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自己評価を確立するための特別な方法【認知療法⑥】

自己評価を確立するための特別な方法【トリプルカラム法】

1.内面の批判的な声に反発する。

自己価値観の低さ、価値がないという気持ちはあなたの内面の自己批判的な声から作られます。「自分はだめだ」「自分は劣っている」などと自分を卑下する声が、絶望的な感情を作り出したり、自尊心を傷つけます。これを克服するためには次のこをとやっていく必要があります。

1)自分の内面に、自己批判的な声が浮かぶとき、それをはっきり記録する

2)考えをみつめて、どのように歪んでいるかを考える

3)もっと合理的な自己評価になるように、具体的にその声に反発する

具体的なやりかたとしては下にある<認知修正シート>を使います。

【トリプルカラム法】下の図のようにまず三つのスペースを使います。

自動思考 認知の歪み 合理的な反応・修正
 

 

例えば、朝寝坊して、会社にどうやっても遅刻することになりました。

あなたはどう考えるのでしょう。

「自分はのろまでくずだ」「いつも遅刻している」「皆が自分を軽蔑するに違いない」「出世はないな」

このような自動思考は不安や焦りを引き起こし、動悸や息苦しさ等の身体症状を引き起こすでしょう。

まずは、でてきた自動思考を書き出してください。

自動思考 認知の歪み 合理的な反応・修正
1.自分はのろまでくずだ

2.いつも遅刻ばかりしている

3.皆が自分を軽蔑するに違いない

4.もう出世はないな

次に以前の認知の歪み10の定義を当てはめてみます。多少間違ってても構いませんので、当てはまるだろうと思うものを当てはめてみて下さい。

自動思考 認知の歪み 合理的な反応・修正
1.自分はのろまでくずだ

2.いつも遅刻ばかりしている

3.皆が自分を軽蔑するに違いない

4.もう出世はないな

1.レッテル貼り

2.一般化のしすぎ

3.心の読みすぎ

先読みの誤り

4.先読みの誤り

では、次に一番重要な認知の修正作業を行います。右側に合理的な反応を書き込みます。思いつかない場合は自分の家族や友人が一番左の自動思考のような相談を持ち掛けてきた時に、どのように答えてあげるかを考えてみて下さい。

自動思考 認知の歪み 合理的な反応・修正
1.自分はのろまでくずだ

2.いつも遅刻ばかりしている

3.皆が自分を軽蔑するに違いない

4.もう出世はないな

1.レッテル貼り

2.一般化のしすぎ

3.心の読みすぎ

先読みの誤り

4.先読みの誤り

1.のろまで、くずは言い過ぎだ。人間なんだから寝坊することもある

2.この1年で実際遅刻ばかりしている訳ない

3.皆、他人のことをそんなに考えていない

4.遅刻したから出世しないなんて聞いたことがない、出世の評価はもっと別なことの影響が大きい

また、この作業を行って、最初の自動思考の時に出現した感情を「不安」や「怒り」や「落ち込み」等の言葉で表現してみましょう。その感情が100%からどのくらい減ったかを考えてみて下さい。

元々でていた負の感情が、実際少しでも軽減できたことを実感できれば成功です。

自動思考 認知の歪み 合理的な反応・修正 感情
1.自分はのろまでくずだ

2.いつも遅刻ばかりしている

3.皆が自分を軽蔑するに違いない

4.もう出世はないな

1.レッテル貼り

2.一般化のしすぎ

3.心の読みすぎ

先読みの誤り

4.先読みの誤り

1.のろまで、くずは言い過ぎだ。ここまで成し遂げたこともあった

2.この1年で実際遅刻ばかりしている訳ない

3.皆、他人のことをそんなに考えていない

4.遅刻したから出世しないなんて聞いたことがない、出世の評価はもっと別なことの影響が大きい

落ち込み

100→80

悲しみ

60→40

不安

100→70

絶望感

90→60

毎日10分でもいいので、2週間程続けてみてください。必ず自分の認知に変化が訪れるでしょう。

自己評価を確立する! 【認知療法⑤】

 自己評価を確立しましょう。 【認知療法⑤】

不愉快な気分は、単にあなたがものごとを不愉快に考えているという事実を示しているにすぎないのです。

もちろん、悲しみや苦しみが生じる場面はあって当然ですし、それが悪いわけではありません。そのような感情を純粋に経験することは大切なことです。

あなたにとっての不合理で、歪んだ認知を正すことで、基本的な価値観が変化し、生産的に人生を送る能力が高まるのです。

抑うつな心の動きは、自己評価が低いところから起こるものです。

抑うつ的な人の8割以上は自己嫌悪を訴えます。

また、抑うつ的な人は知性、業績、人気、魅力、健康、などに関して周囲と比較して、自分が価値のなさを訴えます。

まずは自分の自己愛と自己評価を見直しましょう。

自己評価の見直し、自己価値観の獲得

では、どうしたら自己の価値観をえられるのでしょうか。

「自分は失敗ばかりして、何事もうまくいかないし、顔や容姿だって嫌いだ。」

認知療法の基本の一つは、自分は価値がないという感情に巻き込まれることを、阻止することです。

マイナスは自己イメージを系統的に再評価し、自己価値観が低くなる自動思考を修正していくのです。

ただ、うつ状態の時は、物事を理解、判断する力が低下しているので、ものごとをマイナスに認知していることで、自分自身が作り上げた幻想の地獄が、非常に強い説得力を持ってしまいます。場合によっては、薬物療法など通院を先に行ったり、併用した方がいい場合があります。

