたしにくい薬剤です。

入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒など不眠のタイプに合わせて、半減期の長さを考慮して薬物選択していきます。

不安障害

全般性不安障害

ベンゾジアゼピン系薬剤は、全般性不安障害に関連した不安の改善に非常に効果的です。

全般性不安障害は再発のリスクが高い慢性疾患であり、依存や耐性を考慮しながら、長期の維持療法が必要になることもあります。

パニック障害

ソラナックス®、コンスタン®(アルプラゾラム)とリボトリール®、ランドセン®(クロナゼパム)などの高力価のベンゾジアゼピン系薬剤は、広場恐怖の有無にかかわらず、パニック障害の治療に効果的です。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)も適応となりますが、ベンゾピアゼピン系薬剤は即効性と、明らかな性機能障害や体重増加が起こらないという点で優れています。

急性期のパニック症状にはベンゾジアゼピン系薬剤とSSRIを併用して、SSRIの作用が発現して3~4週後にはベンゾジアゼピン系薬剤は減量・中止することが望ましいでしょう

社会恐怖

リボトリール®、ランドセン®(クロナゼパム)は社会恐怖の治療に効果的です。

さらに、セルシン®、ホリゾン®(ジアゼパム)などの他のベンゾジアゼピン系薬剤も効果的です。

他の不安障害

ベンゾピアゼピン系薬剤は、不安を伴う適応障害、事故後や死別反応などライフイベントに関連した病的不安、強迫性障害、外傷後ストレス障害などの治療にも用いられています。

ベンゾジアゼピン系の注意点と有害作用

ベンゾピアゼピン系薬剤の最も頻度の高い有害作用は眠気で、約10%にみられます。

そのため、服用期間中には自動車の運転や危険な機械の使用に注意する必要があります。

ふらつきなどの運動失調や、めまいが1~2%ほどで出現する報告があります。

特に高齢者では転倒・骨折の原因となるため、注意が必要です。

アルコールのような鎮静性の他の物質との同時に摂取した場合、著しい眠気や脱抑制、そして時に呼吸抑制を起こすことがあります。

内服した後のことを覚えていない前向健忘はハルシオン®(トリアゾラム)などの特に高力価のベンゾジアゼピン系薬剤や、マイスリー®(ゾルピデム)などで生じやすいといわれています。

過量服薬等をした際のベンゾジアゼピン系薬剤の中毒症状は、錯乱や呂律が回らないように言語が不明瞭になる、強いふらつきなどの運動失調、嗜眠、呼吸困難、反射低下などがあります。

肝機能が低下しているような肝疾患を持つような方や、高齢者の場合では、繰り返しまたは高用量で投与した場合に、肝性昏睡などのベンゾジアゼピン系薬剤の有害作用が出現しやすいため、用量調整に注意が必要です。

ベンゾジアゼピン系薬剤は妊娠中は可能であれば使用を中止するのが望ましく、出産前に継続内服している場合は、新生児に離脱症状が出現する場合があります。

母乳中にも分泌されるため、授乳時に無呼吸、徐脈、嗜眠を起こすことがあるため、授乳中の内服は避けましょう。

ベンゾジアゼピン系薬剤の耐性、依存症、離脱

ベンゾジアゼピン系薬剤を、中等量かつ1~2週間の短期間で使用する場合は、通常は重篤な耐性、依存性、離脱症状が出現することはありません。ただし、高力価の短時間作用型ベンゾジアゼピン系薬剤では、頓服で使用した翌日に不安が増強されるような症状が出現することがあります。

ベンゾジアゼピン系薬剤を使用し続けることで、抗不安作用が減弱する、耐性が生じ、鎮静作用を維持するために、薬剤の増量が余儀なくされることがあります。

ベンゾジアゼピン系薬剤の離脱症候群(中止後症候群)の出現は使用期間、投与量、減量の割合、半減期などに影響されます。

離脱症候群では不安、神経過敏、発汗、落ち着かなさ、易刺激性、疲労感、ふらつき、振戦、不眠、脱力感などが見られることがあります。

ベンゾジアゼピン系薬剤を中止する際には、1週間に25%づつ、ゆっくりと減薬する必要があります。

ベンゾジアゼピン系薬物の他の薬物との相互作用

ベンゾジアゼピン系薬剤を、アルコール、バルビツレート、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、ドパミン受容体拮抗薬、アヘン類、抗ヒスタミン薬などの、他の中秋神経抑制薬と併用した場合、過鎮静や呼吸抑制に注意が必要です。