ある女性の精神科医が、うつ病になりました。彼女の完全主義的な傾向は、医師としての優秀な業績のみならず、私生活をも支配していたのです。出産し、仕事と育児・家事を両立させようと、週5日の精神科医としての勤務、子供の手造りのキャラ弁当、食事の準備、掃除、洗濯、習い事、地域・学校への行事参加を完璧にこなしていました。朝突然起きれなくなり、お弁当箱や、食器をみると吐き気がでるようになり、「自分の体調管理もできない私は医師として失格であり、妻として、母親としてもダメな人間だ。」と述べました。

完璧主義なすべき思考に支配され、全か無かの思考がもたらした不合理で自己破壊的な思考が彼女のうつ病を悪化させました。

トレーニングを積んだ優秀な精神科でさえ、思考の歪みに支配されるとうつ病まで陥ってしまうのです。

まずは自分の自動思考を知るためには、自分の思考、感情を言葉、文章にして表現するところからはじまります。

では先ほどの女性の精神科医の先生の訴えを聞いてみましょう。

自分の言葉を話すことや書くことで吐き出すことで、一時的に楽になることがあります。カタルシスの発散といいますが、一過性に気分の高揚をもたらすことがあります。

ただし、そこに認知の歪みがあった場合、治療者に指摘してもらわないと、あなた自身はその認知の歪みに気付かず、むしろ治療者もその考えに同意したと判断するでしょう。その結果、あなたは認知の歪みをさらに強化してしまうでしょう。

あなたの自己破壊的な考え方や行動パターンを実質上変えなければ、あなたはまたすぐに抑うつ状態へ戻ってしまうでしょう。

ただ、問題の本質を正しく指摘することは、反省を促すでしょうが、行動パターンまで変えることはできません。

「私は今まで多くのカウンセラーに会って、問題は私の完全主義と、不可能な理想の自分自身への強要だと言われました。また、この性格は強迫的で完全主義である母親から受け継いだことにも気づきました。母はきれいな部屋から、いくらでも汚いことを指摘できました。私はいつも母親を喜ばせようとしても、うまくいかず、一生懸命やればやるほどつらくなりました。カウンセラーはみんな「お母さんのように完全主義になるのをやめなさい」といいます。でも私だってやめたいのに、どうやってやめればいいんでしょうか?誰もその方法は教えてくれません。」

診療場面では、感情を吐き出して、その原因を考えて教えてもらえるでしょう。感情のカタルシスと洞察といいますが、それだけでは解決にならないのです。日常的にできる、単純で具体的な方法が必要なのです。それには練習が必要になりますが、努力は報われます。

では具体的な方法についてみていきましょう。

認知の歪みを知る! 【認知療法④】

<認知の歪み10種類を知ろう>【認知療法④】

認知の歪みとして下の10種類について知りましょう。

1)全か無か思考(二分法思考)

白か黒か、0100か、ものごとを極端に考える認知の歪みです。

不完全だらけの現実に、その極端な完璧主義を求めても、現実と折り合いがつかず、あなたの過大な要求水準は満たされず、自信のない、ストレスフルな状態を作り出しているのです。

例えば、少しのミスがあった場合でも完全な失敗と考えるような状態です。また、1人でも反対する人がいれば、それが許せない、というような場合です。

2)一般化のしすぎ

1つの良くない出来事を、自分の生活、人生において、全てそうだと決めつける認知の歪みです。

たまたま、良くないこと、うまくいかないことがあった時に「どうせ私の人生は何をやってもうまくいかない。」と一つの悪い出来事をを、人生すべてに悪い方向にあてはめて考えることです。

拒絶への不安、恐怖も一般化しすぎから生じます。

例えば、内向的で人付き合いが苦手な人が、勇気を振り絞って友人を食事に誘ったとします。その時たまたま友人に用事があって断られたとします。それに対して、「誰も自分と食事になんて行きたくないんだ。分かり合える友人なんてできるはずがない。自分は生涯孤独に生きていくんだ。」という認知から悲観的で絶望的なな感情が生じるのです。

3)心のフィルター(選択的抽象化)

たった1つの良くないことにこだわって、そればかりくよくよ考え、良いことも含め現実を見る目がよどんでしまっている状態です。

良いことも悪いこともある現実の、悪い部分しか見えなくなっている状態です。ある人が電車で高齢者に席をゆずる場面で、「他の近くの人たちは何で席をゆずらないんだ。世の中自己中心的な人たちばかりで、思いやりなんて偽善だ。」というように、良い部分が全く意識できなくなり、悪い部分ばかりが目につく認知の歪みです。

4)マイナス化思考

これは一つの錯覚で、何でもないことや、良い出来事さえも悪い出来事にすり替えてしまう事です。良いことを無視するだけでなく、正反対の悪い出来事に変えてしまうのです。例えば、仕事がうまくいったとします、すると「まぐれだ。次に何か悪いことが起こるに違いない。失敗のまえぶれだ。」と考えてしまう認知の歪みです。

5)結論の飛躍

i)心の読みすぎ

自分の憶測で、ものごとを悪い方向に考えてしまう認知の歪みです。自分で自分を苦しめて、さらに周囲との関係を悪化させてしまいます。

友人が不機嫌にしていると、「自分が何か悪いことを言ったに違いない。」と考えて、気まずい反応を取ってしまうような状態です。何かに集中している同僚に挨拶をして、気付かれず挨拶が返ってこない状況で、「自分のことを無視している。嫌われているに違いない。」と考えて、避けるようになるという状態です。

ii)先読みの誤り

現実的な未来を予測して、苦しむ認知の歪みです。先ほどの「心の読みすぎ」で、「自分のことを無視している。嫌われているに違いない。」と考えたのち、「自分が挨拶しても、嫌がられるに違いないと。」とさらに未来の出来事に対して考えます。これが、「先読みの誤り」の認知の歪みが生じている状態です。

6)拡大解釈(破滅化)と過小評価

自分の失敗を過大に考え、長所を過小評価します。逆に他人の成功を過大に評価し、他人の欠点を見逃します。

小さな失敗をしても「またミスをしてしまった。これで評判がガタ落ちだ。」と失敗を拡大解釈している認知の歪みです。また、自分の良い部分があっても、取るに足らないものとして過小評価します。

7)感情的決めつけ

自分の感情をが、真実を証明する証拠として考える認知の歪みです。

「こう感じるんだから、それが本当の事実である」という考えです。

感情は認知から生じているのですが、感情を認知の証拠にしているのです。

例えば「自分は価値のない人間に感じる。だから自分の生きている意味はない。」というようにマイナスの感情に基づき、ものごと決めつけているのです。

8)すべき思考

ものごとをいつも「~すべきだ」「~しなければならない」もしくは「~すべきではない」と考えてしまうことです。

その考え方が自分に向けば、常に必要以上のプレッシャーをかけている状態になり、自己嫌悪や、罪の意識を感じるようになります。その考え方が他人に向けば、怒りや、不満、不安の感情を感じるようになります。どちらにせよ、常にストレスとなる感情にさらされるようになるのです。

9)レッテル貼り

間違った認知に基づいて、完全にネガティブな自己イメージを創作してしまうことです。

一般化のしすぎが、さらに極端になったような状態で、例えば一つのミスをして、「全くのダメ人間だ」とレッテルを貼ります。ちょっと思い通りにならないことがあると「負け犬」「敗北者」等の感情的で偏見に満ちたレッテルを貼るのです。

10)個人化

良くない出来事を理由もなく自分のせいにして考えます。

部下の営業成績が悪いのを見て、「自分の指導が間違っている。自分のせいだ」と思い、子供の成績が悪いのを見て、「これは自分の責任だ、ダメ親だ」と考えます。

いかがでしたが、あなたが当てはまるものがありましたか。

では次回も、認知療法の旅を続けましょう。

自分の感情を把握、理解する。【認知療法③】

<自分の感情を把握、理解する>【認知療法③】

次の人の言葉を聞いてみてください。

「これまで自分がやってきたことはすべて無意味だと思います。ちょっとした幸せもすべて錯覚だったと思います。自分のやってきたことは、うわべだけの中身のないもので、自分の価値なんてありません。誰も信用できないし、助けてくれないし、生きてる意味なんてあるんでしょうか。」

なるほど。この人は、ものごとにつてそのように感じ、認知しているのです。

認知療法では、この認知を「認知の歪み」と言います。

認知の歪みは、あなたが日常で、”お箸”を無意識に使えるように、あなたの生き方の一部になっているために、自動的に出現する、いわば自動思考です。お箸の使い方が間違っていても、意識しないと全く気付かないように、思考も意識して認識することから始まります。

この認知の歪みを知り、修正することで、気分・感情を変えることができるのです。

ここで大事なことですが、認知療法をやるつもりがない人が、これ以上読み進めても、読んだ後に「時間の無駄だった」という感想を持つでしょう。認知療法は、ちょっとでもやってみようという気持ちが最低限必要になります。

認知で症状が改善する、ちょっと大げさかもしれませんが「人生が変わった」と表現される方もいます。このブログは、あなたが変わるひとつのきっかけにすぎません。かわる、かわらないもあなた次第です。その良い方にかわるヒントが認知療法にあるのです。