ふらつきなどの運動失調や、呂律の回らない構音障害は、リチウムや抗精神病薬を併用すると出現しやすくなることがあります。

カルバマゼピンはベンゾジアゼピン系薬剤の血中濃度を低下させることがあります。

制酸薬や食物はベンゾジアゼピン系薬剤の血中濃度を低下させます。

喫煙はベンゾジアゼピンの代謝を増加させます。

【安定剤】セディール®/タンドスピロンクエン酸塩とはどんな薬【抗不安薬】

セディール®/タンドスピロンクエン酸塩を処方された方へ

一般名

タンドスピロンクエン酸塩 tandospirone citrate

製品名

セディール

剤型

錠剤 5mg、10mg、20mg

後発品

タンドスピロンクエン酸塩 錠剤5mg、10mg、20mg

適応

①心身症(自律神経失調症、本態性高血圧症、消化性潰瘍)における身体症候ならびに抑うつ・不安・焦燥・睡眠障害

②神経症における抑うつ・恐怖

用法・用量

1日30㎎、3回に分けて内服する。1日60㎎までとする。

半減期

約1時間

セディール®/タンドスピロンクエン酸塩の特徴

日本で開発され1996年に発売された、ベンゾジアゼピン系ではない、セロトニン作動性の抗不安薬に分類されます。

セロトニン神経系に選択的に作用して抗不安作用及び抑うつ作用を示します。

最高血中濃度は約0.8~1.4時間後です。血中半減期は約1時間です。

投与休止により速やかに消失し、蓄積性は認められませんでした。

セディール®/タンドスピロンクエン酸塩の薬理作用

ベンゾジアゼピン系抗不安薬であるジアゼパムとほぼ同程度の作用を示します。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬とは異なり、抗うつ作用も示すと考えられています。

各種のストレス負荷や、自律神経中枢のある視床下部の刺激による各種の末梢反応を改善します。

脳内においては、ベンゾジアゼピン/GABA受容体複合体には直接作用せず、セロトニン(5-HT)受容体のサブタイプの1つである5-HT1A受容体を選択的に認識し、作動薬として結合することにより、抗不安作用をはじめとする各種の薬理作用を引き起こします。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬による、ふらつきや眠気などの副作用の問題や、乱用・依存などの問題を解決する新しい抗不安薬の開発を期待され、つくられた経緯があります。

抗不安作用、抗うつ作用を示しながら、ベンゾジアゼピン系薬剤がもつ筋弛緩作用や協調運動抑制作用、あるいは麻酔増強作用などはほとんどなく、眠気やふらつき、過度の鎮静という副作用は少ないのです。

セディール®/タンドスピロンクエン酸塩の作用機序

不安を形成すると考えられる海馬等の大脳辺縁系において、その神経活動を抑制するとともに、形成された不安を末梢に伝えると考えられている視床下部や中隔野での神経活動を抑制します。

大脳辺縁系に局在するシナプス後膜5-HT1A受容体に選択的に作用し、抗不安効果を示します。

抗うつ作用としてはセロトニン神経終末のシナプス後膜5-HT1A受容体密度の低下が関与していると推測されます。

セディール®/タンドスピロンクエン酸塩の有効率

自律神経失調症(心身症)に対する中等度以上改善率は約64%との報告があります。

本態性高血圧症(心身症)に対する中等度以上改善率は約76%との報告があります。

消化器系心身症(過敏性腸症候群、胃十二指腸潰瘍など)に対する中等度以上改善率は約49%との報告があります。

セディール®/タンドスピロンクエン酸塩の副作用

眠気が約3%、ふらつきが約1.1 %、悪心が約0.8%、倦怠感が約0.8%、食思不振0.7%などの報告がありますが、少ないようです。

自動車の運転などの危険を伴う機会の操作には従事しないようにしましょう。

セディール®/タンドスピロンクエン酸塩の使用における注意事項

①漫然と長期使用しないこと

神経症においては、罹病期間が3年以上と長い場合や、重症例あるいはベンゾジアゼピン系での治療効果が不十分な場合など治療抵抗性の患者に対しては効果が表れにくいです。

1日60㎎を投与しても効果が認められない時は、漫然と投与することなく中止しましょう。

②高度の不安症状には効果が出にくい

高度の不安症状がある場合は、効果が表れにくいことがあいります。他の薬物に変える選択肢を検討しましょう。

まとめ

セディール®/タンドスピロンクエン酸塩は抗不安作用や抗うつ作用をしめしますが、眠気やふらつき等の副作用が少ないお薬です。

また、依存に関してもベンゾジアゼピン系薬剤よりも生じにくと考えられています。

【安定剤】デパス®/エチゾラムとはどんな薬【抗不安薬】

デパス®/エチゾラムを処方された方へ

一般名

エチゾラム etizolam

製品名

デパス

剤型

細粒 1%(10mg/g)