それでは、まずは「考え方」と「感情」についてお話ししましょう。

認知:「考え方」と「感情」について

あなたの身の回りには、良いことや悪いこと、意味のないことなど、様々なことが常に起こっています。

あなたは、その次々と起こる出来事を、次々と解釈します。それが考え方です。

次々と起こる出来事を、あなたが解釈し、脳の中で加工し、出来事に意味づけします。それによって感情が作られます。

つまり、感情というのは、あなたが、ものごとをどのように認知するかによって、全く変わってきます。

あなたは感情を認識する前に、脳の中で、できごとを理解し意味づけしているのです。

もし、現実に起こったことを「正確」に理解すれば、感情も「正常」になります。

しかし、認知が歪んでいれば、感情は偏った反応を示します。

認知の歪みが、偏った感情を引き起こし、それがストレス因となり、抑うつ状態を作り出しているのです。

では、次回はその認知の歪みの代表的なものを説明します。

無意識の認知の歪みにあなたが気付きいたとき、それが認知療法の大きな一歩となります。

自分の落ち込みを評価する 【認知療法②】

<自分の落ち込み度合いを評価する。>【認知療法②】

まずは認知療法の第一歩として、自分の落ち込みの評価を行いましょう。

とその前に、ここで大切なことですが、認知療法が適している場合と、そうでない場合があります。

認知療法はある程度、思考する力が保てている必要があります。

強い思い込みやそれに近い思考がある場合は適していない状態があります。

まずはあなたの今の落ち込み度を点数化しましょう。

落ち込みを簡易的に評価するテストとしてCESDというものがあります。CES-Dの項目で、落ち込みを点数化してみましょう。

右の固定ページのCES-Dからも行けますが、下のリンクからも行けます。

http://lala-mentalclinic.com/ces-d/

お疲れ様でした。いかがでしたか。

CESDの結果が30点以下の方は、すぐに認知療法を開始されるのがいいでしょう。しかし、31点以上である場合はまずは心療内科、精神科、メンタルクリニックに受診される方がいいです。31点以上だと、症状のため、認知療法に取り組むことが困難な状態が予想されるからです。

ここで、うつ状態、うつ病の症状について、ごく簡単な説明をさせていただきます。

うつ状態、うつ病の症状

憂うつな気分、「今後何の楽しみもない」「何をやってもうまくいかない」というような悲観的な考えしか浮かばず、今までは楽しめていたものが楽しめなくなります。

自分が悪いような、周囲に迷惑をかけているような、申し訳なく、自分を責めたり、恨む気持ち。何か罰を受けているような気持ちがでてきます。

他の人より、自分が劣っている、存在している意味がないように感じ、

死にたくなる気持ちや、なぜか涙がでてくる、イライラすることが多くなる等もみられます。人と会いたくなく、笑えない、集中できず、ものごとを決められない、すぐに疲れる、眠れない、食欲がなく、体重が減ってきた、性的関心がなくなったといったような症状が、いくつかもしくは多くみられることがあります。

これらはうつ状態、うつ病で出てくる症状です。

また、うつ状態がひどくなると、貯金があるのに「明日食べるお金もない」、検査で何の異常もないのに、「重大な病気にかかっているに違いない、もうすぐ死ぬ」、何の犯罪も犯していないのに「重罪を犯しており、逮捕され、罰せられるに違いない」、職場で評価されているのに「俺は何の価値もない、生きている意味がない、迷惑をかけている」というような、事実とは異なる思い込みが、修正不可能な思考がでてくることもあります。

修正不可能となった事実と異なる認知を「妄想」といいます。妄想というと統合失調症のような病気を考えられるかもしれませんが、うつ状態、うつ病で、妄想が出現することはあります。

他に、動悸、ふるえ、発汗、吐き気、頭痛、胸の締め付けられる感じが続く、喉が詰まっているような感じが続く、過呼吸になる等の体の、症状も同時に見られることがあります。

このようにうつ状態がひどい状態では、妄想が出現したり、思考力、集中力が保てず、認知療法は困難となることが多いため、すぐに受診されることをお勧めします。

では次回は自分の感情の把握、理解についてです。

認知療法を始めよう!【認知療法①】

<ものごとの受けとめ方、考え方をえる!>【認知療法①】

今回は認知療法のお話です。

認知療法気分の改善において、驚きの効果を発揮します。

うつ状態、うつ病に対して、抗うつ薬と同等か、それ以上の効果があるという報告もあります。

認知療法とは本人が主体性をもって、「何が問題となっているか」ということと、「それためにどうすればいいかの対策」を明確化し、それぞれ個々の問題に応じた戦略をたてて、取り組んでいくという流れで行っていきます。

気の持ちようとかそういう気合論、根性論のレベルではありません。科学的な方法で、抑うつ気分を改善し、自分の気分をコントロールするのが認知療法なのです。

認知療法の理論に基づきながらも、簡易的に取り組めるように説明していきます。

それでは認知療法を始める扉を開いてみましょう。

まず、あなたの感情を作っているのは、すべてあなたの「認知」、ものごとの受けめ方や考え方なのということを理解しましょう。

認知はあなたのものごとの見方、受け止め方、反応の仕方、考え方、解釈の仕方を無意識に決めているのです。

例えば、このサイトを読んでいて

「うさんくさいし、どうせインチキまがいだろう」と思っているとします。

そうであれば疑い、がっかり、不信感、怒り等の感情がでていることでしょう。

あなたが、そう感じ、そのように受け取っているのであればそれがあなたの認知ということになりまます。

それは正しいとか、間違っているという問題ではなく、あなたがそう感じているということです。

反対に、

「このサイトはなんか役に立ちそうだ。ひっとしたら自分のためになるヒントが見つかるかもしれない」と思っているとします。

すると、希望や、晴れやかな気持ち、喜び等の感情がでていることでしょう。

このように、あなたの気分は今読んでいる文章それ自体で決まるのではなく、あなたがどう受け取り、感じ、考えているかによって決まるのです。

認知が感情を規定(決定)しているのです。

精神的な混乱や不調を引き起こす、認知の歪みに気付き、修正する方法を身につけることで、自分自身の感情をコントロールすることができます。

客観的に自分の心を考えることができれば、気分も改善してきます。

では次回は、認知療法の第一歩、自分の落ち込みの評価からです。

メンタルクリニック、心療内科、精神科の受診の流れ

では、受診の流れを説明します。

メンタルクリニック、精神科、心療内科の受診の流れ

病院やクリニックを初めて受診する場合、基本的には初診としての予約が必要になります。

受診する際に”精神科”、”心療内科”、”メンタルクリニック”とありますが、精神科と、心療内科は医学的には厳密には違いますが、現在一般的にはどちらも精神科医が診察していることが多く、受診する際に特に区別しなくていいでしょう。ただし、依存症や発達障害など、診断や治療に専門性や施設設備が必要になる場合があるので、受診する前にホームページなどで、自分の症状にあいそうな病院、クリニックを探してみてもいいでしょう。

では、予約の際に受診の時に気を付けておくことを説明します。

①通院しやすさ、継続して受診できるところ。ただそれ以上に医師との相性。

家の近所であったり、通勤経路にあったり、よく利用する駅の近くであったり、心療内科、精神科は継続して通院する方がいいので、通院しやすいところを選ぶことは大切です。しかし、医師との相性はそれよりも大切で、少し遠くても自分に合った医師が見つかった場合は可能な限り同じ医師に通院する方がいいでしょう。

②病気によっては専門外来がある施設を選んだ方がいいことがある。

「人付き合いがうまくいかない」「大切なことを忘れる」「物事の順序立てができず、仕事(家事)がうまくできない」など発達障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)を調べたい、「夜寝ても日中ずっと眠い」など睡眠時無呼吸、ナルコレプシーを疑っている、「物忘れがひどい」など認知症を疑っている、「けいれん発作がある」(てんかん)を疑う、こういう場合はある程度の画像検査や心理検査も必要になりますので、対応可能な施設(多くは病院になりますが)を選んで受診する方がいいでしょう。よくわからないときは予約時に尋ねてみるといいです。また、「アルコール、ギャンブルがやめられない」などの依存症を疑う場合も、治療において薬物主体ではなく、断酒会などの利用が必要であったり、ある程度専門でやっているところの方が望ましいです。

ただ、初めの受診する段階で分からないことが多いでしょうから、まずは受診して相談するという形でも問題ありません。必要な場合は医師が紹介してくれることもあります。治療経過に疑問や不安を感じる場合はセカンドオピニオンや転院は可能ですので、相談されるといいでしょう。

※でもやっぱり一番大事なのは「信頼できる医師である」か、「相性が合う」かでしょうね。

治療においては自分自身が選手で、主治医がコーチみたいなものです。信じられるコーチのもとで自分のやるべきこと、方向性をはっきりさせていくことが大事でしょう。

具体的な受診の流れ

①原則本人が初診予約のための電話をします。

②予約の際、年齢、性別、主訴(困っていること)を聞かれることが多く答える。これまで違うところに通院している場合は紹介状が必要と言われることが多いです。主訴によっては専門にしている病院を案内させることがあります。

③予約が決定し、受診する。初回は問診票に、現在の困っていることや、これまでの経過、内科などの通院についてなど、簡単に記入します。希望する治療を書く欄があったり、書く内容はそれぞれの受診先で異なります。

④最初の診察は30分前後の場合が多いですが、クリニックの場合は、受付から診察をし、会計が終わるまではだいたい1時間~2時間くらいかかることが多いです。病院の場合は込み具合にもよりますが、だいたい半日は見ておいた方がいいでしょう。

⑤診察、検査が終わり、会計をして次回の予約をとったら終了です。

⑥料金は診察と検査と処方箋を含めて会計時に約3000~5000円、薬局でのお薬代が数百円から千円前後になることが多いです。検査の種類や薬の種類で多少変動します。

受診についての相談やその他利用できる機関

保健所、保健師への相談

自分が精神科、心療内科にはじめて受診する時や、受診中に困った時は、保健所の保健師に相談しましょう。
保健所では、そこに所属する精神科医に無料で相談できます。保健所では病状が急に悪くなった場合や自分自身や周りのひとに危害が及ぶような状態の救急対応の電話相談も可能です。

地域包括センターへの相談

認知症や高齢者の精神的な不調に関しても、市区町村が運営する地域包括センターに相談できます。

職場に勤務している場合は、勤務先の相談窓口から保健師や産業医に相談できます。保健師や産業医がいない場合は、産業保健推進センターの相談事業を利用しましょう。精神科医や心理士が相談に乗ってくれます。

法テラスへの相談

法律的な問題で困った場合は法テラス、借金問題を抱えている場合は市区町村の多重債務の相談窓口を利用しましょう。

女性支援センターへ相談する

家庭内での暴力問題などは、女性支援センターの相談窓口を利用しましょう。

保健室、保健管理センターに相談する

教育の場での問題は、担任や担当教官に加えて、保健室(大学の場合は保健管理センター)にまず相談しましょう。
また教育センターでの個別の対応もあります。長期間の不登校となっている場合、フリースクールや家庭への個別訪問学習等の利用も考慮されるでしょう。

 

【精神科/診療内科】この治療で良くなるの?【治療選択】説明書④

それでは、治療はどうするのでしょう。

精神的な病気の治療について

会社やプライベートで、嫌なことやつらいことがあった場合は、誰でも落ち込みます。嫌なことがあった日は、食事がとれなかったり、眠れなかったりします。しかし、人間の体はもとの状態に戻そうとする力があるので、次の日もしくは数日後には、良くなることも多いでしょう。そのような一時的な落ち込みや不眠、体調不良は厳密には病気ではありません。