錠剤 0.25mg、0.5mg、1mg

後発品

エチゾラム、デゾラム

細粒 1%(10mg/g)、錠剤0.25mg、0.5mg、1mg

適応

①神経症における不安・緊張・抑うつ・神経衰弱症状・睡眠障害

②うつ病における不安・緊張・睡眠障害

③心身症(高血圧症、胃十二指腸潰瘍)における身体症候・ならびに不安・緊張・抑うつ・睡眠障害

④統合失調症における睡眠障害

⑤頚椎症、腰椎症、筋収縮性頭痛における不安・緊張・抑うつおよび筋緊張

用法・用量

①神経症、うつ病には1日3mg、1日3回に分けて内服

②心身症、頚椎症、腰椎症、筋収縮性頭痛には1日1.5mg、1日3回に分けて内服

③睡眠障害には1日1回1~3mg、就寝前に内服

いずれも高齢者には1日1.5mgまで

禁忌

急性狭隅角緑内障、重症筋無力症

半減期

約6時間

デパス®/エチゾラムの特徴

ベンゾジアゼピン系抗不安薬に分類される、いわゆる安定剤です。

最高血中濃度は約3時間後であり、作用発現速度は中等度です。

血中半減期は約6時間で、作用時間は短時間作用型に分類されます。

抗不安作用の力としては強い方の高力価に分類されます。

不安、緊張、興奮に対して強い効果を持っています。

抗不安作用、静穏作用は強力で、筋弛緩作用は中等度、抗痙攣作用は弱めです。

デパス®/エチゾラムの薬理作用

作用機序は、抑制性のGABAニューロンのシナプス後膜のベンゾジアゼピン受容体に、作動薬として高い親和性で結合し、GABA親和性増大によりGABAニューロンの作用を特異的に増強するものと考えられます。

デパス®/エチゾラムの有効率

神経症、うつ病、心身症の約50~60%に有効という報告があります。

抗うつ効果は、抑うつ神経症に対しては奏功しますが、うつ病の中核症状にはあまり効果が期待できず、抗うつ薬を選択した方がいい場合もあります。

デパス®/エチゾラムの副作用

眠気、ふらつき、疲労感などの報告があります。

まとめ

デパス®/エチゾラムは効果が強く、不安症状によく効きます。

効果が強く、不安症状によく効く半面、依存に注意が必要であることと、短時間作用型であるため、お薬が切れる感じの反跳性の不安の出現に注意する必要があります。

【安定剤】リーゼ®/クロチアゼパムとはどんな薬【抗不安薬】

リーゼ®/クロチアゼパムを処方された方へ

一般名

クロチアゼパム clotiazepam

製品名

リーゼ

剤型

顆粒 10%、錠剤 5mg、10mg

後発品

クロチアゼパム 顆粒 10%、錠剤 5mg、10mg

適応

①心身症(消化器疾患、循環器疾患)における身体症候ならびに不安・緊張・心気・抑うつ・睡眠障害

②麻酔前投薬

③自律神経失調症におけるめまい・肩こり・食欲不振

用法・用量

1日15~30mg、1日3回に分けて内服

麻酔前投薬には就寝前または手術前10~15mg

禁忌

急性狭隅角緑内障、重症筋無力症

半減期

6~18時間

リーゼ®/クロチアゼパムの特徴

ベンゾジアゼピン系抗不安薬に分類される、いわゆる安定剤です。

最高血中濃度は1~3時間程であり、作用発現速度は中等度です。

血中半減期は6~18時間で、作用時間は短時間作用型に分類されます。

抗不安作用の力としては弱めの低力価に分類されます。

抗不安作用だけでなく、静穏作用、催眠作用、筋弛緩作用、抗痙攣作用も比較的弱めです。

リーゼ®/クロチアゼパムの薬理作用

作用機序は、抑制性のGABAニューロンのシナプス後膜のベンゾジアゼピン受容体に、作動薬として高い親和性で結合し、GABA親和性増大によりGABAニューロンの作用を特異的に増強するものと考えられます。

リーゼ®/クロチアゼパムの有効率

頭痛、めまい、耳鳴り等の不定愁訴を認める高齢者の方への有効性が報告されています。

その有効率は頭痛・頭重感で58.8%、めまいで50%、しびれ感で80%、動悸で75%となっています。

抗不安作用も認められています。

リーゼ®/クロチアゼパムの副作用

眠気が約30%、ふらつき約8%、疲労感は約6%ほどの報告があります。

まとめ

リーゼ®/クロチアゼパムは他のベンゾジアゼピンに比べて効果は弱めですが、不安や自律神経系の症状の改善にはしっかり有効性が認められています。

効果が強すぎず、ふらつきや傾眠の副作用が少ないため、高齢者に処方されることもあり、忍容性、安全性は高いお薬です。