「治療しないといけないの?」の項を思い出してください。

まずは病気かどうかを知ること

精神科の病気は、脳内の変化が起きていることが多く、そうなると自力で治すのはなかなか困難です。精神科の病気の場合は症状の増悪に伴って、判断力や問題解決能力も低下するため、一旦悪くなると、休んでいるだけでは改善するのは難しくなります。そのため、早めに受診して、経過をみているだけでいいのか、どういう治療が最適なのか、を知ることが大切です。

病気の場合、病気のタイプを知ること

その症状や状態が、生まれながらにあるものなのか、ストレスなどに反応して突然出現したものか、じわじわ出現したものかによって治療が変わり、尚且つその変化が持続するものなのか、一時的なものなのか、進行していくようなものかで治療が変わってきます。

休養や身近な信頼できる人に相談したり、話をすることで改善することもあります。

但し、風邪をこじらせて肺炎になったり、実は喘息など他の病気だったりすることがあります。つまり、初めの予想していた病気から悪化したり、違う病気だったと分かることがあるのです。そうなった場合は状態の見直しが必要です。

このように、状態から見通しをつけて、治療法を選ぶのです。但し、病気によって、どの治療法を主体にするのかが重要になってきます。休養を主体にしていれば治るタイプもあれば、お薬による治療をしっかりしないと治らず、むしろ悪化するタイプもあります。他にもストレスの対処法や、考え方の工夫をすることが治療の主体になるタイプもあるのです。

治療の選択肢を間違わないこと

これは重要なことですが、治療法が間違えば症状は良くならず、悪化することも多いのです。お薬が主体じゃない病気にお薬を使いすぎると、副作用から症状が悪化しているように見えます。それは症状が悪化した訳ではなく、元の症状に、お薬の副作用という別の問題が生じていることになります。そのような場合は、まずお薬を減らすことが治療の第一段階になります。なので、病気の評価、見通しは非常に大切です。

心療内科、精神科の病気も”風邪”のように受診せずに少し休養したり、ストレス発散することで良くなることもあります。しかし、風邪などの病気などと違う点は、日常の社会生活の中に原因が潜んでいることが多く、何かしらの対策をしないとどんどん状態が悪化していくということです。風邪や細菌が蔓延している空間で風邪を治そうとしても治らないですよね。糖尿病になっているのに気づかず暴飲、暴食を続けていると、受診した時にはすぐ入院が必要となる場合があるように、心療内科、精神科もひどくなれば入院が必要となる場合があります。

そうなる前に、早めに受診をして、今病気の状態かどうか見てもらうことが必要です。

適切な治療のバランスを知る

下の図を見てください。

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それぞれの病気、それぞれの個々人によって治療内容が違うのです。

なぜなら、それぞれの個人で、生物学的な脳の変化の度合い、心理学的な影響、個人の特性、ストレスへの対処能力、環境的な要素、影響が大きく違うためです。

例えば①のようなお薬の治療が主体となって、治っていく病気もあれば、②のように考え方の工夫や対処などの認知行動療法や精神療法、カウンセリングが主体となる病気もあります。③のように生活の中の環境的なストレス要素が多い場合は、環境調整が症状の改善に大きく影響することもあります。

薬物療法が主体とならない人が、お薬をいくら増やしても治らないでしょうし。逆にお薬が必要な人が、お薬が嫌いで、考え方の工夫や、カウンセリングだけで頑張っても、良くなりきれないこともあります。

それと大切なことですが、治療の経過の中で、それぞれの役割の度合いが変わってきます。どういうことかというと、最初はお薬の力をかりて、症状を軽減させることが主体であっても、次第にストレス対処能力やストレス耐性が向上してくるとお薬に頼る部分が減らせることがあるということです。

自分自身の症状、性格傾向、思考の癖、生活環境等を把握してもらい、自分に適切な治療方向性を示してくれる、相性のあった主治医が見つかることは治療において非常に重要かつ幸運なことなのです。

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では、タイプごとにどのような治療になるか、おおまかに見ておきましょう。

病気のタイプ別の治療の選択肢

①持続タイプ

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持続タイプとは、生まれながらに持っている特性、もしくは成長過程で形成、強化された性格傾向など、特性や性格傾向が生活のしにくさ、生きづらさに影響しているような疾患があてはまります。

例えば、発達障害、アスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害(ADHD)、精神遅滞などや、情緒不安定性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害などが当てはまります。

治療としてはカウンセリング、認知行動療法など、お薬を使わない治療が主体となります。注意欠陥多動性障害(ADHD)など特定の病気に対してはお薬の治療も大きな役割を果たすことがありますが、基本的には自分のことを理解すること、生活の工夫、ストレス対処のスキルを上げることが治療の主体になります。

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②一過性、反復性タイプ

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一過性、反復性タイプとは大きなストレスの後や特に誘因がなくても、一過性もしくは反復性に病気の状態が出現しますが、その状態以外の時は概ね普通の状態で過ごせるというタイプです。

例えば、適応障害、うつ状態、パニック障害、急性一過性精神病性障害などです。

症状がひどいときには、しっかりとした休養と薬物療法を主体とします。しかし、症状が改善してきたら、薬物療法は維持したまま、カウンセリング、認知行動療法などの精神療法を平行して行っていきます。お薬とお薬以外の治療が半々くらいになり、長期的にはお薬以外の治療を主体として、お薬を減らしていく方向となります。

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③進行、変動タイプ

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進行、変動タイプとは病気を発症した場合、その後症状が進行したり、変動して持続するタイプの病気です。

例えば、統合失調症、躁うつ病、強迫性障害、社交不安障害、妄想性障害などです。

進行、変動タイプにおいてはお薬が主体となり、お薬も長期的に内服していく必要があることが多いです。特に統合失調症などの病気は長期的にお薬が必要であり、内服タイプだけじゃなく、月1回注射するタイプなど薬も工夫がなされています。

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それぞれのタイプの中の病気でも、また同じ病気でも状態、時期で主体にする治療方法が変わるため、大まかな見通しとして理解するようにして下さい。

病気のタイプが2種類以上重複することがある。


また、それぞれのタイプの病気が複合的に存在することがあります。その時はまず、一過性タイプの治療を行いながら、併存している病気のタイプを評価して、他のタイプの病気にも治療を開始します。

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例えば発達障害にうつ状態が合併している場合、うつ状態をある程度改善させてから発達障害の評価、治療アプローチを開始します。うつ状態では、病状から様々な能力が低下し、考え方も変わってしまっているため、本来の状態の評価ができないからです。高齢の方で物忘れがひどくなり、認知症と思っていたが、実際はうつ病で、治療により物忘れがなくなったということはしばしばあります。

治療には段階がある。

例えば、骨折したらまず骨がつくまで休養して、そのあと少しずつ負荷をかけてリハビリします。

それと同じように心療内科、精神科の病気にも、治療に段階があります。休養がひつようなのか、どのくらいひつようなのか、次のステップはどうすればいいのか。負荷(ストレス)はどの状態からかけていいのか、などなど、症状や経過によって治療が変わってくるのが一般的です。ただし、それぞれのタイプで治療の進め方がが違ってきます。同じく薬をずっと飲み続けるのではなく、治療のゴールを主治医と共有しておくのが大切です。そのゴールも病気のタイプやそれぞれ個々の状況によってかわってきますので、信頼できる主治医と相談していくのがとても大切です。

【精神科/心療内科】本当に病気なの?【病名】説明書③

では、あなたが精神的な病気だとしたら、どういう病気の可能性があるかを考えていきましょう。

まず病気のタイプを説明します。病気のタイプといってもピンとこない方のために簡単にイメージできるように説明します。

精神的な病気のタイプ分け

①持続タイプ

下の図を見てください。

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↑持続タイプには、生まれながらに持っている特性、もしくは成長過程で形成、強化された性格傾向など、特性や性格傾向が生活のしにくさ、生きづらさに影響しているような病気があてはまります。脳の発達過程における問題が影響している場合も含まれます。

例えば、発達障害、自閉症スペクトラム症、アスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害(ADHD)、精神遅滞などや、情緒不安定性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、不安性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害など種々のパーソナリティ障害が当てはまります。

②一過性、反復性タイプ

下の図を見てください。

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↑一過性、反復性タイプは、大きなストレスに反応して発症しやすいのですが、特に誘因がなくても、一過性もしくは反復性に病気の状態が出現します。しかし、その状態以外の時は、概ね普通の状態で過ごせる病気があてはまります。

例えば、適応障害、うつ状態、急性一過性精神病性障害などです。一部のパニック障害や身体表現性障害、過敏性腸症候群等も含まれます。

③進行、変動タイプ

下の図を見てください。

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↑進行、変動タイプには病気を発症した場合、その後症状が進行したり、変動して持続するタイプの病気があてはまります。図のように進行していくタイプと、経過とともに変動し、波がありながらも進行は乏しい、もしくは改善していくタイプとあります。

例えば、統合失調症、躁うつ病、うつ病(持続性、反復性)、強迫性障害、社交不安障害、妄想性障害、PTSD(外傷後ストレス障害)、摂食障害などが含まれます。

病気のタイプを理解することで、病気との付き合い方の見通しが立ちます。例えば、一時的なものなのか、一生付き合っていく必要があるのか、ということなどです。ただし、それぞれのタイプの中の病気でも治療法や対応は異なります。一生付き合っていくタイプの病気にしても、お薬が欠かせないタイプと、お薬は最小限で、ストレスコントロールや生活の工夫がメインになる病気とさまざまです。

また、一過性タイプと思っていても、進行、変動する経過をとったり、進行、変動タイプと思っていても一過性で落ち着いたりするため、はっきりタイプ分け出来ない場合や、それぞれの間のようなタイプも存在します。見通しが立つことで不安を減らすことはできますが、決めつけるのではなく、可能性を考え、経過の中でタイプが変わることも頭の隅においておくことは大切です。

また、それぞれのタイプの病気が複合的に存在することがあります。持続タイプと一過性タイプと進行タイプが一緒に存在する時期もあります。そういう場合は、一過性タイプの病気から対処し、他の持続タイプが潜んでいないか、進行タイプに変化しないかを見ていくことになります。

どのタイプで、タイプはいくつあてはまあるか。


調子の悪くなり方で、おおよその病気のタイプの目安をつけます。

例えば、

思い返せば、物心ついた時若しくは小学校時代、中学時代から”周囲とは違うかもしれない”感じがありましたか?

答えが「はい」の場合は持続タイプの病気を抱えている可能性があります。

”周囲とは違うかもしれない”というのが難しいところですが、例えば、いじめられることが多かった、忘れ物や注意されることが多かった、人付き合いがうまくできなかった、人前が怖かった、発表が苦手だった、不登校だった、不安が強かった、リストカットや過食嘔吐があった、平気で嘘をつくことが多かった、暴力や破壊行為がしばしばみられた、シンナーや違法薬物の使用があった、などどれか一つでも当てはまれば持続タイプの病気を抱えている可能性があります。

他には

調子が悪くなったのはここ数か月で、思い当たる”きっかけ”や”環境の変化”がありましたか?

答えが「はい」の場合は一過性、反復性タイプの病気の可能性があります。原因やきっかけを整理、対処することで改善することも多いかもしれません。ただし、状況の改善が見込めない場合など、経過次第では進行、変動タイプのこともあるかもしれません。

次回は治療についてお話します。

事項はこちらです。→【精神科/心療内科】この治療で良くなるの?【治療選択】説明書④

【精神科/心療内科】本当に治療しないといけないの?【発症】説明書②

精神的な不調はほっておくとどうなるか

「調子の悪さは、ほっておいてよくならないのか?」「絶対治療しないといけないのか?」

そうですね。治療しないといけなかどうか、そのことを相談にいくという選択肢がお勧めですが、そのことについてお話していきます。

「精神疾患は脳を損傷するかもしれない」という医学的仮説があります。

どういうことかというと、精神的な不調が、現在引き起こしている苦痛に加え、症状が長く持続することで、神経回路を変化させてしまいます。

そのことにより、些細なストレスから容易に症状が出たり、悪化したり、再発したり、薬物が効かなくなったりし、結果としてなかなか治らない治療抵抗性となるような、脳の損傷を引き起こす可能性があるということです。

そういったことから、治療して症状を軽減することが、短期的に安心であるだけでなく、長期的にも脳によいのであろうという仮説です。

もちろん「”うつ病”と診断されたけど、通院はせず、自然に治った」という人がいるかもしれません。そういうことは実際ありえます。

しかし「”うつ病”と診断されて、通院もせずそのままにして過ごしていたらどんどん悪くなって、仕事も行けなくなった。」ということも十分あり得るし、その頻度も高いということです。

もうちょっと分かりやすく説明します。まず下の絵を見てください。

一般的な、”精神的な病気が発症する”ことについて簡単に図式化、説明します。

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↑これはあなた自身、周りから見た”あなた”をあらわします。

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↑これは”あなたの脳内の神経回路”をあらわします。検査などで数値化したり、画像検査で評価するのはなかなか困難です。

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↑これはあなたの脳内の神経回路にとって、良い影響を与えるものをあらわします。休養であったり、気晴らしや、ストレス発散すること一般を含みます。場合によってはお薬の治療や、カウンセリング、人間関係の修正、悩みごとの解決、環境の良い変化なども含みます。

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↑これはあなたの脳内の神経回路にとって、悪い影響をあたえるものをあらわします。例えば、嫌な事やショックな出来事、心配事、悩みなどのストレスです。

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↑普通の状態であれば、日常的に悪い影響があっても、良い影響がバランスをとり、神経回路を正常に保ち、安定した精神状態を維持しています。

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↑例えば、学校や職場、家族内でのトラブル、家族の不幸、解決できない悩み、などストレス因子(悪い影響)が増えた状態です。本人は”少し眠れない”とか、”食欲がない”など、ちょっとしたからだ、体調の変化はありますが、周りからその変化は気づかれないかもしれません。ただし、脳内の神経回路には不調が現れはじめています。

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↑自分にとって、ストレスの持続する悪い状況が続き、改善するための良い因子が少ないと、いわゆる精神的な”病気”を発症します。脳内の神経回路の不調から、”学校にいけない”、”仕事に行けない”、”家事ができない”など、いつもの生活ができない状態が発生します。

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↑休養をとる、学校や職場の環境を調整をする、理解者の支援や協力を得る、受診して治療を始めるなど、改善するための因子(良い影響)を増やすことで、脳内の神経回路の不調の進行を食い止め、改善の方向に向かわせることができます。

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↑改善した状態が続くと、元の状態と変わらないところまで回復することもあります。

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↑人によって、ストレスの感じ方や考え方のクセ、ストレスへの抵抗できる力は様々であり、同じ状況でも発症する人、しない人がいます。そこには育ってきた生活環境や元々の性格傾向、体験した出来事、現在の生活状況、支援、協力者の多さなど、さまざまな要因が影響します。

大切なのは今のあなたの状態をしっかり把握し、改善するために出来ることを認識することから始まります。

今すぐ休養したほうがいいのか、環境を変えたほうがいいのか、お薬が必要なのか、物事の捉え方を変えられるのか、今どんな状態で、何をどうすればいいのか、現状を認識し、すべきことが分かれば、今後の方向性が見えてきます。

(*今回図式化したものは、精神的な病気の発症の一部についてイメージとして説明して言います。すべのて精神的疾患についてあてはまるわけではありません。精神科では生まれながらに持っている特性を診断が必要な場合や、発生機序が異なる概念がありますので、その点については別の頁で説明しますのでご了承下さい。)

一番つらく、状況を悪化させるのは”どうしたらいいのか分からない”状態が続くこと。


それでは次にあなたが本当に病気なのか、病気だとしたらどのような病気が考えられるのか、次回は治療についてみていきましょう。

事項はこちらです。→【精神科/心療内科】本当に病気なの?【病名】説明書③